帰り道、突然後ろから腕を掴まれて振り返ると、そこに居たのは佐々木の一味の周防九曜だった。
「――見つ――けた――」 
あー、俺はお前とかくれんぼをしていたつもりはないのだが?
「――あなたを――人質にすれば――涼宮ハルヒを――おびき寄せるのは――容易――」
……いきなり不穏なセリフを吐くのはやめてくれるか?
って、足が……動かない?
「――何が――何でも――ついてきて――もらう――」
宇宙人はどいつもこいつもインチキパワーを使いやがるのか。
3度目ともなれば、さすがに今度ばかりは覚悟を決めるべきか。
そんな考えが頭をよぎった、その時だった。 

 何とも形容しがたい風切り音が一体に響きわたり、俺と周防の間の足元に何かが飛んできて突き刺さった。
それと同時に、俺を足を動かなくさせていたインチキパワー攻撃が止んだ。
これは……本の栞?
俺と周防は、思わず栞の飛んできた方向に目をやる。

突然の稲光に、こちらへと歩いてくる小柄な少女のシルエットが浮かび上がった。
つむじ風に、紫がかったショートカットの髪を揺らしながら。
少女は羽織っていたカーディガンを脱ぎ捨てると、セーラー服の胸ポケットから眼鏡を取り出す。
……長門だ!
「彼女の接近を感知できなかったのはわたしのミス。謝罪する。」
心なしか申し訳なさそうな表情をしたと思えば、今度は周防を睨みつける。
「彼はわたしが守る。あなたたちの好きにはさせない。」
AIをアップデートでもされたのか、いつもと比べて妙に表情豊かな長門に若干戸惑わざるを得ないが、
……現時点では最も心強い味方であることには違いない。

長門は眼鏡をかけるやいなや、毅然として言い放つ。
「Nagatorson、For justice!」



特捜TFEIナガトーソン保守

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最終更新:2008年09月08日 23:03