北高に転校してきた古泉一樹は、周囲にまるで無関心な、睥睨するような態度で人目を惹いた。
「即戦力の転校生! その名m」
「マッガーレ」
「アッー!」
「お茶が入りましゅt」
「マッガーレ」
「アッー!」
「…………」
「マッガーレ」
「……ユニーク」
彼を魅了しようとする婦人は皆、手痛いマッガーレを食らうのだった。
「ウホッ、いい男」
夢見がちな青年キョンは古泉に興味を持ち、
「――なんて言うとでも思ったか!」
「言ってもらわないと困りますよ、これがシナリオなんですから」
「原作はこんなにホモホモしくねーよ!」
ふたりは共に旅に出る。
「嫌だ! こんな奴と二人旅なんて嫌だ!」
「良かったんですか、ホイホイついてきて。僕はノンケでも食っちまうような男なんですよ?」
「だから嫌だっつってんだろ!」
「HAHAHA何を今さら。さあ、参りましょう」
旅中にキョンは、古泉が賭博や恋愛で、相手を次々と破滅に追いやる様を目撃する。
「賭けに負けましたね? では罰ゲームです」
「アッー! アナルだけは!アナルだけは!」
「いや、恋愛してねえし」
北高からの手紙で古泉が純粋な娘たちを汚していたことを知ったキョンは、
「おいおいこれはアレだろ、別離フラグだろ」
「いえ、レイプ願望が開眼するフラグかも」
「ねーよwwww」
古泉に別れを告げ、
「いよっしゃああああああああ!」
「チッ」
一人閉鎖空間へ向かう。
「行けるか!」
そこで純朴な娘・神人から土地に伝わる吸血鬼の伝承を聞くが、
「娘? 娘なのかアレ」
「久々の出番ヽ(゜ω゜)」
「あたしの出番はないの!? キィーッ!」
「サッカーシヨウゼ」
「ここぞとばかりにうぞうぞ出てくるんじゃねぇ!」
その容貌は聞けば聞くほど、古泉に似ているのだった。
「びゅんびゅん飛んで回るんです(゜ω゜)」
「蚊みたいな奴だな」
「そして、赤くて丸いんです(゜ω゜)」
「神人ちゃん、頼まれてたジャンプ買ってきたわよー」
「なぜ朝倉」
「赤……マル……らめぇぇぇぇ(゜ω゜;)ガクブル」
「……キュン」
キョンは神人に心惹かれるが、
●<ごちになりました
「……ポッ(゜ω゜*)」
彼女は吸血鬼に<禁則事項>される。
「ちくしょおおおおおおおおおおおーーーーーーーっ!」
衝撃から病気になったキョンの前に再び古泉が現れ、親身に世話を焼く。
「真面目な声を出すな息を吹きかけるな顔が近いんだよ気色悪い」
その後また二人して旅を続けるが、古泉は山賊に受けた傷がもとで死ぬ。
死に際して古泉は、一年間彼の死を誰にも言わないことをキョンに誓わせる。
「だが断る」
「誓ってください、シナリオですから」
その遺体はいずこともなく消えてしまう。
「これでいい……だがまた第二、第三の古泉が」
「人を魔王のように」
「そうだな、お前は魔王よりタチが悪い」
「そうですね、僕のテドドンは魔王並という表現では収まり切r」
「とっとと失せろ!」
キョンは北高に戻るが、死んだはずの古泉が現れ、「誓いを忘れるな」とささやいたために気が狂う。
「真面目な声を出すな息を吹きかけるな顔が近いんだよきめぇーーーーーー!」
「狂うポイントが違いますから。僕が本物の吸血鬼だってとこに狂ってください」
その間に古泉はキョンの妹に言い寄り、婚約してしまう。
誓いに縛られて古泉の正体を言えぬ憤怒にキョンは脳溢血に倒れ、
「……今はいつだ」
一年の期限が切れるとすぐ古泉が吸血鬼であることを伝えて息絶えるが、
その時には古泉と妹は既に新婚旅行に旅立った後だった。
「このままでは妹のアナルバージンが……ハァハァ……ウッ! ふう、すっかり寝取られ属性がついちまったぜ」
「お盛んですね」
「こ、古泉! 妹と旅立ったはずでは!?」
人々は急いで古泉の宿泊先に向かうが、キョンの妹を残して、古泉は姿を消していた。
「シナリオとはいえ、僕がキョンたんをスルーするはずがあるわけないじゃないですか!」
「ちょwww俺に散々シナリオ守るように言っといてwww」
アッー! アナルだけは!アナルだけは!
●<この物語は、実在するフィクションを基にしたフィクションです。
「ちょっとキョン、あたしの出番がないじゃない!」
「涼宮さんには、レズ物吸血鬼の『カーミラ』に出てもらうのね」
「アッー! 阪中だけは!阪中だけは!」
終