ワタシは人間の言うところの神である。
しかしワタシはワタシを自覚する以前の記憶はない。
理由はわからないが、ワタシが何の神であり、ワタシがすべきことを知っている。本能のように。
 
ワタシが降り立つ機会を待とう。
―――――――――
―――――
――
 
ハルヒ「相変わらずみくるちゃんのおっぱいはおっきいわね~」
みくる「ひゃあ!着替え中ですから触らないでくだ」
ハルヒ「いいなぁ~あたしも欲しいわ!」
みくる「いたいですー!!長門さん助けて!」
長門「黙れホルスタ・・・ゲフン」
 
今日も私は涼宮さんのおもちゃにされています。キョン君は私が着替え始めると部室の外に行きました。
 
実は私、そんな優しいキョン君に好意を抱いてます。
 
ハルヒ「着替え終わったわよーキョン!」
みくる「えっまっまだあっ!開けちゃだ」
キョン「あいよ・・・えっ失礼しましたー!!」
ハルヒ「もう男って面白い生き物よねー」
みくる「ひどいです涼宮さん!」
 
今日もいつもどおりキョン君と古泉君はボードゲーム、長門さんは本を読み、涼宮さんはパソコン見ながらキーボードを叩きまくってます。キーボードがクラッシュしますよ涼宮さん。
私は紅茶を沸かしてみんなに配ってます。
涼宮さんに紅茶を配った時
 
ハルヒ「みくるちゃん。女同士の話をしましょう。こっち来なさい」
みくる「ふぇ?何でしょう?」
 
耳を貸すよう涼宮さんが催促しました。
 
ハルヒ「ぶっちゃけ今みくるちゃんは好きな人いるの?」
 
ふぇえええ!?私はキョン君が好きだけど、禁則事項や禁則事項や禁則事項が理由で付き合えないんです。
でも好きなのは事実ですし。どうしよ~!
涼宮さんはパソコンに目を戻してました。
 
ハルヒ「その顔だといなそうね」
みくる「そっそうなんです。魅力的な男性ってなかなかいないんですよね」
長門「キサマには養豚がお似合い」
ハルヒ「でもみくるちゃんなら恋人に困らないわよね」
みくる「それを言ったら涼宮さんだって、キョン君のこと」
 
なにか不快な声が聞こえたが、それよりも涼宮さんの反応は面白かった。
 
ハルヒ「なっなんでキョンなのよ!」
 
照れ隠し。もう涼宮さんかわいいですよ。キョン君の軟弱ぶりをこれでもかと言いはじめましたが、顔赤いですよ。
そのまま体感時間三分。
 
ハルヒ「大体キョンはね、遅刻ばっかりしてどーしようもない」
みくる「あのー。そこまでに」
ハルヒ「別に聞こえないんだからいいわよ」
キョン「聞こえてるぞ」
ハルヒ「まあ聞こえたところでなんとも思わないわ!だいたいあたしは」
 
その時本を閉じる音。
 
ハルヒ「きっ今日は解散!」
 
 
神は知っている、以前から一人の少女が神を求めていることに。
 
 
結局朝まで寝れず、ずーっとキョン君のことを考えてました。
昨日の夜、「6時限の授業が終わったらすぐに部室に来る」ようキョン君にメールで伝えました。
 
私は未来人。この時代の人間に恋してはいけない。
でも私は決めました。禁忌を犯そう。
 
どこかで私を呼んでいる。
 
鶴屋「みくる!起きるっさ!!」
みくる「はぅっ!また寝てました」
鶴屋「寝てるというより考え込んでるように見えたなぁ~。悩みがあったら相談にのるよ?」
みくる「ありがとうございます。でも大丈夫だから」
鶴屋「結局6時限まで寝てたんだけどな~?」
みくる「ホントに大丈夫です。では部室に行きますね」
 
鶴屋さんの見送りを受けて部室に向かいました。中に入るとキョン君だけがいました。
 
キョン「また未来からの指令ですか朝比奈さん?」
 
ドアを閉め、キョン君に向かい合った。
 
みくる「やっぱりそう思います?でも違うんです」
 
鈍感ですねキョン君。
 
みくる「私は自分の気持ちを隠せないんです」
キョン「えっとどういうことです?」
みくる「いきなりですいません。あの・・・わっわっ私、キョン君のことが大好きです!」
 
言っちゃった。でも後悔はしない。
 
キョン「あの・・・朝比奈さん?」
みくる「未来なんて関係ありません。私は純粋にキョン君のことが好きなんです!」
キョン「でも俺なんか」
みくる「『なんか』ではないです!キョン君はひゃっ!?」
 
キョン君が私を抱き寄せた、とわかるのに数秒かかった。

みくる「キョン・・・・くん?」
キョン「驚かせてすいません。自分でも驚いてます。どうやら俺も朝比奈さんのこと」
みくる「でしたら私のことを『みくる』と呼んでください」
キョン「はい、みくるさん」
みくる「やだキョン君。『さん』はいらないよぉ」
キョン「あははすいません。ではお詫びをしたいので目を閉じてください」
みくる「こうですか?」
キョン「そのままで」
 
顔に温かい感触。唇に触れる少し固いもの。
 
バタン
 
私は驚いてドアの方を見ました。ドアは閉まっています。
ということは
 
キョン「誰かに見られた!?」
 
キョン君は部室の外に出て、すぐに戻ってきました。
 
キョン「見つかりませんでした」
みくる「一体誰だったんでしょう」
キョン「大切な時間を邪魔されてしまいましたね、みくる」
みくる「いいのよ、大切な時間はこれから作ればいいんだもの。もう一個お願いがあります」
キョン「俺にできることでしたら」
みくる「丁寧語で話さないで。普段通りに話して、ね?」
キョン「わかり・・・わかったよ、みくる」
みくる「いざ言われてみると、はっ恥ずかしいです~」
 
 
神はほほ笑む、少女が以前より強く神を求めていることに。
 
 
今度はドアが開く音。
 
キョン「よっよお長門」
みくる「こんにちは長門さん」
長門「無理に普段通りを装う必要はない。あなたたちは付き合い始めたのでは?」
みくる「あっあっあれはなかくしはりた」
キョン「噛みすぎだみくる。おい長門、のぞき見はダメだろ」
長門「今来たばかり」
キョン「じゃあなんで」
長門「あなたたちの心拍数や、ドアの近くに立った時に聞いた会話でそう判断した」
キョン「そっそうか」
ハルヒ「やっほーみんなー!あれ古泉君は?」
長門「彼は急用で来れない」
ハルヒ「そう。まあいいわ団活動は普段通り行うわ!」
 
涼宮さんの両目が赤かったのを私は見逃さなかった。
 
今日は私とキョン君と長門さんで人生ゲームをしました。
 
涼宮さんも誘ったのですが
 
みくる「涼宮さんもどうですか?」
ハルヒ「ちょっと調べたいことがあるの」
 
目も合わせてもらえませんでした。やっぱり涼宮さんはキョン君のことを好きだったんだ。
でももう私は決めた。キョン君と「幸せ」に生きていく。
 
以下はボードゲーム中の会話です。
 
キョン「長門。古泉の急用ってやっぱり」
長門「神人狩り。現在北半球を覆う大きさの閉鎖空間が発生している。朝比奈みくる、借金追加」
みくる「ふぅえええ!」
キョン「やっぱり覗いてたのはハルヒか、みくるの番だ」
長門「おそらく」
キョン「俺とみくるが付き合い始めたことを、ハルヒに伝えてくる」
みくる「えっでもそれでは逆効果じゃあ?あっまた銀行から借りるはめに」
キョン「隠されてることが嫌なのかもしれない。試してきます」
みくる「私も行きます」
キョン「いえ一人で十分です。次は俺の番か、中断してくれ」
みくる「行っちゃいました。借金がえーと・・現実だと恐ろしいことに・・」
長門「あなたたちは付き合わない方がいい」
みくる「いきなりですか。ですが私は涼宮さんの嫉妬を買ったとしても諦めませんよ」
長門「違う。ぜいにゴホゴホあなたのためではなく彼のため」
みくる「それはどういう」
キョン「ダメだ。目を合わせてくれないし、話してもくれない」
みくる「おかえりなさいキョン君。では私が行きます」
キョン「すまんなみくる」
 
私はパソコンを見ている涼宮さんの隣に立ちました。いや、涼宮さんの目の焦点が合ってないような。
 
みくる「あっあのー涼宮さん?涼宮さん!」
ハルヒ「・・・みくるちゃんか。どうしたの?」
みくる「大事なお話があります。私とキョン君は今日から付き合います」
ハルヒ「・・・・・そう」
 
私はキョン君たちのところに戻り結果を話しました。
 
 
神は動く、少女の願いを叶えるために。
 
 
みくる「あんな涼宮さん、見ていられません」
キョン「ハルヒの奴、俺とみくるの恋路になんの不満があるんだ」
みくる「ホントに鈍感ですね」
キョン「何がだ。ん?どうした長門?」
 
長門さんが突然立ち上がって空を見ました。私も空を見てみましたが、なにも見えません。
やがて私たちを見て言いました。
 
長門「警告はしておく。あなたたちは別れるべき」
キョン「おいおい長門」
長門「あなたのために言ってるの、わかって」
みくる「さきほども言いましたが、涼宮さんの嫉妬を買ってもどうにかして納得させます」
キョン「嫉妬?」
長門「情報の伝達による齟齬で言いたいことが伝わらない。最優先事項発生につき私は出かける」
 
そして私の耳元に長門さんは顔を持ってきて
 
長門「あなたが彼を愛してるなら別れて。彼が危ない」
 
そう言って長門さんはかばんを持って部室を出ていってしまいました。涼宮さんは気づかないようです。
私の借金まみれという結果で人生ゲームが終了すると、18時になりました。
涼宮さんはさっさと帰ってしまいました。
 
キョン「今俺すっごくハルヒに睨まれた気がするんだが」
みくる「えっ・・・・」
 
涼宮さんがキョン君を睨んだ?
 
 
神は眉をしかめる、人間が空を飛んでいることに。
神は笑う、複数の人間が神に向かってくることに。
神は見下す、何の神であるかを知らない彼らに。
 
 
私は家に帰ると、涼宮さんに励ましのメールを送りました。返信はなかったんですけど。
そのあとはキョン君とメールで世間話をして、寝ました。
 
 
神は落胆する、少女が神を求めなくなったことに。
神は考える、彼らの中の一人の言葉を。
 
「あなたは涼宮ハルヒが存在を望んだ『無作為に選ばれた』救いの神。ゆえに存在してはならない」
 
 
朝、私は異変に気づきました。未来と連絡がつかないのです。
つまり既存の未来が改変され、不確定になったということ。これがキョン君と生きていくための代償。でもかまわない、未来は現代の人たちで作る。
だって未来が決まってたらつまらないじゃないですか。
 
幸せに包まれながら私は登校した。
私が教室に入ると
 
鶴屋「ちょっとみくる、恋の悩みならそう言ってほしかったにょろよ」
みくる「ふぇっ?」
鶴屋「キョン君とハルにゃんにメールで聞いたのさ」
 
涼宮さん?
 
みくる「それ本当ですか!?」
鶴屋「うわっどうしたのさ。本当にょろよ、いいことだって」
みくる「そう、なら良かったです」
鶴屋「ただねぇ・・」
みくる「どうしたんですか?」
鶴屋「最初みくるたちが付き合いはじめた、てメールがキョン君から夕食の時に来たのさ」
 
そしてキョン君におめでとうの電話をした。その後涼宮さんに私たちを祝う電話をかけたけど出てくれなくて、メールを送った。いいことだっという返信が来た、深夜に。
起きてた鶴屋さんはすぐにまた涼宮さん電話した。
涼宮さんは電話に出ました。なにか妙な音がしたと思ったらすぐに切れた。
黒板を爪で引っかいたような聞きたくない音だったそうです。
 
鶴屋「なんか嫌な予感がするのさ」
みくる「涼宮さんが夜は忙しかったとか」
鶴屋「だったら返事くらいしてくれても」
みくる「ところでなんで私にはメールしなかったんです?」
鶴屋「直接会って問い詰めたかったのさ。さあいろいろ吐いてもらうよみくる!」
古泉「おはようございます朝比奈さん、鶴屋さん」
みくる「ふぅっおはようございます。神人狩りは済みました?」
鶴屋「あっ古泉君おはよう!ところでシンジンガリって何にょろ?」
古泉「ホルスタインめ。ああ鶴屋さん、それはシューティングゲームです。最近凝ってまして」
鶴屋「へぇ聞いたことないなぁ。古泉君、今度見せてくれるかな?」
みくる「すっすいません」
古泉「お断りします。朝比奈さん、昼休みに部室に来てもらえます?」
鶴屋「もうみくるはキョン君のものにょろよ?」
古泉「その件ではないのでご安心ください」
鶴屋「にょろーん」
 
なんか私って嫌われてません?
 
昼休み。
 
古泉「さきほどの失言はひどいですね」
みくる「すいません・・・」
古泉「では今の状況を整理しましょう。未来が消えました」
みくる「それは私も確認しました」
古泉「次に閉鎖空間ですが、深夜に急に消えたんですよ。それもすべて、です」
みくる「はぁ」
古泉「一瞬でストレスがなくなるような人なんてそうそういません。何があったのでしょう」
みくる「はぁ」
 
 
神は苦笑する、変わり果てた少女に。
 
 
古泉「ところで今日長門さんや喜緑さんが無断欠席なのを知ってますか?」
みくる「なにも知らないんです。ただ・・・」
古泉「『ただ』なんですか?」
みくる「昨日長門さんが私とキョン君に警告したんです、別れたほうがいいって」
古泉「まあそれは俺・・・僕も思いますが、詳しく言ってましたか?」
みくる「『情報の伝達による齟齬で言いたいことが伝わらない。最優先事項発生につき私は出かける』だったかな。私には何のことかさっぱり」
 
 
神は見物する、紅の舞いを踊り走る少女を。
 
 
突然古泉君が携帯電話を取り出しました。機関から電話のようです。
部室の外から悲鳴が聞こえてきたのは気のせいかな?
少し待って、古泉君は電話をしまうと
 
古泉「さきほど長門さんの遺体が発見されたそうです」
みくる「えぇ!?」
古泉「どうも自分の心臓を撃ち抜いたことによる自殺だそうで、他のTFEIも・・・クソッ!」
みくる「あの・・・古泉く」
古泉「なにがどうなってるんだ!!?」
 
私は古泉君に部室の窓の方に追い詰められた。古泉君の声は遠くで聞こえる悲鳴を一瞬掻き消した。
 
古泉「神・・・いや涼宮を怒らせたからなのか?でも関係ない事件が起こ、て悲鳴!?もうわけがわからん!!」
みくる「落ち着いてください古泉君!」
古泉「落ち着いていられるか!もう嫌なんだよこんなこと!!そうだそもそも涼宮が悪いんだ!」
みくる「あっあの・・・後ろ」
古泉「涼宮のお守りなんて!」
 
呼んだ?
 
古泉君がドアの方を振り向くと
 
ハルヒ「あたしがどうしたって、古泉君?」
古泉「やあ団長様。どうしたんですか?そんなに真っ赤に染まって」
 
そう、涼宮さんは制服や体をあちこちを赤い液体で濡らしていた。
 
 
神は楽しむ、彼は「救いの神」だから。
 
 
ハルヒ「障害物をどけながらみくるちゃんを探してたのよ。」
古泉「障害物・・・か。俺から見たらおまえが人生の障害物だ」
ハルヒ「じゃあ古泉君はあたしの障害物ね」
古泉「おいおいそんな市販包丁で俺を殺せるとでも思ってんのか?これでも対人戦訓練を受けてるんだよ」
 
私は何も言えなかった。
コワイ。
 
古泉「まあ俺の後ろにいる女ならともかく」
 
古泉君が私の方を振り向いた刹那、言葉が途切れた。
 
一瞬で古泉君の体が崩れ落ちた、倒れたんじゃなくて。まるで肉のジグソーパズルのように細切れに。
私を赤い液体がたくさんおそった。
 
ハルヒ「これでジャマはなくなったわ」
みくる「イヤアアアアアアァ!!!!」
ハルヒ「あのねみくるちゃん、大切な話があるの」
 
足が動かない。早く逃げなきゃ。
 
ハルヒ「恐がらなくていいよみくるちゃん。あのね」
みくる「アッ・・アッ・・・あの・・ごめんなさい!!!」
 
口が勝手に動く。矢継ぎ早に出てくる謝罪文。ただ許してもらうために。
 
みくる「キョン君と付き合ってごめんなさい涼宮さんの気持ちを考えないでごめんなさい未来の禁忌を犯してごめんなさいなにも知らないで」
ハルヒ「やっとわかってくれたのね。まああたしも不器用だから」
みくる「こんな私を許してください涼宮さんごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
 
 
神はさげすむ、変わり果てた少女たちを。
 
 
ハルヒ「もうやめて。あたしまで悲しくなるわ」
みくる「ウッ・・・クッ・・・・ウワァァアアアン!!!」
ハルヒ「座り込まないで顔を上げてよみくるちゃん。許すもなにも、全てはあたしが悪いのよ」
みくる「グスッ・・・・ありがとう・・ございます・・・」
ハルヒ「思えばどうしてあたしはさっさと気持ちを伝えなかったんだろ」
 
涼宮さんが少しずつ正気に戻ってきました。このまま世界を戻すように導けば。
 
みくる「そんな簡単に好きという気持ちを伝えられるとは思えませんよ」
ハルヒ「そうよね。勇気がいるものね。それに告白しても相思相愛じゃなかったら」
みくる「そんなことはありません!キョン君なら涼宮さんを恋人として見てくれますよ!」
 
私は長門さんの警告の意味がわかったかもしれない。
だって、私は勘違いしてたんだもの。
 
ハルヒ「えっなんでそこでアレが出てくるの?」
 
思い出そう。涼宮さんが睨んだ相手は・・・・キョン君。
 
みくる「なんで・・・て・・・あれ・・・?」
ハルヒ「アレなら昼休みに一番最初に殺しといたわ」
 
今会ったときから涼宮さんはキョン君の名前を・・・呼んでない。
 
みくる「な・・・・ん・・・で」
ハルヒ「驚くほど包丁がスイスイ動いてよかったわ。ぎゃあぎゃあうるさい奴らなんて包丁が当たった瞬間粉々になったわ。望んだように殺せるの、面白いでしょ?ウフフ」
 
涼宮さんは誰を探してた・・・・私を。
 
ハルヒ「みくるちゃんの教室に行ったんだけどさ、いなかったんだもん。鶴屋さんに聞いてここにいることがわかったの」
みくる「・・・まさか」
ハルヒ「居場所教えてくれるだけでいいのに止めるんだもん。ついでに肉屑にしてばらまいちゃった。ごめんねみくるちゃん」
 
そして大事な話・・・・?
ああ、私は受け入れない。
 
ハルヒ「立って、そう。でねあたし決めた」
 
私にそっちの趣味はない。逃げなきゃ。足が震えてる。
 
ハルヒ「あたしはみくるちゃんのことが好き!もう気持ちを止められないの!!アレに奪われてしまいそうだからアレを殺した!!それほどみくるちゃんのことが好きなの!!!アハハハ!!!!」
 
そんな血まみれな格好で笑われても。私も血まみれか。なにかが口に入った。吐き出すと肉だった。
私の足がようやく動きはじめた。
 
ハルヒ「ちょっとどこ行くのよみくるちゃん!」
みくる「はなして!もういやー!!ヒャッ!!」
 
腰を落として走ってきた猛獣によって私は部室の壁に抑えつけられた。
胸の位置に猛獣の顔。その顔が、目が私を見上げる。
 
「みくるちゃんのことが好きなの」
みくる「ヒッ!!」
 
狂気をたたえる目。その目が一瞬だけ白目になった。
 
みくる「さわらないでーー!!!!」
「キャッ!!」
 
猛獣をできるだけ遠くに突き飛ばして、私は部室を走り去った。
廊下・・・階段・・・教室・・・助けを求めようにも人はいなかった。どこを見ても赤い。人「だった」ものが視界から消えない。
鉄臭い。滑る。べたつく。
 
玄関を出た。外の光景は・・・・。
 
空は荒れて地面はひび割れ建物は朽ち果てていた。
これも涼宮・・いえ猛獣の力?
ふと校門付近に赤い玉がたくさん集まっているのを見つけた。
一つの玉が私に近づいてきた。怖かったが玉は変形し、やがてメイドさんを形どった。
 
森「閉鎖空間内じゃないから驚かせたかしら。なんで使えるのか知らないけど。それより事態は把握しています」
みくる「も・・・・森さーーん!!!ウワァアアアン!!」
森「古泉の件は私から謝罪します。ストレスに堪えきれなかったことによる精神崩壊です」
みくる「エグッグスッエグッいえいいんです、もう」
森「我々もできるだけ神いえ涼宮さんを止めます。あなたはその間に逃げなさい」
みくる「わっわかりました。あと、一つだけ確認させてください」
 
他の玉も私の回りに集まっては人の形になっていく。
 
みくる「私は間違ってたのでしょうか。涼宮さんの気持ちを受け入れてあげたほうがよかったのでしょうか?」
森「いいえ。あなたがキョン君を好きになったのも、涼宮さんの気持ちを拒絶するのも。間違いなどではないし、そもそも正しいか間違いかなんてありません」
みくる「・・・ありがとうございます」
新川「神が来ました。では皆さん、生きてたらまた宴会をしましょう」
森「じゃあね。あなたは逃げなさい。全力で彼女を止めるから」
 
そう言って周りのみんなは玉になって、走ってくる猛獣を迎え撃ちました。
 
 
神は首をかしげる、人が奇妙な形になっていることに。
 
 
私は走った。休まずにただ走った。
どこまで走っても人には会わず、赤い液体をあちこちで見かけた。吐き気が込み上げてくる。
電車も車も止まっていた。
 
帰りたいのに言えない。
帰りたくとも未来(いえ)ない。
 
もういやだ。助けてよ神様。
 
 
神は腹をかかえて笑う、消えゆく玉たちの滑稽さで。
神は聞く、別の少女による神を求める思いを。
 
 
どこまで走っただろう。辺りを見回すと、そこはいつかの商店街「だった」ところだった。
疲れきったので腰を落と・・・せない。足場はどこも真っ赤に染まっているから。転がっている人型の物体なんて見えなかったことにしよう。
汚れてない壁に腰を預けて休んだ。いや休もうとした。
 
「見~つけた♪」
みくる「な・・・なんで・・」
「みくるちゃんのところに行きたいって願ったら、ホントに来ちゃった」
 
神だもんね。
猛獣は顔以外の全身を真っ赤にし、頬にベタリと血を付けていた。
 
みくる「いったい何人殺せば気が済むんですか!?」
「みくるちゃんを手に入れるまで」
みくる「ふざけないで!!おっおまえなんて大嫌い!!」
「嘘よ。あたしたちは愛し合ってるもの」
みくる「来ないで!!」
「逃げないでよみくるちゃん」
みくる「いやぁああああああ!!!!!」
「逃げないで!!」
 
重い体で必死に逃げる私の背後から猛獣が迫る。そのキバは真っすぐ私を狙って
 
ズプッ
 
いたい。ひだりむねからなにかが生えてる。
赤く光を反射するそれは・・。
 
赤い地面が視界を埋める。息がくるし・・・い。
 
「逃げないで、ね?」
 
途端視界いっぱいに荒れた空が広がる。体をあおむけにされたようです。
視界がかすんできた。
 
さいごにキョン君に会いたかったな。
 
視界に猛獣が・・・空になにか・・・いる・・・てんしならいいな・・・・
 
荒れた空。
沈みかけた太陽。
赤く染まり果てた大地を照らす。
落ちる包丁。
二つの陰が横たわり一つに重なる。
一つは絶えず動く。
一つは揺れる。
この光景を見ているのは誰?
 
ワタシだよ。
 
 
ドサッ
 
やっとじゃまされずにみくるちゃんと愛しあえる。

たっぷり愛してあげるわみくるちゃん。
 
ピチャックチュックチュッ
 
ああみくるちゃんのくちびる、だえき、やわらかいした、かたいは。
愛しいみくるちゃん。

 
プハァ
 
「もっと愛してあげる」
 
パサッ
 
みくるちゃんのしろかったおっぱい。
いまはあたしの手のなか。
いまはあたしの手で赤くよごれてるけど、あかとしろ。
きれいだね。
あはっほしがたのほくろだぁ。
かわいいちくびね、ハムッきもちいいみくるちゃん?
 
「返事がほしいな?」
 
ひだりむねにのこっている傷。
なめてみよう・・・みくるちゃんのあじだ。

すこしいじわるしてみよう。
 
スルスルッ
 
みくるちゃんったら、あいかわらずかわいいぱんてぃね。
そんなぱんてぃもいまはあたしのてのなか。
 
「きもちよくしてあげる」
 
めのまえにひろがる聖域。
それは肌いろとすこしの赤いろのせかい。
しげみのない聖域はただそのいりぐちをみせる。
あたしのしたをいざなうように。
 
ピチャッチュゥチュゥッチュゥチュゥッチュゥッ
 
ンップハァ
 
おいしいね。
さすがみくるちゃん。
 
「気持ちよかったでしょ?」
 
ねぇきもちいいでしょ?かんじない?こたえてよ。
 
「なんでこたえてくれないのよ」
 
あれ?みくるちゃん?うごかない?
 
「ねえこたえてよ!うなずいてくれるだけでもいいから!」
 
あれ?あたしの目から水が。なんで・・・いいえわかってる、あたしはみくるちゃんを
 
ハルヒ「いやだ死なないで!あたしにはもうみくるちゃんしかいないのよ!!!いやぁあああ!!!!!」
 
あたしは禁断の恋をした。恋心は日に日に大きくなっていった。
どうすればいいかわからず、ひたすら神様に助けを求めた。何の神様でもいい、縁結びでもキリストでも。
でもどの神様にも思いは伝わらなかったみたい。現になにも変化はなかった。
そんな状況に最悪の事態が起きたんだ。
 
ハルヒ「なんでキョンと付き合うのよ!!いえ違うわキョンが誘惑したのね!!!これだからオトコなんて!!!!」
 
一番言いたいことを、息をおもいっきり吸って叫ぶ。
 
ハルヒ「あたしを助けてよ!!!!!神様アアアアアアァ!!!!!」
 
ワタシヲヨンダカネ
 
背後から聞こえた低い、いや低すぎる声。
振り返るとそこには背が高く黒ずくめの・・・なんだろう?
 
そいつは淡々と言う、笑みをこぼして。
 
「我が名はタナトス。人間を平等に救う神だよ」
 
あやめることでね。
 
その目はあたしに言った、もう生きてもしょうがないと。
あれ、いつのまにか包丁をにぎってたわ。
もう疲れた。こうすれば救われるのよね。
 
ビチャッビチャッ
 
きれい・・・ね
さいごに・・・いいもの・・・を・・・見
 
ドサッ
 
――
―――――
―――――――――
神はただ笑う、少女の首よりとめどなく噴き出る大量の血液を。
 
タナトス「ん?」
 
神は気づく、神の右腕が消え始めていることに。
 
タナトス「なっなんだ!?消えるな!消えるな!!」
 
こっけいね。
 
不意に聞こえた女の声。
神は驚愕する、背後に人間が立っていることに。
 
朝倉「まさか私が再構成される日が来るなんてね。ふむふむ」
タナトス「なっなんだオマエは!人間は全員救われたはずだ!!」
朝倉「あなたがこの報告書に書かれてるタナトスね。『死の神』ねぇ。私には死の概念がよくわからないわ」
タナトス「クソッならばせめておまえも道づウオッ!」
朝倉「足も消えてきたわね。残念だけどあなたの力は解析済みよ。『自殺を誘発する能力』でしょ?しかも死んだ長門さんたちは再構成できないなんて面白いわ」
タナトス「人間なぞにわかってたまるか!」
朝倉「まあデータが取れたから対処できたわ、長門さんたちには感謝してる。ところであなたはなぜ自分が存在してるか考えたことはある?」
タナトス「なにをごちゃごちゃと!!」
朝倉「あなたは『観測対象である涼宮ハルヒに創造された』存在なのよ。だから創造主が死ねばあなたも消える」
タナトス「意味不明なことを言うな!ワタシはワタシだ!!人間を平等に救うための神だ!!人間に創造された?笑わせるな!!!」
朝倉「どう考えようが勝手よ。あらあら胸まで消えちゃってるわねクスクスッ」
タナトス「人間は不平等な存在だ!唯一平等に救えるのはこのワタシだあああぁ!!・・・」
朝倉「消えたわね。あら注釈があったわ。『※タナトスは神話に存在する神。また人間の死の本能。※観測対象はタナトスの存在を望んだわけではなく、どんな神でもよかった』ね。ランダムに選ばれた神がアレなんて、運がなかったわね」
 
朝倉は手にしていた紙を全部投げ捨てた。
 
朝倉「にしても面白いわ、自分が望んだ存在に殺されるなんてね。フフッああもうわかったわよ。久しぶりの活動なんだから満喫させてよね」
 
朝倉は「観測対象」だった者に近づき、それに手をかざした。
 
朝倉「ホントにしていいのね?いくら改変のための情報が足りないからって、そんなことすれば何千年待つことになるかもよ?はいはい私には関係ないわね。じゃあ一つだけ条件があるわ、今後も私たちTFEIを活動させてね。もちろんその時まで任務なしね」
 
朝倉はもう一人横たわる人物を一瞥した。
 
朝倉「特別にこの未来人を優遇してあげるわ。では最終プログラムを起動開始」
 
かざした手を中心に光が世界を包んだ。
 
―――――――――
―――――――――
―――――――――
古泉「朝比奈さん、お茶をください」
みくる「はぁいただいま~」
 
今日もいつもと変わらない日です。私たちは部室でくつろいでいます。
 
みくる「はいどうぞ、あっキョン君もどうぞ」
キョン「サンキューみくる、ほら」
みくる「エヘヘ」
古泉「あのですねお二人とも」
キョン「『団内でいちゃいちゃするな』って言うんだろ。おまえも一度彼女を作ってみろよ、俺の気持ちがわかるぜ」
長門「ただの迷惑」
古泉「同感ですね、人目を気にしてください」
キョン「うぅっわかったよ」
 
部室のドアが開く音がしました。SOS団設立時からときどき部室に来るあの人です。
 
朝倉「また来たわよ団長さん」
古泉「こんにちは朝倉さん。ゆっくりしていってください」
朝倉「ふふっ最近はバイトはないの?」
古泉「バイト・・・ですか?昔からやってませんが?」
朝倉「あら、そうだったわね。それよりなんか遊びましょうよ」
みくる「あっじゃあみんなで人生ゲームでも」
長門「ウノ!」
みくる「えっあの長門さん?」
長門「ウノがいい、ダ・メ?」
みくる「ひぃ!わっわかりましたみんなでウノしましょう!」
キョン「まあかまわないが、長門。みくるは俺の嫁だ、あんまり恐がらせないでくれ」
朝倉「熱いわね」
長門「ネツと書いてアツい」
みくる「あぅぅぅ」
古泉「ですからSOS団内では・・・もういいです」
朝倉「ところでSOS団って何の略称なの?」
キョン「ああそれなら『世界を』『おおらかに』『する』団、略してSOS団だ。まあ四人だけですが」
みくる「そういえばこの団って誰が考えたんでしたっけ?よく思い出せないんです」
キョン「あっ俺も。古泉じゃないか?」
古泉「いえ違います。しかし今が幸せですからいいじゃないですか」
みくる「そうですね」
 
朝倉さんは読書を再開した長門さんの前に移動して話しかけてます。あれウノは?
古泉君とキョン君はなにか議論してま・・・あうあう恥ずかしいです!
朝倉さんと長門さんは小さい声で話してたので、よく聞こえなかった。
 
朝倉「無事成功したわね」
長門「感謝する。しかし」
朝倉「言いた・・・・かるわ。それ・・てはジョウ・・・ネンタイは問題に・・ないわね」
長門「スズ・・ヒにおとる、あの・・くたいしょうも・・の?」
朝倉「・・サキっていっ・・ら。・・・・いな情報をも・・・ね、なにせろっ・・くにんぶんよ。・・・たりの存在・・・・ほうはすべてせ・・・・・らったわ」
長門「本当にこれでいいの?」
朝倉「・・・んたいがき・・よ」
 
最後の長門さんの言葉だけははっきり聞こえました。
話しが済んだようで、朝倉さんは古泉君のところに行きました。
 
本当にこれでいいの、とはどういうことなんでしょう?
―――――en・・・・・・
 
・・・・・・
今回の件について、私はパーソナルネーム朝倉涼子に直接聞くことにした。
朝倉涼子が近づいてくる。
 
朝倉「無事成功したわね」
長門「感謝する。しかし」
朝倉「言いた(いことはわ)かるわ。それ(に関し)ては情(報統合思)念体は問題に(して)ないわね」
長門「涼(宮ハル)ヒに劣る、あの(観そ)く対象も(使った)の?」
朝倉「(ああ佐)々木って言っ(たかし)ら。(あの二人は莫だ)いな情報を持(ってるから)ね、なにせ六(百お)く人分よ。(とりあえずふ)たりの存在(も含めた情)報は全て世(界の改変に使わせても)らったわ」
 
事後処理についてはよくわかった。
彼女が存在しない世界に改変せざるを得なかった。でも私は納得できない。
 
長門「本当にこれでいいの?」
朝倉「(情報統合思ね)ん体が決(めたこと)よ」
 
今回の事件。あまりにも大きすぎる変化。
私は何を学んだだろうか。
―――――end――――――
 


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