夜遅くに目が覚めるのはめったには無かったこと。
久しぶりに戻る平面世界へのワクワク心からか、それとも単なる不安からか。

…護衛対象がSOS団の誰かという保証はどこにもないのに。

しかし任務を前日に控え休養をとっていた私が起きた原因はどちらでも無いわけで。

「…人の気配?」

私以外が存在しないはずの寝室で、微かに見える人影があった。
…まだ暗闇に目が慣れなくて顔が確認できない。

果たして私が寝ぼけているだけか、それとも本当に起こっていることなのか。
寝起き数秒後の頭が判決を下す前に、影が私に話しかてきた。

「…お礼を忘れないで」

そう言うと影は消えてしまった。
…意味不明だ。

お礼って何を?というか誰に?

そんなことを考える前に、私は驚愕していた。

影が消えたことでも、その言葉の真意にでもない。

『…お礼を忘れないで』

…その声は確かに「私」の声だったからである。

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