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そんなこんなで目を覚ますと

「あーさだよー!!」

またまた妹が空中にいた。

ってかその構えは…フライングクロスチョッ「ぶはっ!!!!」

…これは…効いたぜ…

「あれ…キョンくん?」ペチペチ

…頼む…頬を叩くのを止めてくれ…

「キョンくん動かなくなっちゃった…」バチンバチン
「…頭を叩くな」
「あ!キョンくん生きてた!!」

勝手に殺すな。

「…あのな、人を起こすときくらい普通に起こしてみたらどうだ?声をかけるだけでいいだろう?」
「えー…でもハルにゃんがキョンくんを起こすときはこうした方がいいって言ってたよ?」

…あのやろう。

まぁいい。どうせハルヒに注意しても無駄な気がする。

そういや今日は朝倉が計画を話すとかなんとか…

そんなことを考えながらのんびりと学校へと向かう。

「お、キョンじゃねぇか!」

…何でまた谷口がいるんだよ。

「今日は偶然だ!」

ムッとするな。気持ち悪い。

「そんなこと言うなって。そういや朝倉は結局涼宮のやってる部活に入ったのか?」
「みたいだな」
「何か残念だな。運動部に入ってくれればあの健康的な太ももが見放題だったのに」

…そういう考えばっかしてるからナンパとか成功しないんじゃないのか?

「それとこれとは関係ないだろ!」

いや、なんか下心満載な顔してるぞ。
それと鼻息が荒い。

そんな感じで適当にあしらいながらげた箱を開けると…


「ん?どうかしたかキョン?」
「いや、何でもない」

靴の上に小さな手紙が置いてあった。
ここで普通の男子及び数ヶ月前の俺なら誰からの手紙かとか、もしや告白か!?みたいな考えに至るのだが。

「悪い、先行っててくれ。部室に用があるから」
「ん?そうか」

昨日の一件が一件なので誰からの手紙かは安易に想像がつく。

『この手紙を見たら、すぐ部室に来て』

あの時と変わらぬ明らかな女の子の字でそう書いてあった。




「遅いよ」
「無茶言うな。俺は睡眠時間を最大限に増やす為にギリギリまで家で寝てるんだ」

大抵は妹に叩き起こされるがな。

「で、その刺激臭のする液体は何だ?」
「何って、カレーよ?」

屈託なく朝倉は笑う。
…俺の目がおかしくなければヘドロにしか見えないのだが。

「これを何とかして長門さんの口の中に収めたいのよ!」
「いや、無理だろ」

少なくとも俺だったら絶対に口にしないがな。

「私だってこのままじゃ口にしないわ。だから何とかして色を戻して刺激臭も消す!」
「…ってかこれは酷くないか?」
「…本当にそう思う?私はこんなものを何度も食べさせられたのよ?」キラッ
「…わかった。わかったよ…ナイフをしまえ…ただし、手伝うのは今回だけだぞ?」
「ありがとう!」

…で?俺は何をすればいいんだ?

「えっと…放課後まで長門さんをこの部室に近づけないようにしてほしいの」
「…それだけ?」
「それだけよ」

…何だか拍子抜けなんだが…

「今から色々な情報操作を施してこのヘド…ゲフンゲフン…カレーの見た目をまともなものにする」

今ヘドロって…あ、何でもないです。ごめんなさい。

<「でも前回の一件があるから私の能力は制限されてるの。だから作業にも時間がかかるし…何より長門さんに関して一切の妨害操作が行えなくなったわ」

つまり…時間稼ぎをしろと?

「そういうこと。といっても長門さんがこの部室にくるのは放課後以外だと…昼休みくらいかな?」
「…ちなみに阻止出来なかった場合は?」
「まぁこの鍋の存在がバレるわね。しかも情報操作の真っ最中。まぁ被害はでないから怒られはしないでしょうけど…計画は全部パーね」
「…俺長門のこと止められるのか?」
「まぁキョンくんなら大丈夫だと思うわ。昼休みまで時間もあるし」

それもそうだな…って

「…一限始まってるじゃねぇか」

…やれやれ、だ。





結局朝倉は休みだということにするらしい。
鍋に付きっきりじゃないといけないようだ。

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴って昼休みの開始を伝える。

「キョンが遅刻なんて珍しいわね」
「…珍しいというか初めてな気もするが」

…まぁ休日で散々遅れてきてるがな…

「それもそうか…じゃああたしは食堂に行くわ」

そう言って教室を出て行くハルヒを見送る。

…なんか描写が適当になってきてないか?

「…まぁ気にしないでおくか」

と、そうだ長門だ長門。
結局阻止する方法は浮かばなかったが…とりあえず会いに行かなくては。

「あれ?キョン、昼食は?」
「スマン、用事があってな」

ハルヒの後を追うわけじゃないが、俺も慌てて教室を出た。

長門は…いた。
丁度教室を出たところのようだ。

「おい!長門!」
「………」

気付いてくれたようだ。

「…何?」

…気付いてくれたのはいいが…どうしようか…

「あー…とだな…あれだ、最近本でも読んでみようと思って図書館に行こうとしたんだがどんな本があるか知らんのだ」
「………」
「だからオススメの本があったら教えてほしいのだが…駄目か?」
「…いい」

そう言うと図書館へと歩き出した。
これでいい…のか?

「そういや飯はいいのか?」
「…既に食べた」

…現在時刻昼休み開始4分後。

…早いなおい。




「…これと…あれ…それもオススメ…あと…」
「…スマン…少し待ってくれ長門」

今俺の手元には数10冊の本が置かれている。
しかも全部ハードカバーの分厚い本ときたもんだ。
普通に腕が痛い。

やっぱり図書館…というか本が好きなようでいきいきとした顔で本棚と本棚の間を歩き回っている。
無表情にしかみえない?
俺には何となくわかるんだよ。


とりあえずこの量の本を持ったままぼけーっとしてるのもアレなので近くの椅子に腰掛けることにした。

「…よっこいせ…というか一度にこの量を借りきることができるのか?」
「…大まかなあらすじを読んで気に入ったものだけ選べばいい」

それもそうだな。

「…最近どうだ?」
「…最近とは?」
「んー…学校生活とかさ。朝倉も帰ってきたことだし、何かしら変化は無かったか?ってことだ」

そう言うと長門は少しだけ考え…

「…ユニーク」

とだけ答えた。

…とりあえず楽しいってことか?

「…そう」

とりあえず昼休みの間は長門が選んでくれた本を読んでみることにした。

…3分と持たず寝てしまったのは言うまでも無いことだが。
長門が起こしてくれなかったらまた授業に遅れるところだった。















そんなこんなで放課後。

何とか長門が部室に行くのを阻止できたようだが…朝倉のやつ一体どうやってあのカレーを食べさせるつもりなんだろうな。

…とりあえず部室に行ってみるか。

「あ、キョン!」
「ん?どうしたんだハルヒ」
「あたし今日寄るところがあるから少し遅れるわ!だから先に行ってて!」
「あぁ。わかった」

…また何か面白そうなものでも見つけたのか?

まぁいい。とっとと部室に行って朝比奈さんのお茶でも飲もう。
…ん?あれは…

「………」

部室の前に小さな人形が…

「やぁキョンくん」

喋った!?というかこないだも出現したらしいなこの人形!
たしかスモークチーズがどうとか…

「あの…とりあえずお名前を」
「ちゅるやさんだよ!」

なんかもう雰囲気といい外見といい鶴屋さんにそっくりだな。

「えっと…アニメ化おめでとうございます」
「ありがとうなのだよキョンくん!ところでお祝いといっちゃなんだけど「スモークチーズならありませんよ?」
「………」
「………」
「…にょろーん」

寂しそうに歩いていったな…

「あ、キョンくんやっと来た」

お、朝倉。
ってかそこはコンピ研の部室じゃないのか?

「ちょっと情報操作で借りたの。さ、入って入って」
「は?俺も行くのか?」
「まぁまぁ、とりあえずこのパソコン見てよ」

これは…SOS団の部室?
まだ誰もいないのか…

「そうよ。カメラを仕掛けておいたの」
「しかし何でまた」
「ほら、長門さんの席に置いてあるものをよく見てよ」

…カレー?

「これなら間違いなく長門さんは口にするわ!」

確信。こいつ真性のアホだ。

「え?今何か言ったかしら?」キラッ
「いや、何も言ってない。だからナイフをしまってくれ」

…というか普通怪しむだろ。

「大丈夫!そこは長門さんよ。間違いなくカレーを口にするわ!」

数分後

「お、長門が入ってきた」
「ついに復讐の時が…ってあれは何をやっているのかしら…」

パソコンの中の長門は両手を広げて走り回ってる。

「あぁ、ブーンって。なんでも自分だけ言えなかったのが悔しかったらしい」

というかまだ気にしてたのかあいつは。

「へぇ…なんか意外…」
「意外って?」
「あんな長門さん始めて見たから…結構楽しそうにやってたのね」

そんなものなのか?

「長門さんったらSOS団に入るまでカレーの研究してる時しか楽しそうにしなかったのよ」
「あいつも変わったんだな…」
「あ、そうだカレー…長門さん気付いてないみたいね」
「…夢中で走り回ってるな」
「あ、走るの止めたわ。満足したのかしら」

どうやら定位置について本を読むつもりらしい。

「カレーに気付いたわ!」
「…ガン見だな」

画面上の長門は椅子に手をかけたままの状態でテーブル上のカレーを見つめている。

「ほら!私の作戦完璧じゃない!」
「いや…机の上にいきなりカレーが置いてあったら俺もああなるぞ」

ちなみに今長門は本棚と机の間をウロウロしている。

まさかとは思うが…

「食べるかどうか悩んでるのよ」
「…マジでか」

…怪しさ満点なのにな。

「ほら、スプーンを持ったわ」

そしてついに

「…食べたわ」
「…物凄い勢いでむせてる様に見えるんだが」

…一体どんな材料使ったんだ。

「これで長門さんも私の苦しみがわかったでしょうね」
「…まだせき込んでるぞ…朝倉?」

あれ?あいつどこ行きやがった?

―きゃああああ!

パソコンから声が…ってえぇ!?

朝倉が部室にワープしてる!?

「長門にバレたのか…」

朝倉縄でぐるぐる巻きにされてるよ…あ、連れてかれた。

…部室行くか。

机の上には朝倉の顔の後が付いたカレーと「急用があるので帰宅する」と書かれた長門の書き置きがあった。

「…よし。忘れよう」



次の日HRで朝倉がカナダに転校したことが伝えられた。
またカレーの実験台にされまくって発狂したようだ。
ちなみに発狂した朝倉がまたまた俺を刺しにくるのは「涼宮ハルヒの消失」でのお話になるらしい。
…迷惑な話だ。

ちなみに俺が朝倉が発狂した事実を知るのは放課後の事になる。

どういう経緯かというと、朝、下駄箱にひとつ手紙が入っていた。

『次はあなた』

ワープロで印字したような綺麗な字でそう書いてあった。

「…もしもし…あ、お袋?あぁ、うん。学校には着いたけどしばらく帰れなそうだ…理由?こっちが知りてぇよ」

おわり

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最終更新:2020年05月27日 22:58