あたしとあたしから分裂した女の子は、荒野にまた戻っていた。
神は死んだ。そして全てが失敗した筈なのに、まだあたしは存在していた。
どうして?
どうしてあたしはまだ生きてるの?
ふと、地面に赤い花が咲いていた。血のように赤い虞美人草。
生命が全て消えた筈のこの世界に宿った命。
この世界が、戻りつつあるの?
馬鹿みたい。あんなにがむしゃらにならなくても、可能だったのね。
あの時は、必死になりすぎて何も見てなかったのね。
あの子が、ぽつりと言った。
「…償い」
そうね、みんなに謝らなくちゃ。その為には、この世界を戻さないと。
「時間はいくらでもある。リセットするのが目的だから…」
この子も、辛かったのよね。長い間あたしを説得しようとして、叶わなくて…。
気付けば涙がぽろぽろとこぼれていた。
「ねぇ、今度上手くいったら…貴方のその力を綺麗にしてあげるから…待っててくれる?」
彼女は静かにうなずいた。あたしは彼女を抱きしめていた。
「ごめんなさい…」
あたしの涙が地面を濡らす。そしてそこから、また赤い花が咲く。
世界がこの花で綺麗な赤に染まる頃、みんなはあたしを許してくれるのだろうか。
みんな、ごめんね。
必ず、会いにいくから。
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