「で?」
「で? とは?」
「うまくいったかどうかに決まってんだろ。」
「おかげさまで。まあここで皆さんと再び会話を楽しんでいるということは
 うまくいった証拠ではないでしょうか?」
朝比奈さんは若干、彼はかなり、長門さんはそこそこ眠そうな顔で喫茶店に集まっています。
長門さんがだるそう表情なのは貴重なシーンではないでしょうか?

店内のテレビはニュースを映しています。
高校生が女性を何人も拉致監禁していたということで
レポーターとテレビ中継車や野次馬がいっぱい集まっています。
「これが人物Aの正体か。」
「そう。涼宮ハルヒに類似した能力はもうなくなった。そのとたんに今までの悪事が露呈した。」
僕の渾身の一撃が偽神の能力を粉砕したのでしょう。
「しかし行方不明事件があったのに機関が全く把握していなかったのは意外でした。」
「それは我々も同じ。うかつだった。」
「だが悪は滅びようとしている。あいつ、とうとう少年Aになっちまったな。」
テレビには一般社会から途中退場となっていく上着を頭に被せた少年Aがちらっと映っています。
「機関が最重要人物として一生面倒みてくれるでしょうね。」
「おいおい、人生も途中退場させてやるなよ?」
「さぁ、それは僕の範疇ではないんで。」
「古泉くん怖いです……。」

「さて、」
「皆さん、特にお二人にはご迷惑かけました。せっかくの記念日にこんな騒ぎを起こしてしまって。」
「……どういう意味だ?」
「おや? 違いましたか?」
「あれぇ? 誰かの誕生日でしたっけ?」
「朝比奈さん、このお二人は昨晩大人の階段を登ったところなんですよ。」
「? ……! えっ、ええぇぇ!!」
「てめぇ!」
「おや、違いましたか? 昨日閉鎖空間で長門さんがあなたは隣にいるとおっしゃってましたから。」
「!」
目を丸くする長門さん。おや、どんどん顔が赤くなってきましたが。
「あの時間に二人で一緒にいるってことはそういうことかと。」
目が泳ぐ彼。耳まで真っ赤な長門さん。実は長門さんの歩き方や座り方がおかしいと思ったんですよ。
カマをかけたつもりだったんですが確実ですね。いやぁ、我ながら下品です。

「わたしもご一緒してよろしいですか?」
「!!!」
いつの間にか喜緑さんが横に立っていました。もしかして瞬間移動の術持っていませんか?
「おや? バイト中じゃないんですか?」
「今日は早番なんで9時までなんですよ。
 長門さん、最近付き合いが悪いと思ったらそういうことだったんですね。」

さっきまで真っ赤だった長門さんの顔は真っ青になってます。
知ってますか、長門さん? 血の気が引く時、本当にサーッって音が聞こえるんですよ。
腰が抜ける感覚は膝が笑う感覚が腰で起きていると考えてください。
失禁は同じく……もういいですよね。

「遊ぶのも結構ですが、きちんと仕事はしないとダメですよね? 特に今回は危なかったですよ。」
「は、話を聞いて欲しい。」
「ええ、だから聞かせてくださいな。」
長門さんの顔はもう真っ白です。あぁ、もう泣きそうだ。
こんな滅多に見られない長門さんを眺めていたい気もしますが、
「さて、そろそろ僕は涼宮さんとの待ち合わせがあるんで失礼します。」
「お、おう。頑張ってくれ。」
「当然です。朝比奈さん、あとでここのレポートよろしくお願いします。」
「あ、はい♪」
おや? 結構ノリノリですね。


待ち合わせ30分前に公園につきました。よかった、涼宮さんはまだ来てません。
涼宮さんが来ない場合はどうするかって? そんなことはありえません。
ほら、向こうから手を振ってやってきましたよ。
「古泉くーん!」
真夏の太陽のような笑顔がやってきました。

「おはよう、古泉くん。ねぇ、今朝のニュース見た? 誘拐事件。怖いわね、この近所じゃない。」
「ええ、警察やテレビ局やらいっぱいいましたね。」
捕まったのは少年Aということに気付いていないようです。
知ってたら気まずくてここに来なかった可能性もありますね。僕は危ない橋を渡っていたようです。
「涼宮さん、ここに来てくれたということは……。」
「そう、あたしが選んだのは古泉くん。あなたよ。」
「ありがとうございます。」
「ううん、感謝するのはあたしの方。ずっとわたしのことを想ってくれてたんだから。
 あたし、あんまり古泉くんを恋愛相手として意識してなかったし。」
「いえ、一緒にいられるだけで嬉しかったんですよ。」
「じゃあこれからずっと幸せね。」
この笑顔が僕のものになるなんてもう夢のようですよ。
「あのね、古泉くん、昨日夢を見たの。変な夢だったんだけど。」
「どんな夢だったんですか?」
「それは秘密よ。結果だけ教えてあげる。」
そういうと涼宮さんはいきなり抱きついてきて、両腕が僕の首の後ろにまわりました。
僕も夢と同じように涼宮さんを迎えに少しかがみ、僕の両腕は涼宮さんの背中へ。
目を閉じて吐息だけを感じて……。


セイブザ・クイーン 完


  


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