涼宮ハルヒのOCG④  (2008/11~ ぐらいの時期だという前提でお願いします)

「えーっとね、潜水艦でキョンくんに攻撃して・・・カードを一枚伏せてわたしの番は終わりだよ。」

「違うわよ妹ちゃん、ターンエンドの前にこのカードを伏せとくの。そうすればキョンが何か出してきても一発で除外・・・」

今俺の目の前にはなぜかカードを握る我が妹と、その後ろからあーだこーだと口出ししてるハルヒがいる。長門はというと後ろの方で俺の本棚をあさっている、マンガぐらいしかないから面白くないと思うぞ長門。そして場所は俺の部屋だ。さて、何でこんな状況になったんだろうな。少し時間を遡って話していくか・・・。



朝倉との奇妙な再会の翌日、やはり朝倉は北高に転入してきた。俺のクラスではなく長門のクラスだったので大した騒ぎにはならなかったのだが、我らが団長がそんなニュースを聞き逃すわけも無く、放課後部室で朝比奈さんのお茶を飲みながら一緒にデュエルをしている(ディアボリックガイを制限解除したのは絶対にミスだ)と、ハルヒがドアを蹴っ飛ばして、

「突然転校して突然転入した、うちのクラスの元委員長にして今は有希の友達、朝倉涼子よ!今日からSOS団の一員ね!」

と、一気に朝倉の自己紹介をした。俺たちの中で一番長かったんじゃないか?まあ、俺と長門はされたことすらないような気もするが。ともあれこんな感じで朝倉も放課後の部室に姿を現わすようになり、デュエルができることが分かると、

「すごいじゃない涼子!パーミッションなんてデッキ今まで見たことなかったわ、あたしと勝負よ!勝負!」

と当然のようにデュエルを始め、俺は朝比奈さんや長門、古泉と交替で勝負したり、ウィキでカードの裁定を調べたり(ライラのカード破壊効果、対象は相手の伏せてある天罰。ライラの効果にチェーンして天罰を使用して、天罰に魔宮の賄賂をチェーンしたとき、逆順処理後ライラは守備になるか)と、だんだん日常化しつつある放課後を過ごし、金曜の放課後をむかえると

「明日は全員で駅前に集合ね!遅れたら罰金よ!」

いつもの団長の命令で解散となった。

そして不思議探索の日、俺は罰金を免れた。前代未聞のことだが、理由は朝倉と長門が二人そろって遅れてきたためだ。どうやら朝倉が長門の服を選ぶのに時間をとられたらしい。

「長門さん、せっかくのお出かけなのに制服で行こうとするから、私の服と長門さんの服をいろいろ合わせてたの、そしたら・・・」

とのことである。珍しいこともあるものだ。まあ長門の私服姿は新鮮だったし、何より俺がおごりを免れたので万々歳だ。そして午前中のクジ分けだが・・・

「あたしは無印」
「僕は印入りですね」
「無印」
「印入りです」

となって俺の手には無印の爪楊枝があり、朝倉の手には印入りの爪楊枝があった。つまり俺・ハルヒ・長門と、朝比奈さん・古泉・朝倉となったわけだ。各々の会計を済ませ(割り勘ってのはいいね)分かれて歩き出すと、

「ねえ、今日はキョンの家行ってみない?」

とかハルヒが言い出した。こいつの発言が突発的なのはいつものことだが、なんでまた俺の家なんだ。

「なんか冬以来妹ちゃんに会ってなかったし、シャミセンも見てみたくなったから」

なんとも適当な理由だな。確か今日は両親とも妹の学級懇談会かなんかで午前中不在だったし、妹も一人での留守番を寂しがってた気もする。まあこの二人を連れてけば妹も喜ぶだろうし、あちこち連れまわされるよりはマシだが・・・

「長門、お前はどうしたい?」

一応、見慣れない私服姿の宇宙人娘の意見も聞かなくてはならな・・

「賛成、私も彼の自宅を訪問する。」
「決まりね」

というわけで先ほど出たばかりの俺の家へ舞い戻り、

「キョンの部屋がいいわ」
「賛成」
「わたしも~」

賛成3棄権1により俺の部屋へと入り、長門とハルヒがデュエルを始め(というかデッキ持ってきてたのか)、興味をもった妹が友達にもらったというカードを自分の部屋から持ってきて、3人で新しいデッキを構築。ルールを覚えつつの模擬戦ってことで今俺と妹+ハルヒがデュエルしていて・・・冒頭に戻るわけだ。


「裏守をリリースして邪帝召喚、効果でサブマリンロイドを除外、ダイレクトアタックで俺の勝ちだ妹よ。」

「うーキョン君つよーい。ハルにゃんくやしいよ。」
「そうよキョン、すこしは手加減しなさい!邪帝なんて壊れカード使っちゃダメよ」

ガイザレス使ってるお前に言われる筋合いはないぞ。ハルヒの教え方がいいのか、妹はルールの飲み込みが速い。カード名はまだ全然覚えてないようだが。

「一度あなたとあなたの妹だけで闘うべき」

いつのまにか後ろにいた長門が言った。そうだな、試しに一回ハルヒ抜きでやってみないか?

「そうね。一回やってみましょ。妹ちゃん、ちょっとこっちに来て、作戦会議よ!」

なにやら部屋の隅でごそごそやり始めたハルヒと妹を一瞥して、俺のベッドの上に腰掛けて珍しそうにマンガを読んでる長門を見た。

「面白いか?」
「・・・ユニーク。ただ、ラーの翼神竜は裁きの龍の完全下位に思える。」
まあそりゃそうだな。読みたきゃ借りていってもいいぞ?

「そう。」

ハルヒ達の方は終わったらしい、よし、いくぞ妹よ。

「うん。えへへ今度こそ負けないよキョンくん。」
「キョン、先攻は妹ちゃんにあげなさいよ」

ああわかってる。おれだってそのくらいのハンデはやるさ。

「じゃあわたしからね、どろー。モンスターカードを一枚セットして、カードを3枚伏せて、終わりだよ。」

3伏せとは気になるな・・・。まあいい、ドロー、俺はハーピイ・クイーンを召喚し・・

「えーっとキョンくん、キョンくんがモンスターを召喚したときにね、この伏せたカードを発動したいの」

  • ・・奈落の落とし穴、か。さらば俺のハーピイ。カードを一枚伏せてターンエンドだ。

「キョンくんの番がおわったときに、サイクロンを使って伏せたカードなくしちゃうね。やったーキョンくんのとこにカードなんにもなくなった!」

げ・・・。エンドサイクなんてできたのか妹よ。しかも神宣とかおいしいのを破壊するとは・・

「いいわよ妹ちゃん!」

ハルヒが後ろでエールを送っている。くそ、忌々しいがいかんともしがたい。

「わたしの番だね、どろー。もぐらをだして、キョンくんにこーげき!カードを一枚伏せて終わりだよ。」

もぐらといってもグランモールではない。ドリルロイドである。よって俺のライフは残り6400というわけだ。俺のターン、ドロー。霊滅術師カイクウを召喚、ドリルロイドに攻撃だ。んでカードを2枚伏せてターンエンドだ。

「どろー、潜水艦をだして・・・」

おっとそうはいかん、召喚したときに激流葬を発動だ。フィールド上のモンスターを全部破壊するぜ。

「えーーつ、キョンくんずるーい。」
「キョン少しは遠慮しなさいよ。」

そうはいわれてもな、それに除外されないだけマシだと思うぞ。妹よ、ターンエンドか?

「あ、うん。」

俺のターン、ミストバレーの戦士を召喚、プレイヤーにダイレクトアタックだ。そしてカードを一枚伏せてターンエンドだ。

「うわーライフが6100になっちゃった。ハルにゃんー、大丈夫かな?」
「平気よ平気、ライフが0にならなきゃ全然問題ないわ。」

全然問題なくも無いがな、ハルヒ。800きるかきらないかってのはけっこう微妙なラインだぞ。洗脳的な意味で。

「えと、わたしの番だね、どろー。裏側でモンスターを出して、カードをもう一枚伏せておわりだよ。」

裏守か・・・。おそらくトラックロイドか何かだろうが伏せも気になるしここは普通に攻撃といこう。ミストバレーの戦士で裏守に攻撃だ。

「ひっくりかえって召喚。ひっくりかえったからメタモ・・メタモルポッドの効果をつかうね。キョンくん手札捨てて5枚引いてー。」

なんてこった。今までのデュエルであんなカードは出てきてないぜ。さてはハルヒの差し金か。仕方ない、カードを5枚ドローだ。そしてメイン2、霊滅術師カイクウを召喚。8シンクロでダークエンドドラゴンを特殊召喚。一枚伏せてターンエンドだ。

「わたしのターン。カードをひいて、伏せてあったカードを使うね。チェーン・マテリアル!手札・デッキ・墓地からトラックと新幹線ともぐらさんと戦闘機をフィールドの外に置いて、手札から線路が3本伸びてるカードを発・・・」

そうはいかん。ビークロイド・コネクション・ゾーンにチェーンして神の宣告だ。

「えーっと、キョンくんの神の宣告にね、わたしもカードを使うの、神の宣告!」

ふっ・・・それも読んでたぜ。さらにチェーンしてもう1枚神の宣告を発動だ。悪いな妹よ。そう簡単にやられはしないぜ。

「キョンくんのカードに・・チェーンして・・・魔宮の・・・・ハルにゃん、これなんて読むんだっけ??」

「わいろよ妹ちゃん!」

「そうだった。魔宮の賄賂を発動するね。」

ちょっと待て、なんで魔宮の賄賂なんていう高額カードが妹のデッキに入ってるんだ?うちにそんなカードはないぞ。というかあったら俺がデッキに入れてる。ふと視線をずらすとハルヒがニヤニヤしながらこっちを見てる。なるほど、これもハルヒの差し金か・・。

「甘いわよキョン!あたしたちがさっきの作戦会議でなんにもしてないと思ったの??」

一杯くわされたな。まあ仕方ない。逆順処理でビークロイド・コネクション・ゾーンは有効。ライフは妹が1525、俺は1600.んで、何を召喚するんだ?

「ロボット!」

スーパービークロイド・ステルスユニオンね、了解だ。だがチェーンマテリアルを使ったターンは攻撃できない。俺のターンだ、ドロー! 破壊耐性はあっても墓地へおくる効果への耐性はないぜ!ダークエンドの効果を使い・・

「読んでたよ!てへっ! 天罰をはつどう!」

なんだって、なんか朝倉の時以上にカウンターばっかりされてるな・・・。裏側守備でモンスターをセット、ターンエンドだ。裏守なら吸収はされない、なんとか次のターンまで・・・

「わたしのターン、ドロー。もぐら・・じゃなくてドリルロイドをしょうかん!ドリルロイドでキョンくんの裏側モンスターを攻撃!そしてステルスユニオンでキョンくんにダイレクトアタック! やったーキョンくんに初めて勝った!ハルにゃんやったよー」

「すごいわ妹ちゃん、えらいえらい。」

ハルヒと妹は手を取りあって小躍りしてる。負けた・・・なんだか普通に負けた。あんなにカウンターされるとは思ってもいなかった。正直いおう、ショックだ。

「勝負は時の運」

長門が呟くように言った。そうだな、まあこういうこともあるよな。

「そう。この漫画を借りたい。」

ん?○戯王か? 構わんが今日はこれから午後もあるのにもって歩くのは邪魔じゃないか?

「大丈夫。情報操作は得意。私の家まで転送する。」

そうか。まあそれならいいんだが。長門、最近情報操作能力の使いどころがおかしくないか?

「気のせい」

気のせいではないと思うんだが・・・まあいいか。

「おっと、もうこんな時間ね。キョン、有希、午前の部は終わりだからそろそろ出かけるわよ!」

妹とはしゃいでいたハルヒが時間に気づいていいだした。今度は俺もデッキを持っていけとのことらしい。午後もどっかでデュエルするのか?
「お邪魔しましたー。妹ちゃん、またね!」
「うん、ハルにゃん、有希ちゃん、楽しかったよ~。」

妹と別れて家をでた俺たちは(結局デュエルするためだけに俺の家に来たんだな)再集合場所の駅前へ向かった。なんか今日は一日が長いぞ。まだ半分も終わってないとか信じられん。だが・・・久々に妹があんなに喜んでいるのを見たような気がする。これもハルヒのおかげか。ありがとうな、ハルヒ。

「な、何よ急に・・・」
「なんか妹が喜んでたからさ、その礼さ。」
「ふ、ふん。あんたが普段かまってあげないからでしょ! でも・・・・・・・・・どういたしまして。」

最後の方は消え入るような声で言ったハルヒはプイと前を向いてしまった。やれやれ、午後のクジ分けはどうなるかな、少し楽しみだ。



ハルヒ+長門+妹という奇妙な組み合わせで午前中を過ごした俺達は(といってもただ決闘していただけだが……)駅前で再集合してファーストフード店で昼食をとったあと、午後の部のクジ分けをした。

「いつも爪楊枝じゃ面白くないわ!たまには変わったクジ分けをしましょ!」

というハルヒの鶴の一声によりハルヒのデッキの中から罠とモンスターを各三枚ずつ選んでテーブルの中央に置き、それぞれ引くことになった。爪楊枝と根本的には何も変わらないような気がするのは気のせいだ、多分。

「俺は剣闘獣の戦車」
「あたしはダリウスね」
「僕は剣闘獣ムルミロです」
「………次元幽閉」
「えと…魔宮の賄賂です」
「私は剣闘獣ベストロウリィね」

という結果になり(見れば見るほど剣闘獣だ。やれやれ)午後は俺・長門・朝比奈さん、ハルヒ・朝倉・古泉になった。あれ、また長門が一緒か……まあこういう日もあるだろう。

「今日中に最低1つは○ナミの不思議裁定を見つけるわよ!各自分かれて探索開始っ!」


そう宣言するや否やハルヒは朝倉の手をとってあっという間に行ってしまった。そのあとを古泉が小走りで追いかけている、ごくろうなこった。というか不思議裁定を見つけるならわざわざ街をぶらつく必要もない気もするが、ここは敢えてツッコまないでおこう、ハルヒのことだ、代わりに何を言いだすかわからん。それに今の状況は両手に花、しかも未来がらみも宇宙がらみもないときてる。この状況に文句を言ったらバチがあたるぜ。

「あのぅ………キョン君?」

俺がよからぬ妄想に入りかけたとき、朝比奈さんが声をかけてきた。なんでしょう?


「えーと、今日このあと行きたいところとか、予定とかありますかぁ?」

いえ、とくにはないですが……長門はどうだ?図書館とか行きたいか?


「今日はそれほど行きたいわけでもない。」


長門にしては曖昧な表現だ。まあ何か予定があれば合わせると考えて問題ないだろう。

「二人とも何もないのなら……鶴屋さんの家に行きませんか?」


鶴屋さんの家に行くのはバレンタイン以来か。あのときは全く大変だったな。今回は「みちる」さんも連れていく必要もなさそうだしあちこち歩き回るよりはゆっくりできそうだ。長門、どうだ?

「構わない」

ということで朝比奈さん、俺も長門も賛成です。

「よかったぁ…。じゃあ、案内しますね!」

朝比奈さんは可愛らしくうなずくと前にでて駆けていった。俺も何回か付近まで行ってるから道は知ってるんだがな。まあそこをつっこむのは野暮ってものさ。


「やあやあみくるにキョン君に有希っ子、よく来たねっ!さあさあ中へ入った入った!」

鶴屋さんの家である和風の邸宅(相変わらず広いな)の入り口につくと、朝比奈さんが連絡したらしく、ハイテンションの鶴屋さんが迎えてくれた。どうやら今日の午後は朝比奈さんと鶴屋さんは遊ぶ約束をしていたらしく、もし不思議探索があったとしてもそのメンバーも連れてくることになってたらしい。ハルヒとペアが一緒になってたらどうしたんだろうな、いやでも鶴屋さんの誘いならハルヒも応じたかもしれん。

「さぁさぁみんなこっちにょろ」

鶴屋さんが案内した先は1つの部屋だった。この屋敷は和風で統一されているのだが、この部屋は最近作ったらしく半洋風半和風といった感じだ。

「今日はここで思いっきり遊ぶっさ!」

鶴屋さんがその部屋の戸を開くと、


「うわぁ………」
「すげぇ……」
「……………驚愕」

そこには○ナミのカードゲームセンターを彷彿させるような光景が広がっていた。壁にはガラスケースに飾られた大量のカード(なんとサモプリもプリズマーもある)、部屋の中央には長テーブルと椅子、テーブルの上には印刷されたデュエルフィールド、さらにライフカウンターまでおいてある。やっぱ鶴屋さんって金持ちだったんだな……。というか親御さんはなんていってるんですか?

「なんか元々うちは○ナミの大株主だったらしくてさっ、わたしが興味もったっていったらいい機会だからって会社の人が作ってくれたんだよっ。今度ここで公認大会もやるらしいっさ!まぁカードゲームセンター鶴屋店ってとこだねっ!」

鶴屋さんはアハハと快活に笑った。ん?鶴屋さんは確か「興味をもった」っていってたな。ということは興味をもつきっかけがあったはずだ。鶴屋さんと仲のいい友達といえば………


「鶴屋さん、こないだ遊んだときに家でデュエルやったらすごく面白がって、それからたまに一緒にやるようになったんですよ」

俺が答えに辿り着くよりも先に、朝比奈さんが答えてくれた。ううむ……たったそれだけでこんな部屋まで作ってしまうとは、ハルヒといい長門といいデュエルには何か人をひきつける魅力があるのだろうか?まぁ俺も今となっちゃ面白いが、初体験でここまでいれこんだかどうかは正直わからんな。

「キョン君、私と一緒にやらないかい?」

デッキを片手に(緑色のスリーブだ)鶴屋さんは言った。つまりデュエルやらないかい?ってことだろう。いいですよ、じゃあその奥のテーブルで…………ってちょっと待て、いつのまにか俺と鶴屋さんの間に人が割り込んでいた。ライトロード使いの宇宙人である。
「午後は私が」

とデッキ(スリーブは白だった)を片手に瞬間移動としか思えないスピードで俺と鶴屋さんの間に移動した長門は言った。あー、なんだつまり午前中はデュエルしなかったから午後はやりたいと、そういうわけか?
「そう」

といいつつ長門は首だけをこちらにむけた。

「わはは、面白いね有希っ子は!わたしはどっちでもいいにょろ?」

鶴屋さんは快活に笑って俺の判断を待っている。うーむどうしたものか。

「だめ?」

長門が数ミリ首をかしげた。その仕草は反則だぜ。分かった、先に鶴屋さんとやっててくれ。後で代われよ?

「わかった」

長門はわずかにうなずくと鶴屋さんとテーブルに向かいあって座ってデッキをきりはじめた。

「よしっ!有希っ子!じゃんけんっさ!」

ジャンケンの結果、長門が先攻になった。鶴屋さんのデッキがわかる前にデュエルが終わらなければいいのだが……。ちなみに俺も朝比奈さんもデュエルはやらずに長門VS鶴屋さんを見ている、まあSOS団の面々同士は毎日のようにやってるしな。

「私の先攻、ドロー。スタンバイフェイズ終了、メインフェイズに移行する。手札よりソーラーエクスチェンジを発動、ライトロード・ビースト ウォルフをコストにする。デッキから二枚カードをドロー、二枚墓地へ送る。」

ちなみに墓地へ落ちたのはライコウと奈落の落とし穴だ。まあ普通の落ちかただろう。

「よしっ!有希っ子!じゃんけんっさ!」

ジャンケンの結果、長門が先攻になった。鶴屋さんのデッキがわかる前にデュエルが終わらなければいいのだが……。ちなみに俺も朝比奈さんもデュエルはやらずに長門VS鶴屋さんを見ている、まあSOS団の面々同士は毎日のようにやってるしな。

「私の先攻、ドロー。スタンバイフェイズ終了、メインフェイズに移行する。手札よりソーラーエクスチェンジを発動、ライトロード・ビースト ウォルフをコストにする。デッキから二枚カードをドロー、二枚墓地へ送る。」

ちなみに墓地へ落ちたのはライコウと奈落の落とし穴だ。まあ普通の落ちかただろう。

「ライトロード・パラディン ジェインを通常召喚。ターンエンド。エンドフェイズ、ライトロード・パラディン ジェインの誘発効果 デッキからカードを二枚墓地へ送る。」

うげ…、ライロぶんまわりだな全く。というか長門、そんなにモンスター名を正確に言わなくても大丈夫だぞ、大会じゃないんだしな。いや大会でもライロのモンスター名を毎回一字一句違わずに読むやつなんてそうそういない気がする。

「そう」

長門は僅かに首肯した。

「有希っ子らしいといえばらしいんだけどねっ!私のターンっさ!ドロー。サイバードラゴンを特殊召喚。ライオウを通常召喚。サイドラでジェインに攻撃にょろ。」

「ダメージステップ、ダメージ計算時」

あーオネストか。あそこまでポーカーフェイスでいられるとなんかすごいプレッシャーだな。

「でも鶴屋さんにはあんまり効果がないような気がします」

と朝比奈さん。まぁたしかにあの年中ハイテンションの鶴屋さんにはプレッシャーを感じることなどなさそうだ。

「とくになし。ジェインは破壊。」

……ってブラフだったのか!長門が心理作戦を使うとは驚きだ。いったい誰から習ったんだ?

「朝倉涼子に聞いた」

納得。あいつは毎回重要どころでオネストを使ってきやがる。おかげでアルテミス攻撃表示でも迂闊に攻撃できやしない。やれやれ。

「ライオウで攻撃にょろ」
「攻撃をうける」

「カードを三枚伏せてターンエンドっさ!」

鶴屋さんのデッキはまだよくわからない。場にでてるカードだけだと朝倉のパーミッションとあんまり変わらんな。


「私のターン、ドロー。スタンバイ、メイン。手札よりおろかな埋葬を発動。ウォルフを墓地に送って誘発効果発動、特殊召喚する」

「特殊召喚にチェーン!奈落の落とし穴にょろ」

「ウォルフは除外。ルミナスを通常召喚、優先権行使、手札からガロスを捨てて墓地のウォルフを特殊召喚する。」

「スルーするっさ!」

「バトルフェイズ、ウォルフでライオウに攻撃する。」

「ターンエンド。ルミナスの誘発効果発動。デッキから三枚墓地へ送る。」


うーむ、奈落にライオウにサイドラか…。鶴屋さんのデッキはメタビートか?いかんせん汎用性が高すぎるカードばかりで全然分からん。朝比奈さんは鶴屋さんとやったことあるんですよね?

「はい何回もやりましたし、実はあのデッキもわたしがアドバイスして組んだんですよ?」

なんだってー、そういや朝比奈さんはSOS団の中で唯一の古参だったんだっけ。ん?なら朝比奈さんなら鶴屋さんのデッキを知ってるはずだ。

「朝比奈さ……」
「禁則事項です☆デュエルの勝敗が出てからの方が面白いですよ。」

うっ…朝比奈さんに考えを読まれるとは………普段はドジっ娘メイドでも、時々朝比奈さん(大)の片鱗が伺えるぜ。俺としてはいつまでも可愛らしくいてほしいのだが………いやそれはそれで将来が不安か。というか将来は既定事項か。あーもうわけがわからん。


「私のターンっ、ドロー!エアーマンを召喚っ!誘発効果でデッキからアナザーネオスをサーチっさ。バトルフェイズ!エアーマンでルミナスに攻撃っさ!」

「破壊される」

「カードを二枚伏せてターンエンドにょろ」

俺と朝比奈さんが話している間にもデュエルは進んでいた。そういやハルヒ達はどこいったんだろうな?午前はただ俺の家に来て妹と遊びつつデュエルしただけで終わったんだが、午後も似たり寄ったりか?それとも○ーガやアメ○リとかのカード屋を巡ったりとか、まあそんなとこだろう。黙ってれば普通に可愛いハルヒと谷口的美的ランクAA+の朝倉、悔しいが顔はいい古泉が店内に入ってきたら客はどんな反応をするのかね。


「私のターン、スタンバイ、メイン。ウォルフをリリースしてケルビムをアドヴァンス召喚。誘発効果、コストで墓地に4枚送る。対象はサイバードラゴンと伏せカード1枚。チェーンは?」

「あるにょろーん。効果にチェーンしてスキルドレインを発動。コストでライフを1000払うっさ!」

「バトルフェイズ、エアーマンに攻撃する」

「受けるよー」

「カードを1枚セットしてターンエンド」

「私のターンっ!手札から神獣王バルバロスを通常召喚さっ!バトルフェイズっ、ケルビムに攻撃っ」

……鶴屋さんのデッキはスキドレバロスだったらしい。やれやれなんつう高額デッキだ。



「攻撃宣言時、罠カード光の召集を発動する。」

「あちゃ~これはやばそうにょろ」

スキドレ発動下でも何故か発動できるオネスト。長門や朝倉には悪いがやっぱやっかいだと思うのは俺だけだろうか。OCG化でこんなにも強力になったカードも他にはないだろうな。というかなんでいつも闇と光が優遇されるんだ!風属性のオネストを出せ、風属性を。

「オネストを手札より捨てて効果発動。ケルビムの攻撃力を3000上昇させる。バルバロスは破壊。」

「やられたにょろ~。ターンエンド!」

デッキ的には鶴屋さんのもオネストがいてもおかしくないんだが、どうやらいなかったようだ。


「…私のターン、ドロー。裁きの龍を特殊召喚。ジェインを通常召喚。バトルフェイズ、裁きでサイバードラゴンに攻撃。」

「攻撃宣言時に次元幽閉を発動っ!」

「裁きの龍は除外。ケルビムでサイバードラゴンに攻撃。」

「破壊にょろ。ジェインの攻撃も受けるっさ。」

「ターンエンド」

うーむ。鶴屋さんの状況はかなり厳しいな…。手札にはエアーマンでサーチしたアナザーネオスがあることはわかってるんだが、長門の場にはケルビムとジェインがいる。幽閉か聖バリ、ライボルをひけばなんとかなるってとこだろう。

「私のターン!ドロー!アナザーネオスを召喚っ!ジェインに攻撃!」

「ジェインは破壊。」

「カードを一枚伏せてターンエンドっ」

お、鶴屋さんカウンター罠をひいたのか?

「ブラフかもしれないですけどね…。一応アナザーネオスは光属性だし…オネストも警戒させられますね」
え?朝比奈さん、やっぱあのデッキにオネスト入ってるんですか?

「え?えーっと………禁則事項です☆」

………多分入ってるんだろう。やれやれ。長門は攻撃してくるかな?

私のターン、ドロー。スタンバイ、メイン。バトルフェイズ…………………………………」


あれ、珍しく長門が長考している。一枚の伏せとアナザーネオスが光属性であることが攻撃を躊躇わせているのだろうか。まあ確かにこの攻撃の後ケルビムが除去されれば、スキルドレイン発動下ではかなり危険だ。バルバロスか死者蘇生で次のターン負けることもあり得るしな。

「……………ケルビムでアナザーネオスに攻撃する。宣言時何か?」

「ないよっ!」

「ダメージステップのダメージ計算時、優先権を放棄」

「こっちからはなんにもなしっさ!」

「アナザーネオスを撃破。ターンエンド。」

「鶴屋さんなんにもなかったみたいですね……」

朝比奈さんが俺の隣で呟いた。うーむこれはいったいどうなんだろうな。



「私のターン、ドローっ!私の負けにょろ。サレンダーっさ!」

「………了承する。」

サレンダーと共に鶴屋さんが手札と伏せを公開した。伏せはサイクロン。今ひいた手札は魔宮の賄賂、持っていたのはスキルドレインのようだ。やれやれ、伏せも全部ブラフだったってことか。

「なかなか楽しかったっさ!真剣勝負は面白いにょろ。」

鶴屋さんは負けたというのに相変わらずのハイテンションだ。鶴屋さんにとっては勝敗よりもデュエルすること自体が楽しいんだろうな。

「じゃあキョンくん。お待たせっさ!私と決闘!」

そういえば最初は俺とやるはずだったな。すっかり忘れてたぜ。

「………先にやらせてくれたことを感謝する」

席を変わろうとしたとき、長門が小さく言った。そんな大したことじゃないぜ。
「…………そう」

長門は僅かに頷くとカードが展示されているガラスケースの方へ向かった。

「こっちはいつでもいいよっ!」

見ると、鶴屋さんがデッキをディールして待っていた。よし、じゃあやりましょうか。じゃんけん、ほい。俺の先攻、ドロー!





………その後もしばらく鶴屋さんの家で遊んでいると、ハルヒの再集合の電話がかかってきたので(なんか機嫌が良さそうだった、なんでだろうな)俺と長門と朝比奈さんはいつもの駅前に向かった。ちなみに鶴屋さんとの決闘は俺の3勝2敗だった。ダルシムとデスカリが結構効いた。2敗のときはバルバロスとスキルドレインでこてんぱんにやられたけどな。

傾きかけた夕日に彩られた駅前にはハルヒと朝倉と古泉が既に待っていた。古泉があまり疲れた表情をしてないところを見るとそんなにあちこち振り回されたわけでもなさそうだな。よう古泉、そっちはどうだったんだ?

「フリー対戦会に参加しましてね。流石は涼宮さん、11勝4敗という素晴らしい成績でしたよ」

まあ剣闘獣だからそう簡単には負けんだろうな。ちなみに4敗のうち1つは朝倉らしい。パーミッション恐るべしだぜ。当のハルヒは朝倉や朝比奈さん、長門と談笑していたが、どうやら終わったらしい。

「本日のSOS団の活動はここまで!解散よ!」

腰に手をあてていつもの如く宣言し、俺達はそれぞれの帰路についた。長門は朝倉と、古泉と朝比奈さんは1人で、そして俺は……………ハルヒと二人でだ。たまたま駅前からの帰り道が一緒というだけなのだが、不思議探索の後ハルヒが上機嫌の時はいつもこうして帰っている。不機嫌の時はどうかって?触らぬ神に祟りなし、というか勝手にハルヒが帰ってしまうから必然的に別行動になる。ともあれ今日はフリー対戦会でボロ勝ちしたせいかえらく上機嫌だ。

「今日の大会楽しかったわよ」

ハルヒが言った。古泉から聞いたぜ、ボロ勝ちだったらしいな。

「あたしの剣闘獣がそう簡単に負ける分けないじゃない!……涼子には負けたけど」

らしいな。ちなみに朝倉や古泉の戦績はどうだったんだ?

「涼子は7勝5敗だったわ。『大寒波それ無理。』とか言ってたわね。古泉くんはボロボロだったけど、3勝はしてたわ。しかも商品で王宮の弾圧あてたのよ!すごいわよねー」

ハルヒは嬉々として言った。随分面白そうだったんだな。今度は俺も参加してみたいものだ。

「あったりまえじゃない!6人全員で参加してSOS団の名を天下に轟かすのよ!」
そんなこんなでハルヒと俺は帰り道を話ながら帰っていった。鶴屋さんが決闘できること、デッキはスキドレバロスであること、古泉だけなんであんなにデッキ構築が滅茶苦茶なのか、とかな。



……ちなみに新パックはSOS団で箱買いが決定した。ダークダイブボンバーが当たることを期待するぜ。

END

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最終更新:2008年11月25日 00:23