実は8.365秒のその後の話です



……パチン

「む、そこか…」

…パチン

「ふむ…」

………パチン

「んー…長考していいか?」
「どうぞ」

静かですね…

こんにちは、古泉一樹です。
あぁ、名乗ることのできる素晴らしさ。
今日もまたいつのように彼とゲームで勝負をしてるのですが、
珍しく女性陣の方は1人も着ていないようです。

…そこ、期待するような目で見ないでください。

しかし、彼が長考するのも珍しいです。
久しぶりに勝つことができるかもしれません。

パチン

「よし、これで王手飛車取りだ。」

…少し浅はかだったようですね。
しかし僕にはコツコツと積み立ててきた戦略があるのです。
この飛車を動かして…

パチン

「これは…」
「詰みですよ。あなたがどの駒をどこに動かそうと、『次の僕の番』に勝利が確定するわけです」

どうやら森さんの特訓が功を成したようです。
間違った手を打つとすぐ叩くんだからあの人は…

「降参ですか?」
「…あほか」

パチン

…僕の王が取られてしまいました。
どこで間違ったんでしょうか…
…今日も森さんのお仕置きフルコースのようですね。

「少しは将棋の打ち方を勉強したらどうだ?」
「毎日のように特訓しているのですが」
「今回はそれ以前の問題かと思うが。 もう一回打つか?」
「えぇ、望むところです」

せめて一勝でもすれば森さんも許してくれるでしょうか。

「しっかし蒸し暑いな…雨も降るなら潔く降ってくれんかね」
「もう9月に入るのになかなか涼しくなりませんね」
「…やれやれ」

そんな会話をしながら対局していると彼がふと手を止めました。
また長考ですか?

「…そういやお前」
「どうしました?」
「…裏切ったよな?ほら、あの長門カレー事件の時」

…覚えていましたか
誤魔化しきれないかと思っていたのですが…

「はて…なんのことか存じませんが」
「ほぉ…しらを切るつもりか…」

…ちょっとなに立ち上がってるんですか?
オーラが怖いですよオーラが。
ってバットなんてどこから出したんですか!?

「悟史君のロッカー」

あまり他の世界に介入しないでください…
ネタを知らない人が困りますから

「いいだろ?もう一回"転校"するくらい」

お断りします!
近づかないでください!!

「さぁ…覚悟はいいか古泉ぃ!!」

マズいですね…彼の目が完全にイっちゃってます

「あ!外で朝比奈さんが行水してますよ!!」
「マジで!?」
「嘘に決まってるじゃないですか!」

言うや否や僕はすぐに部室を飛び出しました。

「あ、待て古泉!」

………

なんとか逃げ切りましたか…
ここは購買ですかね?
疲れたので飲み物でも買いますか。

「あれ?古泉?あんた団活は?」
「いや何やってるんですか森さん?」

そこには購買の受付で売上ノートをまとめている森さんがいました。
…メイド姿で。

「いや、視察ついでにバイト。なかなか給料いいんだこれが。
何か買いにきたのかしら?」

そんな気も失せましたよ。

「だったら邪魔だからどっか行きなさい。
ほらお客がきたからどいて」
「あ、どうもすみま…」

…この人は…

「ねぇねぇお姉さん」

…鶴屋さん?

「スモークチーズはあるかい?」

にしては小さすぎる気が…

「ん~…スモークチーズは扱って無いみたいね」
「にょろ~ん…」

寂しそうに去って行きましたね…
結局誰だったんでしょうか…

「見つけたぞぉ!古泉ぃ!」

げ、見つかってしまいましたか!

「森さん、失礼します!」
「ん~、頑張れよ~」

……はぁはぁ

「バタン」

やっと部室まで戻って来れましたか…
あとは彼がくる前に涼宮さんが到着すればなんとかなると思うのですが…おや?

「長門さん、遅かったですね」
「図書館で本を探していた」

それだけ言うと手元の本を読む…ことはせずこちらを見てますね。
心なしか笑うのを堪えてるように見えるのですが…

「志村、後ろ」

…後ろ?

「古泉くん見ないで下さい!」

…朝比奈さん?

「あ、あの、今着替えてる途中なので…
出来ればそのまま部室の外に出てくれませんかぁ?」

そういうことですか。
…声しか聞こえないのが残念ですが…
ってか長門さん知ってるなら「後ろ」とか言わないで下さい。

「す、すみませんでした…」

そう言って静かに部室を出る
そのまままったりと朝比奈さんの着替えが終わるのを待てたらよかったのですが…

「…そこにいたのか古泉」

扉を閉めた僕の目の前な阿修羅と化した彼がいました。
そこまで怒らせるようなことだったのですかね?

「もう逃がさんぞ!」
「ち、ちょっと待って下さいって!」

「バタン!!!」

彼が突進した勢いで僕は彼と仲良く部室に転がりこむことになりました。
当然部室の中には着替え途中の朝比奈さんがいるわけでして…

「き、き、きゃあぁぁぁぁ!」

本来聞くはずの無かった悲鳴を聞くことになってしまいました。
長門さん、本で隠しても笑ってるのはバレバレですよ。

――――――――――――――
「次は気を付けて下さいね?」
「「すみませんでした…」」

朝比奈さんが着替え終わったのを確認してからとりあえず謝りました。
彼は知らなかったとはいえ、僕は注意を受けた後ですしね。
…しかし相当な目の保養になりました。朝比奈さん、感謝です。

「今日は蒸し暑いので麦茶でも入れますね」
「ありがとうございます」
「そういやハルヒのやつはまだ来ないの「きゃあぁぁぁぁぁ!!」

今度はなんですか!?
朝比奈さんの半裸なんか想像してないですよ!?
本当ですよ!長門さんそんな目で見ないでください!!

「な、なんですかこれはぁ!?」

あれは…本?

「今日の○の2か?あんなところにあったのか…」

あぁ、長門さんがみな○けと間違えて買ってしまった本ですか。
本当にチカちゃんの顔がめり込んでますね…
しかも目に画鋲が刺さっている上、
冷凍庫に入れてたみたいなのでカチコチに凍ってます。
正直朝比奈さんじゃなくてもビビりま「お待たせ~!早速だけどみくるちゃん!これに着替えなさい!!」

…このタイミングで涼宮さん登場ですか。

「ふえぇぇぇ!?」

まぁ朝比奈さんもその反応が妥当でしょう。
今日の5の○を片手に固まってますね。

今日は婦警さんのコスプレですか…
気付けば誰に言われるでもなく彼と一緒に部室の外に出ていました。

「ほらほらちゃっちゃと脱ぐのよみくるちゃん!」
「じ、自分で着替えますからぁ~
下着まで脱がさないでくださいぃ~」

中から朝比奈さんの悲鳴が聞こえてきます。

「なぁ古泉」
「どうしました?」
「なんだかんだ言って今日も平和だよな」
「おっしゃる通りです」
「しかしハルヒはどこからコスプレを仕入れてるんだろうな?
多分こないだ遅れて来たときに準備でもしたのか?」
「さぁ、存じませんが…」
「まぁ朝比奈さんのコスプレが見れるなら何だっていいが」
「確かにそうですね。
でも僕としては長門さんのコスプレも見てみた「ドゴン!!!!」

「「…………」」

何の音でしょうかね…
普通こんな音がするなら涼宮さんは黙っちゃいないでしょうし、
朝比奈さんなんかは悲鳴を上げるものですが…

彼も状況が飲み込めないようです。

次第に部室の扉が静かに開いて

「キョン君古泉君…ちょっと中に入ってもらえますか?」

にこやかにブチ切れている婦警さんもとい

…SOS団専属メイドの朝比奈さんが立っていました。

あぁ、我慢の限界だったんですね。
人生の先輩による説教会といったところですか。
今現在長門さん涼宮さんそして僕と彼が仲良く正座してる先に朝比奈さんが仁王立ちしてます。
 
「ち、ちょっとみくるちゃん!?団長の許可なく説教だなん「ドガン!」
 
…右拳が壁に突き刺さっていますね。
さっきの爆音もこれが原因でしたか。
 
「次勝手に発言したら顔にぶち込みますよぉ?」
「…ご、ごめんなさい…」
 
涼宮さんを黙らせましたか…
機関に入るあたりから色んな出来事がありましたが
正直これは何が起こるかわからないです…
 
「まず初めに質問しますが冷凍庫の中に本をいれたのはどなたですかぁ?」
 
今日の○の2のことですか…
恐らく入れたのは…あの方ですね。
 
「……」
 
…長門さん、誉められるわけじゃないんだから誇らしげに手を挙げないでください。
 
「長門さんでしたか。こんな所に本を入れてもいいと思ってるんですか?」
「十分想像できるレベル」
 
いや普通予想できませんよ。
冷凍庫に画鋲の刺さった本があるなんて。
 
「そんなことより朝比奈みくる。
早くご褒美を」
 
あるわけないでしょうが!!
宇宙では冷凍庫に本を入れると誉められる習慣でもあるんですか!?
 
「…無いの?」
 
無いですよ!!
 
「う~ん、長門さんはちっとも反省してないみたいですねぇ。
長門さん、ちょっと耳を貸してください」
「……?」
「ごにょごにょ…」
「!?」
 
いきなり長門さんの顔が恐怖に歪みました
 
「お願い朝比奈みくる…それだけは…」
「駄目です。今回は我慢してください」

 
…一体何を言われたのでしょうか
 
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…」
 
長門さんが屍モードに入りましたね。
しかも朝比奈さん完全にそれをスルーしてます。
 
「さて、次は涼宮さんですね」
「は、はい…」
 
朝比奈さん笑っていても目が怖いです。
涼宮さんと彼が震えてますよ。
 
「私は別に涼宮さんの持ってきた衣装を着るのが嫌なわけじゃないんですよ?
ただもう少し年上の方の意見も尊重したほうがよろしいのじゃ無いですか?」
 
「はい、その通りだと思います…」
 
あの涼宮さんがイエスマンになりましたか…
朝比奈さん恐るべし…
 
「別にこれからも普通通りでもよろしいですが…度が過ぎるようなら…」
「度が過ぎるようなら…?」
「ごにょごにょ…」
「な!?みくるちゃん!なんでそれを!?」
 
そう言って涼宮さんは赤くなって朝比奈さんと彼を見ます…ということは
 
「ん?俺の顔に何か付いてるのか?」
 
十中八九この人関連でしょう。
気付いてないのがまた恐ろしい…
 
「お願いみくるちゃんバラさないで!」
「これからの涼宮さん次第ですよぉ」
 
ニンマリと笑う朝比奈さん。
正直とっても怖いです。
 
「さて、最後は…」
 
僕と彼ですか…
 
「高校生にもなって追いかけっこだなんでみっともないと思わないんですか?」
 
真剣な目で朝比奈さんが僕達を見ます。
…確かに恥ずかしいですね。
 
「はい、申し訳なかっ「はい!朝比奈さん!僕は古泉一樹くんに約束を破られたので怒っただけです!僕は悪くありません!!!」
 
空気読めぇぇ!!!
何小学校みたいなこと言ってんですか!!?
してやったりな顔するなぁぁ!!
 
「…どっちもどっち」
「…確かにそうよね」
 
涼宮さんに長門さん。
僕がいつ子供みたいなことをしたというのですか?
マズいですね…朝比奈さんがこっち見てます。
 
「だ、だったら普通に咎めればいいじゃないですか!
彼はバットで殴りかかってきたんですよ!?」
「な!?じゃあ嘘付いてもいいって言うのか!?」
「駄目だったら暴力で解決ですか!!」
「誰もそんなこと言ってないだろう!
いい加減なことを言うな!」
「なら言わせてもらいますがそもそも長門さんがあの状態になったのはあなたが嘘をついたからでしょう!!!!」
「そんなの関係ねぇだろ!!
話をそらそうとするな!!」
「だったらこの件ももう終わった話でしょうが!!!」
 
「…まるで子供のケンカね」
「…彼らのやってることはただの揚げ足取り。
…彼ら…かれら…カレー…カレーが食べたい」
「…有希は本当にカレー好きなのね」
「コクン」
 
「…良いだろう古泉…恐らく他者の目からはハルヒがリーダーだと間違いなくわかっている」
「えぇ、そして長門さんと朝比奈さんは別として男子間でも他者に力を示す事であるべき秩序がもどります」
「今…はっきりさせるか?
古泉と…」
「あなた…」
 
「「どちらが上か!!!」」
 
叫んだ直後殴りかかる
勢いよく振りかざした右手を
彼の顔面に叩き込む!!!
 
 
 
 
 
―刹那
 
 
 
 
 
「ガシッ!!」
 
 
 
 
 
僕の視界が暗くなりました
…気のせいかミシミシ言ってます
 
「楽しそうなところ申し訳ないんですが」
 
朝比奈さんが腕をクロスさせて僕と彼の頭を鷲掴みにしてました
…あれ?ピクリとも動きませんね
 
「私の話はまだ終わってないんですよぉ?」メリメリ
「「……すみませんでした」」
 
痛い痛いどんどん指がめり込んでる!!
 
「…あの技は」
「有希、知ってるの?」
「あの技はアイアンクローフロムキッチン対面式。
伝説とまで呼ばれた三女の長女の必殺技。
…まさかこの世界で扱える人間がいるとは…」
「…あんまり他の世界に干渉しないのよ?
下手したら消されちゃうんだから」
「…コクン」
 
いや冷静になってないで助けて下さい!
 
「キョン君…次も子供みたいなことしたら…あのフォルダの存在…涼宮さんに教えますよ?
中身…知らないとでも思ったんですか??」
 
…何の話でしょう?
 
「…覚えてたんですね…
ってかそれだけは勘弁してくださいお願いしますいや本当に痛いですごめんなさい」
 
ちょっと!僕の方にも力が加わってますよ!!!
 
「古泉くんも…また今回のような行動をとるなら…古泉くんの『禁則事項』を引き抜いてスライスした上右手を『禁則事項』して脳にぶち込んでミックスした『禁則事項』をSOS団のマスコットキャラクターにしますよ?」
 
…どんだけ酷い言葉が「禁則事項」になってるんですか。
その前に罰のレベル高すぎやしませんか?
 
「…もうしません」
 
そういうと朝比奈さんはにっこりと笑った。
いつもの優しい目で。
 
…その後
 
涼宮さんの提案により「朝比奈先輩を労う日」が設立された。
 
……どんな日ですかって?
 
「みくるちゃん!お茶入ったわよ!」
「ありがとうございます」
「朝比奈みくる、本を読んであげる。
そこに座って」
「い、いえ…本なら自分で読みますよぉ」
「…早く」
「…わかりました。ありがとうございます」
「朝比奈さん、それが終わったらボードゲームでもしましょうか」
「えぇ、キョン君。負けませんよ」
 
少し困惑しながらも朝比奈さんは嬉れしそうでした。
 
僕ですか?
朝比奈さんのお茶受けが無かったので購買まで買い出し…なのですが
 
「あら、とても似合いますよ」
「そうっすかねぇ?男が着ても大丈夫すか?」
 
購買でバイト中の森さんが谷口君に何か売りつけていますね
…あれは
 
「だから…何やってんですか森さん」
「ちょっと古泉!今商売中だから邪魔しないで!」
「いや商売って…最近の購買ではコスプレ衣装も売ってるんですか?」
「そーそー、意外と売れんのよ。ハルヒちゃんなんか週1で買っていくわよ」
 
…涼宮さんのコスプレの出どころはここでしたか。
 
「じゃあこれ買います!」
「毎度ありがとうございます」
 
…谷口君、あなたがナース服なんか買ってどうするんですか
 
「あんたも何か買いに来たの?
オーソドックスにメイド服と「いりません。そこのかりんとうを下さい」
「相変わらず真面目だね。
ほら、次の客がきたからどいたどいた」
 
客?
 
…いた
涎を垂らした鶴屋さんもどきが
 
「お姉さんお姉さん、スモークチ「さっきもいったでしょ?悪いけどスモークチーズは扱ってないんだよ」
「違うんだよお姉さん…ゴソゴソ…ほらっ、スモークチーズだよ!」
「………」
「………」
「よ、良かったわね」
「にょろーん」
 
嬉しそうにスキップしていきましたね。
本当に誰なんでしょうか。
 
「早く戻らなくてもいいのかい?」
「それもそうですね、では」
 
そんな平和な日常を過ごすSOS団がハルヒの思いつきにより非日常的な日々に巻き込まれるのは本編でのお話。
 
「…まんま原作まかせですか」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「で、何ですかこれは?」
「自己満という名の反省会。 古泉一樹、次からはあなた主観の話は無いと思われる」
「…何故ですか?」
「作者が古泉一樹は動かし辛いと判断した」
「…そうですか…」
「そう、ちなみに朝比奈みくるにも同じことが言えるらしい」
「ふぇ!?そうなんですかぁ!?」
「朝比奈さん…いらっしゃったんですか」
「まるで空気のよう」
「…ひどいですぅ」クスン
「あら、みんなそろってるのね」
「じゃあせーのでいうぞ。ほら古泉、落ち込むな」
「せーの」
「ぐだぐだですんませんでした」×5
 
多分SOS団設立時」に続く。


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