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涼宮ハルヒの逆転
 
 
太陽が元気に輝いてるにも関わらず、今日は気温が低い。そう冬だからである。
放課後相変わらず文芸部室で遊びもとい団活動している五人。
俺は古泉と朝比奈さんでじじ抜きをし、長門は本を読んでいる・・・あれは人体解剖の本か?でハルヒはネットで動画を見ているようで、さっきから高い女性ボイスがうるさい。
古泉がビリという当たり前と化した結果でじじ抜きを終了したとき、団長様が騒ぎはじめた。
 
ハルヒ「キョン!あんたこの女の子好きでしょ!」
 
ちょっと来なさい、とばかりに魔手を招いてきた。仕方なく立ち上がりハルヒの見ている動画を見に行った。
動画にはやけにうるさい女と涙目なか弱い男が映っていた。どうやら前者のことを言ってるようだ。
 
ハルヒ「主人公のことを思い心を鬼にする女の子。あんたにはこういう子のがお似合いよ!」
 
いーや朝比奈さんのような可憐な女子が好きだ。ておい古泉、なに笑ってんだ?
 
キョン「俺は可愛くて大人しい同級生と付き合いたい」
みくる「ロマンティストですねぇキョンくん」
 
いやですね朝比奈さん?さりげなく「人に夢と書いて」ということを言わないでくださいよ。
 
朝比奈さんの嘲笑を一身に受けながらハルヒの方に目をやると
 
ハルヒが俺を見たまま目を見開いて硬直していた。
 
キョン「ハルヒ?」
ハルヒ「・・・そうだったの」
 
なにゆえ落ち込む?
そのとき本を閉じる音が聞こえた。
 
ハルヒ「まあいいわ。とりあえず解散!」
 
一気にテンション戻しやがった。
帰り道、鈍感ですねと古泉に言われた。俺がなにをした!
 
これから起こる事件は俺が悪かったのだろう。だがなあ宇宙人に未来人に超能力者、俺にだって選ぶ権利があっても・・・まあ俺は自分の意志で決めたから良いのだが。
 
次の日いつもどおり妹にたたき起こされた。いつもどおりだらだらと飯を食べた。いつもどおり登校直前に教科書の類いをバックに積めた。
つまり俺は学生としてはダメ人間なわけだ。
そしていつもどおり玄関のドアを開けると、いつもどおりではない光景を見た。
なんとハルヒが俺の目の前にいる。
 
キョン「どうしたんだ?荷物持ちならお断りだぞ」
ハルヒ「えと・・・おはようございます」
 
俺にカミナリが走った。なんでハルヒが手もじもじさせて、一般人のセリフを言ってんだ!?
 
ハルヒ「あっ荷物持ってもらえるのでしたらその・・」
 
微妙に図々しい所は変わらないな。だがこんな弱気な美少女の頼みとあれば
 
キョン「わかった。カバンよこせ」
ハルヒ「あっありがとうございます」
 
顔赤くしないでくれ、理性がはじけ飛びそうだ。てか本当に同一人物なのか?
カバンを受け取りつつ聞いてみた。
 
キョン「名前は?」
ハルヒ「えっ?涼宮ハルヒです。でも以前から知って」
キョン「部活は?」
ハルヒ「SOS団の団長ですけど?」
キョン「バスト・ヒップ・ウエストは?」
ハルヒ「えっとたしか・・てちょっとキョンくん!」
 
最後の解答以外で判断するとたしかにあの暴君らしい。あとで古泉に聞くか。
てなわけで俺とハルヒは登校した。
ハルヒと黙ったまま肩並べて歩くのは初めてだな。たまにハルヒが俺を見ては地面を見ていた。急に頭をなでてやりたくなったが、我慢して歩いた。
 
授業中ハルヒは寝ずに起きていて、6教科の教師全てを驚かせた。ハルヒが本当に優等生に見えたひと時である。
 
昼休み、俺はハルヒからの誘いで昼食を共にした。だが弁当をもらえるわけではなく、ただ机をくっつけて黙って各々の弁当を食べるだけだったが。たびたびハルヒがハンカチを取り出してこちらを見ては戻してたが、どうしたんだろうね。
 
放課後俺は急いで部室へ向かった。ハルヒは英語教師に質問してから行く、という。今日は英語の授業がなかったな。英語教師がハルヒの変わりぶりに驚愕することは間違いない。
この一連の変化を解決すべく部室の扉を開けると、いきなり誰かに抱きつかれた。確認すると、小柄な体の無口少女が
 
長門「キョンくん今日は早いね~!」
 
なにがあった?
 
キョン「長門。これは一体全体どうなってんだ?」
長門「もうキョンくん!私のことは『ゆきっち』でいいよ!」
 
「消失」以来久しぶりに見た長門の笑顔に一瞬ときめいたが、長門を落ち着かせて事情を聞くことにした。
 
長門「ブーゆきっちでいいのに。なんか『ハルっち』が性格を改変したの」
キョン「おまえとハルヒをか?」
長門「私は変わってないよ~!ハルっちと『牛乳腹黒ロリ女』を変えたっぽい」
 
色んなところにツッコミしたいのだがまあいい。
 
長門「この改変について特に問題はないよ、て情報統合思念体が決定しちゃった。だからこのままキョンくんと遊ぶ~!」
 
こら抱きつくな、いやしてください、いーややっぱりだめだ!
 
「キョンから離れろ長門ーー!!!」
 
甘い誘惑に踊らされてる俺の背後から聞いた覚えのある声が叫んだ。振り向くとそこには・・朝比奈さん?
 
朝比奈「てめぇ二人っきりだからって何してもいいわけじゃなねぇぞ!」
長門「ふーんだ。陰険腹黒娘に言われたくないもんね~」
朝比奈「だから離れろって言ってんだろ長門!だいたいてめぇに陰険なんて言われたくねぇよ!」
 
俺は二人の口論に口を出せずただ呆然としていた。怒ってる朝比奈さんもかわいいです、てレベルじゃない。
 
長門「なんで私に美人局常習犯って言われたくないのよ?」
朝比奈「セリフ変わってんだろ!あんな本読んでるてめぇに言われたくはない!!」
 
そう言って指さした先を見てみると、椅子の上に一冊の本があった。なになにタイトルは「海外拷問画像集R20」?そんな本があったんだ。
驚いている俺の視界が急に暗くなった。
 
長門「見ちゃだめ!恥ずかしいよ~」
朝比奈「抱きつくな~!!!」
 
長門が俺の目を手で覆ったようだ。朝比奈さんが長門につかみかかったらしく、長門が俺から離れて朝比奈さんとケンカし始めた。
 
ハルヒ「どうしたんでしょう?」
 
いつのまにか俺のとなりでハルヒがあたふたしていた。本来の朝比奈さんポジションにハルヒが着くのか。
 
古泉「どうやら面白いことになってるそうですね」
 
おまえもいたのか。それより、女子のケンカを面白いとな?
 
古泉「たまには良いものです。今回の件は大きな改変ですが、あまり重要視する必要のない問題です」
 
むしろ楽しいです、と嫌みではなさそうな笑みを浮かべていた。
 
ハルヒ「あの二人を止めた方が」
古泉「涼宮さんがそういうのであれば止めましょう」
 
そう言うなり古泉が白兵戦中の朝比奈さんと長門の間に入った。
 
古泉「二人とも落ちつゲフグハァ!」
みくる「邪魔すんなガチホモ!」
長門「いっちゃんも敵なんだよね~」
 
あーあ左右から顔を殴られるなんてデフォなことして。
古泉は両頬を真っ赤に腫らして戻ってきた、なんか濡れ衣だとか言ってる。古泉の犠牲を無駄にせぬため、今度は俺が止めに入った。簡単に乱闘が終了した。
 
古泉「さて今回の件についてですが、先程言ったとおり重大な問題ではありません」
キョン「根拠はなんだ?」
古泉「解決方法がわかってます」
 
ほう、では教えてもらおうか。
 
古泉「ですがこの状況も面白いのでしばらく放置します、機関の許可もありますし」
キョン「なんか釈然としないが、いつでも改変を戻せるんだな?」
古泉「まあ戻すのはあなたですがね」
 
なに笑ってんだてめぇ。
 
ようやく部室に平穏が訪れたので、スマイル仮面とチェスをしよう。
だがその平穏の名前は「つかの間の休息」だった。
 
以下音声でお楽しみください。
 
みくる「はいキョンくんお茶!」
キョン「ども。いやーいつもながらおいしいです」
みくる「いっいつもやってんだからお世辞なんていらない!」
長門「なになにダークマターがツンデレ~?キョンくんはゆきっちのものなの!」
みくる「あー!?だいたいダークマターの意味ちげぇだろバカ!」
長門「あんたはまだプライベートに謎が多すぎる生命体だからいいのよ。特に深夜ね、クスクス」
みくる「こ ろ す」
ハルヒ「おっお願いですからその」
みくる「なんだ団長やろうってのか?」
長門「ハルっちは危ないから逃げて」
ハルヒ「暴力はダメです~!」
みくる「今日こそ決着つけるぞ長門!」
長門「ふーんあたしの宇宙的パワーに勝てるのかしら」
ハルヒ「えっ?宇宙?」
キョン「まて朝比奈さんに長門!おまえらそれは」
ハルヒ「今のはどういうことなんでしょうゆきっち!?」
長門「げっゆきっちピンチ」
みくる「ほんとあんたバカね」
ハルヒ「宇宙的パワーってどんな感じですか!?やってみてください!」
 
オンリー音声タイム終了。なるほど不思議の話になると積極的になるあたり、たしかにハルヒである。
 
長門「たったとえばこんなの、えい!」
 
そう言って長門はポッケからトランプを取り出すと、子供でもできる手品をした。
 
ハルヒ「わぁすごーい!」
 
ハルヒがよろこんでる。純心っていいな。その直後にどこが宇宙的パワーなんですか、とハルヒに言われて長門は愛想笑いでごまかした。
 
ハルヒ「ゆきっちは面白い人ですね」
長門「そうかな~。それより今思ったんだけど、ハルっちはさ~」
ハルヒ「えーと?そんなに見つめないで・・・」
長門「やっぱりかわいい~!大人しいときなんて興奮しちゃーう!」
ハルヒ「かっ顔が近いですゆきっち!ぃひゃぁっ!」
長門「この強調し過ぎない胸なんて特にイイ!私なんてこんなひんぬーなのに!」
ハルヒ「ひぃああくすぐってぃ」
長門「聞こえなーい!」
 
二人ともそのままでいろよ、今カメラにおさぶがあぁぁ!
 
みくる「なーにやらしい目で見てんのよキョンくん!そんなに私は魅力的じゃねーの!?」
キョン「いきなり腰に飛びげ」
みくる「そーう、じゃ今から私しか見れないように調教してやるわ」
 
いつのまにか朝比奈さんの右手にはムチがあった。あっ右手を振り上げイタッ!
 
キョン「朝比奈さん!いたいじゃギャッ!」
みくる「いいわよーもっとイイ声でさえずってキョンくん。テイッ!」
 
朝比奈さんは何度も俺にムチを打ってくる。こらーそこのかしまし娘たち!怯えてないで止めてくれ。
このままMに目覚めてしまおうか、そう思い始めたとき聞き捨てならぬ言葉をハルヒから聞いた。
 
ハルヒ「キっキョンくんはこういう女性がお好きなんですか?」
 
うおおおなんとしてでも否定をしゲフッ!
 
みくる「そうよね~キョンくん?ハイ!」
キョン「アッ―――」
 
遂には亀甲縛りされ、口にゾウキンを詰められた。えーとハルヒさん?なにもそこまで青冷めなくても?
 
ハルヒ「そうだったんですか・・・」
長門「泣かないでハルっち、ね?」
ハルヒ「ゆきっち~!」
 
ハルヒが長門に泣きついた。長門は照れながらハルヒを抱きしめて頭をなでている。だから誤解だってば!
声を出せないのでひたすら顔を横に振ったが、気づかないようだ。
あれ古泉はどこいった?そう思った直後
 
長門「じゃあ今日はカイサーン!」
 
もうそんな時間か、じゃなくて誰か助けて。ておいみんな帰るんじゃねぇ!扉を閉めるなぁ!
 
さて置いてかれてからしばらくすると、古泉が戻ってきた。閉鎖空間からの帰りか?
 
古泉「なにがあったか察しは着きます。とりあえず解放しましょう」
 
閉鎖空間は発生してません、と言われた。
 
古泉「涼宮さんは今怒ってるのではなく落ち込んでいます。今までのデータを参考にしますと、落ち込んでいる時には閉鎖空間は発生しません」
 
ようやく俺の拘束が解除された。
 
キョン「じゃあなんでおまえは消えたんだ?」
古泉「だって朝比奈さんが怖いんですもの」
 
テヘッとか言うな気持ち悪い。
それよりだ、この改変された性格ってのはあくまで「作られた」性格なんだよな?
 
古泉「正確にはある基準を基に性格を逆転させています。」
 
例えば涼宮さんは普段ゴウマもとい気が強い女性ですが、今回はとても庇護欲をそそる女性になってます。
 
古泉「ただ思考までは改変してないようで、『不思議』にはとても興味が注がれてましたね?」
 
キョン「おまえはいつから消えてたんだ?」
古泉「朝比奈さんがあなたにムチを振るい始めた時からです」
キョン「罰として明日の昼食代を払え」
 
いやです、と言われたが解答を聞く気はない。
さっきの話によると、改変された人の性格は変わるが考えることまでは変わらないらしい。つまり朝比奈さんは……。
俺が下校中朝比奈さんへの認識をひたすら上書きし続けた。
 
古泉「・・・すので、帰りましたらお願いしますね」
 
どうやらなにか話してたらしい、俺は改ざん作業で聞いてなかった。ああ、と答えておいた。
 
家に帰って夕飯食べて風呂浴びてテレビ見て歯磨きしてベッドに入った。そこ、勉強が欠けてるとか言わない。
今日一日のことを思い出す。古泉の言葉を借りると、庇護欲をそそるほどかわいいハルヒ。ちょっぴりサディスティックな朝比奈さん。少々毒舌だが人なつっこい長門。案外悪くはなかったし、むしろ楽しかった。
あれが本来の性格でないのはわかっている。ゆえにどちらが良いかと聞かれたら間違いなく俺は
 
元の性格のかしまし娘たちをとる。
 
体のあちこちが痛い俺は早めに寝ることにした。
 
痛みで目が覚めた。妹が起こしにきたのかと思っていた俺は恐怖を感じた。俺は上半身裸でパジャマのズボンを着ていた。寒いな。
 
ハルヒ「ほらほら勉強の時間よ!」
 
ハルヒがスクール水着を着て、朝比奈さんのより丈夫そうなムチを使い慣れた手で俺に振るってきたのだ。
俺は逃げようとしたが、足が動かない。いてぇ。
両足が縄で縛られ、手も後ろ手に縛られていたのだ。
急に腰に重みを感じ、うつぶせにされた。ハルヒが馬乗りになったのだ。
 
ハルヒ「さあさあ良い声でさえずりなさいキョン!あたしたちの愛を確かめるように!!」
 
そう言うとハルヒは俺に首輪をはめ、首輪に繋がれた鎖を思いっきり上に引っ張りやがった。
 
キョン「グァァッ!」
ハルヒ「もっと!上手にできたら天国と地獄を同時に感じさせてあげるわ!アハハハハハ!!」
 
暴れたくても、馬乗りされて思うように動けず息も詰まっていた。
 
しばらくその体勢でいると、いきなり足に衝撃が走った。
 
キョン「ウワアアアァァァァ!!!」
ハルヒ「そうよその調子よ!ムチなしで鳴けたら完璧よ!!」
 
そう言うとハルヒはうつぶせの俺に重なるように抱きついてきた。
 
ハルヒ「温かいでしょう。これはあたしの愛よ、キョン」
 
休憩よ、と言い俺から離れると、ハルヒは不気味に明るいこの部屋の隅でくつろぎ始めた。
もはや話す気にもなれないので縄をちぎろうと懸命に抗っていると声が聞こえた。
 
「大丈夫ですか?」
 
誰だ?そしてどこにいる?
 
古泉「ここです」
 
耳元で聞こえていることに気づいた俺が声の方向に振り向くと、今にも消えそうな小さな光る玉がいた。
 
古泉「声を出さずに聞いてください。ここは特殊な閉鎖空間です」
 
閉鎖空間は本来神人が暴れるところですが、ここは神人が存在しない代わりに神がいます。
 
古泉「これは昔あなたと涼宮さんが行かれた閉鎖空間と似ています」
 
ですが涼宮さんは世界を放棄したわけではありません。よって我々の世界が終焉を迎えることはありません。
 
キョン「長い。要約しろ」
古泉「失礼。原因はあなたが涼宮さんに性格改変を望ませたことです。一昨日は大人しい性格に、昨日は『あの』朝比奈さんのような性格にね。」
 
すくなくとも今は日付が1日進んでるんだな、とか悠長なことを考えた。
 
古泉「この事件の解決法と閉鎖空間からの脱出方法はおそらく同じです。先程も言いましたが、あなたが涼宮さんを恋愛対象として認めたことを彼女に伝えればいいのです」
 
キョン「できるかそんなこと!!」
古泉「静かにしてください、あくまでフリです」
ハルヒ「どーしたのキョン?天国地獄のお時間よ~!」
 
しまった。おまえなにを口に入れるつもりだ。モガッ!
 
ハルヒ「猿グツワ装備完了!鳴けなくなるのが嫌だけどしかたないわよね?」
 
そんな笑顔で言われても返答できねぇよ。
ハルヒはまた俺に馬乗りになった。なにやらカチッカチッという音が聞こえはじめた。なにをしてんだおまえは。
 
ハルヒ「あたしからの熱い愛のプレゼントをあげるわ!」
 
そう言うと、俺の脇に温かいものがアツッ!まさか
 
ハルヒ「どう、ロウソクは熱いでしょう?あたしの愛なんだから当然よ!」
 
ライターでロウソクに火をつけたのか。このままでは俺の身がもたない。気持ちを伝えたくても口は塞がれている。
そのまま何十分経ったのだろう、実際は数十秒だろうが。
 
ハルヒ「なんでナいてんのよキョン?」
 
ナく?鳴けないぞ、てああ泣いてんのか俺。恥ずかしいね。
ハルヒは猿グツワを外すと、俺を仰向けにして悲しそうな顔で尋ねてきた。相変わらず馬乗りだが。
 
ハルヒ「答えてよ。なんで泣いてんのよ?あたしの愛が嫌い?」
 
俺は最後のチャンスである、と直感した。覚悟を決めて言う。
 
キョン「俺は今のおまえが嫌いだ!」
古泉「えっ」
 
ハルヒが顔面蒼白になってるが気にしない。ついでにどこかから「えっ」なんて音は聞こえなかったことにしておく。
 
キョン「俺はかわいげがあって人思いの女性が好きだ。だがな、今のおまえにはかわいげどころか邪気すら感じるぜ」
ハルヒ「あっあたしのこと・・・キライなの・・・」
キョン「ああ」
 
首輪の鎖を引っ張られ、ハルヒの顔の近くに顔を持ってかれた。ハルヒの顔に一筋の涙が見えた。
 
ハルヒ「なんでよ!あんたの好みの女になったのに!!」
キョン「じゃあ聞くが」
 
俺がいつ言った?
 
そういうなりハルヒは顔をくしゃくしゃにして泣き出した。表現がどうであれ、こいつは本当に俺のことを好きなんだな。
これじゃ相思相愛じゃないか。
 
キョン「ハルヒ、おまえはなにか勘違いしてるぜ」
ハルヒ「何をよ!あたしは勝手にあんたのことを・・・」
キョン「泣くな。俺が言いたいのはな」
 
今まで通りのハルヒが良い、ということだ。
 
ハルヒ「ふぇ?えっえっえっ??」
キョン「性格なんて変える必要はない。少しワガママだけど可愛いげはあるし、なんだかんだで俺や長門や朝比奈さん、おまけに古泉のことも思って行動してたじゃないか」
ハルヒ「あっ・・・うん」
キョン「つまりなにが言いたいかっていうと、俺はえっとあのその・・ハルヒを・・」
ハルヒ「なっなによ、最後まで言ってよ・・」
 
ロウソクを押し付けられたわけでもないのに顔が熱い。ハルヒも顔を紅潮させていた。
 
キョン「い、言わなきゃだめか?」
ハルヒ「そうよ!こういうのは男からこきゃふゃくれ」
キョン「なに噛んでんだよ、笑わせないでくれ」
ハルヒ「うっうるさい!じゃあ少しじっとしてなさい!」
 
ああ、ハルヒの顔がだんだん近づいて
 
ハルヒ「ん・・・」
 
目の前には目を閉じたハルヒの顔。互いの息が混じり合う。ハルヒの唇は甘く熱い。腕を縛られたままなのが残念だ。

突如浮遊感に襲われた。直後俺はベッドに入ってることに気づいた。俺の部屋だな。服装も戻ってる。時計を見るとまだ6時30分である、じゃあお休み
 
キョン「もうそんな時間かよ!!」
 
俺が驚きで体を起こすのと同時に、妹が部屋に入ってきた。悪いな妹、今日の俺は早起きだぜ。
朝飯を食べてる間も甘い感触を忘れることはなかった。
朝飯を食べ終えた俺が部屋で教科書をバックに積めていると、電話がかかっきた。
 
古泉「おかげさまで彼女たちの性格が戻りました」
キョン「それは良かったな」
古泉「序盤で一瞬頭がおかしくなったかと思いましたが、ややこしいことを言わないでもらいたいです。ヒヤヒヤしましたよ、冬だけに」
キョン「うるせーな、ハルヒのことを考えて言ったんだ」
古泉「まあさすがにあんな甘いひと時を直視してはいませんがね、フフ」
 
あれを見られたのか!?て当たり前か、こいつは閉鎖空間にいたしな。だがな、他人に見られるのは恥ずかしいだろ。
 
キョン「コイズミクン、あとで昼飯をおごれ」
古泉「冗談ですよ。まあ今回は手っ取り早い方法をとってもらいましたが、今後はより安全策をとるよう機関で検討します」
キョン「古泉、なにか勘違いしてるぞ」
古泉「えっ?」
 
俺がハルヒのことを好きなのは事実だ。ただお互いに素直じゃなかった、それだけだ。
 
古泉「そうですか。では僕からはこうしか言えません。おめでとうございますキョンくん、そして涼宮さん」
キョン「今だけは嫌みを感じなかったぜ。ありがとう古泉!」
古泉「ただ残念ですが」
 
なんだ?前言撤回していいか?
 
古泉「涼宮さんからすれば、あの閉鎖空間での出来事を『夢』と思ってるかもしれません。だからといって現実だと伝えてはいけませんよ?」
 
ああ、そんなことか。
 
キョン「古泉。正直なところ確証はないが、あれが夢だと思われたとしてもだ」
 
もう一度正式に告白すれば、ハルヒは了承するぜ。
 
古泉「フフッ涼宮さんは力によって女性団員三人の性格を逆転しました。そして純粋な愛情であなたの気持ちを友達から恋人へ逆転させた、というところですね」
キョン「なに難しいことを」
古泉「僕は二人の恋が成就することを祈ります」
キョン「ありがとう」
 
俺が玄関のドアを開けると、目の前にハルヒがいた。
 
キョン「おー今日もか」
ハルヒ「うっうるさいわね!遅刻しないか心配に・・・じゃなくてその・・」
キョン「ありがとよ。ほれ学校行くぞ」
ハルヒ「・・・うん」
 
あのしおらしいハルヒを思い出した。ハルヒは顔を少々赤く染めて俯いていた。
登校中俺たちは黙って歩いていた。不思議とくそ寒い気温なのに温もりを感じた。
 
学校の正門辺りでハルヒが口を開いた。
 
ハルヒ「なっなんか今日最こ、最悪の夢を見たのよ」
 
笑みがこぼれてるぞ、とは言わず俺は同じように笑って言った。
 
キョン「奇遇だな、俺もさ。もしかしたら同じ夢かもな」
ハルヒ「・・・そうかもね!」
 
授業中はいつもの睡眠ハルヒに戻っていた。おいおい寝言で俺を呼ぶな、恥ずかしいだろ。英語教師が睡眠ハルヒを見て落胆してたことは内緒にしておこう。
昼休み、俺はハルヒを文芸部室に連れて行った。部室に入ると誰もいなかったが、イスにぶ厚い本が一冊置いてあった。なるほどね、ありがとう長門。
真っ赤に頬を染めたハルヒはなんだか落ち着かない様子だった。さて人生の出発点を定めよう。
 
「ハルヒ、聞いてくれ。俺はハルヒのことが好きだ」
 
 
 
幸せを手に入れた二人。私はあなたたちを祝福しよう。
幸せ。「幸せ」とはどのようなもの?
これの後日談「神の末路」へ続く。
―――――end――――――
 

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