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「長門さんは恋をしたりはしないんですか?」
 
2人っきりの部室で朝比奈みくるが話しかけてくる。
 
「…そういう概念が無いわけではない。ただ…」
「ただ…?」
「…それは嬉しくて悲しいこと」
「…そうですよね」
 


 
……朝ですか。
 
眠気がまだ残った目をこすり体を伸ばす。
 
…朝ご飯なに食べましょうかね。
お金もおろさなきゃいけないですし、コンビニにでも行きますか。
 
身支度をして外に出ると、刺すような大陽の光が痛かった。
…今日もいい天気ですね。
 
コンビニでお金をおろし、弁当に手を伸ばす。
カレー弁当が残り一つなのでそれにしようとしたら
 
「あ」
 
隣にいた人と手が重なった。
 
「すみません。どうぞお取りください…って」
「…」
 
長門さんがそこにいた。
 
「長門さんも朝食を?」
「…そう」
「そうでしたか。なら一緒に近くのファストフード店で済ませませんか?」
「コクン」
 
えっと…この辺の店なら…教祖様にお世話になりましょうか。
 
「…ぼんぼやーじ?」
「…違います」
 
むしろそのネタを知っている人がいたら朝まで語り合いたいですよ。
 


 
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「…ハンバーガー100個」
「…システムの都合上一度の注文で99個までになりますが…」
「…仕方がな「却下です」
 
いや言いましたよ?
ここに入る前に
 
「またお誘いしたのはこちらなので奢りますよ」
 
って。
だけど限度ってもんがあるでしょう。
 
「………」
 
上目使いでもダメなものはダメです。
 
「あの…結局ご注文は?」
「あ、すいません。このセット2つお願いできますか?」
「お飲み物は何にいたしましょうか?」
「一つはコーヒーで…長門さんは?」
「…同じでいい…それよりフィレオフィッシュも」
「…だそうです」
「かしこまりました。このプレートを持ってお待ちください」
 
席はほとんどサラリーマンで埋まっていました。
夏休みなのにご苦労なことです。
喫煙席一歩手前の席を確保して、朝にしては結構重い朝食をとった。
 
ただ長門さんが一言も喋らないのが気になりました。
いえ、いつも自分から話しかけてくるタイプではないのはわかってるのですが。
昨日のようにぼーっとしてることが多いというか…
 
「もしかして迷惑でしたか?」
「モグモグ…ゴクン…何が?」
「いえ、こうやって食事に誘っていることです」
「…そんなことはない。とても楽しい」
「なら良かったです」
「涼宮ハルヒと出会うまで、私はずっと1人で過ごしてきた。どのような場合においても誰かのそばにいると私は安心する。…だから古泉一樹」
「……」
「…シェイクのバニラ味を所望する」
「…100円あげるので自分で買ってきてください」
「…それは出来ない。いい感じにカリカリになったポテトが私を束縛する」
「わかりました。少し待っててください」
 
…まぁ邪険に思われてなくて良かったです。
それにしてもよく食べますね。
 
「シェイクのバニラ味ですね。100円になります。…はい、ありがとうございます」
 
そういえば今日の盆踊りの服装どうしましょうか…私服で大丈夫ですかね。
 
「お待たせしました長門さん…って」
「モグモグ」
「それ僕のポテトです…」
「ゴクゴク」
「コーヒーまで…」
 
っていうか間接…いやもういいです。
 
その後、テイクアウトでアップルパイを注文した長門さんと別れ、もう少しだけお金をおろして一旦家に帰りました。
 


 
「遅い!」
 
時刻は午後2時20分前。
彼なりに精一杯早く来たようですがまたしても集合場所についたのは最後になっていました。
 
「…本当に数分前なのか?」
「ええ、惜しかったですよ」
 
涼宮さんと朝比奈さんと長門さんは既に浴衣姿です。
何でもまた涼宮さんがそれぞれ用意したんだとか。
 
「私、浴衣なんて着るの初めてです」
「あら、そうなのみくるちゃん?物凄く似合ってるわよ!」
「………」
「長門さんもよく似合ってますよ」
「おいハルヒ、みんな揃ったんなら早く行こうぜ」
「それもそうね。じゃ、出発!」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「…でだ」
「…まぁなんとなく予想はできましたが」
「…こうなるわけだ」
 
何が起こったかですって?
 
 
「みくるちゃんどこいったのかしら?」
 
そういうことです。
未来に祭りが無いのか知りませんが
 
「ふぇえ…」
「はあぁ」
 
など物珍しそうにフラフラしている内に人ごみに流されてはぐれてしまったようです。
 
「おい、朝比奈さん携帯出ないぞ」
「持ってきてないのかもしれないわね。手分けして探しましょう。古泉くんは携帯持ってきてる?」
「ええ、持ってきてますよ」
「じゃあ古泉くんと有希はそっち探して!あたしとキョンはあっちに行ってみるから!」
「わかりました」
「じゃあ見つけたら携帯に連絡しましょう!ほらキョン!綿飴眺めてないでいくわよ!!」
「のわ!!首を掴むなハルヒ!!」
 
…あっと言う間に行ってしまいましたね。
というかなんか最近長門さんとよくいるような気が…
 
「…で、長門さん。朝比奈さんがどこにいるかわかりますか?」」
「…涼宮ハルヒが探索しにいったルート上にいる。座りながら金魚を眺めている様子」
「…迷子の自覚ゼロですか」
 
朝比奈さんらしいというかなんというか。
 
「あと13分25秒後に涼宮ハルヒが彼女の姿を発見する」
「そうですか。ならそれまでのんびりしてましょう」
「………」
「長門さん?」
「…あれを食べてみたい」
 
長門さんが指差した先には明らかに異質な物体が置いてあった。
いや、年に一度のあるシーズンになるとよく見かけるものではあるが今は夏であって祭りの最中であって。
 
…なんで中華まんが売ってるんだろう。
 
「カレーまんが如何なるものか是非とも食してみたい」
 
そう言って100円玉を浴衣の袖から取り出す。
 
「そういえば財布持ってないんですか?」
「…必要ない。ポケット及び袖に手を入れた際に硬化を構成する」
「さすがにポケットからいきなりお金を出すのはちょっと…」
 
えっと何か手頃なものは…
 
「ちょっとそこで待ってて下さい」
 
長門さんを待機させて近くの屋台に向かった。
 
「へい、らっしゃい」
「後ろの棚にあるものなら何でも狙って良いんですよね?」
 
そう、射的屋だ。
ちょうど財布を景品にしているものがあったのだ。
 
「あぁ、何でも良いぞ。3発で300円。1発追加で100円プラ「いえ、1発で構いませんよ」
 
ぽん
 
間抜けな音が玩具の銃から鳴った。
 
「はい、ではそれを頂きますね」
「…やるなぁ兄ちゃん」
「いえ、こういうのは慣れているので」
「しかしなぁ…彼女へのプレゼントならもう少しましなもの選んだらどうなんだい?」
「か、彼女って…え!?」
 
こ、このおじさん長門さんのこと見てニヤニヤしてる…
 
「そんなんじゃないです!失礼します!!」
「頑張れよ~」
 
まだニヤニヤしてるよ…でも確かに女性にあげるには安っぽいかもしれない。
…このがま口財布をあげたら長門さんはどんな顔をするんだろう。
 
「はい、長門さん」
「…これは?」
「財布です。今度からはこれを使ってください…デザインがあれですが」
「…ありがとう。大切にする」
 
無表情だけど喜んでもらえたようだ。
良かった…
 
「じゃあ買いにいきましょうか」
「コクン」
 
カレーまんを2つ注文して1つを長門さんに手渡す。
なんか中華まん食べるのって久しぶりだなぁ。
 
「おいしいですか?」
「…とてもおいしい」
 
気に入ってもらえたようだ。
 
そのままのんびりと食べているとあることに気付く。
 
…なんかすれ違う人みんながこっちを見ている気がする…
 
「って長門さん?」
 
…泣いていた。
カレーまんを頬ばりながら。
嗚咽を漏らすでもなく、ただ淡々と涙を流していた。
 
「…なんでもない」
「なんでもなくないですよ」
 
えっと何か…お面でいいか
 
「あ、それください…ほら、これでとりあえず涙を隠してください。みんな見てますよ?」
 
カレーまんを食べ続ける長門さんの頭にウルトラマンのお面を被せた。
 
「…カレーまんが食べられない」
「まず泣き止んで下さい」
「…泣いてない」
「…見栄張らなくていいですから」
「………」
 
しばらくして長門さんがお面を取った。
涙は止まったようだ。
 
「…ごめんなさい」
「謝らなくていいですよ。一体どうしたんですか?」
「…わからない。あなたと一緒にカレーまんを食べていた時は確かに嬉しいという感情があった」
「………」
「…しかしそれとは別の所で原因不明のエラーが発生。その結果…」
「涙がでていたと」
「…そう。今はもう収まったので気にしなくていい」
「…本当に大丈夫なんですね?」
「…コクン」
 
…何か変なことでもしてしまったのだろうか…
 
ピリリリリリ
 
「あ、もしもし…えぇ、わかりました。朝比奈さん見つかったそうですよ」
「…カレーまんが涙でふやけてしまった」
「もう一個買ってあげますから」
「…ありがとう」
 
長門さんが泣いた理由。
なんとなくわかっていたけど。
理解出来てない自分がいた。
 
つづく

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