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「あ、みなさんはもう注射しましたか?」

…予防接種。

「そっか…そろそろインフルエンザが流行り始めてるわよね」
「涼宮さんは受けにいかないんですか?」
「しょうがないから行こうかしら。ウィルス受けてダウンっていうのも勿体ないし。みくるちゃんは?」
「私はこの間鶴屋さんと一緒に受けにいきましたよ」
「あら、そうなの。有希は?」

…していない。しかしする必要が無い。
…どう答えようか。

「…既に受けた」
「有希も受けちゃったのかぁ」

…嘘だけど。

「なーんだ。あたしが遅いだけなのか。そうだ、どうせならみくるちゃんと有希ももう一回行かない?」
「ふぇ?」

……?

「ほら、二回目の予防接種ってあるじゃない」
「それもそうですね…受けに行きましょうか」

…予想外の展開。
…今日は静かに本を読みたかった…というより。

「…注射」
「へ?どうしたの有希?」

…迂闊。思考が口に出てしまった。

「…もしかして長門さん…」
「…無い。それはありえない。注射が怖いとかそういうのではない。先ほどの受けにいったという言葉も嘘を付いていたわけではない」

…何故涼宮ハルヒと朝比奈みくるは顔をあわせて笑っている?

「大丈夫よ!怖くないから!さ、行きましょ!」
「…長門さん…完全に無視してますよ」

…涼宮ハルヒが私を持ち上げようとする。
…私の表面と椅子の間に真空空間を発生させる。

「うわっ!有希のこと引っ張ったら椅子もくっついてきた!」
「…なんで空中に浮いた状態で本を読むことができるんでしょうか…」

…涼宮ハルヒ。何故本を取り上げようとする?

「…あ」
「よし!有希から本を引きはがしたわ!みくるちゃん!椅子の方持って!」
「は、はい!引っ張れば良いんですか!?」

…どうしよう。
このまま空中で引っ張られ続けて時間を稼いでも良いのだが…本が読みたい。

コンコン。

扉をノックする音。

「失礼します…おや。これはまた妙なことを」
「古泉くんいいところに!有希を椅子から引きはがすの手伝って!」
「長門さん、接着剤でも付けたかのように椅子から離れないんです…」

…古泉一樹が怪訝そうな顔で私を見る。
…力を使ったのがばれた?いや、それなら同じ姿勢で空中に浮いた瞬間に朝比奈みくるが気がつくはず。
…いや、朝比奈みくるなら本当に気がついてない可能性もある。

「…止めた方がいい、古泉一樹。ここであなたが加わると予防接種に行かなくてはいけなくなる」
「おや、予防接種ですか。実は僕も二度目に行こうかどうか迷っていたのですよ」
「あ、古泉くんもなんですかぁ」
「ほら有希!みんな行くんだから怖く無いわよ!」

…怖いわけではない。ただ針が私の身体の中に入ることが嫌なだけ。

「…結局怖いんじゃないですか?」
「…何をしている古泉一樹。何故椅子に手を伸ばす。止めた方がいい。私を助けた方がいい。いや、助けて下さい」
「面白いので続行させてもらいます」
「ちーっす…って何してんだ?」
「あ、キョン!あんたも手伝いなさい!有希を予防接種に連れて行くわよ!」
「…つーかなんで長門の身体が椅子にくっついてるんだ」

…その後、結局予防接種に連れて行かれて大暴れした話は…

…記憶から消すことにした。


















「…というか長門なら注射のときの痛みを無かったことにできるんじゃないのか?」
「…あ」
「…やれやれ」

おわり
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