血が出て来るので血が嫌いな人は注意して下さい。

クリスマスがやってきた。
本日はその前日にもあたるクリスマスイブ、ハルヒの一声によりSOS団総出で鶴屋さんの家に赴き、パーティーを楽しんだ。

「お疲れっさ!」

と鶴屋さんの声を聞きながら5人で帰路につく。
時間は11時。久しぶりにたっぷり楽しんだな。

「しかし素晴らしいパーティーでしたね」
「鶴屋さんのお家はいつ見ても凄いです…」
「…モグモグ」

…長門、肉テイクアウトしすぎだ。

「…美味」
「確かに美味しかったですぅ」
「おや、そう言えば涼宮さんはどちらに?」
「あ、ごめんごめん、考え事してて歩くの遅くなっちゃった」
「…ボーっとしながら道を歩くのはとても危ない」
「お肉食べながら歩くのもどうかと思いますよぉ…」

で、何考えてたんだハルヒは?

「んー…いや、クリスマスって言ったらサンタじゃない。サンタの服は赤いのはなんでかなぁって」
「そういえば赤いですねぇ…」

「サンタって言ったら子供達に見つかることなくプレゼントを置いていくんでしょ?あんな真っ赤な服だと気付かれないのかしら?」
「…俺は知らないな」

長門は肉食べるのに夢中だし…古泉は何か知ってるのか?

「いえ、残念ながら…」
「んー、一度気になると他の事に集中できないわね…てっとり早くサンタを捕まえて話を聞けば良いんだけど…」

…嫌な予感。

「そうよ!とっちめてやれば良いのよサンタの奴を!ねぇ、キョン以外でこれから用事ある人っているかしら!?」
「…俺は?眠いんだが…」
「雑用係が団長を差し置いて休めるわけないでしょ!却下!」
「私は特に用事はないですよ」
「僕もです」
「…モグモグ」

…長門のそれは肯定で良いのか?

「…モグモグ」
「良いってさ」
「あんたよくわかるわね…まぁいいわ。とりあえず適当に歩き回ってサンタを見つけましょう!あんな派手な色なんだからすぐ見つかるに決まってるわ!」

あぁ、面倒臭いことになった。
しかもサンタを捕まえるって…某憂鬱ギャグ漫画の二番煎じじゃないのか?

「ご安心ください。こんなこともあろうかと、既に手は打ってあります」
「…その手っていうのはさっきから俺達の後ろをつけてきている怪しい人じゃないだろうな?」
「おや、良く気がつきましたね、サンタの扮装をした新川さんが待機しています」

…何やってんですか新川さん。

「あーもう!サンタの奴なかなか姿を表さないわね!」
「サンタさんはお空をトナカイさんと一緒に散歩しているんですよぉ」
「…トナカイのお肉…ジュルリ」

…とりあえず、だ。

「サンタ役はそれで良いとして、赤い理由はどうするんだ。ハルヒが納得いく説明はできるのか?」
「…考えてなかったですね。仕方ありません、新川さんと作戦会議でも…」
「2人とも、何コソコソしてるの?」

…やべぇ、見つかった。

「いや、あの…だな、そう!作戦会議をしてたんだ!サンタを捕まえるための!」
「新川さんとか聞こえたんだけど…気のせいだったかしら…」

どんだけ地獄耳なんだよ…ちょっと!新川さん!呼んだわけじゃないのでまだ隠れててください!

「あれ?そこの電信柱の影に誰かいませんか?」
「本当だ!怪しいわね!」

…おい、どうするんだ古泉!

「とりあえず新川さんには逃げてもらいましょう」

古泉がハルヒに見えないように何らかのサインを送ると、新川さんはコソコソと退散して行った…が

「あ!逃げようとしてる!有希!キョン!捕まえてきなさい!」
「ちょっと待て!サンタを捕まえるんじゃなかったのか!?」
「良いから早く捕まえてきなさい!ほら、有希なんかもう走って行ったわよ!」

げ、マジかよ!
仕方ない、追いかけるか。

「捕まえたらふん縛っておくのよー!」






















しばらく走ると長門が立っていた。
走るの速いっての…

「…このまま走り続ければ捕まえるのは容易だった、しかし問題が一つ発生した」
「問題?」
「…腹部が痛い。右の脇腹からみぞおちにかけてズキズキ痛む」

…食った後に走るからだ。

「さて、どうすっかな。このまま戻るか、ハルヒには見つからなかったとでも言えば良いし…」
「…モグモグ」
「…まだ肉は食うのな」
「…美味」

よし、ハルヒには適当言って誤魔化して帰るとするか、そう思い踵を返す…

…刹那。

「…何だ?」

突如として警報が鳴り響く。
これって…鶴屋さんの家の方角から?

「あ、キョンいた!」
「ハルヒ、結局追いかけてきたのか」
「だって警報が凄かったんだもん。何かあったの!?」

俺は知らん。
とりあえず鶴屋さんの家から聞こえてくるようなんだが…

「すぐそこじゃない!行きましょう!」
「あ、おい!…行っちまった」
「あの…新川さんは?」

古泉が話しかけてくる。

「わからん。逃げられたみたいだ…どうした?」
「いえ、少し嫌な予感が…もし新川さんが逃げる途中で鶴屋さんの家に忍び込んだとしたら…」

あー…あの鶴屋さんの家だ。
トラップやら警備やらあっても不思議では無いな。

「…もしかしてこの警報も?」
「…恐らくはそうかと」
「…もしかしてとってもマズい状態?」
「…既に手遅れの可能性も」

行こう。
しゃべってる場合じゃねぇ!

◇◆◇◆◇

結論から言おう。

古泉の読みはズバリ当たっていて、既に新川さんは瀕死の状態であった。

「新川さん!大丈夫!?何があったの!?」

新川さんを抱きかかえるハルヒが叫ぶ。
絵面敵に男女逆な気がしないでもないが…

というか血!額から血が!

「まさか…鶴屋さんの家にはそんなに恐ろしいトラップが…」
「いえ…私が脱出の際に頭を打ち付けた…だけ…です」

「ちょっと!喋っちゃ駄目です!漫画でしか見たこと無いくらい血が流れてますよ!」
「新川さんはドジなんですねぇ」
「…みくるちゃんがそれを言うか」

新川さんのサンタの衣装にどんどん血が付着していく。
元から赤かった部分にどす黒い血が付着していく。

え?これ大丈夫なのか?

「…まかせて」
「おぉ、長門…ってかハルヒがいるが何とかなるのか?」
「…大丈夫…くぁwせdr……!?…ゲホッ!ゲホッ!」

だからもの食いながら何かするのをやめなさい!
盛大に咽せてるじゃないか!!!

「長門さん大丈夫ですか!?ほら、背中トントンしてあげますから」
「…コクン…ケホッケホッ…」
「ありゃりゃ、そこのおじさまはハルにゃんたちの知り合いだったのかい?」

道の隅で長門の背中を叩く朝比奈さんを見ながら鶴屋さんがやってきた。

「ど、どうしよう鶴屋さん!血が止まらないの!」

「あの…新川さんの意識が…無くなったんですが…」

………。

「………」
「………」
「…ケホッ…ケホッ」

…どれが誰の三点リーダかわからないがまぁいい。

「救急車を早く呼ぶんだぁぁぁ!!」
「安心するっさキョンくん!こんなこともあろうかと既に呼んどいたっさ!」

言うが速いか即座に救急車がやってくる。
意識の無い新川さんが運び込まれる。

…長門、何でお前も入ろうとしてるんだ?

「…横になりたい」
「家に帰ってからにしろ」

走り去る救急車を見ながらハルヒが呟く

「わかったわ…どうしてサンタの服が赤いのか…」

誰も何も言わない。突っ込む気力しか無い。
いや、元気印の先輩がいるがこの人は突っ込むことなどしないだろう。

「…あれは全部血だったのよ…!」

そう言うと25日を告げるメロディが流れる。
気がつけば0時を回っていた。
町のイルミネーションはとても綺麗で、クリスマスソングとベルの音が鳴り響いていた。

「…やれやれ」

ため息が白い息に変わる。

「まぁまぁ、みんな元気だすっさ!ほら、メリークリスマス!」
「…メリークリスマス…」×5

クリスマスソングと救急車のサイレンの音が、ただひたすらに不愉快な音楽を奏でていた。

おわり

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