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ハルヒの掛け声により決戦が始まった。
…。
…。
………不思議だ。何故か随分と長い時間放置されていた気分がするが……まぁ、気のせいだろう。
…。
「っと?!」
…。
雪玉が俺の顔をかすめた……ボーっとしている場合じゃない。
…。
開始と同時に雪玉の応酬が始まる。やはり人数の差のせいか生徒会側の勢いが強い……が。
…。
「ふっふっふっ、当たらなければどうって事は無いのですよ……ふもっふ!」
…。
古泉は雪玉をヒラリとかわしながらしっかりと投げ返している。
鶴屋さん、谷口、国木田、他のメンバーも問題ないようだ……が。
…。
「ふええええぇぇ」
「みくるちゃん!ほら、しゃがんでないで投げなさい!」
「怖いですうううう」
…。
朝比奈さんは予想通りと言うか何と言うか……開始早々しゃがみこんで頭を押さえていらっしゃる。
…。
「朝比奈さん、こっちへ」
「ふぇ、キョンくん?」
「ちょっと…キョン!」
…。
ハルヒの声を無視し、しゃがみこんでいる朝比奈さんの手を掴み万里の長城8号の下へと連れていく。
…。
「朝比奈さんはここでじっとしていて下さい」
「え?……でも…」
…。
後ろからハルヒの声が響く。
…。
「何勝手な事してんの!……みくるちゃん!立ちなさい、敵前逃亡は銃殺刑よ」
「待て、人には適材適所がある……朝比奈さんにはここで雪玉を作ってもらう。この勢いだとすぐに無くなってしまうからな。
どうだ?これなら敵前逃亡にはならん、大切な仕事だ」
…。
…。
…。
…。
~古泉一樹~
…。
…。
なにやら開始早々彼と涼宮さんが揉めてますね……なるほど朝比奈さんですか。
僕としては無駄にウロウロされるよりもあそこでじっとしていただくほうが助かるのですが……どうせ戦力にはなりませんし。
…。
「もっふ!もっふ!ふもっふ!!」
…。
無論観察しながらも攻撃の手は緩めませんよ、雪合戦の鬼の名は伊達ではありません。
……ん?どうやら鶴屋さんが間に入って涼宮さんも納得したみたいですね。おそらく
「あたしがみくるの分まで働くから大丈夫っさっ」
ってな感じでしょうね。
…。
「古泉一樹」
…。
ん?後ろから僕を呼ぶ声が……長門さん?
…。
…。
…。
…。
~キョン~
…。
…。
「やれやれ、やっと納得したか」
…。
鶴屋さんが間に入ってくれたおかげで何とかハルヒも納得したようだ……朝比奈さんが戦力にならない事ぐらい分かるだろうが。
…。
「下手にウロウロされて怪我でもされたら困るしな……ん?」
…。
視線の先には長門と古泉……何か話しているみたいだが。
…。
「どうした古泉、何か問題か?」
「いえ、それが…」
…。
古泉は苦笑いを浮かべ
「まぁ、見てください」
ってな感じで長門を指す……なんだ?
長門はゆっくりと雪玉を拾い、生徒会側へ投げる。雪玉は放物線を描き正確に会長へ………なに?!
会長に当たると思われた玉は他方からの雪玉により撃ち落とされた。
長門は今度は連続で投げる……が、また同じ様に全て空中で撃ち落とされる……これは…。
長門が呟く。
…。
「……喜緑江美里」
…。
え?……あ……………なるほど……な。
長門の視線の先に喜緑さんがいた。
…。
「さっきからあんな感じで長門さんの雪玉は全て喜緑さんに撃ち落とされている様なんですよ」
「すなわち喜緑さんは対長門用イージスの盾になっている訳か」
「はい、その表現が一番正しいでしょうね。喜緑さんがこちらに攻撃してくる事は無い様ですが……長門さんが完全に押さえこまれる形になっています」
…。
ん~、長門を見ると……表情はいつも通りだが。
…。
「長門さん、どうか冷静に。これは所詮お遊びですから」
…。
古泉の言葉に長門は
…。
「……大丈夫、私は冷静」
…。
と返す。
……不安だ。
普通の人には変化が無い様に見える長門の表情だが……俺にはなんとなく分かる。
長門の機嫌はかなり悪い。
…。
(よろしいですか?)
…。
古泉がアイコンタクトを送って来た。
…。
(なんだ?)
(いえ、長門さんの事ですが……マズイですね。かなり機嫌が悪そうです)
(お前にも分かるか)
(はい、最近微妙な変化に気づく事が出来る様になりました……このままだと危険ですよ)
…。
さて、どうしたものか…。
…。
…。
…。
…。
~ハルヒ~
…。
…。
「攻撃!攻撃!攻撃いいい~!!ほら、谷口、しっかり働きなさい!」
…。
戦闘開始からしばらく時間がたった。
冷静に戦局を見てみる……が。
…。
「ハルにゃん、どうだいっ」
「鶴屋さん……マズイわね、押されてるわ」
「やっぱりかい?参ったね~」
…。
参ったと言いながらも全然参ってない顔で鶴屋さんが呟く。
…。
「人数の差もあるけど何よりもアレだねっ、問題は」
「そうね、アレのせいで有効打が与えられないわ」
…。
アレとは生徒会側が作った壁だ。
悔しいけどキョン達が作った万里の長城8号よりももっと高く、そして強固……アレを何とかしないと…。
…。
「ハルにゃん」
「なに、鶴屋さん?」
「いや、キョンくんと古泉くんだけどさ、何やってんだい?なんか見つめ合ってるけど」
…。
キョン達を見てみる………ああ、また目だけで会話してるわ。
そのくせしっかり応戦してるんだから面白い…。
…。
「大丈夫よ鶴屋さん、あの二人はいつもあんな感じだから、ホモって訳でも無いから安心して」
「そうかい?なら良いんだけどさ」
…。
とにかくあの壁を何とかしないと……なにか……なにか……
そうだ!あの手があったわ!
…。
「キョン!古泉君!」
…。
…。
…。
…。
~古泉一樹~
…。
…。
(だからなんでそうなる?!どう考えてもオカシイだろそれは)
(いいえ、目玉焼きにはケチャップです。こればかりはひく事は出来ません)
(いや、醤油だ。ソースならまだしもケチャップだと? お前の味覚を疑うぞ俺は)
(それは僕の台詞ですよ。醤油?ソースならまだしも醤油ですか?あなたの味覚が僕には全く理解出来ません)
(あっ!……お前今、日本人の大半に喧嘩を売ったぞ。醤油舐めんなコラ、お前は刺身もケチャップで食べるのか? )
(なんでいきなりそんな極論に行くんですか?僕も醤油は好きですよ、ただ目玉焼きには合わないといっているまでです)
(合う合わないはそれぞれ個人個人で違うだろ、それを何合わないって決めつけてるんだお前は?)
(おや、言いましたね。最初に決めつけたのは貴方ではないですか?最初にケチャップを否定したのはあなたです……違いますか?)
(くっ……それは…)
…。
…。
…。
「キョン!古泉君!」
…。
……ん、涼宮さん?
…。
「……ハルヒ?」
「……どうやら僕達呼ばれているみたいですね……あれ?」
「……あ」
…。
ふと我に帰り今が雪合戦の途中だと言う事を思い出す。
…。
…。
…。
……何やってるんだ僕達は…。
…。
「……なんか大きく脱線してたみたいだな」
「ええ、どうやらその様で……ええと……何でしたっけ?」
「……えと…そうだ、長門だ」
…。
そう、長門さんでした。
…。
「さっさと来なさい二人共!」
…。
あ……涼宮さんがお怒りです。
…。
「いくぞ古泉」
「ええ、でも長門さんが…」
「とにかく目を離さないようにするしかない……今はハルヒだ」
「……そうですね………では長門さん、くれぐれも冷静に」
…。
僕の声にうなずく長門さん……不安だ。
…。
…。
…。
…。
~キョン~
…。
…。
「呼ばれたら3秒以内に来なさいよ」
「へいへい、悪かったな」
「申し訳ございません、元帥閣下」
…。
かなり機嫌が悪そうだな。長門と違って非常にわかりやすい奴だ。
…。
「んで、なんだハルヒ」
「なんだじゃないわ。
アレよアレ!アレを何とかしないとどうしようもないわ」
…。
ハルヒが指す方を見る。
…。
「壁か?」
「そうよ、アレを破壊しない限りどうにもならないわ」
「いや、破壊ってもな…」
…。
雪玉で破壊は無理だろうし近づいたら集中放火だろうし…。
…。
「考えがあるわ、二人共耳を貸して」
…。
…。
…。
…。
………なんて事を考えやがる。
…。
ハルヒの壁破壊プラン……なんと言うか…ハルヒらしいというか…。
…。
「……いや、それはどうかと…」
「流石にそれは……ルール的になぁ…」
「大丈夫よ。核兵器は駄目だけど生物兵器は駄目だとは聞いてないわ」
…。
確かにそうだが…。
…。
「何?反対なの?なら良いわ、あたし一人でやるから…………まぁ谷口で失敗してもまだ弾は3発あるしね」
…。
ハルヒそう言って国木田、古泉、俺を順番に見る。
…。
ビクッ!
…。
「何を言ってるんだハルヒ。必ず一回で成功させるぞ!」
「そうですよ。喜んで協力します……いえ、協力させて下さい!」
「最初からそう言えば良いのよ。
じゃ……谷口!」
…。
谷口……許せ…。
…。
「なんだ涼宮」
「あんたに重大な使命を与えるわ、これはこの戦いの命運を左右するとても名誉な使命よ」
「なんだそれは……ってキョン、古泉、何やってんだ?なんで俺に雪をまぶす?」
「いや、一応ルール的にな」
「なんだよ……ん?なんだ?なんでお前ら俺を掴むんだ」
「キョン、古泉君、狙いはあの壁の中心よ、全力でいくから!」
「おう!」
「かしこまりました!」
「ちょ……お前らまさか!」
「「「うおおおおおおおお!!!」」」
「ちょおおおお!!!」
…。
「「「F・T・A !」」」
…。
【F・T・A】
FTAとは「フライング・タニグチ・アタック」の略で俺、ハルヒ、古泉の繰り出す渾身の合体技。
要するにただ谷口を三人がかりでぶん投げるだけと言う谷口にとっては迷惑以外何物でもない技である。
……谷口頼む。なんとしてもあの嘆きの壁を打ち破ってくれ……明日は我が身…。
…。
…。
…。
…。
~会長~
…。
…。
「手を休めるな、投げて投げて投げまくれ!」
…。
俺の号令に合わせて攻撃を行う生徒会役員……完璧だ。
やはり戦いは数と優秀なリーダーできまる。
見ろ、奴らの攻撃は俺達の作った壁、万里の長城28号に完全に阻止されてるではないか!
…。
「……会長ご機嫌だな」
「ああ、あれ絶対楽しんでいるよな?」
「ところでなんで万里の長城28号なんだ?」
「しるか、あの人のセンスは分からん。考えたら負けだ」
「……そうだな、あの人結構アレだし…」
…。
「聞こえてるぞ……口よりも手を動かしたまえ」
「あ……すいません」
…。
これだから凡人は……とにかくこの調子なら勝利は間違いな…。
…。
「会長!」
「なんだ?」
「巨大な何かが飛んできます!」
「何?!」
…。
次の瞬間……轟音と共に……万里の長城28号が……。
……砕け散った。
…。
…。
何が起こった!?
…。
「い…てててて」
…。
そこには…。
…。
「……まじかよあいつら」
…。
谷口が……いた。
…。
「……くそ…普通投げるか?…………ん?」
…。
無言で俺達に取り囲まれ青くなる谷口……どうやら状況に気づいたようだな。
…。
「……あ…いや…その………失礼しました~」
…。
そう言って退散しようとする谷口……がそうはいかん。
…。
「捕らえろ!」
…。
号令と同時に飛びかかる部下達。
……程なくして谷口は縛りあげられた。
…。
「やってくれたな谷口……まさかこんな手で万里の長城28号を破壊するとは…」
「……くっ…殺せ…」
「殺しはせん……君」
「はい」
「たしか去年の体育祭で使用した丸太があったな?」
「はい、たしか倉庫に…」
「至急用意してくれ」
…。
…。
…。
「持って来ました」
…。
部下に持って来させた丸太。
そう、人一人を縛りつけるには最適な大きさだ。
…。
「会長……まさか…」
「谷口をその丸太へと縛りつけ万里の長城28号のあった場所に立てろ」
「……いや、それは…」
…。
恐ろしいものでも見るかの様な部下の視線……ふん、これが俺の本気だ。
…。
「いいからやりたまえ!」
…。
…。
…。
「いい姿だな谷口」
「くっ…」
…。
谷口は丸太に縛りつけられ俺達の新たな壁となっていた。
……これで奴等も攻撃を躊躇するだろう。
…。
「……会長」
「なにかね?」
「これは……その…」「なにか?反対だとでも言いたいのかね?卑怯だとでも」
「いえ……そうではなく」
「なら黙っていたまえ」
「……はい」
…。
こいつらは甘すぎる。
…。
「みんな!俺に構わず攻げ……うぐっ!」
…。
なに?!
…。
「会長!猛攻が始まりました」
…。
はぁ?!……な!?奴等…。
…。
「会長!奴等どう見ても谷口を狙ってます!」
「なんか顔は100点とか言ってますよ!」
…。
…。
…。
…。
~キョン~
…。
…。
「いい、みんな!一番点数の低い人がこの後奢りだからね!顔は100点、それ以外は50点よ!」
「もっふ!もっふ!もっふ!」
「顔!顔!顔!!」
「えい!えい!えい!」
…。
ハルヒの突然の提案により昼食を賭けた的当てゲームが始まった……冗談じゃねぇ、春休み初日から散財してたまるか!
うりゃ!……よし、100!せいっ!……くそ、50か!
…。
…。
…。
…。
………ってかおい!!!
…。
「待て待て待て!お前らストーップ!!」
…。
俺の制止により攻撃が止まる。
…。
「お前ら鬼か!あんまりだろこれは!?」
「あ……申し訳ございません…つい…」
「いやあ…ついつい…お姉さん反省だよっ」
「……あんたもノリノリだったじゃない」
…。
うるさい知らん。
あまりに谷口が哀れすぎる。
…。
「……酷いよみんな…谷口をなんだと思ってるんだよ。僕の友達なんだよ」
…。
国木田……目に涙を浮かべて怒りをあらわにしている……すまん、もう少し早く止めるべきだった。
…。
「まぁ……たしかに少しやり過ぎね…ごめん」
…。
おお!ハルヒが素直に謝るとは……やるな、国木田。
…。
「とりあえず採点係のみくるちゃん、点数は?」
「ええと……トップは2050点で……国木田くんです」
…。
ちょ!!国木田あああああ!!!
…。
…。
…。
…。
~会長~
…。
…。
……なんて奴等だ。
…。
「会長」
…。
ん?
…。
「絶対こうなると思いましたよ」
「大体仲間を投げる様な奴等ですよ?これくらい予想できなかったんですか?」
…。
……そういう事だったのか。
…。
「……いや、その……すいませんでした」
…。
素直に謝るしかない。
…。
「こんなんじゃ先が思いやられますよ」
…。
厳しい言葉が続く。
…。
「はい……おっしゃる通りです。以後気をつけます」
…。
もう勘弁してくれ。
…。
…。
…。
…。
~キョン~
…。
…。
「涼宮!キョン!お前らみんな敵だ!俺はこっちに味方するからな!!」
…。
谷口の声が響く。
…。
「谷口の奴裏切ったわよ!」
…。
当然だハルヒ。
…。
「裏切るだなんて見損なったよ谷口」
…。
いや、お前が言うな国木田。
…。
まぁ、なんだかんだで一人失ったが敵の壁は崩壊した……これからが本番だ。
…。
「あの、よろしいですか?」
「なんだ古泉?」
「いえ、長門さんですが……」
…。
おっと、忘れてた!
一番目を離してはならない人物がいたんだったな。
さて様子は………。
…。
長門は再び雪玉を投げる、投げる、投げる。
……いくつ投げた?
…。
「48発ですね」
「見えたのか?!」
「はい……しかし」
…。
古泉の表情が暗い……全部……撃ち落とされのか。
喜緑さんはニッコリと長門に微笑みかけている……喜緑さん、マズイですって。
…。
「……」
…。
……いかん。
この長門から広がるプレッシャーは……。
…。
「非常にマズイ状態です」
「ああ、かなりストレスが溜まっているみたいだな……かなり喜緑さんにイラついているようだ」
「イラついてどころではありません!このままでは出ますよ……アレが…」
「アレ?」
…。
アレって何だ?
…。
…。
…。
…。
~古泉一樹~
…。
…。
長門さんのアレとは……アレです。
今の長門さんには過去のある出来事によりリミッターがありません。
そう、長門さんには喜緑さんよりももう一つ上がある……それは……。
…。
「……喜緑江美理…許さない」
…。
長門さんの瞳が紅く染まって行く。
……出ましたね。
…。
「おい、これってあの世界で見た…」
…。
彼も気づいた様ですね……長門さんの最終戦闘モード。
…。
…。
ジェノサイドモード
…。
…。
長門さんがゆっくりと雪玉を拾う。
次の瞬間長門さんが一瞬消える。
それと同時に喜緑さんの体が浮き上がり…………長門さんが現れると同時に喜緑さんは地面に倒れた……これは…見えない。
…。
「なにが起きた?!」
「予想しかできませんが、恐らく……数百…いえ、数千の雪玉が喜緑さんを全方位から襲った……のではないかと…」
…。
彼は目を剥いて絶句する……。
…。
「古泉一樹」
「はい?」
「あなたの予想は外れ」
「そ、そうですよねいくらなんでも数千なんて」
「正解は4万3563発……桁が一つ違う」
…。
今度は僕が絶句する番だった……喜緑さんはピクリとも動かない。
…。
「喜緑江美理……あなたはとても優秀、でもあなたの負け。
あなたの敗因は一つ。
あなたは私を怒らせた」
…。
…。
…。
…。
~喜緑江美理~
…。
…。
一瞬でした……全方位から襲う4万3563発の雪玉……避けるすべなどありません。
……体が……動かない。
長門さんずるいです……ジェノサイドモードなんて……こうなったら私も。
…。
…。
…。
(ジェノサイドモードの使用を申請します)
…。
――却下
…。
(却下確認、理由をお願いします)
…。
――必要無
…。
(必要です。今最大の脅威が目の前にあります
ジェノサイドモードの使用を再申請します)
…。
――却下
…。
(……どうあっても駄目ですか?)
…。
――肯定
…。
(……そうですか…なら私にも考えがあります)
…。
――考え?
…。
(泣きます)
…。
――はい?!
…。
(泣きます、ええ、泣きますよ。涙と鼻水を垂れ流してこのまま両手両足を振り回して泣き喚きます)
…。
――いや……それは……まさかそう来るとは
…。
(私本気ですよ。
おもちゃを買ってもらえない子供の10倍の勢いで泣き喚きます)
…。
――そんな脅し方ってあるかな?……パパびっくりだよ
…。
(最後です。ジェノサイドモードの使用を再再申請します)
…。
――ん~
…。
(……ひっく…ひっく…)
…。
――許可する……地球を壊さないように
…。
(ありがとうございますパパ♪)
…。
…。
…。
…。
~キョン~
…。
…。
「長門」
「なに?」
「喜緑さんは…」
…。
生きているのか?
……口に出すのが恐ろしい。
…。
「生命活動に問題は無い……多分」
「ちょ!!多分って」
「ジョーク、ユニーク……問題ない」
…。
……おい。
…。
「長門さん、もうそれは解除しましょう。危険です」
…。
古泉の言葉にうなずく長門……とりあえずこれで安心か。
…。
「………え?!」
…。
長門が急に目を見開いた。
…。
「長門さん、どうかしましたか?」
「長門、どうした?」
「………嘘」
…。
長門の視線の先を見ると………な?!
喜緑さんが起き上がり……ちょっと待て!あの目は…あの紅い目は…。
…。
「……喜緑江美理がジェノサイドモードを発動した」
「ちょっと待って下さい長門さん、絶対に許可出ないのでは」
「そう……ありえない」
「なんだか分からんがお前が使えるなら喜緑さんも使えるんじゃないのか?」
「いえ……何と言いますか…長門さんは特別でして」
「ジェノサイドモード……私達の戦闘最終形態、その戦闘力はこの宇宙に重大な損害を与える可能性がある。
情報統合思念体の存在が脅かされる事態にならない限り許可が出ることはありえない」
…。
なにやら凄そうだな。
すまんがドラゴンボールで例えてくれ。
…。
「……フリーザなら楽勝」
…。
すげええええ!!
…。
「ってか危険すぎるだろ?!お前もホイホイ使うな!」
「……逃げて」
…。
え?
次の瞬間……頬を一瞬何かかすめた。
……古泉を見ると目を見開いて絶句している。
古泉の視線の先を見ると……あれ?ここ…たしか記念碑があったよな?
…。
「……消えました。削り取られるかの様に消えました」
「脱出!!!」
…。
俺と古泉は飛び込み前転でこの場から離れる……駄目だ、これ以上俺達に出来る事は無い。
…。
「大丈夫……私は負けない」
…。
頼むから地球を壊してくれるなよ…。
…。
(古泉)
…。
古泉にアイコンタクトを送る。
…。
(なんですか)
(ちなみに長門が特別って一体なんだ?)
(あ……そうですね、少し長くなりますがよろしいですか?)
…。
…。
…。
…。
~朝比奈みくる~
…。
…。
……うううぅぅ…怖いです………え?あ、あたしが語りですか?!
ええと……ええと…ひゃ!
……ううぅ怖いい…。
あ!ええと、さっきからずっと頭の上をひゅんヒュンって雪玉が飛び交っています…
…。
「みくるちゃん、雪玉!」
「みくる~こっちも」
「は、は~い」
…。
ううっ……涼宮さん、鶴屋さんごめんなさい。あたしがこんなだから……ん?キョンくん達ですか?
キョンくんと古泉くんは……あ、また目だけで会話しています。
キョンくんが言うにはアイコンタクトって事らしいですけど……どうみてもテレパシーです。
本当にありがとうございました。
でも目だけで会話しながらもしっかり応戦している所が凄い所です……まるで【禁則事項】が【禁則事項】で【禁則事項】みたいですね。
長門さんは……あれ?……なんか霞んで見える様な…ひゃ!
頭のすぐ上をまたかすめました……怖いいい~。
…。
…。
…。
…。
~古泉一樹~
…。
…。
(だからなんでそうなる?それには納得できんぞ俺は)
(いいえ!こればかりはひきませんよ僕は。
たしかにポニーテールは素晴らしい髪型です。涼宮さんとの組み合わせではかなりの破壊力になるでしょう。
しかし、長門さんは今のショートカットよりも似合う髪型はありません、今が至上であり伸ばしてポニーなんて邪道でしかありません)
(はっ、お前も結局は古い人間か。今が至上だと?そんな固定概念に捕らわれてるからこの日本は駄目になっているんだ。新しい事にチャレンジしてこそ未来があるんだろ)
(固定概念ですか?それはあなたですよ。
あなたはポニーと言う固定概念に捕らわれているだけです、 あなたの中にはポニーの一沢しか存在しない……違いますか?)
(なんだと?!ただ俺は……)
…。
………ん?
…。
「ちょっと待って下さい」
「なんだ? 」
「また脱線しています」
「……あ」
…。
今は雪合戦の最中でした……なぜこんな話題に。
…。
そう言えば長門さんは?
長門さんと喜緑さんを見ると……止まっています。
いや、止まっている様に見えるだけか。
二人の間の空間に何かがぶつかり合っている気配を感じます。
……互角ですね。
しかし何故喜緑さんがジェノサイドモードを……いや、なんと言ってもあの喜緑江美理さんだ……情報統合思念体と何か高度な取引があったとしても不思議では無い。
…。
「古泉、長門を見てみろ」
「……これは… 」
…。
長門さん……イライラがMAX状態ですね。
表情がかなり凄い事になっています。
……まぁ、僕と彼しか分からないでしょうけどね。
ん?長門さんに動きが……何か空を見上げて呟いています。
……嫌な予感が。
…。
…。
…。
…。
~喜緑江美理~
…。
…。
互角…ですね。
ジェノサイドモードを初めて発動してみましたが……凄いです。
恐ろしいくらいに。
ん?長門さんの攻撃が弱まって……え?長門さん空を見上げて何を………はぁ?!
正気ですか!?
間に合う?
いや、間に合わせないと
間に合ってええええええ!!
…。
「情報連結解除おおおおお!!!」
…。
…。
…。
…。
~キョン~
…。
…。
「うお!」
「なっ?!」
…。
長門の視線の先……すなわち空だ。
巨大な何かが雲を割って現れた瞬間……消えた。
…。
「……失敗」
…。
長門は残念そうにうつ向く、それと同時に瞳の色が元に戻った。
…。
「……時間切れ」
…。
終わったのか?
…。
「長門さん」
「なに?」
「さっきの……何ですか、空に現れたアレは」
「私は……喜緑江美理達を殲滅する為にオールトの雲より空間転移させ、喜緑江美理の頭上に落とす……予定だった」
…。
オールトの雲?なんだそれは。
…。
「オールトの雲……太陽系の端にある彗星の巣と呼ばれる所です」
「彗星の……巣?!……って事は…」
…。
「喜緑江美理に情報連結解除を行われ消滅した……残念」
…。
…こ…こいつは…。
…。
「……メテオだ…メテオ使いやがった」
「ええ……世界初、メテオを使った女子高生です」
…。
そしてメテオを阻止した女子高生があそこにいる…。
…。
「長門!お前なんて事を!」
「彗星は汚れた雪だるまと言われる存在、ルール的に問題は……」
「ルール以前の問題だ!もしも喜緑さんが阻止できなかったらどうなってた?!」
「喜緑江美理達が殲滅された」
「長門さん……たしかに殲滅出来たでしょうね。
では僕らはどうなりましたか?この町は?この国は?この星は?」
…。
長門の体が硬直する。
…。
「……」
「長門、なんだその汗は?一気に吹き出したぞ」
「…………暑いだけ」
「いえ、寒いですよ」
「…………気のせい」
…。
あきらかに目が泳いでいる。
…。
「長門さん、もう一度聞きます。
僕らはどうなりましたか?この町は?この国は?この星は?」
「……うまく言語化出来ない」
「逃げるな!」
「………………………………………………………………………直径10㎞、衝突と同時にあなた達……この町は消滅。
直径数百㎞のクレーターが発生。
巻き上げられた粉塵は地球をつつみこみ太陽光を阻害する。
結果地球は寒冷化。
…………人類オワタ」
「……」
「……」
…。
…………言葉に出来ない。
…。
「……」
「……長門さん」
「……なに?」
「なにか言うことは無いのか?」
…。
「……………………………………あなた達は喜緑江美理に感謝するべき」
「「やかましいわ!!」」
…。
この暴走娘が!ちったあ自重しろ!!
…。
「「喜緑さん!ありがとうございました!!」」
…。
古泉と同時に喜緑さんへの最敬礼……当然だ!
…。
…。
…。
…。
~会長~
…。
…。
「何をしているんだあいつらは…」
…。
古泉とキョンがこっちに向かって最敬礼している……なんのつもりだ?……ん?
…。
「喜緑くん、どうした?」
「……間に合った…間に合った…」
…。
いかん、喜緑もおかしい。
まぁ、とにかく。
…。
「今の戦局はどうだ?」
「全くの互角ですね」
「何故だ?人数では倍近いぞ」
「それだけ奴等が化け物揃いと言うことですよ」
…。
…。
…。
…。
~古泉一樹~
…。
…。
「さぁ、大詰めよ!一気に殲滅しちゃいなさい」
…。
涼宮さんの声が響く……たしかにもう終盤だが現状はまったくの互角……いや、もう皆疲労している。
僕も彼も別の意味で疲労困憊です……このままだと負けるかも…。
冗談じゃ無い!このまま閉鎖空間行きなんて考えたくもない…。
…。
「古泉一樹」
…。
え?長門さん?
…。
「もうすぐ終わる」
「それはどんな意味ですか?」
「喜緑江美理達の上空に不可視フィールドを貼って雪玉を数万待機させている。
あと数分で喜緑江美理達の頭上に降り注ぐ……これで終わり」
…。
いつの間に…。
「だからあなたが閉鎖空間に行く事は無い……だから…」
「……ありがとうございます。
それと……もう怒ってませんよ、さっきは少し言いすぎましたね」
「……本当?」
「はい、彼も言うほど怒ってませんから安心して下さい」
「……そう」
…。
心の底から安堵したような顔……はい、可愛いです。
…。
さて、そろそろですか。
長門さんのカウントが始まる。
…。
「5…4…3…2…1……終わり」
…。
…。
…。
…。
…。
~そして~
…。
…。
「長門さん」
「……なに」
…。
隣にいる長門さんを抱きよせる。
…。
「……暖かい」
「暖かいですね」
…。
完全に二人だけの世界……他は何も見えない。
見えるのは長門さんだけ。
…。
「さっきまでの騒がしさが嘘の様ですよ」
「……コクン」
…。
僕の腕の中で長門さんがうなずく。
ふふふ、長門さんの吐息がくすぐったいですね。
…。
「長門さん、あなたに聞きたい事があります……真剣に答えていただけますか」
「コクン」
「……長門さん」
「……古泉一樹」
…。
…。
…。
…。
「なぜ……僕達は埋まっているんですか?」
…。
…。
長門さんのカウントの後、一斉に雪玉が降り注ぎました……生徒会側にも……僕達にも。
…。
「……寒…い」
「……助…け」
「……苦…し」
…。
あちらこちらから助けを求める声が聞こえてきます……
…。
「……答えてもらえますか?」
「私は間違いなく生徒会側に仕掛けた……考えられるとしたら……喜緑江美理」
「……なるほど、喜緑さんもあなたと同じ事をしていたと……」
「コクン」
…。
はぁ……なんてオチだ…。
…。
「じゃあこのまま救助を待ちましょうか?」
「コクン……古泉一樹」
「なんですか?」
「……暖かい」
「はい、不幸中の幸いです。なんとか凍死だけは免れそうです」
…。
…。
…。
…。
~キョン~
…。
…。
以上でこの話は終わりだ。
ん?これからどうなったかって?
…。
たまたま来ていた岡部が俺達を見つけて無事救助されたよ。
…。
ん?勝負?
結局この勝負は引き分けだ。
まぁ、掘り出された生徒会連中がフラフラなのに対して俺達が比較的元気なのを見て
「勝ったわ!圧倒的に勝ったわ!」
と元帥閣下が騒いでいたが……どーでもいい。
とにかく風呂入って寝たい………ああ、明後日から合宿か……だる…。
…。
…。
…。
……おしまい。


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