―――君はこれを持って行くんだ――――

 

・・・どこに?

 

 

―――大切な人に大切なものを渡しにさ―――

 

 

・・・俺が?誰に

 

 

―――彼女はすぐそこにいるよ。さあ行きなさい、命を創る為に―――

 

 

 

 

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坂道を下る

歩きながら思う。この道を通るのも何回目だろう…

 

数えるのも面倒だ

だが確実に言える事は、明日にはまたこの坂道を上るってことだ

 

坂道の終点が見えてくる

ここが終わると商店街を通っていつも自転車を止めている駐輪場までまっすぐ

 

よく谷口や国木田をここで見掛けるが今日はいないようだ

谷口はデートだろうな・・・朝比奈さんと

 

 

『やあキョンくんひさびさっ!』

 

 

この声は名誉顧問の・・・

 

キョン「鶴屋さんですか、お久し振りです。大学の方はどうですか?」

 

鶴屋さん「大学は暇さ~でもうちの方がちょろっと大変でね~」

 

キョン「そうですか。確かどこかの巨大な企業と揉み合っているとか・・・」

 

鶴屋さん「あははーまあ詳しくは言えないけどね~。あ、そういえば今日いっちゃんは居たかい?」

 

キョン「ええ、元気そうでしたよ」

 

鶴屋さん「そう・・・なら大丈夫そうかな」

 

キョン「どうしたんですか?」

 

鶴屋さん「な、なんでもないにょろよ。ただバイトが忙しいって言ってたから少し疲れてるんじゃないかと思ってさ!」

 

キョン「はぁ・・そうですか。て、あいつ今バイトなんかしてましたっけ?」

 

鶴屋さん「え、あははは。まあそれじゃまた暇だったら顔だすにょろ!んじゃバイバイー」

 

 

手を大きく振って走って行く彼らが名誉顧問

鶴屋家と、どこかの大企業の戦いか・・・なんか凄そうだな・・・

 

しかし気になるのは古泉の事を伝えた時のあの表情

切なさそうな、どこか労わるような・・・?難しいけどそんな感じだな

 

まさかあの二人が付き合ってるのか…そんなことは無いよな?

しかし会う度に古泉のSOS団への出席率や様子を聞かれているような気がする。

と言う事はデートの時間が取れない事を悩んでいるとか?

いや、考えにくい

 

しかし古泉のバイトが忙しい・・・?

バイトってのは神人退治の事じゃないのか?

それなら古泉はここ最近ずっと団活に出てるから神人退治には行ってないと思うが・・・別のバイトでも出来たのか?

鶴屋さんに聞いてもただ笑ってるだけだったな。

にしても、いつ働いているんだろうか?

 

 

ん~いくら考えても俺の足りない頭じゃ解けそうにない

単に鶴屋さんは古泉の事が心配なだけかも知れないじゃないか

 

それでいい

そういう事にしておこう

 

 

色々考えている内に俺はチャリに乗って家までついていた

 

やべえ…無意識に辿りついちまった・・・・よく事故とかあわなかったな俺

 

 

キョン妹「キョンくん~ハルにゃんから電話きてるよ」

 

家に戻るなりいきなり妹が受話器を持って俺の元へやってきた

 

キョン「ハルヒから?ああ・・・」

 

受話器を妹に受け取り耳に当てる

 

キョン『もしもし?』

ハルヒ『アンタ何で電話でないのよ!?』

キョン『あん?』

ハルヒ『さっきから携帯に電話してるじゃないのよ!』

キョン『・・・マジか?』

ハルヒ『その節穴でよーっく着信履歴を見てみなさい!!!』

 

 

携帯を開いてみると確かに着信履歴が7件も入っていた・・・

 

 

キョン『おまえ…電話しすぎ』

ハルヒ『アンタが気付かなすぎよ・・・それで少し話があるんだけど良い?』

キョン『ああ、構わないぞ』

 

ハルヒ『あのね・・・最近古泉君が怪しいの』

キョン『何が怪しいんだ?』

ハルヒ『古泉君、何か忙しいらしいのよ』

キョン『忙しいだと?』

ハルヒ『今日も携帯の時間を見て、急いで下駄箱に走って行ったわ。アタシの話はまだ全部終わってなかったのに・・・』

キョン『そうなのか。』

ハルヒ『六時くらいよ。突然すぎてびっくりしたわ。アンタには話して無かったけど前にもこういう事があったの。キョン、あんたは何か知らない?』

キョン『・・・いや、全く知らない。見当もつかないな』

ハルヒ『そう、わかったわ』

キョン『明日一緒に聞くか?』

ハルヒ『何をよ』

キョン『今お前が話した事全てだ』

 

声が止まった。ハルヒは少し考えているようだった

 

ハルヒ『…んーん。やめとく・・・このままの関係を壊したくないから』

キョン『このままの関係?そんくらいで壊れないだろ。アイツはお前の言う事には大体何でも従うんだぞ』

 

 

ハルヒ『でも・・・有希だって・・』

 

 

キョン『・・・へ?雪?』

 

 

ハルヒ『・・・・・・・・え?アタシ今何を・・・?』

キョン『どうした?疲れてるのか?』

ハルヒ『・・・と、とにかくこれ以上SOS団がバラバラになるのは嫌なの!』

キョン『バラバラ?朝比奈さんは谷口と付き合いだしたから毎日来れないのは仕方ないだろ。鶴屋さんだって家のことで忙しい。古泉と俺は今まで通り団活に顔を出してるじゃないか。どこもバラバラになんてなってないだろう?』

 

一瞬、受話器から聞こえてくるハルヒの息遣いが止まった気がした

 

ハルヒ『確かにそう・・・そうなんだけど、何か・・・何かが足りない気がするのよね。思い出せないけど何か・・・』

キョン『何の話だ?頭でも打ったのか?』

ハルヒ『違うわ・・・違う!ねえ・・・アンタは何か思い出さない?』

 

ハルヒの声は震えているようだった

だが思い出す・・・?

俺が何を思い出すんだ?

どういうことだか全くわからん

 

 

キョン『・・・思い出さないな』

ハルヒ『アタシも思い出せない・・でも分かるの。アタシ達、何かとても大切なものを…―――』

 

 

 

 

――― 魅 吊 戯 手―――

      ミ ツ ケ タ

 

 

 

っ!?

 

壮大にブラッシュバックされる風景

巨大な木々が立ち並び、見上げた空は青く澄んでいる

その中に二つ、風景に交わらないものがあった

 

小さな噴水と、その下に咲いている三つ葉のクローバー達・・・

 

 

―――キョン―――

 

 

―――どうしたのキョン!?――――

 

 

キョン『・・・・!!』

ハルヒ『キョン・・・?どうしたのキョン!?』

キョン『・・・・・あ、ああハルヒ。悪いな、電話中に少し寝ちまったみたいだ』

ハルヒ『もう、びっくりさせないでよ』

キョン『ああ、すまん。とりあえず古泉の事は国木田や阪中にも聞いてみる。何か知ってるかもしれんからな』

ハルヒ『うん、わかった』

キョン『じゃあまた明日学校で』

ハルヒ『うん、じゃあ・・・』

 

 

ピッ

 

受話器を切ると俺は、ようやく自分の格好がまだ制服だったことを思い出した

 

 

 

 

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とある白い空間

とある一世界

とある一つの次元

 

 

そこに少女達はいた

人間であるが人間とは言えない。

成分は同じだが、人としての道を歩いてこなかった…そんな人間の少女達

 

 

朝倉「…やっぱり、このエリアより先がロックされているわね」

 

喜緑さん「そうですね。ここから先は私達だけじゃ抜けれません」

 

朝倉「どう、朝比奈さん?この固定暗号、解除できそう?」

 

みくる「少し時間は掛かりますけど、出来ると思います。でも・・・ここはもう少し時間を下さい」

 

喜緑さん「わかりました。涼子、私達は別のゾーンから解除を試みましょう」

 

朝倉「了解。朝比奈さん…お願い、長門さんをどうか・・・」

 

みくる「大丈夫です。私はその為に来たんですから」

 

 

喜緑さん「でも流石に凄いですね。この情報量とギミックは…流石は【核を担いし者】・・・」

 

朝倉「だから情報統合思念体も必死なのよ。確かに彼女が消滅したら、私も貴方も消えちゃうもんね」

 

喜緑さん「ですね。頑張らないと!」

 

朝倉「ええ!」

 

 

少女達は情報を操作し解析を試みる

 

大切な人を救う為。そして、自分自身を守る為。

 

 

 

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