これは「涼宮ハルヒの改竄 VersionH」の続編です。


プロローグ

あたしはこの春から北高の生徒になる。

そして明日は待ちに待った入学式だ。

担任教師からは「もっと上の進学校へ行け」と言われたがそんなのは耳に入らなかった。

親父と母さんは「ハルヒの人生なんだからハルヒのしたいようにするといい」と言ってくれた。

あたしにはどうしても確かめたい事があった。

それは「あいつ」と「ジョン・スミス」の関係。

もしかしたら「あいつ」も「ジョン・スミス」もいないかもしれない・・・

何も無い退屈な3年間の高校生活が待っているかもしれない・・・

ハンカチを返せないかもしれない・・・

でも、「あいつ」とはまた会えるという予感は3年経った今でもはっきりしている。

「あいつ」と会ったらまず何を話そう・・・

「あいつ」と3年間の高校生活で一緒になにをしよう・・・

なんて言ってハンカチを返そう・・・

そんな期待と不安が頭を支配して全然眠れない。

もし「あいつ」がいたら同じクラスだといいな。

もし「あいつ」が同じクラスだったら席はあたしの前がいいな。

そんな「もし」をいくつも考えていたらあたしはいつの間にか眠っていた。





とてもいい夢を見ていた。

どうせなら、現実と入れ替えたいと思うような夢だった。

なんで、夢だって分かるのかって?

だって、それは現実ではありえないことだったから・・・

だから夢だって分かるのよっ!

どうやら夢というのは一番いいところで終わるらしい。

あたしが目を醒まし、起き上がると目覚まし時計が床に転がっていた。

寝ぼけながら投げ飛ばしたらしい。

あたしってこんなに寝起き悪かったかしら?

時計を拾って時間を確認する。

そこで頭が一気に覚醒した。

ヤバッ、寝坊したっ!!



「涼宮ハルヒの入学 version H」



慌てて部屋を出て階段を駆け下りたあたしを母さんが出迎えた。

「あらあら、ハルちゃんおはよう。女の子が朝から階段でダッシュしちゃダメよ?」

「おはよう母さん、次からは気を付けるわ。って今はそれどころじゃないのっ!!寝坊しちゃったのよっ!マズい、このままじゃ完全に遅刻よっ!どうしよ~」

も~、どうしてあいつに会えるかもかもしれない大事な日にこんな大ポカかますのかしらっ!!

あたしが地団太を踏んでいると母さんがあたしの肩を叩きながら言ってきた。

「まぁまぁ、ハルちゃん落ち着いて。今日は私たちも式に参加するからお父さんの車で一緒に行くって言ったでしょ?だから、まだ時間に余裕はあるから早く準備しちゃいなさい。いつまでも地団太踏んでるとホントに時間なくなるわよ」

あ、そうだ。

今日は親父の車で行くから時間に余裕があったんだ。

「でもハルちゃんが寝坊なんて珍しいわねぇ。というかハルちゃんが学校へ行くのにワクワクするなんてあの高校には何かあるのかしら?」

それを聞いたあたしは、顔に血が昇ってくるのを感じた。

母さんの勘は鋭い。

「べ、別に、何にもないわよっ!!ただ、普通に寝坊しただけよっ!!」

って言ったって顔が真っ赤になってたら説得力ないわよね。

すると母さんはあたしを後ろから抱きしめた。

「今度は、あの子と同じ学校になれるといいわね」

あたしにはそれが恥ずかしくて、小さく頷く事しか出来なかった。

あたしには、どうしても振り払えない不安があった。

あいつ、あたしのこと覚えてるかな・・・

もし忘れられてたら辛いな・・・

「もし、あの子がいたら綺麗になったハルちゃんをたっぷり見せ付けてやっちゃいなさい。ゴリゴリ押して勝利を掴むのよっ!!」

母さんの言葉から沢山の勇気をもらった。

あたしはその言葉に感謝を込めて、今度は大きく頷いた。

「母さん、親父はどこに居るの?」

そういえば、まだ親父に会ってないわ。

「今、車を洗車しに行ってるわ。あと10分位で帰ってくるって電話があったからサクサク準備しちゃいなさいね」

あたしは時計を見てまたパニックになった。

あと15分以内に準備を済ませないとホントに遅刻だわ。

高速で身支度を済ませたあたしは、新しい制服に身を包み洗面所の前に立っている。

さて、今日はどんな髪型にして行こうかしら。

このまま下ろして行ってもいいんだけど、なんとなく括りたい気分なのよね。

よし、今日はポニーテールにしよう。

あたしはお気に入りの黄色いゴムバンドで腰まである後ろ髪を括り立派なポニーテールをつくった。

「ハルちゃ~ん、そろそろ行かないとホントに遅刻するわよ~?」

「は~い、今行くわっ!!」

外に出ると親父と母さんがスーツ姿で立っていた。

「おはよう、ハルヒ。晴れてよかったな」

「おはよ、親父。ホント最高にいい天気ね」

あたしは雲1つないそらを眺めた。

「じゃあ、時間も無いしそろそろ行くとするか」

あたし達は、車に乗り込むと北高へ向けて走り出した。

道路は空いていて予定よりも早く到着しそうだった。

あたしは助手席から北高へ続く長い長い坂道を眺めていた。

これからはこの坂を毎日往復しなきゃならないのね・・・

入試の時は、ハイキング気分が味わえていいなぁと思ったけど、毎日だったらうんざりしそうだわ。

そんな事を考えていたら北高の正門に到着していた。

そこであたしと母さんが車から降りると、親父は指定された駐車場へ車を置きに行った。

あたしと母さんは親父を見送ると受付へと向かった。

受付には40代位の用務員がいて、あたしはそこで名前と受験番号を答えた。

「はい、では涼宮ハルヒさんのクラスは1年5組になります。座席表は教室の入り口に貼ってありますから教室に入る前に確認して下さい。保護者の方は体育館の方にお席を用意しておりますのでそちらの方でお待ち下さい。本日は御入学おめでとうございます」

「ありがとうございます。じゃあ母さん、行ってくるわ。また後でね」

「ええ、ハルちゃん。いってらっしゃい」

あたしは用務員にお礼を言うと、母さんと別れ1年5組の教室を目指した。

教室の前に着くとあたしは自分の名前を探す前に「あいつ」の名前を探した。

けど、あたしは「あいつ」の名前を知らない・・・

なにやってんだろあたし・・・

あたしは気を取り直して自分の名前を探し出すと、教室に入り席に着いた。

教室をぐるっと見渡すと、クラスの机のほとんどに誰かが座っている。

やっぱり「あいつ」はいないのかな・・・

あたしの心を嫌な予感がどんどん支配する。

いえ、もしかしたらクラスが違うだけかもしれないわ。

きっとそうよ、後で探しに行こう。

あたしの心が期待と不安の間を揺れているとこのクラスの担任教師が入ってきた。

「みんな、おはよう。このクラスの担任になった岡部だ。これから1年間よろしく頼む。色々話をしたいがそろそろ式が始まるので廊下に出て番号順に1列に並んでくれ」

担任教師の話を全く聞いていなかったあたしは、ぞろぞろと教室を出るクラスメイトに気づいて慌てて教室を出た。

体育館に着いてパイプ椅子に座った後、あたしは他のクラスの中に「あいつ」がいないかキョロキョロと探していた。

周りのやつらから見れば、あたしはかなり変な奴だったでしょうね。

でも、そんな事を気にしてる余裕は今のあたしに無かった。

もし、「あいつ」がいなかったらこの学校に来た意味が無い。

もし、「あいつ」がいなかったらあたしの疑問は一生解けない。

もし、「あいつ」がいなかったらまたハンカチを返せない。

もし、「あいつ」がいなかったらまたあたしは一人ぼっちだ。

もし、「あいつ」がいなかったらあたしは寂しい。

幾つもの「もし」を重ねていたら式は終了していた。

その後、来た時と同じくクラス毎に並んで退場し、あたしは式が始まるまで座っていたあたしの席に座っていた。

担任教師が全員が席に着いたのを確認すると教卓から話を始めた。

「まず最初に、1つ空いてる席があるが、そこの奴は、朝階段で転んで病院行ってから来ると式が始まる前に連絡が入っている」

初日からそんなドジするなんてどんな奴よ?

って、あたしも人の事は言えないか。

「では改めて、このクラスの担任になった岡部だ。みんな1年間よろしく頼む。俺はハンドボール部の顧問をしているので、このクラス全員がハンドボール部に入部してくれる事を期待している」

さっきからハンドボールの話ばっかね、他に話す事無いのかしら?

つまらない担任教師の話を聞きながら、未だに誰も座っていないあたしの1つ前の席をぼーっと見ていた。

初日に階段から落ちるなんてホント間抜けよね。

いい加減、「あいつ」が居ない事でいつまでもヘコんでいるあたし自身にイライラしてきた。

でも、あたしにはどうにも出来ない。

「あいつ」と会ったあの日からまた「あいつ」と会うことだけを目標にしてきたのだから・・・

「あいつ」と会って変わったあたしを見てもらいたかった。

七夕の日に会ったジョン・スミスと「あいつ」がどういう関係なのか確かめたかった。

でも、どうやらそれも叶いそうにないな・・・

あの日からどんな事があっても絶対に流さなかった涙が滲んでくる。

「じゃあ、まずはじめに1人1人自己紹介をしてもらおうかな。出席番号1番から順番に頼む」

どうやら担任教師のハンドボール話が終わったようで、クラスメイトの自己紹介が始まった。

どいつもこいつも同じような事しか言わない。

趣味は読書とかスポーツとか、もっと具体的な内容まで言えばいいのに。

全く、オリジナリティが欠落してるわね。

なんて、クラスメイトの評価をしていたらあたしの番になった。

よし、オリジナリティってもんを見せてやるわ。

全員、耳の穴かっぽじって聞きなさい。

あたしは勢い良く席を立った。

「東中出身。涼宮ハr「遅れてすいませんでした~」

突然のやる気の無い声があたしの勢いを全て奪った。

あたしは自分の勢いを奪われたイライラとあたし自身へのイライラの両方でかなりプチっときた。

「あ~、とりあえずスマン」

反省の色が全然見えないので鉄拳制裁してやろうとそいつを睨みつけた。

ら、そこにはバツが悪そうな顔をしたジョン・スミスが立っていた。

「ちょっとジョン、なんであんたがここにいるのよ?」

「誰だ?そのジョンというのは?頼むからこれ以上変なあだ名は増やさないでくれ。はるひ」

「じゃあ、あんたはあの時の「あいつ」なの?」

「あぁ、久しぶりだな」

「ホントにね。ってか何であたしの名前知ってんのよ?」

「それは話せば長くなるんだが、とりあえず後にしよう」

は?なんで?と頭に?マークを浮かべていると「あいつ」は手で周りを見るように促してきた。

あたしはグルッと教室を見渡すと、クラスメイトが苦笑いしていた。

あたしはそんなのを気にしないけどこれから幾らでも話が出来るんだから今は我慢する事にした。

「あいつ」は担任教師に報告を済ませると、あたしの前の席に着いた。

階段から落ちたドジってこいつだったのね。

「じゃあ、今来た○○○○には最後に自己紹介をしてもらう。悪いが涼宮もう一回頼む」

すっかり勢いを無くしたあたしは

「東中出身。涼宮ハルヒ。趣味は不思議探索です、以上」

という中途半端な自己紹介しか出来なかった。

あとで「あいつ」にたっぷり文句を言ってやるわ。

その後、「あいつ」の自己紹介を期待していたんだけど、平凡な自己紹介だった。

ちょっと、がっかりね・・・

でも、あたしは「あいつ」の事何にも知らないのよね。

これから、「あいつ」の事いっぱい教えてもらおう。

そして、「あいつ」にあたしの事も知ってもらおう。

あの日から、頑張ってきた事を聞いてもらいたい。

今日の予定は全て終わったみたいでSHRの後解散になった。

あたしが「あいつ」に文句を言ってやろうとした時、他のクラスメイトが「あいつ」に話しかけていた。

「キョン、朝から災難だったみたいだね~」

「あぁ、全くだ」

どうやら「あいつ」のあだ名はきょんっていうみたいね。

あたしがそう呼んでも怒らないかな?

「キョン、この後はどうするの?」

「あぁ、ちょっと用事がある」

「そうなんだ、じゃあまた明日ね」

「あぁ、じゃあな国木田」

キョンが友達を見送るとこっちを見てきた。

「な、何よ?キョン」

それを聞いたキョンは少し驚いた顔をした後「やれやれ」と言いながら溜息をついた。

あたしにはそれがなんだかくすぐったかった。

「お前も、俺をその名で呼ぶのか?出来たら勘弁してもらいたいのだが」

「いいじゃない。キョンの方が愛嬌があるんだから」

「はぁ、もう好きにしてくれ」

もっと、言いたい事が沢山あったはずなのに、何も頭に浮かんでこない。

「そうするわ。でもホントに久しぶりだわ。キョンはあんまり変わってないわね」

背が伸びて格好良くなったなんて今のあたしにはとても言えそうにないわ。

「ははは、そうかもな。ハルヒはとっても綺麗になったな。一瞬誰か分らなかったぞ」

しばらく何を言われたのか理解できなかった。

理解したらぐんぐん顔が熱くなるのが分かった。

キョンはあたしの様子を見て、自分が何を言ったのか理解したらしい。

キョンも顔が真っ赤だわ。

全く、初日から何してるのかしらあたし達・・・

その時、あたしの携帯が鳴った。

発信は母さんだった。

キョンの方を見るとキョンの携帯もなっているようだわ。

あたしはキョンの方を見るとキョンもこっちを見てきて無言で頷いた。

あたしも頷き返すと電話に出た。

もうちょっとキョンと話がしたかったな。

「もしもし、母さんどうしたの?」

「あ、ハルちゃ~ん。お疲れ様~、今から昼ごはん食べに行くから早く降りてきなさい」

「分かったわ。今から行くわ、じゃあ切るわよ」

「ちゃんと、あの子と一緒に出てくるのよ。じゃあ待ってるわね」

「ちょ、母s「プチ」

ツー ツー ツー

何で母さんがキョンがいるって知ってるんだろ?

隣を見るとキョンがあたしと同じような事を考えてる様な顔をしていた。

キョンはまた「やれやれ」と溜息をついた。

あたしとキョンは横に並びながら昇降口へと向かった。

昇降口を出ると、親父と母さんが知らない人と話をしていた。

誰かしら?親父達の知り合いかしら?

ふと隣にいるキョンを見てみたらポカーンと口を開けていた。

「キョン、どうしたの?」

「あれ、お前のとこの両親だよな?」

「うん、そうだけどそれがどうかしたの?」

「隣に居るのは俺の両親と妹だ」

「ふーん、そうなんだ。って、えぇ、な、何であたしの両親とあんたの両親が仲良く話してんのよ?」

「俺にもさっぱり分からん」

するとキョンの妹ちゃんがこっちに気づいたみたい。

「あ~、キョン君達来たよ~」

「や~っと来たの。もう、ハルヒちゃん可愛いから2人の世界に入っちゃうのは分かるけど、少し位周りの事も考えなさいねキョン」

「ですよね~。でもキョン君もあんなに格好良いからハルちゃんが夢中になるのも分かるわ。あたしもあと20歳若かったらキョン君狙ってます」

等と母さんとキョンの母が冷やかしてくる。

「ちょ、何勘違いしてるのよっ!?あたし達はそんなんじゃないわよ」

「「ふ~ん」」

「あ~もう!!黙ってないでキョンも何か言ってやりなさいよっ!!」

「スマン、ああなると母さんは止まらないんだ。諦めてくれ」

「あんた、苦労してるのね。親からもあだ名で呼ばれてるし」

「分かってくれるか?」

「えぇ、あんたに送ってもらった日からあたしの母さんもあんな感じだから・・・」

「お互い苦労するな」

「全くね。でも、あんたとなら誤解されてもあたしは嫌じゃないけどね」

「え、それはどういう意味だ?」

「なんでもな~いわよっ!!」

あたしはキョンを置いて母さん達の所へ走っていった。

その後、あたしの家族とキョンの家族とで合同入学祝いをやったわ。

「高校生にもなって酒も飲めんでどうする~」

とかいって親父がキョンに酒を勧めている。

キョン父が止めてくれるだろうと思っていたけど悪ノリして親父と一緒に飲ませようとしている。

母さんたちは母さんたちで

「早く孫の顔を見たいですよね~」

とか言ってるし。

孫って何よ?

幾らなんでも気が早すぎるわよ。

母さん達がアテにならなそうなのであたしは単身でキョンを助けることにした。

テーブルに置いてあった水を一気に飲み干してあたしは親父達に言った。

「ちょっと、あたしのキョンになにしてんのよっ!?いい加減あたしに返しなさいよっ!!」

って何言ってんのあたし?

何か頭回らないし、ぼーっとするわ。

親父達がポカーンとしている間にキョンは抜け出したらしく、慌ててあたしの手を引いて部屋から出た。

キョンは中庭に出るとあたしを備え付けられたイスに座らせた。

こうしてるとあの時みたいだな・・・

と思っていたらキョンが話し出した。

「どうしたんだ、いきなり?あんな事言うからビックリしたぞ」

「ん、ごめん・・・」

キョンは俯いているあたしの頭をやさしく撫でてくれた。

あたしは恐る恐る顔を上げてキョンを見上げた。

そこにはとっても優しい微笑があった。

「もう、すっかり元気になったみたいだな。これでも結構心配してたんだぞ?」

「ホントに?ホントに心配してくれたの?」

「あぁ、ホントに心配したぞ」

「ありがと・・・」

あたしはキョンに抱きついていた。

キョンは驚いていたけど、それでもあたしの頭を撫でてくれた。

あたしがキョンの胸元から顔を覗きこむとキョンは何かを決意したらしくそっとあたしの顔に自分の顔を近づけてきた。

あたしも応えるようにキョンの首に両腕を回した。

そしてあたしは目を閉じてキョンを待った。

「あ~、キョン君とハルヒちゃんがちゅーしようとしてる~」

突然の声に驚いたあたしとキョンはばっと離れて声がした方を凝視した。

そこにはキョンの妹ちゃんが指を指しながら立っていた。

「妹よ、そこで何をしている?」

「ん~とね、お母さん達がキョン君達帰ってくるの遅いから呼びに言ってきてって」

「そうか、分かった。今から行くから先に戻ってなさい」

「うん、分かった~」

キョンの妹ちゃんが足早に中庭を出て行ったのを見計らってキョンが話掛けてきた。

「だ。そうだ。残念だが次回に持ち越しだな」

「そうね、ホントに残念だわ」

「仕方ない。戻るぞ」

「えぇ、そうしましょ」

と立ち上がろうとした。

けどうまく立ち上がれなかった。

転びそうになったけど恐怖は無いわ。

だって、キョンが抱きとめてくれるから・・・

「やれやれ」と溜息をつきながら

「大丈夫か?またおんぶしてやろうか?」

「大丈夫、歩いていけるわよ」

あたしは真っ直ぐ歩けないほどフラフラしていた。

次にくる台詞はなんとなくだけど分かった。

「なんなら、お姫様抱っこでもいいが?」

「そうね、そうしてもらうわ」

そう言ったらキョンはあっけにとられてたわ。

しばらく考えてたみたいだけど、ついに覚悟を決めたらしい。

「よし、いくぞ」

そう言ってあたしを持ち上げた。

あたしはもうドキドキしすぎて声も出せない。

「スマンが、慣れてないから首に掴まっててくれるとありがたい」

あたしは言われた通りに首に両腕を回しながら言葉を無理矢理搾り出した。。

「自分からするっていったんだから、しっかりしなさいよね」

「おう、任せとけ」

部屋に向かってる最中あたしはキョンに聞いた。

「ねぇキョン、あたし変われたかな?頑張れたかな?」

「お前が自分で変われたって、頑張れたって思うのなら達成出来てるんじゃないか?」

「うん、そうだよね。でもね、あたしを変えてくれたのも、頑張れるようにしてくれたのもキョンなんだよ」

「そ、そうなのか?」

「うん、そうだよ」

「そうか、それは光栄だね」

「だからキョン、これからずっとよろしくね!!」

「おう、こちらこそよろしくな」

部屋に到着するとみんなビックリしていた。

まぁ、当然よね。

あたしはキョンの腕から下ろされて残念だと思っていたら、キョンにハンカチを返すのを忘れていた事に気づいた。

あたしは制服のポケットからアイロンをかけたハンカチを取り出した。

「キョン、これ返すわ。いままでありがと」

「ん、あぁ、これか。なんだったらずっと持ってていいぞ」

「ありがと。でも、もう必要ないわ。だって・・・」

「だって?」

「これからはずっとキョンと一緒なんだからっ!!」

fin



エピローグ


どっちの両親もベロンベロンでもう帰れそうにないわ。

キョンの家はこっから近いみたいだけどあたしの家は結構距離がある。

どうしたものかしらと悩んでいたらキョンの母がとんでもない事を言い出した。

「涼宮さん、今日うちに泊まっていったらどうですか?」

「えぇ~、いいんですか~?ハルちゃ~ん、どうしよっか~?」

「だ、駄目に決まってるじゃない。何言ってるのよ?」

「ハルちゃんもあぁ言ってる事ですし、お世話になりま~す」

「やったぁ、じゃあ、そろそろ行きましょうか?ハルヒちゃんはキョンの部屋に泊まってね」

「人の話をちゃんと聞け~っ!!」



エピローグ2


キョンの部屋にて

「キョン、ホント迷惑かけてごめんね」

「もう気にすんな。そもそも迷惑だと思ってねぇよ」

「うん。ありがと」

「さぁ、もう寝よう。俺は疲れた」

「ぅん」

「ハルヒがベッドを使ってくれ。俺は床で寝るから」

「ぇ?一緒に寝てくれないの?」

「いや、流石にそれはマズいだろ、色んな意味で」

「あたし、枕替わると眠れないのよね」

「だからなんだ?」

「腕枕してくれたら眠れる気がする」

「・・・分かった。ハルヒがそうしたいならそうしよう」

「ホント?ありがとキョン大好きっ!!」

あたし達は今同じベッドで横になっている。

逆にドキドキして眠れないわ・・・

「こんなに早く夢が現実になるとは思わなかったわ」

「そりゃ奇遇だな。俺もだ」

え?今のどういう意味?キョンも同じ夢を見てたの?

だったらなんかうれしいな。

なんて思うのは一人ヨガリかな?

なんか一緒にいるだけじゃ我慢できなくなってきた。

もっとキョンを感じたい・・・

「ねぇ、キョン。さっきの続きしよ?」

こうして二人っきりの夜は更けていった・・・

番外編

ver バカ親’S

キョンの部屋の前

「ねぇ、キョン。さっきの続きしよ?」




H母「ずっと他人と距離を置いていたハルちゃんがあんなに積極的になって・・・母さんもう死んでもいいっ!!」

K母「ちょ、涼宮さん、声大きいですよ。これじゃ気づかれちゃいます」

H父「そうだぞ母さん、ここからがいい所なのに邪魔しちゃ悪いだろ?」

H母「分かってますよ、でもお父さんだって娘があんなに立派に成長してくれて嬉しいでしょ?」

H父「そりゃ、嬉しいさ。あんなに格好いい彼氏つくってまさしく青春って感じだな。そう思いますよね?」

K父「そうですね、でもハルヒちゃんはうちのにはもったいない位です。」

K母「ホントよね。キョンにはもったいないわ」

H母「そんなこと言わないで下さい。キョン君以外の子にハルヒを上げる気はないんですから!ね、お父さん?」

H父「そうですよ。十分ハルヒと渡り合っていけます。あの子が私以外の異性であんなに楽しそうに話すのはキョン君だけなんですよ」

K父「そう言ってもらえると光栄です。これからもうちのをよろしくお願いします」

K母「あたしからもよろしくお願いします」

H母&H父「「こちらこそ」」

その時、勢いよくドアが開いた。

ハルヒ&キョン「さっさと寝ろ~っ!!雰囲気ぶち壊しだ~っ!!!!」



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