いや~、穏やかで結構だ。
 愛すべき家族と来るピクニックがこんなにいいもんとは思わなかったね。
 全く、日々の疲れも吹っ飛ぶってもんだな。
「キョンくん、お茶でもどう?」
「ああ、貰おうかな」
 …にしても、我が妻みくるよ、お前は何故そんなにも美しいのだ。
 歳を重ねるごとにキレイになってくな。
 昔の庇護欲をかきたてまくっていた雰囲気も勿論良かったんだが。
 今の大人の色気を醸し出しまくってるのは尚良しだ。
「おとおしゃん、あしょぼ~」
 なあ、お前さんはみくるに似てホント可愛いな。
 純真無垢って言葉はお前の為にあると言っても過言ではないだろう。
 …悲しいが俺に似なくて良かった。
「はいはい、じゃあ何して遊ぶか?」
「ええ~っと…、う~んとね…」
 ああ、もういじらしいな、可愛い過ぎるな。
 今なら若紫を見ているときの源氏の気持ちが分かる気がするよ。
 …おい、勘違いするな。
 俺は別に幼女が好きだとか言ってるわけではない。
 これは、父親から娘にそそぐ愛だ。
 そうだ、父性愛だ。
 決してロリコンではない!!
「ほら、早く決めないとお母さんがお父さんと遊んじゃいますよ?」
 みくるが俺と遊ぶだって?
 …まさか、何時もの様にあんなことやこんなことを…
 子供の教育上良くないだろうが全く。
 だが、正直、溜まりません。
「ダメー! おとおしゃんとはあたしがあしょぶの!!」
 涙が出そうだ。
 美人な妻と可愛い娘が俺を巡って争うなんて…
 俺の人生、完全に勝ち組だ。
「はいはいはい、じゃあ皆で遊ぼうな」
「うん! じゃあ、かたくるましてー!」
「かたくるまじゃなくて肩車ですよ」
「かたくるま?」
「か た ぐ る ま」
「か か く る ま? よくわかんな~い」
 なんだこのやり取りは!
 これを萌えと言うのか?
 よし、今度谷口辺りに聞いておこう。
 
 
「ねえ、おとおしゃん聞いて」
「ん? 何だ?」
「あたしね、大きくなったらおとおしゃんのおヨメしゃんになるの!」
「…みくる、泣いていいか?」
「ふふ、どうぞ」
「なんで、おとおしゃん泣くの? どこか痛いの?」
「いや、何処も痛くなんかないさ。ただ、お前にそういう風に言って貰えて嬉しかったんだ」
「良かった! じゃあ、おかあしゃん、あたしがおとおしゃんのおヨメしゃんになれるように教えて」
 な! まさかの昼ドラ!?
 俺は昼ドラより甘甘なほうか好きなんだが…
「はい、勿論いいですよ~」
 って、いいのかよ!
 そこは、空気を読んでだな~… って止めておこう。
 考えたらキリが無さそうだ。
 まあ、いつまでもこんな風に言ってくれるわけないからな。
 今はこれでいいか。
 もっとも、出来ることなら何時までもそう言っていて欲しいがな。
 …そして、俺を巡って娘と妻の泥沼の愛憎劇が始まるってな。
 んなこたないか。


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