「ただいま~…、ってうぉい! どうしたんだ九曜!?」
「----」
頼むから何か言ってくれ。
そんな実験に失敗した科学者みたいな髪の毛もどうにか頼む。
「--台-所--」
「はあ? 台所がどうかしたk……、やべええええ!」
「ふう、火は収まったか。おい九曜、雑巾持ってきてくれ」
にしてもなあ、台所で爆発とは…、昭和の漫画かよ全く。
「----」
「おお、雑巾かサンキュ…、よ~し九曜ちゃん地球のお勉強しようか。九曜ちゃんがいま持っているのはカーテンだ。しかもそこら辺の公立校にありそうな汚ったないカーテンだ。
こいつをどっから持ってきたのかとか子一時間ほど問い詰めたいことがあるが、今は雑巾のお勉強をしようか。雑巾って言うのはだな汚いもの、つまり汚れを拭くための汚ったない布だ分かったか」
「----」
俺のことをガン見、分かったのサインだな。
「それじゃあ、そのカーテンをどうにかして…」
九曜さん、何故その汚いカーテンを俺に突きつけてくるのですか?
自分で片付けるのが面倒とか? そうなのか??
「く、九曜、言っただろ? その汚いカーテンを片付けてくれって」
「----」
「お、お~い、九曜~」
「----雑--巾」
「…………やれやれ」
あれから三十分ほど雑巾と公立校の汚いカーテンの違いについて九曜に説明した俺は今、風呂に入っている。
ちなみに九曜も一緒にだ。
九曜の奴、昔に比べたらまともに家庭生活を送れるようにはなったんだが…
まだ今日みたいな事が頻繁にあるんだな…
はあ~、こんな状態で子供でも出来たらどうするんだよ全く。
「----かゆい-痛い?」
「いや、ちょうどいいよ」
まあ、不器用ながらも頑張ってるってのは伝わってくるからな、俺としちゃあ嬉しい事なんだが、ただな…
こうして風呂に入っている時に風呂場の鏡越しに九曜を見ると(特にそれが後ろ向きの九曜なら尚更なのだが)…
悪いが巨大なゴキブリが俺を這っているようにしか見えん!
正直初見の時は腰が抜けるかと思ったくらいだ。
もっとも、九曜としては俺に巨大ゴキブリの恐怖を味わわそうとしている気などさらさらないだろう。
しかし、だ…
いや、もう止めておこう。
いくらなんでも九曜に失礼すぎるな。
それに今だって九曜は一生懸命俺の体を洗ってくれている訳だ。
感謝感謝。
ってあれこれ考えているうちに俺のサイドブレーキが…
「九曜、そろそろ…」
「----」
ガン見は分かったのサインっと。
じゃあ、二人の愛の巣へ向かいますか。