「実は、私は、ある人物から依頼され、ある役柄を演じるために莫大なお金を貰ってこの学校に来たアクトレスだったのです」

ハルヒが淡々と言った。

「それは、神の代理人であるあなたが気に入るような女を演じる事、最後のこの時まであなたの味方のフリをしてあなたを支援する事でした」

お前は、お前はなにをいっているんだ!!

「そうです。私はあなたを最後の最後で裏切る為に、あなたの敵によって雇われた単なる女優だったのです」

世界が揺らいでいた。激しい眩暈がした。

「私は別に気の強い、空気の読めない女の子ではありません。年齢は25歳です」

女が続ける。やめろ! もうやめてくれ!!

「そうですよ。貴容さん。すべては嘘だったのです。あの夏の日の合宿も、冬山で遊んだ事も一切が「嘘」だったのです」

黙れ、でないと、ぶち殺すぞ。俺は目の前が真赤になるのを感じた。

「私は神の力など持っていません。それはあなたのライバルである彼があなたとSOS団を騙す為に行っていた事。あなたとキスをした事もすべては演技」

うお。うおおおおおおおおおおおおおおおお。

殴りつけたかった。映画の時の比ではない。俺は今、この目の前の女を本気で殴りつけたかった。

だが、

俺はガックリを膝を落とすと、イスに座った。

「貴容さん。ショックを受けたようには見えませんね」

「受けてるさ。ハル、いや、誰だかしらないが、今、生まれて一番落ち込んでるかもしれんな」

俺は夕日に照らされる美人の容姿を見ていた。

「お前にとってSOS団とは・・・・・・」

「依頼され作っただけの団。何の感慨もありません。これから私はアメリカ大統領に依頼され、ある人物の前に、偶然知り合った恋人となる設定で全く違う化粧、髪型をして現れ、生活する事になっています」

飽くまで事務的に女が語る。

俺は額に手を当てると、体をそらし、額から手を離し、溜息をついた。

そして、フッと笑う。

「俺のこの二年間・・・・・・それは」

「全くの無意味、全くの無駄だったという事になります。今、この時の為に用意された」

二年間の思い出が今、俺の頭の中を駆け巡っていた。

正直、この女に本気で恋心を抱き始めてもいた。

「いけよ。もう俺に用はないんだろ」

俺は微笑むとそう言っていた。

「はい、そうします」

誰とも知れない女は、カチューシャーと短い髪を演出していたかつらを外すと、見た事もない顔になって、ゆっくりと扉に近づき、そして、その部屋を去って行った。

 

俺は立ち上がるとゆっくりと椅子を持ち上げ。

「ちくしょーーーーーーーーーーーーーーーー」

窓に向ってそれを投げつけた。派手な音を立てて、キラキラと赤く輝くキラメキが空中に散って行った。

 

 

 

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