(これでも三訂版)

・サイレントヒルとのクロスオーバー。グロ描写注意。


「これ、返す」
「おう、やったのか」
 有希がキョンに何かのゲームソフトを渡すのが見えた。有希もゲームをするのね、ちょっと意外。どんなのかしら。
「それ、何?」
「ああ、零だよ」
 キョンがソフトをこちらに見せた。いかにもなパッケージをしているところからするとホラーゲームみたい。あたしが好きなジャンルではないみたい。
「お前はこういうのが好きじゃないみたいだな」
 キョンがそう言ったのでびっくりした。
「な、なんで分かったのよ」
「期待して損した、みたいな表情をしてたからな」
 そんな表情してたのかしら……。こいつ時々鋭いから困ったものだわ。
「で、有希、それをやってみてどうだった?」
「人間の想像力は……恐ろしい」
 いつもより小さな声でそういうと俯いてしまった。
「どうしたのよ有希。まさか、怖かったの?」
「違う」
 即答だった。必死さを感じたのは気のせいかしら。
「そんなことはない。決してトイレに行くことが出来なくなったり、布団に潜ったまま翌朝まで身動き出来なくなった訳ではない」
 有希……全部言ってどうするの……。
「貸しておいて何だが……スマン」
「いい」
 やがて古泉君やみくるちゃんがやってきた。古泉君がそのソフトの箱を見るなり言った。
「まさか貴方がそのような分野のを持っているとは思いませんでした」
「興味本位でな。あの怖いCMがちょっときになってな」
 すぐにどんなのか判ったってことは古泉君もやったことあるのかしら。ちょっと内容が気になるけど……怖いのよね。
「そんなの怖くてできないです……」
 そう呟いたみくるちゃんに同意せざるを得ないわ。
「キョンってどんなジャンルのゲームをするの? まさかそんなのしかないとか言わないでしょうね」
「さすがにそれはねーよ。妹もいるんだしな、パーティゲームとか大衆向けのももそれなりにあるぞ」
「ふーん、じゃあ週末はキョンの家でゲーム大会ね」
「え、ん、まあいいが」
「じゃ決定ね。ということだからみんなよろしく!」
 その後、有希は読者を再開していたし、古泉君はキョンとチェスを始め、みくるちゃんは紅茶を選んでいた。
 あたしは特に何をするということもなく、適当に検索して開いたページ眺めてた。
 さっきの零とかいうソフトについて調べないのかって? 冗談じゃないわ、あんなアブノーマルなのあたしには向いてないもの。


「あ、あれ……?」
 気が付くと、あたしは真っ暗な駅のホームに立っていた。
 何で? さっきまで部室にいた筈なのに。
 慌てて辺りを見回すけれど、ホームどころか駅の周辺からも人の気配が全然しない。
「どうなってるのかしら」
 ホ-ムを改めて見回してみる。見たくなかったけれど。
 蛍光灯だけが照らしている構内は随分と汚くて、柱なんて赤錆でボロボロになっている。地面のコンクリートが赤いのもそのせいよ。
 そのせいよね……。
 ここはどこの駅なのかしら。全く見覚えがない。外に明かりはなく、この駅以外は永遠に続きそうな真っ暗闇しかない。

 一体何が起こったのかさっぱり分からない。あたしは一歩も動けずに

「いやああああああああああああああああああああ!!!」

 その突然の叫び声にあまりに驚いたあたしは、一瞬呼吸を忘れてしまった。
「何!? 何なの!? さっきの悲鳴は何なのよ!?」
 パニック寸前のあたしは一刻も早くここから出ようと、改札口へ走った。自分の荒い息遣いと壁に反響した足音だけが聞こえる。
 周りを見ている余裕なんてなかった。後で思うと、見なくて正解だったかもね。
 恐怖からの逃避を図ったその先で、あたしは地獄を見た。心臓が縮み上がった。全身から血の気が引く音がした。

 改札口の辺りは血痕だらけになっていた。床も壁も天井も……、一体何をすればこんなに飛び散るのだろう……。
 そして改札機のそばには何かが
「……みくるちゃん!?」
 どうして? どうしてこんなことになってるの!?
 血まみれになって倒れているみくるちゃんはあたしの声に気付いてこっちを見た。
「みくるちゃん! 何があったの!? しっかりして!」
「涼宮さん…………逃げて下さい…………。この世界は…………もう…………」
「何言ってるの!? みくるちゃん! 」
「……じ………く…………」
「                !」
「………………………」
 もうみくるちゃんが何を言ったか聞き取れなかったし、自分が何を言ったかさえ覚えていなかった。
「                !」
「」
「」
「」
「」


 

 

 


「おい、ハルヒ? ハルヒ?」
 あたしは気付くと、机に突っ伏して寝ていたみたいだった。額は汗でびっしょりになっていた。
 ゆ、夢? そうよね、あんなこと現実にはあり得ないもの…………。
「どんな夢を見てたんだ? 随分と苦しそうだったが、大丈夫か?」
 キョンはまだ呼吸の整っていないあたしを心配しているみたい。
 視線を移すと、心配そうにこちらを覗くみくるちゃんが見えた。ちゃんとメイド服を来てるし、勿論血なんてついてない。
 あたしは立ち上がると、何か話しているキョンを無視してふらふらとした足取りでみくるちゃんに近付いた。みくるちゃんは少し驚いた表情をしていたけどね。そんなのどうだっていいわ、さっきのが夢だっていう証拠が欲しかったから。
「みくるちゃん、何も起こってない……よね……?」
「え? は、はい、いつも通りですよ」
 あたしはみくるちゃんに抱きついて泣いていた。
「す、涼宮さん?」
「ちょっと……怖い夢を見ちゃったから……。うん、大丈夫よ……」
 みくるちゃんは、優しくあたしを撫でてくれた。ちょっと恥ずかしかったから、悪夢を見たのをキョンのせいにして解散した。


 家に帰ってからは、一晩中なんだか怖かった。それはもうキョンから借りたゲームの所為で動けなくなった有希といい勝負だったかもしれない。
 けど、何も起こらなかったし、あの夢も見なかった。
 でも、翌朝にそれは起こった。


 あの悪夢はただの夢だったことにほっとして、何時ものように学校に向かっていたあたしは、突然目眩に襲われて倒れた。
 気がつくと、ほほにアスファルトの感触がある。その場に倒れたままだった。
「ったく……誰も助けてくれないなんて薄情な……」
 ここは一通りの多い通学路なのに、人の気配が一切なかった。
 そして辺りは真っ白な霧で覆われていて、5メートル先も見えない状態だった。
「え? なに……これ……」
 何より不安を誘うのが、全くと言っていいほどに音が無いことだった。
 音がしないなんて雪が降った日みたいだけど、今は凄く不気味に感じる。
 無響室に入れられた人は不安感を抱くとかいう実験について聞いたことがあるけど、今のあたしはそれに近い環境下におかれているのかもしれない。
 ここは毎日通る道なのに、どう進めばいいか分からない。電柱とか、特徴がある家とか、そういった目印を探しつつ学校へ向かった。もう家を出てしまった以上、学校に行った方が安全だと思ったから。

 そうして何とか進んでいた時、私は不意に足を止めた。
 白い霧の中に、ぼんやりと影が見える。その形からして、路上に誰か倒れているようにしか見えなかった。
 あの時のよく似た状況の記憶が頭を埋め尽くす。
 嫌、見たくない…………。
 それでも、あたしには前に進むしかなかった。
 重い足取りでも、確実にそれに近づいていた。

 やがて霧の中から見えてきたのは、血溜まりに倒れているキョンだった。
「……え…?」
 今回は夢じゃない。体を流れる血が冷たく感じた。
「嘘……でしょ……?」
 キョンを揺さぶっても、全然反応しない。手も首も、だらんと重力に負けたまま……。
「嘘って……、言ってよ……ねえ!」
 あたしの両手が真っ赤になっていた。キョンはおびただしい量の血を流して、温かさを失っていた。
「どうすればいいの……!」
 救急車を呼ぼうと思い立って、慌てて震える手で携帯を取り出した。
「……どうして?」
 圏外という赤い二文字が画面に表示されていた。助けは来ない、あたしにも助けられない。
 キョンは死んでしまった? これはみくるちゃんの時と同じ「夢」……よね……?
 でも、このべっとりとした嫌な感触や、鉄の臭いは……
 …………
 …………
 あたしは狂ったように泣き叫んだ。声が裏返り、しわがれても構わずに叫び続けた。


「…………!」
 あたしは泣くのをやめた。
 足音が聞こえた。しかもそれが段々と近づいていた。
「だ、誰……誰なの!?」
 あたしは虚空に向かって叫んだ。虚勢でも張っていないとおかしくなってしまいそうだった。
 すると、返事が聞こえた。
「涼宮さん!?」
 あの声は、古泉君! 良かった……。
 霧の中から姿を現したのは間違いなく古泉君だった。
「涼宮さ…………」
 古泉君はキョンの亡骸を見て言葉を失った。
「これは……」
「あたしが来た時には、もう……」
「朝比奈さんに続いてまさか彼が……」
 その言葉にはっとした。
「みくるちゃんも!? どういうことなの?」
「朝比奈さんは、先日、駅の改札口で」
「何ですって!?」
 古泉君の話していた内容は、あの時の夢と全く同じだった。
 あたしは頭を抱えた。ひどく混乱していた。信じたくないことばかりがぐちゃぐちゃになって頭の中を掻きまわしていた。
 どういうことなの? あれは夢じゃなかったの?
「このままでは、この世界は……終わってしまいます」
 それは、みくるちゃんと同じ台詞だった。


『この世界は…………もう…………』


「古泉君、この世界って何なの? 何でみんな殺されたの? この世界はどうなっちゃうの!?」
 あたしが古泉君に掴みかかっていたその時、後ろから声がした。
「あら、揃ったのね」
 振り向いたけど霧しか見えない。
「誰よ!」
「あら、名前なんて言わなくても分かるでしょ?」
 霧の中から、うっすらと影が見えてきた。
「彼を殺したのはあたしよ。話を面白くするには良い演出でしょ?」
 笑っているような口調だった。
「ふざけるな!」
 あたしはそいつに向かって怒鳴った。
「ふざけてはないったら。彼もあの子も必要な犠牲なんだから」
 まさか、みくるちゃんもこいつが……。そう判断した瞬間、自分自身でも驚く程の激しい憎しみという感情を抱いていた。
「良いわねぇ……、良いわその表情……。あたしを殺したいの? 出来るかしら?」
 あたしは呼吸が荒くなっているのが分かっていたけれど、それを抑えることはしなかった。
「悔しいのなら、学校で待ってるからいらっしゃい。面白いものを見せてあげるから」
 そう言って、そいつは霧の中に消えた。

 キョン……
 そいつが消えた頃にあたしはようやく落ち着いた。古泉君が霧で真っ白の世界を見回しながら呟いた。
「僕自身も、裏世界にいるのは初めてなんですが……。この霧の世界……、まさにサイレントヒルですね」
「それって……あたし達はホラーゲームの世界に放り込まれたってこと? 冗談じゃないわ!」
 本当に冗談じゃなかった。ホラーの世界が現実になったら……とてもじゃないけど、主人公みたいに生き残れる自信なんて……。
「しかし、このままでは何も進展しません。ここで敵の襲撃を受ければ助かる見込みはありません」

 あたしは決意した。キョンの仇を取らなきゃ。
「……分かったわ、あたし達が主人公になってやろうじゃないの。主人公は不死身なんだからね」
 あたしは別の世界の涼宮ハルヒだと説明すると、古泉君はあっさりと理解してくれた。
 なんで不思議に思わないのだろう……。
 古泉君によると、この世界のあたしは数日前に失踪してしまっている。それ以来、裏世界と呼ばれるおぞましい空間が発生し、そこで殺人事件が起こっているらしい。
 その犠牲者はキョンやみくるちゃんを含めて20人を超え……。
 そして、今いるのがその裏世界。惨劇の舞台に、あたし達はいる。
「つまり、狙われてるってこと?」
 そう思いたくなかったけど、そう思わざるを得なかった。

 あたし達はあの女のいる学校へ向かうことにした。
 何かが襲ってこないか不安だったけども、静寂を破るようなことは起こらなかった。
 どれくらいの時間が掛ったのだろう、霧の中を歩いて、ようやく学校に着いた。
 でも、古泉君は入るのを躊躇っていた。
「どうしたの?」
「裏世界の詳細をご存知ですか?」
「どんな世界なの?」
「その世界の建物の内部はとても凄惨なことになっています。最もおぞましいと言われる程だそうです。覚悟をしないと、精神的に参ってしまいます」
 あたしは頷いて学校へと入った。
 覚悟はしていたつもりだった。
 でも、古泉君が言っていた通り、入った瞬間に食道がケイレンを起こした。
「ぅ…………」
 あの時の駅より酷い、酷過ぎる。
「大丈夫ですか?」
 何もかもが赤錆と血飛沫でどす黒い赤色になっていた。血の臭いがする……。この学校のあらゆる場所で殺し合いがあったような状態だった。
「ええ。なんとかね……」
 蛍光灯は全部割れていて、外の霧が唯一の明かりになっていた。
「かなりの邪念を感じますが……、とりあえず、進みましょう」
「ええ、そうするしかないわね……」


 昇降口
 まず、自分の上靴の場所を調べる。
 履き替えるつもりなんて勿論無い。血でこんなに汚いんだから、土足でも構わないだろうし。
 二度と触りたくないくらいに汚い上履き以外は、変わった物は入っていなかった。
「おや、これは心強いですね」
 古泉君が見つけたのは、ショットガンだった。弾も幾つか見つけたみたいだった。
 古泉君は、弾をポケットに入れると、その一つを装填して構えた。手慣れたように見えたのはどうしてだろう。
「頼れる武器があると、やはり落ち着きます」
 こんな物騒なものを手にして落ち着くなんておかしいけど、今は命の危険に晒されているのだから、古泉君が正しいと思う。
「この世界がゲームと同じなら、武器はいろいろと見つかる筈ですね」
 なるほど、だから学校にそんなものが置いてあるのね。
 あたしも何か役に立ちそうなアイテムはないかと見回すと、傘立てに傘に混じって何かが立ててあった。
 手に取ると、日本刀だった。鞘に紐がついていたので、それを腰に巻いて結んだ。
「いいものを見つけたみたいですね」
 ショットガンを持った古泉君が言った。
「僕も近接武器が欲しいですね。ショットガンには弾に限りがありますから。銃身で殴るには少々重たいですし」

 ズズッ……
 その時何かの音がした。
「おやおや、歓迎でも来たようですね」
 勿論そのままの意味でないことは知ってる。敵でしょ。
 廊下で何かが動いていた。
 それが這ってこちらに来ている。だんだんとその姿がはっきりと見えてきた。
 ゾンビというのかは分からないけど、人の形をした血まみれの気持ち悪い生き物が近付いていた。
「涼宮さん、下がって下さい」
「いえ、その必要はないわ……」
 あたしは刀を鞘から引き抜いて、銀色に輝く刃を見つめた。
 決心したんだもの、あたしはキョンの仇を討つまでは……いえ、討っても死ねない!
「弾はもしもの時の為にとっときなさい!」
 あたしは目の前の敵に向かって走った。
 あたしの姿を認めるとそいつは何やら呻いていたけれど、そんなの気にせずに素早く背後に周りこんで、これでもかという位に斬りつけた。
 背中から血を噴き出してもがいていたけど、蹴りを一発お見舞いしたら動かなくなった。
「す、凄いですね涼宮さん」
 古泉君の視線で、あたしは大量の返り血を浴びていた事に気付いた。それを見たから、古泉君は少し驚いたのだろう。
「この調子ならノーダメージでいけそうね」
「では、行きましょうか」


 1F
 薄暗い廊下を歩いて行く。目的地は分からないけど、学校のどこかにアイツはいるから順番に回っていけばいつか見つかるだろうし。
 古泉君が腕を組んで壁とにらめっこをしていた。
「これは……困りました。ここには手洗い場があったはずなんですが」
 確かに、ここにはトイレがあった筈なのに、真っ赤で気味の悪い壁しかない。
「どういうこと……?」
「特に仕掛けもないようですし、配置が変えられていると考えるのが一番かと」
 配置が変えられているだけじゃなかった。とても学校とは思えないくらいに廊下が入り組んでいた。
「なによこれ、迷子になっちゃいそう」
 迷宮のような廊下を真っ直ぐ進んで行くと、机と椅子が山のように重なっていて行く手を阻んでいた。
「」
「これはどかしようがありません。仕方ありませんので、引き返しま……」
 振り返った時に、あたし達は硬直した。
 おぞましい生き物が天井からぶら下がってこちらを見ていた。
 さっきのとは形が少し違う。天井から人間の上半身が生えているようだった。
 あたしは思わず叫んだ。そして、
「よくも脅かしてくれたわね……!!」
 冷静さを失っていた。
 刀でこれでもかと言う程に斬りつけた。
「涼宮さん……落ち着いて下さい!」
 古泉君があたしを止めた時には、その生き物は原形を止めない程になっていた。
 説明してほしい? 簡単にいえば乱切りよ。それ以上は言いたくないから。
 あたしは肩で息をしていた。なんでこんなにムキになっていたのだろう。
「冷静になることも必要ですよ。体力も消耗しますし」
 古泉君は少し怯えた表情であたしを見ていた。自分の言動で逆上されることを恐れているようだった。
 なんだか腫れ物に触るような扱いに感じて悲しくなった。

 行き止まりから引き返す途中、あたしのクラスの教室を見つけた。
「何で気付かなかったのかしら」
 ちょっと期待してたけど、中に入るとあたしの席もキョンの席も、やっぱり血がべっとりとついていた。

 キョンの机の中から何かがはみ出ていた。出してみると箱があり、その中に拳銃と幾つかの弾倉が入っていた。
「何でわざわざ箱に入れてあるのかしら」
 疑問に思いながらも拳銃をポケットにしまった。
「おや、これはこれは」
「どうしたの?」
 古泉君が掃除用具入れから鉄パイプを見つけていた。
「手頃な武器が見つかりました」
 感触を確かめるようにパイプを振っていた。
「ねぇ、おかしいと思わない?」
 古泉君は表情を引き締めた。
「ええ、確かに招き入れた割に大した罠もなく、かつこれだけ武器が用意してあるというのは少々不自然です」
「だとすると、この世界にあたし達の味方がいるのかしら」
「そうとも考えられます。しかし過度の期待は禁物です。このように武器を提供するので精一杯なのかもしれませんから」


 2F
 階段を上ったところでいきなり現れた巨大化したゴキブリみたいな虫の大群に対し、古泉君の鉄パイプが早速活躍した。
 古泉君が何とかしてくれていなかったら、あたしは卒倒してたかもしれない。想像してごらんなさい、でっかいゴキブリが顔めがけて飛んできてかじりつこうとしてくるのよ。生きた心地がしないわ。
 虫の大群はいまや抜け殻の山となっていた。それを蹴散らして廊下を進み、部屋を確認していく。
「……あった!」
 こんな所に部室があった。SOS団と書かれた紙に希望が膨らむ。
 でも、扉をあけて中に入るとやはり酷い有り様だった。
「うわ……」
 本が棚から崩れ落ちたままの状態で埃をかぶり、みくるちゃんの衣装までもが血で染まっていた。
 だけどそんな中で唯一、パソコンだけが血を浴びずに綺麗なままだった。
 それには二人ともほぼ同時に気付いた。
「古泉君、あのパソコン」
「何かヒントがありそうですね」
「やっぱり味方がいるって考えで正解みたい。よかった」
 スイッチを押すと、黒い画面に文章が現れた。

『このメッセージは条件を満たすと表示されるものであり。そちらとの疎通は出来ない』

 あらかじめ用意されたプログラムってことかしら。

『裏世界と呼ばれるその空間は現実から隔離されている別の世界』

 これは古泉君から聞いたから知っている、でも、その後に表示された一文にあたし達は首をかしげた。

『しかし、神がその世界を支配すれば、その世界が現実となる』

 ……つまり、この気持ち悪い世界が現実と入れ替わるってこと? 冗談じゃないわ。
 それより、気になる単語があった。
「神とは何のことでしょうか……」
「少なくとも、良い神じゃなさそうね」
 パソコンは神ついて詳細を述べることは無かった。でも、そいつにこの空間を支配されたらおしまいってのは分かった。

『クリーチャーは貴方達の憎悪や恐怖が実体化したもの。冷静さを保てば遭遇する頻度は下がると予測される』

 つまり、あたしがもっと冷静になれば厄介な敵は現れなくなるってこと?
「ごめんね古泉君、こっからはもっと落ち着いて行動できるように気をつけるわ」
「いえいえ、謝らなくて結構ですよ」


***


 朝学校に来ると、ハルヒがいなかった。珍しく遅刻をしているようだ。
 あくびをしながらその空席を見ながら座った時だった。
 喜緑さんが教室にやって来た。そして真っすぐに俺のところに歩いてくる。喜緑さんが俺に用があるということは何かでっかい事件があったということだろうか。
「涼宮さんが登校途中で倒れて病院に運ばれました。これは緊急事態です」
 いきなりのことに、俺は仰天した。
「なんだって……?」
 俺は机上に置いたばかりのカバンを再び持つと、喜緑さんと一緒に教室を出た。授業? サボりというやつだな。
 外で朝比奈さんが待っていた。
「キョン君……涼宮さんが……」
「喜緑さんから聞きました。早く病院に行きましょう」
「こちらに来てください」
 喜緑さんに手招きされて近づいた瞬間、世界が一変した。
「へ?」
「ん?」
 いつの間にか病院の前に立っていた。空間移動をしたらしい。
 って古泉はいないが置いて来たとかそういうことはないですよね。
「既に病室にいます。詳しい話は皆さんが揃ってからに」
 病室に入ると、ベッドでハルヒが眠っていた。その傍で古泉が待っていた。
「待ってましたよ」
「ハルヒは一体どうしたんだ」
「目撃者の話では、歩いていて突然全身の力が抜けたように倒れたそうです。その原因は……」
「それは私が説明します」
 喜緑さんが割って入った。そんなに難しく深刻な話なのだろうか。心配になってきた。
「現在、涼宮さんの精神は抜き取られて別の世界に閉じ込められているようです」
 別の世界って……。
「その空間に干渉しているところですが、情報改変が殆ど出来ていません。彼女にヒントや武器を与えることが精一杯です」
 武器? どういうことだ、そんなに危険な世界なのか。
「簡単に言うと、サイレントヒルの裏世界、という表現が貴方がたには一番分かりやすいと思います」
「ぇぇっ?」
 隣で朝比奈さんが俺以上に驚愕していた。朝比奈さんも知ってるんですか?
「はい、ホラーゲームの初期作の一つとして有名ですから……。でも、あんなゲームの世界に閉じ込められるなんて……」
 そこで朝比奈さんがハッとした表情を見せた。
「もしかして昨日の……!」
「昨日ハルヒがうなされてた悪夢のことですか?」
「はい、それが何なの予兆だったのかもしれないです」
「そんなことがあったのですか。やはり狙われていたようですね」
 喜緑さんの言う『狙われていた』というのはどういうことなのだろうか。
「閉じ込められている目的は何なのですか」
 喜緑さんは古泉の質問に一切のタイムラグなく回答した。
「彼女を閉じ込めた相手はあくまで本気のようで、ゲームの様に楽しませる積もりは毛頭ないようです。相手の目的は、彼女を生け贄にして神を生み出し、その力で裏世界を現実と入れ替えることと推測されます」
 生け贄……?
 おいおいまてよ。
 それって、つまり……。
 このままじゃハルヒが殺されるのか!?
「なんとかして助けられないんですか!?」
「何度も裏世界の改変を試みましたが成功していません。また相手の正体は不明で、神がどのような力を持つかも推測に過ぎません」
「そういえば、長門さんはどうしたんですか?」
 朝比奈さんの一言で思い出した、長門がいない。なんでこんな時にいないんだ。
「長門さんは……隣の病室にいます」
 なんだって?
「彼女は裏世界への侵入を試み、現在涼宮さんを捜索中です」


***


 涼宮ハルヒの精神が隔離された空間への侵入を試みたところ、突然「目眩」という症状を起こし、気付くと学校にいた。
 しかしそれは全く似て非なるものであった。配置が著しく変えられた校舎内はどこも血痕だらけで、とても禍々しい光景だった。
 ここに涼宮ハルヒがいる。
 ……おかしい、統合思念体との連絡がとれないので現在の状況すら把握出来ず、おまけに情報操作が全く行えない。
 有機生命体の五感を頼る他ないようだ。


 前方に何かがいた。


***


 3F
 階段を登り終えたときから古泉君の様子がおかしい。
 さっきから落ち着きがないし、まるで風邪を引いたみたいに震えて呼吸も荒い。
「古泉君、大丈……」
 思わず後ずさりしてしまった。
 古泉君の腕が、ところどころカビのように黒くなっているのが見えた。
「こ、古泉君?」
 もう、古泉君は古泉君ではなくなっていた。
「亜阿あああぁ唖あああああああああ!!」
 古泉君は意味不明な言葉を叫ぶと持っていた鉄パイプであたしを殴りにかかった。
 あたしはなんとか避けたけど、古泉君はまだあたしを狙っていた。
 走って逃げたけど、向こうも走ってくる、逃げるのは無理みたい。
 振りかぶった隙に鉄パイプを奪い取ることには成功したけど、古泉君は素手での攻撃を止めない。何度も何度も掴み掛ろうとする。
「ちょっと…………やめ……て……」
「ぁぁぁぁぁぁぁ………………あはははははは……!」
 古泉君があたしの首を締めようとしてくる。あたしはポケットから拳銃を取り出した。古泉君を突き飛ばしてその隙に距離をおき、構えた。
「ごめんなさい!」
 拳銃の弾は、古泉君の頭を貫いた。糸が切れた操り人形のように倒れ、もう動かなかった。
「古泉君……何で……?」
 なんでさっきまで味方だったのに突然こうなったの?

 しばらくして落ち着きを取り戻してから、古泉君の服のポケットからショットガンの弾を取り出す。
 その時、何かが光っているのが見えた。古泉君の首に紐に通された鍵がかかっていた。
 鍵には「体育館」と書いてある小さな紙が貼ってあった。


***


 痛い……? 寂しい……? 怖い……?
 様々なエラーが発生し、私は歩みを止めた。
 理解不能、私にはそのような「感情」など……。
 では、どうして呼吸が乱れている?
 どうして過度に背後を警戒する?
 どうして前進を躊躇う?
 どうして?
 それらの自問に答える事が出来なかった。
 幾度となく殲滅させた筈のクリーチャーが再び現れた。彼らは執拗に私を喰らおうとやってくる。
 それに対して、箒を分解して金属製のパイプのみにしたものを応急的な武器としているが、簡単に折れてしまいもう箒の残りは少ない。持久戦になればこちらの劣勢は明らか。
 早急に新たな戦法を練らなければならない、そう思った時だった。
 机の上に、いつの間にか機関銃が置いてあるのが視界に入った。
 それを手に取った瞬間、メッセージを受信した。
『私達に出来るのはこれ位だけど、これで思いっきりやっちゃいなさい!』
「朝倉涼子……」
 統合思念体の干渉はこれが精一杯のようだ。しかし……、
「充分」
 私はその機関銃を手にすると、向かってくるクリ―チャ―を飛び越えて走った。
 この裏世界はゲームではない。
 たとえチートと言われようと構わない。
 あらゆる手段を尽くして、この世界を終わらせる。


***


 しばらく目を閉じていた喜緑さんが目を開けた。
「裏世界の観測が可能になりました」
 待ちに待った知らせだった。ここに来て数時間ずっと気になっていたことをぶつける。
「ハルヒは、長門はどうなってるんですか!?」
「現在は二人共に大丈夫のようです。しかし、裏世界ではキョンさん、古泉さん、朝比奈さんは死んでいます」
「なんだって……?」
「あくまでもあの空間は仮想のものであり、そっくりにコピーしたものです。しかし、世界が入れ替わった場合はそれが現実となり、その時にはあなた方は消えてしまいます」
 俺達三人は固まってしまった。
 十数秒たってから、その静寂を破るように、朝比奈さんが消えそうな声で言った。
「消えちゃうんですか……」

「……くぅっ……」
 ハルヒがまた苦しそうな声をを漏らした。
 自分に何もしてやれないことに腹が立つ。俺達はハルヒに触れることすら許されない。接触すると相手に何かされる懸念があると言う。
 目の前で苦しそうに顔を歪めながら眠っているハルヒを見てやることしか出来ない。
 頼む、頼むから、無事に目覚めてくれ……。
 俺達には祈ることしか出来なかった。


***


 体育館
「やっと来たのね」
 古泉君の持っていた鍵で扉をあけると、体育館で待っていたのは予想通りアイツだった。
 ここも照明は機能してないけど、霧がわずかな明かりとなってアイツの顔を照らしていた。
 ここに来るまでに、アイツの正体はなんとなく分かっていた。
 アイツの声は聞いたことがなかった。何故なら、それが自分の声だったから。
「アンタがこの世界のあたしなの?」
「そう、だったら何?」
「何でこんな事をしたの」
「この世界は唯のコピー、いつかは消される運命にある。それが気に入らないの。だから神の力でこの世界と貴方の世界を入れ替えてこの世界を本物にするの。みんな、神を生み出すのに必要な犠牲だったのよ」
 神……?
「紹介するね、これがこの世界の神よ」
 暗くて気付かなかったけど、アイツの隣に巨大な化け物がいた。
 あたしが想像する神は、宗教とかそんなの抜きでももっと綺麗なものだった。
 けど、目の前に現れた神は、とても神とは呼べないものだった。
 5メートルはあろう神だという生物は、人の形はしているがひどく痩せていて、やはり血まみれだった。
「神は絶対的な存在よ、全てを支配するの。だから、人間は神にはなれないの」
 アイツが話を区切る度に静まり返る体育館。「神」がこちらを見ている。その視線を受けたあたしは一歩も動くことが出来なかった。
「この神はまだまだ未熟だから、憎悪という感情が足りないの、だから貴方が神に必要な生け贄に選ばれた。そんな貴方がちょっとでも強力になってもらう為にあの男を殺したの」
 あたしの怒りを増すためだけにキョンを殺したなんて……。
 でもあたしは何も言えなかった。それに対して怒れば相手の思うつぼだし、こんな魔物の生け贄に選ばれたことがショックだった。

「神に逆らうことは許さない。例えあたしでもね」
 突然、「神」はアイツを手にとり、じっくりと舐めるように眺めていた。
「あら、神は貴方よりあたしを先に欲しいみたいね」
 
「な、何言ってるの? アンタも殺されるのよ」
「いいえ、光栄なことよ。神のヴィクティムになるのだから……」
 神は我慢できなくなったのか、突然そいつをまるでスナック菓子のように喰らいついた。
 アイツの身体が噛み切られて……。これ以上言わせないで。
「う……わ……………………」
 あたしはとっさに目を瞑り、耳を押さえた。それでも骨の砕けるような嫌な音が響いていた。

 しばらくして音がなくなった。
 どうやら食事が終わったらしいので目を開けるた。「神」は血をぼたぼたと垂らしながらあたしを見ている。
 次に喰われるのはあたし。
 アイツへの復讐は出来なかった。でも、この「神」とやらをなんとかしないと、この世界は終わらない。あたしは、ショットガンを構えた。
「くたばりなさい!!」
 引金を引いた瞬間、強い衝撃で肩に痛みが走った。
 あたしのような体格では、反動の大きなショットガンは身体に負担がかかることは百も承知。
 でも、これは遠距離からでもダメージを与えられる数少ない武器だから、それくらいは我慢。
 肩の痛みを堪え、次々と弾をこめては頭を狙って撃ち続けた。
 ダメージがあったのか、「神」は呻き声を上げている。
「やったかしら」
 油断してしまった。次の瞬間、その長い腕でなぎ払ってきた。
 避けようとすることすらできなかったあたしの身体は宙に浮き、十数メートル飛ばされて叩きつけられた。
 何とかして立ち上がったけれど、全身が打撲で痛い。ショットガンもどこかに飛んでいってしまった。こんなに暗い中ではすぐには見つからないから諦めるしかない。
「いっ……たいじゃない………………!」
 あたしはふらつきながらも再び「神」と向き合い、拳銃を撃ちながらショットガンを探した。
 でも「神」は怯むことなく迫ってきて、またその腕に弾き飛ばされた。
「ぅう……」
 床に叩きつけられたときに頭を強く打ってしまい、立ち上がることが出来なくなっていた。
 拳銃も暗闇の中に消えてしまった。
 近づいてくる「神」から逃げようと痛む四肢を必死に動かして床を這ったけど、すぐに追いつかれてしまった。
 あたしはとうとう「神」の手で押さえ付けられてしまった。腰には日本刀があるけど、激しい痛みで手が動かなくなっていた。
 血でべとべとの「神」の手に圧縮される気分は最悪だった。
 苦しい、息が出来ない。こんな化物に食べられるなんて……。
「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」
 叫んでもここには誰もいないから無駄なことは知ってる。けども、最後までこいつに抗っていたかった。
 

 その時、「神」の荒い呼吸に混じって、誰かの足音が聞こえてきた。
「させない」
 ……有希!?
 銃声が絶え間なく響いていた。「神」はたまらず悲鳴を上げてのけぞり、あたしはなんとか手から解放されたた。
 視界が開けて、音のする方向を見ると有希がマシンガンを撃ち続けているのが見えた。
 何十発撃っただろう、「神」は遂に倒れた。それでも有希は「神」が完全に動かなくなるまで攻撃をやめなかった。
 マシンガンの音が止む。そして、ガシャンという大きな音を立てて床に落とした。
 そしてこっちに駆け寄って、あたしの身体を支えて立たせてくれた。
「涼宮ハルヒ」
「有希……、ありがと」
「いい、私も……一人で心細かった……」
 あたしと有希は抱き合ったまま、静かに泣いた。

 窓から眩しい光が射している。霧が晴れて、青空が見えた。
 外に出ると、校舎は相変わらずだったけど、空気はよどみがなく透き通っていた。

 太陽が眩しい。あたしと有希は、その光に包まれていった。


***


 涼宮さんが目を覚ましたようです。
 状況説明が困難な為、長門さんが隣の病室にいることは涼宮さんには内緒になっています。
「…………」
 涼宮さんと同時に目覚めた長門さんは、ぼんやりと自分の手を見つめていました。
「どうしました?」
「大量のエラーが発生している。身体の制御すら上手く出来ない」
 彼女の手は震えていました。
「もう大丈夫ですよ」
 私はそっと彼女を抱き締めました。彼女は私に顔を埋めていました。おそらく、泣いていたのだと思います。あくまでも推測ですよ。
 数分間そのままでいましたが、長門さんが離れました。
「エラーの削除が完了した」
「では、そろそろ涼宮さんの所へ行きましょう。貴方は涼宮さんにプリンを買いに行ったことになっています」
「……分かった」
「では、情報操作を始めますね」
 その時、彼女が小さな声でありがとうと言いました。少し恥ずかしそうでしたね。
 情報操作により、私以外は今回の事件についての記憶を失い、長門さんは涼宮さんの見舞いに来たことになりました。これは、トラウマと呼ばれる精神状態に陥らない為の救済措置です。
 さあ、私はこの病院にはもう用はないので学校に戻りますね。
 それでは失礼します。



inspired "SILENT HILL 3"



おまけ 長門有希がビビりプレーヤーだったら

 痛い……? 寂しい……? 怖い……?
 様々なエラーが発生し、私は歩みを止めた。
 それらのエラーを言語化するならば……、
「帰りたい……」
 いっつも助けてくれるパパ(統合思念体)との連絡がとれないから、一人でなんとかするしかない。
 でも、この間キョン君に借りたゲームをしたばっかりだから怖さ倍増なの……。
 どうしよう、有希泣きそうだよ……。
「こわいよパパ……」
 あー来る、こういう所絶対何か来る。ドッキリ要素というものが絶対ある。
 こういう時は……、歌を歌おう。
「ある~はれ~たひ~のこt」
 ガッシャーン!
 突然ドアを突き破ってクリーチャー登場。
「POOOOOOOOOOO! ふっざけんにゃよ! もーやだ! 無理! 終了! 終了!」
 私は走りながら思い切り泣いた。いいもん、誰も見てないから……。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁんパパァァァァァァァァ~~!!」

 MISSION FAILED...

 



おまけ 2 あのEnd

 マシンガンの音が止む。そして、ガシャンという大きな音を立てて床に落とした。
 そしてこっちに駆け寄って、あたしの身体を支えて立たせてくれた。
「涼宮ハルヒ」
「有希……、ありがと」
「いい、私も……一人で心細かった……」
 あたしと有希は抱き合ったまま、静かに泣いた。

 突然、窓から眩しい光が射した。
「なにあれ!?」
 空中に浮かぶ複数の円盤、それは……、

 ま さ に U F O

「有希! UFOよUFO! これは調査しなきゃSOS団の名が廃るわ! あたし達の活動を全世界に広められるチャンスよ!」
 あたし達は外に出た。グラウンドに着地していたUFOは合計三機。中から出てきたのは、期待通りの宇宙人!
「ユ、ユニーク(タコさんウインナー……)」
「ねえあなたたち! どこから来たの?」
「&%*#\$@=-@!」
「な、何言ってるのかサッパリね……」
「意思疎通は困難と思われる(おいしそう……)」
「+:|\&;<*//:#!」
 宇宙人が取り出したのは、光線銃?
 ビビビビビビビビビ
 いきなり有希が撃たれて倒れた。有希は痺れて動けない様子だった。
「………………ユニー……ク…………(一口だけでもかじってみたかった……)」
「有希ー! 有希ー! ユニークとか言ってる場合じゃないわよ! アンタ達! 何するのよ!」
「<*#/(^^)'$/-!」
 すると今度はあたしに光線銃を向けた。
「な、何よ! やめなさ……いやあああああああああああああ!!」

 そして動けなくなったあたし達はUFOに乗せられて……

 ユニーク(笑)

 

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最終更新:2020年03月13日 03:41