※ キ「えぇっと、これから話す無名との会話は『innocent  world ~ 羊、吠える ~ ⑧』に出てくる、『俺がこの世界に戻ってきた理由』の別アプローチ版らしい」
   無「恐らく、此の物語を造った作者が、力不足で或の文章内に書き切れ無かったんじゃろ。 情けない、奴じゃ」
   キ「まあ、そういうなって。 俺としては、どっちだってかまいやしねえから」
   長「……この作者は、大幅に割愛したかたちで話をはじめたいらしい…」
   キ「へぇ、そうなのか?」
   無「因みに、古泉と云う者がトイレに行って居る間の設定と云う風にも為たいらしいぞぃ」
   キ「へいへい。 んじゃ、長門。 頼むぞ」
   長「……はじまり、はじまり…」


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「主が、或の長門嬢が改変した世界を拒んだ理由は何じゃ?」

  無名にそう訊かれ、俺は古泉がトイレに行くまで言っていたこの死神の『理論』にたいそう首をひねった。
 俺が戻ってきた『理由』が『変な肩書きがあるから』では無く、『性格が一緒だとしても俺があいつらを認めれなかった』からというものだったら?
 そうだよ、俺が戻って来たのは、こいつの言っていた『記憶』だとか『性格』じゃなくて、

「俺は『この世界のみんな』だからこそ、帰ってきたんだ。 たとえ性格が一緒であろうと、『あの世界にいた』のは『俺が一緒に居て来たあいつら』じゃなかったからだ。
 俺は『今まで共にいて』、『共に時間を過ごして』きた『掛け替えの無いSOS団』だから、『かけがえのないハルヒたち』だからこそ帰って来た。 それが、答えだ」

「……………」

  俺が自信を持ってそういうと、無名は何故だか能面のような顔で沈黙した。
 そして、だんだんとその顔を変化させてゆき、やがて不動明王のような顔付きで背後にすさまじい闘気を纏いながら俺を睨んできた。 ああ、上記の顔も同列記の顔も俺だからの表現だがな。

「成る程な、主は『此の世界に居る者の固有性、personalityが無かった』から戻って来たとな。
 そして、其の固有性とは『性格等も同じで在り、記憶も其のままで肩書きも同じ』と云う意味と。 詰まり、『今まで居た皆が其の皆のまま』じゃったら、『或の世界に残って居た』と云う訳か」

  なにが不服なのだろうか、俺は死神の考えることはやっぱり理解出来んと思い掛けていると、

「主と云う者の、『人間性』がはっきり判かったぞぃ。 感謝の序でに、儂から主に此の言葉を添えて遣ろう『今まで観て来た中で最低の人間』じゃとな!
 主は、『此の世界の涼宮嬢・古泉と云う者・朝比奈嬢で在り、更に『或の世界の長門嬢』で在ったなら『或の世界に残って居た』』と云う訳じゃ、然うじゃろう?!
 ならば、主には『撤回』、否、大言壮語した『全くの嘘』じゃと『云って』貰わねば成らんな!! 此の世界の長門嬢に云った、

 『お前の親玉に言ってくれ。 お前が消えるなり居なくなるなりしたら、いいか? 俺は暴れるぞ。
 何としてでもお前を取り戻しに行く。 俺には何の能もないが、ハルヒをたきつけるくらいはできるんだ』と云う言葉と!
 『つべこべぬかすならハルヒと一緒に今度こそ世界を作り変えてやる。
 あの三日間みたいに、お前はいるが情報統合思念体なんぞはいない世界をな。 さぞかし失望するだろうぜ。
 何が観察対象だ。 知るか』と云う二つの言葉をな!!

 今、直ぐに撤回せぬか!! 此の、『大嘘吐き野郎』目が!!」

  俺は激怒する無名に押されつつも、こいつの言葉には耳を研ぎ澄ました。

「何が、『此の世界の此奴等じゃ無かったから』じゃ。
 『或の出来事が起こる前』まで、『長門嬢の人間性』を『完全否定』して居った癖に、呆けた事を抜かすなよ!
 『主が『今まで』長門嬢の『人間性を否定』して来た事で』、『主の云う『今までの皆』の中に『長門嬢は居ない』』! 『入って居る』と云うなら、其れを『証明』して見せろ!!

 そして、更に主が『其の理由』を云った事で、主が長門嬢に云った事が『全て嘘っ八』で在ったと云う証明に成ろう。
 儂が今云った通り、主は『今まで長門嬢を否定して来た』。 じゃから、『今までの或奴等』の中に『今までの長門嬢は居なく』、主は『今までの涼宮嬢・古泉と云う者・朝比奈嬢に会うが為』に戻って来たと云う事じゃ。
 ならば、第一の主の『嘘』に、『お前が消えるなり居なくなるなりしたら、いいか? 俺は暴れるぞ』が成立する。 此の『お前』が指し示す人物は、『戻って来た世界の長門嬢』詰まり『今の長門嬢』では『無い』のじゃからな。 長門嬢を思い遣った『振り』を為た、唯の『虚言』と云う事に成る。
 そして、第二の『嘘』に、『何としてでもお前を取り戻しに行く』が立証された。 此の『何としてでもお前を取り戻しに行く』の『お前』は、其の時に『向かって云って居る人物』に対してでは『無い』からじゃ。 其れは、何故か? 主が取り戻したかったのは『今までの長門嬢以外の人間』であり、『今までの皆の為に』この世界に戻って来た主には『長門嬢が欠けた所で、如何でも良い』からじゃ。

 そして、仮に『長門嬢がぎりぎり、主の慈悲で皆の中に含まれて居た』として、『此れだけ』は如何にも『出来ない』。
 其れは、何れか? 第三の『嘘』に、『あの三日間みたいに、お前はいるが情報統合思念体なんぞはいない世界をな』が確定した。
 主は『今まで一緒に過ごして来た、特別な個としての皆』を、選んだんじゃろ? 『今までの涼宮嬢を、古泉と云う者を、朝比奈嬢を、そして、ぎりぎりで長門嬢を』、な。
 ならば、『情報統合思念体が居ない世界』では、長門嬢は『今までの長門嬢』で『無く成る』。 と云う事は、主は『情報統合思念体が居なく成る』のは非常に『困る』と云う訳じゃ。
 其れは、何故なのか? 其れはの、『情報統合思念体』が『居なければ』、『長門嬢』は『唯の一人の少女』に『成り下がって』しまうからじゃ。
 主は『今までの宇宙的な長門嬢』に『居てもらいたい』訳で、地球人と同じ様に成った『唯の人間の長門嬢』には『用は無い』と云う訳じゃよ。 なあ、然うなんじゃろ?

 じゃから、儂は敢えて明言して遣る。 此の、『糞』が」

  一通り言いおえると、無名は冷ややかな目で俺を見てきた。 だが、俺はそれに対して何も思わない。 いや、逆に共感するくらいさ。
 こいつの言う通りだ、俺が『今までのハルヒ、古泉、朝比奈さんに会いたかったのが理由』なら、俺はハッキリ言って『クソ以下』だ。 何故なら、『あの出来事』まで『一度として』、俺は『長門の『性格』を、『趣味』を、『無口なところも無表情も』肯定する』ような事は『無かった』からだ。
 当然、無名の理屈が正しい。 『今まで否定してきた者』を、『肯定側に』入れることは『出来ない』。 『No』と言っていたものを、『Yes』に入れれないのと同じ原理だ。 そんなことは、五歳児だって理解できる。

  俺は、またもや『俺が戻って来た理由』の熟考に入り、古泉が席にもどって来るまでずっとそうしていた。 それにしても、古泉の奴遅いよな?




   -To  be  continued - 


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