※「時系列……文化祭→サウンドアラウンド後
   CD曲パラレルdaysのオマージュ(?)有り」

 


こ…この歌は…
「えぇ…、まさに…」
ハルヒそのもの…だな…
現在部室内では諸々の事情によりハルヒが一人アカペラでその歌声を部室内に響かせている――
 
 
これよりちょっと前の事――
前の文化祭のあとに、団でバンドを結成して割と真面目に練習したりしてビデオテープだったか、(ここのとこ記憶が曖昧なんだが…原因はハルヒに振り回されて疲れているためとしよう。決して老化などの類ではない。)
まぁ演奏した曲を録ってそういうのをなんかのオーディションに投稿したりした訳だが、努力も空しくあえなく落選した。
だが我が団長は諦めきれないのか、その後も持て余す情熱のほとぼりが冷める事もなく、目標が曖昧な練習を始めたり、歌詞を作ってきたりと、非常に意欲的な活動を絶賛持続中である。やれやれ…いつまで続くのやら…
さて、現在部室にはハルヒ以外の団員皆が揃っており、今見てるのは例によってハルヒが持って来た歌詞を古泉と将棋ついでにいつものように見ていたのだが…
 
「曲名はパラレルDaysですか…」
古泉は歌詞の題を読み上げる。よく意味のわからない名だ。
しかしなんというか…これ、ハルヒそのものを唄った歌詞にしか感じられんのだが。
というか、むしろここまで自分で自分の心情を表現出来る事に驚嘆すら感じせざるを得ない。
「どうしたんですかぁー?」
俺と古泉が二人してハルヒの作ってきた歌詞について得体のしれない感心を抱いていると、横から朝日奈さんが可愛らしく参入してきた。カチューシャがピョコンと揺れる。
ハルヒが今日持って来た歌詞を見せると、朝比奈さんは暫く真面目な(しかし可憐な可愛さが欠ける事ない)顔で歌詞を注視する。
大変カワいくてよろしい。
 
「ふふ…ここの『パラソル パーッと開いたりね』の部分が気に入りました」
そこの部分を細い指で示しながら天使も羨むような微笑を浮かべる朝比奈さん。
そっちですか?とツッコミが口から出かけたが止めた。
まぁ確かに…パラソルを開いて空中浮遊を連想させるここの部分はなんとなく朝比奈さんが好みそうだし…、実際、その穏和な風景を朝比奈さんと照らし合わせて想像すると、脳内で素晴らしく可愛い絵が完成する。
「しかしながら、その後に『東?南?知らないわ』ときていますね。」
古泉が、朝比奈さんから流れ出た微笑ましさ溢れる空気をまるで無視するかように何やら歌詞の論評を始めた。
一体なんだよ
「恐らくみなさんは、ここの部分で空中浮遊を連想させたと思いますが…さて、ここの部分ですが、僕たちの…つまりSOS団の動向を表してるとは思いませんか?結局は行き着く先がわからず、そのさまはまるで、空中を緩やかに落下しているようだと…ね」
 
コイツは一体何を言いだすかと思えば……作品に対する個人の解釈は自由だがな古泉。言わせてもらうが、それは飛躍し過ぎだ。
お前の言い方だとまるで俺達のやってる事が全て落下に向かってるみたいな言い方じゃないか。
そりゃ、俺達の行動はハルヒの気まぐれで決定されるからこの歌詞と似たようなものだし、実際その通りだと思うとこはまあ、ある。
だがな、現実世界でやること成すこと何もかも結局は落下に向かってるって言われちゃたまらんぜ。ハルヒの奴は確かに変態だが、んな悲観的な事を考えるような頭してないだろ。誰がみてもよ。
 
「ふふ…涼宮さんがどのようなつもりで書いたかはわかりませんが…、
ですがこれは案外、この世の理というやつかもしれませんよ?」
横を見ると朝比奈さんがおろおろとしていた。
古泉の度が過ぎた解釈によるものだろう。
その姿は庇護精神を大きく揺さぶられるがここは押さえる。
「大体この歌詞自体、お前が言ったように暗く出来てない。空中浮遊で着陸した先は『まさかのモノリス』だ。恐らくハルヒの事だ、自分の銅像にでも着陸したんじゃないか?
しかもその後に続く歌詞で『妄想』だと認めてるじゃないか。つーかどうしたらそんな解釈に至るんだよ。
大体お前だって困るんじゃないか?ハルヒがそんな引きこもりがするような考え方したらよ」
「えぇそうですね。そこを引き合いに出されると、僕としても打つ手はありません。…まぁ涼宮さんの意思とは関係なしに、暗くなるように虚無的な解釈を無理矢理考えてみるというのも面白そうですが…とりあえずここいらで止めておきましょう。
冗談のつもりが、段々と険悪な雰囲気になっていくというのは僕の好むところではありませんし」
…逆だろ?
「…涼宮ハルヒが書いたの?」
突然発せられた声は長門のものだった。
古泉と険悪な(古泉の腹の内はわからないが少なくとも俺は何故か微妙な腹を立てていた)空気が立ち込めようかと思われた時、いつの間にか、向かいの席の古泉の隣に長門が立っていた。
 
「あ、あぁ…そうだ。またハルヒの奴が例によって書いてきたんだよ。みるか?」
 
長門は数ミリうなずくと差し出された紙を受け取り、表情の無い顔で暫く紙と見つめあう。
「…わからない」
長門は起伏のない口調で静かに言った。
「…なにがだ?」
「これの文体が」
しばし、俺は長門の言うところの意味が理解できなかった。長門の口からわからない、などという単語が出てくるなど俺の現実逃避の際に繰り広げる妄想にも出て来ないぞ。
「文章の展開が唐突過ぎる。しかも短い。これでは意味が明確に伝わらない。」
…つまるところ、どうやら長門はまだこういう歌詞といったものの文化については未開拓だったようだ。
 
歌詞の文が、本のそれと違うのは当たり前なのだが…
というか、長門にとってバンドでのハルヒの歌は音の一つとしてしか捉えられていなかったのか。
今更にもほどがある、ここにきてようやく歌詞には音以外の意味があることに気付いたらしい。
「歌詞ってのはそういうものなんだよ。
まぁ確かに、歌詞の文みるだけじゃわかりづらいだろうな。ハルヒが実際にこの歌詞を歌ってるときに理解しようとして聞いてみたら、長門も自分なりの歌詞の解釈というのが出来るだろうさ。こればっかりは自分の感覚だからな」
「…そう」
俺が諭すように言うと、長門が物分かりのいい子供のような瞳の色を一瞬浮かべたかと思ったのは俺の錯覚だろうか、3ミリほどうなずいて音もなく席に戻った。
 
 
「ところで」
それから微妙な間が出来たところに依然としてニヤケ面の古泉が声を発した。先ほどの長門効果により、険悪となりつつあった空気はすっかり霧散されていた。
なんだよ?
「個人的にBメロ部分の『遠い空間の果てが~』の部分、最初目にした時は正直驚きました。この部分はこれまでの内容とは、とりわけ意味深ですから」
…まぁ…その歌詞の部分に対しては、多分、古泉と同じような事を俺も思っただろう。なにせこちらとしてはあの趣味の悪い灰色空間しか思い浮かばないからな。
ハルヒが一体なぜこのような文節を書いたのか唯一、まったくもって意味が理解出来ない。まぁ今に始まったことじゃないが。
すると突然、部室のドアが蹴破られたように勢いよく開いた。
「イヤッホー!みんな居るわねー!」
こんな入り方する奴は決まってハルヒであり、今の様に元気溢れる姿であれ不機嫌な姿であれ、ドアを蹴破るというのはもはや規定事項なのか。
 
「それ、なによ?」
入って来るなりハルヒは歌詞の書いた紙を指さしている。
これはお前に今日渡された歌詞だよ。
「あぁそういえばそうだったわね…
で?どうだった?」
は?いきなりどうって言われてもなあ…
ハルヒが歌詞の感想を聞いてくるなんぞ今までなかったもんだから、些細ではあるものの想定外の質問に俺は次の言葉を出すまでに暫く時間を要した。
「うーん…今まで恋愛系のやつばっかだったけど、なんでまた今日のは違うんだ?」
「うっ…」
ボディブローを思いがけずもらってしまったボクサーのような声を出すハルヒ。
今のはなんだ?…うめいたのか?
「ふ…ふんっ!いつもおんなじ様な歌詞じゃつまらないと思ったからよ。何でも変化が必要ってこと!」
見るからに動揺しているのは果たしてなぜだろうかな。
「今までの歌詞もとても素晴らしい出来栄えでしたけどね」
微笑を浮かべながら古泉は言う。
 
そういや恋愛は精神病の一種だと豪語するハルヒだが、なぜそのコイツが今まで恋愛系の歌詞をポンポンと書いてくる事が出来たんだろうか?内容もひねくれてなかったし…
「あーもう!!今までの歌詞の事なんてどうでもいいのよ!
アタシが聞きたいのは今日書いてきた歌詞がどうだったかって事!」
なぜ今日に限って意見を求めるんだろう?
…まぁ見たとこ、いい加減怒りそうな雰囲気だったから余計な詮索はしない事にするが。
「うーん…実にハルヒらしさを表してる歌詞だと思う」
「…ふーん」
…反応それだけかよ
 
「古泉君は?」
「僕も彼と同じ意見です。大変よろしいかと」
「そう。じゃあ、みくるちゃんは?」
「え?私ですか?」
どうやらハルヒは全員に意見を聞くようである。
「パラソルパッと~の辺りが好きですね」
「あぁ、あそこね。確かにあそこはみくるちゃんが好みそうな部分ね。じゃあ次は有希」
 
「…歌を聞きたい」
 
…この長門の言葉が部室内の時間を一瞬凍らせたかのように思われた。
淡々と流れるようにそれぞれの意見を聞いてたハルヒだが完全に固まってしまったようにみえた。目がまん丸になってるぞ。
「え?」
想定の範疇を大きく外れた長門の言葉に対し、ハルヒがようやく出した言葉はたったのこの一文字だけ。
「この歌が聞いてみたい」
繰り返し長門は起伏のない声量で喋る。が、何か形容し難い気迫が迫る感じだ。
「え…えぇ。もちろんいいんだけど…今日は音楽室、軽音部が使ってるのよね」
…思えばこの言葉が、ハルヒの戦略的不利な状況を一気に作り上げたんだと思う。
曲はまだ出来てないとか言えばその場を退けられただろうに。
「…歌を唄うだけならば音楽室を使用する必要性と必然性は無いと思われる」
初めてみる長門の積極的な態度にハルヒはすっかりペースに乗せられているのかいつもの様な傲岸不遜な態度はさっぱり見られない。その様は、従順な妹に突如として反抗されて困惑する姉のよう、とでも言えばいいのか。
「そ、それは今ここで唄えって事かしら?」
「…おおむね」
…お…おいおい。
長門よ…あのハルヒが完全にうろたえているぞ。ハルヒは自分の意思を表明をせず、もしくは長門の液体ヘリウムの真っ直ぐな瞳に圧倒されていて出来ないのか、とにかく言われるがままではないか。いったい長門はなにやってんだろう。
 
「ま…まぁ有希の頼みなら仕方ないわね…
……なんでこんな事に?…ていうかどっちかっていうとこれってみくるちゃんの役回りじゃないの?」
最後のは明らかに愚痴だが…ぶつくさ言いながらもハルヒは俺から歌詞を受け取った。
ハルヒは歌詞を暫く見つめ、独言を拝見する限り、アカペラとはいえ結構真剣にやるようだ。
「じ、じゃあ唄うわよ…」
心なしかハルヒは緊張しているような面持ちで…ってなに顔を隠してんだよ。おい。
ハルヒは歌詞が書いてあるB5サイズの紙を丁度俺らの視線とを隔てるように被せやがった。
「うるさいわね!いいじゃないのよ!伴奏ありで唄うならともかく…そもそもアカペラに向いてないのよ!この歌は!」
どうやらハルヒにも羞恥心とやらがあるようで、男子の前で平然と着替えたり平気でバニー姿になったりとか色々とするのに、ここで何故恥じらうのか甚だしく疑問なんだが…、顔を紅くさせながらも歌唱中は顔を隠すことを皆に強制的に了承させた。
「じゃあしきりなおして…行くわよ」
 
「そのかわり歌詞の最後まで歌わないとダメ」
長門のとどめの一言にハルヒはまた低いうめき声を上げたが、たまにはハルヒのこういう姿も見物である。
まもなくしてハルヒ作詞兼作曲兼歌のパラレルDays(アカペラver)が唄われた。
――
ハルヒは、歌う前までは恥ずかしがってはいたものの、その歌声は歌い手の照れというものを一切感じさせない元気で堂々としたものだった。
それに歌い方と歌詞の内容とが見事に合致しており、もはやそれはやはり、ただ見事としか表現しようがない程だった。
…ただ歌ってる時に、顔を隠し、足で少しリズムを取る以外はまるで微動だにしないというのはちょっと…お前それって。
 
 
数分後…、やがて、ハルヒの歌が唄い終わり…
「って、あ!おい!
ちょっと待て!どこ行くんだハルヒ!」
歌を終えるやいなや、ハルヒは猛然とした勢いで部室から出て行ってしまったのである。
 
「え?え?す、すす涼宮さんどうしたんでしょう~?」
朝比奈さんはあたふたとしながら聞いてくる。
いや、俺にもさっぱりなんですが…
「やはり恥ずかしかったんだと思いますよ」
微笑の古泉がいつもの調子で言う。
あぁ…そうなるか。やっぱ。
「まぁ、僕もどうやらバイトが入ってしまったようなのでこの辺りで失礼します」
微笑な表情を一切変えずに古泉はまるで普通のバイトがあるかのように普通な言い方で言った。
同情してやらなくもないが俺が労いの言葉かけたって状況が変わる訳でもない。何せ俺は自他ともに認める普通の一般人だからな。だから俺は古泉に言ってやった、
「そうだろうな。」
「…私のせい。…ごめんなさい」
…この声は長門のものである。なんというか…これは珍しいとかの生易しい事態ではない。受け取りようによってはちょっとした事件になるのではないか。
で、長門に謝られる対象となった古泉はというと、さすがに虚を突かれたのか少し丸くした目で長門を凝視している。古泉のこういうナリも至って珍しい。
「はは…気にしないで下さい。長門さん。閉鎖空間といっても、彼絡みのモノと比べればたいして大きい規模のものではありませんから」
…俺を引き合いに出すんじゃない
「それに、長門さんのおかげで涼宮さんの素晴らしい歌声が聞けましたしね。むしろ礼を言います。まぁ閉鎖空間に関してはそのお礼の代わり、とでも思って下さい」
「…申し訳ない」
再び発せられた長門の短い謝罪を聞くと、ニヤケ面の古泉はさらに三割増しの微笑を浮かべたあとに、「それでは」と一言、言ってから部室を退出した。
 
そうして部室には俺、長門、朝比奈さんの三人が残された。
…そういやハルヒはどこ行ったんだ?
「…既に校舎内からはいない。恐らく自宅に向かったと思われる」
つまり帰ったわけか…
長門は4ミリほどうなずく。
「キョン君、これからどうするんですか?」
なぜだか朝比奈さんは俺に指示を仰いできたが、まあ…やることもないし…
とりあえず…俺らも帰りましょうか。
ふと窓の外を見ると日は地平線に沈むか沈まないかの位置におり、外はオレンジ色の光に染まっていた。
 
「なぁ長門」
「なに」
現在、俺は長門と二人ゆっくりとした歩調で校舎内を歩き、下駄箱に向かっている。
朝比奈さんはメイド服から着替えるため遅くなるので、まあ俺らにはそのうち後から追いつく事だろう。
「そんなハルヒの歌聞きたかったのか?」
「そう」
長門が自分から人にものを頼むなんてのは大変珍しい事であり、ましてやさっきの様にあのハルヒに対して歌うよう頼んだという事はこれは結構スゴい事なのである。
なので、なんで長門がそこまでしてハルヒの歌が聞きたかった理由は実はすごい気になるわけだが、その答えはたったの二文字で完結されてしまった。
なんだかわからんが長門は、あまりしつこく聞いてくるなというのを態度で示しているのか、それとも単なる俺の過ぎた思い込みか、とにかくそれ以上同じ質問するのは何か聞き辛い。
「じゃあ…ハルヒの歌、聞いてみてどうだった?」
「…」
沈黙が生まれ、感想を聞くのはやはり無理かと諦めかけた頃…
「あの歌詞の概要がわかったような気がする」
え?どんな風に?
長門のようやく出した返事に、俺はつい反射的にものを考えずにまた質問してしまった。
それから廊下を数歩歩いたところで長門は再び口を開いた。
「…涼宮ハルヒが現状を楽しんでいるということ。正確な言語伝達が出来ないけれど……共感する部分を感じた。
言語では表しようがない不可思議な感覚」
そういうと長門は鞄から本を取り出し、歩きながら本を読み始めた。
 
…共感とは…数ヶ月前の長門からは考えられない言葉だな…
しかしながら俺もさっきのハルヒの歌を直に聞いたら何か不思議な感覚になった。ハルヒの歌を聞く前に、俺はハルヒの歌詞に目を通していて既に曲に対してはそれなりの解釈を持ってはいたが、実際に聞いてみるとまた違う解釈が生まれた。
 
そういうのは往往にしてよくある事なんだろう。
これは多分長門と同じようなものだと思う。…まぁしかし長門も言うように、言葉で表現出来ないので俺と感じとったものが一緒だとは確認しようもないが。やれやれ…言語表現とは難しいものである。などと妥協する。本当ダメなやつだなオレ。
それでもまぁ一応言っておく、
「長門、不可思議な感覚とやらは俺も感じた。断言は出来ないがたぶんお前と同じようなものだと思う。こう思うんだがあの場でハルヒの歌を聞いた団員は皆が皆、何か一つ同じものを共有出来たんじゃないかな。このSOS団にいるものにだけしかわからないものが。
そう俺は勝手に思ってる」
何を論拠に、とツッコミ入れられたら答えようがない。具体的に表現出来ないんでな。よくある事だ。うん。
長門は聞いてんのか聞いてないんだかわからない感じだったが、(いやまあ、そんな長門だからこんな恥ずかしい事言えるんだが)
7~8歩あるいた所で、
「そう」
とだけ言っていた。
 
…個人的にハルヒが今日歌った歌詞の中で気になった部分があった。
…みんなたまに喜んでるね……か…
この歌詞をハルヒがどういうつもりで書いたのかわからないが…実際その通りだな…
(厳密には喜ぶとは違う種類の感情かもしれないが…まぁ似たようなもんでいいだろ)
もし、それを知ってて書いたのだとしたら、自分が楽しめりゃそれだけでいい的な事だけしか考えてないと思われたハルヒも、実はアイツはアイツなりに俺らの事を見ている…ということになるのだろうか…
 
しかし…まぁ、さすがにハルヒもアカペラであの歌はキツかったろうな…
 
…我ながらメリハリの無い感慨にふけっていると、やがて朝比奈さんも俺達に追いつき、俺の不毛な思考も朝比奈さんとの会話のために一時中止された。
 
団長、副団長が不在の状態という点を除いて、俺達はいつもの帰り道を途中まで共にし、やがてそれぞれの家へと別れていった。
 
 
明日もまたハルヒはなにかしでかすのだろうか。あの太陽フレアに負けず劣らずの輝かんばかりの笑顔が浮かぶ。
ハルヒの持ち込んでくる気まぐれに思い立っただけのまるで計画性のない無意味な提案は、表面的には朝比奈さんと俺に、裏方では長門と古泉に甚大な迷惑をかけるのだが、その一方でどういう訳か不思議と俺は楽しんでいたりするのだ。確かに。
…オレンジ色の夕日の空を見上げつつ、明日ハルヒがどんな事をしでかすのか、そんな意味もない妄想をしながら俺は今日の帰り道を歩いていった
 
 
終わり
 

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