「ねぇねぇ。キョン君はハルにゃんの事どう思っているんだい?」
「へ?」
初めて昼食を誘われて何を言われるかと思っていたら予想外の質問。
「どうって・・・・・まぁ、厄介なことを飽きもせず持ち込んでくるトラブルメーカーですかね」
興味津々に俺の顔をジッと見つめてくるから弁当に手が付けられない。しかも珍しく真剣な顔だから余計に困ってしまう。
「なるほどなるほど。じゃあみくるとかは?」
とか?とかってことは長門も入っているのだろうか。
「朝比奈さんは素晴らしい先輩ですよ。長門は・・・・・・どうなんですかね。よくわかりません」
「ほほう。と言うことはみくるが有力候補にょろね」
なににですか。

「キョン君の彼女にさっ」
ごふっと緊張を抑えようと飲んだ烏龍茶を危うく噴出しかけた。
「な、なんてこと言うんですか!」
いつもの笑顔になっているってことは冗談だったのか?悪気は無いともとれるな。とりあえず笑顔に戻ったからすこし落ち着いて飯が食える。
「そっかぁ。みくるみたいなのがタイプなんだ」
ボソボソと小さく何かを呟いた気がした。何か言いましたか?
「へ?いや、なんでもないさっ!」
ならいいですけど・・・

「キョン君。あたしは君の彼女候補に入っているかい?」
な、何をいきなり!口には出さないけど正直気にはなりますけどっていやそういう問題じゃなくて!今日は鶴屋さんどうかしたのか?
「どうしたんですか?今日は何かおかしいですよ?」
「そ、そうかい?いやだなぁキョン君!」
バチンと叩かれ、心臓は一瞬止まり、肩にはジワリと痛みを広げた。なんでこの表現だけシリアスなのかは深く考えないでおこう。

やはり今日の鶴屋さんは何処かおかしい。何も喋らなくなるし何か挙動不審だし何か言い出そうとして詰まっている。
「どうしたんですか?何かあるなら言ってくれていいですけど」
「そ、そうかい?じゃあ言うけど覚悟は出来たかい?」
なんですか覚悟って。覚悟の必要なことなんですか。
「あのだね・・・・・・今度遊ばないかいっ!」
・・・・・・・・はい?いや、いいですけど、誰とですか?
「二人でだよっ!」
それは・・・・・・・・デート、とか?
「そうとも言うね!」
それを言い出すのに時間がかかっていたとは思えないが、あまり深く考えないで頷いておくことにしよう。

「じゃあいつがいい!」
話が早いな。いつでも問題ないですよ。どうせ暇だろうし。
「じゃあ近いうちに連絡するよ!」
そう言って唐突に席を立ってしまう鶴屋さん。一体全体何が起きてるんだ?今日の鶴屋さんの中で。
「あ、それとだね」
最後に俺の前から姿を消す直前で鶴屋さんは振り返り、いつものテンションで言ってのけた。いつもの笑顔で頬を少し紅くしたその姿は、すごく女の子らしく、とても可愛い姿だった。

「あたしも君の彼女候補に入れるんなら頑張るからさっ!」



End

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2020年06月23日 07:26