<<前回のあらすじ>>
 買ったばかりのクルーザーで南の無人島へバカンスに訪れた藤原たち。
 しかし錨を下ろすのを忘れてしまい、気づくとクルーザーは遙か沖合のかなたへ流れてしまっていた。こうして南海の孤島に取り残された藤原たちの、命をかけたサバイバル生活が始まったのだった。
 食糧不足に困り不毛な無人島の中をさまよい歩く藤原たち。そんな彼らの前に現れた、謎のキノコの繁殖地。
 キノコを目の前にして毒の有無を気にする遭難者たちだったが、空腹に負けてキノコを口にすることに。
 キノコにむしゃぶりつく藤原たちを嘲笑う運命の女神。彼らはいつの間にか二目と見られぬほどおぞましくも醜い、キノコ人間へと変わり果てていた。
 こうして、無人島の覇権をかけた藤原たちの壮大な世界最強毒茸王決定戦が開催されたのだった。

 

 

~~~~~

 

 

みくる「ふっじわら! ふっじわら!」
中河「おらおらどうした、こいよ!」
オッキ『おっき! おっき!』
ルソー「くーんくーん」

中河「俺を倒してルソーを連れ帰るんだろ? だったら早く来いよ! ボコボコにしてやるよ!」

 

中河「俺の屍を越えて行け!」

 

藤原(あんなこと言ってるよ。絶対マジだよ、あいつ。目が据わってるもん。なに熱くなっちゃってるの? 馬鹿じゃねえの?)

 

藤原(こんなやつら置いて、さっさと帰って浦安鉄筋家族の続き読みたいのに)

 

藤原(でも喧嘩が怖くて逃げ出した腰抜け藤原だなんて思われるのもシャクだし。面倒だけど相手してやるか)

 

藤原「いいだろう。さっきのパンチの貸しもあることだし、今度こそ本気でやってやんよ」
みくる「がんばってください、藤原さん!」
ルソー「くーんくーん」


中河「覚悟はきまったか、キザ野郎。ならいくぞ! この俺の岩をも砕きそうな威力のアメフトタックルを!」
藤原「まあ待ちなよ、ラガーマン。誰も喧嘩で戦うなんて言ってないだろう」
中河「なに? どういうことだ。あれだけの大口を叩いたんだから、今さら臆したなんて言わないよな」
藤原「もちろんだ。僕はお前のような力しか能のない筋肉ダルマなどに恐れを抱かない。ただ、蹴った殴ったの暴力で優劣をつけるなど前時代的で野蛮な行為は慎もうと言っているんだよ」

藤原「ここは平和的に頭脳での勝負。マインドスポーツの中でもトップクラスにメジャーな競技、将棋で勝負をつけようじゃないか」
中河「なんでいきなり将棋なんだよ」
藤原「ふん。これだから筋肉万太郎は。勝負にいきなりもくそもないだろう。それとも何か? あんたはヨーイドン!と掛け声をかけてもらえる予定調和じゃなけりゃ勝負はできないってのか? え? スポーツマンさんよ?」
中河「うぬぬぬぬぬ! 言わせておけば!」

 

中河「いいだろう! その将棋勝負、受けてたってやる!」
藤原「ふん。なにを胸を張って威張っている。売られた勝負は買うのが当然。声を張り上げてまで誇示するものじゃないだろう」
中河「いちいち癪にさわるやつだなお前」

 

藤原「よし。では決定だな。さっそく将棋勝負を始めようじゃないか」
中河「いつでも来な。愛の力こそが最強であることをここに示してやる」

藤原「ふふふ。馬鹿めが。銀星将棋で初段の腕前を持つこの僕に、運動会系のお前ごときがかなうものか」
中河「ほう。面白いじゃないか。こう見えても俺は将棋が好きなんだ。アメフトよりも前から将棋を続けていて、県下のタイトル戦で3位になったこともあるんだぜ。お前のその強気がいつまで続くか楽しみd
藤原「やっぱやめようぜ将棋」
中河「ぅおい!?」

 

 

藤原「だいたいさ、将棋なんて古くて辛気臭いだけのお遊びじゃん? 僕らみたいな若者が真剣勝負でやるもんじゃないよ」
中河「なんでだよ!? マインドスポーツのメジャーな競技って自分で言ってただろ!? そんなに自分の腕に自信がないのかよ!?」
藤原「いや、勘違いするなよ。自分の腕に自信がないとか言うわけじゃないんだぞ。こう言っちゃなんだが、僕はプロ棋士とやりあっても遜色ない勝負ができる棋力を持ってると自負してるし」
中河「じゃあいいだろ。将棋でいいじゃないか」
藤原「プロとも互角に渡り合えるこの僕が、県3位でうかれてるような低レベルな奴を相手に本気を出せるわけないだろ。もうちょっとできると思って期待してたのに。がっかりだぜ」
中河「なんで軽く俺の責任みたいになってんだよ!? お前がプロ並に強い棋士でも俺はいっこうにかまわないから、将棋で勝負しろよ!」
藤原「おいおい。誇り高い僕に、雑魚相手に本気出せっての? どっちかって言うと僕はウサギ相手にも手加減しない獅子ってところだぞ。でもほら。どうせやるからには手ごたえのある敵と戦いたいって言うか、さ」
中河「お前あれだな。想像以上にウザいな」

 

中河「喧嘩がダメで将棋もダメって言ったらお前、なにするんだよ?」
藤原「じゃあ歌唱勝負なんてどうだ。カラオケでより高得点を出した方が勝ちという、実に紳士的で分かりやすい勝負だろ?」
中河「ああいいぜ。歌で勝負しようじゃないか。じゃあ早速カラオケ行こうぜ」

藤原「ふふん。阿呆めが。仲間内ではカラオケ藤やんと呼ばれて恐れられたこの僕が、圧倒的な点数でもってあんたを粉砕してやろう」
中河「それはこっちのセリフだ。俺はこう見えても歌が得意中の得意でね。つい3日前にも友人とJOY行って98点出したばっかなんだ。今日は99点を出してやるぜ」
藤原「え……お前、JOY派なの? うっそ。僕DAM派……」
中河「は?」

 

藤原「ちょ、マジ? へこむわ。これはへこむわ。テンション下がるわ。こっちはDAM行く気でモチベーション上げてたのに、JOYとか。もうダメ。やる気なくなった。一気に冷めたわ。空気読めって感じ」
中河「いや、どっちでもいいだろ。じゃあDAMでいいよ。DAM行こうぜ」
藤原「『DAMでいいよ』 だと? 何て言い草だよお前それ。『でいいよ』? なにその高いところから目線。98点とったからって、下目線かよ。何様のつもりだよ」
中河「いや、別にそういうつもりじゃないけど……けど実際DAMでもJOYでも、採点ができればどっちでもいいんだろ?」
藤原「うわ、もうダメ。予想以上のダメさ加減。僕はもうついて行けません。DAMでもJOYでもどっちでもいいとか言ってるヤツと一緒にカラオケ行きたくないし」

 

藤原「自分の行動に信念持ってない付和雷同なヤツとカラオケ行ったって、良い勝負できるわけないもん。100%無理。あんた、あれ系だろ? B’zとかラルクとかマネしていい気になって天狗になってる系だろ。つまらん人生!」
中河「しまいには首絞めるぞお前」

 

 

藤原「もしかしたら勘違いしてるかもしれないから一言言っておくけど、僕はあれだよ。あんたがカラオケで高得点とれるって聞いたからカラオケ勝負をやめようって言ったわけじゃないから」
中河「俺にはそうとしか思えないんだが……」
藤原「おいおい、勘弁してくれよ。僕は信念の問題でカラオケ勝負をやむなく断念したんだよ。だってほら。僕が本気を出したらカラオケ99点なんて造作もないことだし」

 

藤原「まあ普通にやれば勝てる勝負だけど、DAMとJOYで個人的に絶対に譲れない心の深い部分にある信念に抵触する価値観の相違があったって言うか。まあ、そういうものがあったから、しかたなくカラオケを諦めたんだからな」
中河「もういいよ。理由なんて何でもいいって」

 

藤原「じゃあ、こうしようぜ。間とって料理対決」
中河「どことどこの間をとったんだよ。将棋とカラオケの間とかじゃないよな」
藤原「グチグチ余計なことを気にするヤツだな。細かいこと言う男は嫌がられるぞ。やるのかやらないのかだけ言えばいいんだよ」
中河「俺は料理勝負でも大食い勝負でも何でもいいけどさ。お前、今度こそやめるとか言うなよ。いいか? 絶対だぞ」
藤原「ああ、いいぜ。料理は得意中の得意科目だから。どう転んだってあんたみたいなガサツそうな男に負けるはずないからね」
中河「つくづく腐ってるよな、お前」

 

中河「じゃあ料理対決な。決まり決まり。絶対に変更なしだぞ! 男と男のタイマン勝負だぞ!」
藤原「ああいいぜ。万が一、たとえ他の勝負で負けるようなことがあっても、料理だけは負ける要素ないから」
中河「じゃあ早速勝負の内容を決めようぜ。俺はなんだっていいぞ」

 

中河「うち実家は料亭で、ガキの頃から和洋中、種類を問わずいろんな料理を仕込まれてるから。俺に作れない料理はないからさ。お前に合わせてやるよ」
藤原「マジで?」

 

藤原「ああ、でもさ。料理勝負するって言ったって、よく考えたら今から台所を確保するのも面倒だし、食材を集めるのも手間だから、別の勝負にしようぜ。これは仕方ない」
中河「おいこら!」

 

中河「いい加減にしろよお前。さっきからおとなしく聞いてれば、さんざん人を小馬鹿にしたようなこと言って煽るだけ煽っておいて、自分が不利だと分かった途端に屁理屈こねて話を有耶無耶にしやがって」
藤原「おいおい。失敬なやつだなキミは。誰がいつ屁理屈をこねた? え?」

 

藤原「僕はやむをえない理由があって、仕方なく勝負を見送っているだけだというのに。あんたこそそうやって僕の揚げ足をとってイチャモンつけるばかりじゃないか。いい加減にしたまえ、洟垂れのガキじゃあるまいし」
中河「イチャモンつけてるのはお前だろう。じゃあ台所貸してやるから、うちの部の部室来いよ。食材も置いてあるから、それ使えばいい。料理勝負しようぜ」
藤原「勝負に勝てそうにないから、そうやって少しでも自分に有利な場所に僕を連れこんで、脅しで解決を図ろうという魂胆なんだろ? 本当に最低なヤツだなあんた。そんな見え透いた手には乗らないぜ」
中河「てめえ……じゃあなんで料理勝負するとか言い出したんだよ。台所ないって分かってるんなら最初から料理するなんて言い出すなよ。普通言わないだろ、この状況で料理勝負とか」
藤原「まあ、もういいじゃないかその話題は。な。水に流してやるから」
中河「え!? なにその切り返し!? どんな話題の流し方だよ!? 無理矢理すぎるだろ!? 水に流してやるってなんだよ!? 先に話をふったのお前だろ!?」
藤原「料理のことはいったん脇に置いておいておこうぜ」
中河「おいおいおいおい! おくなよ! 脇に置くなよ! その話をしてるんだから!」


藤原「まあまあ。たとえ話だから。まずは俺の話を聞けよ。仮にだぜ。仮の話だけど。ちょっと僕の質問に答えてくれ」

 

藤原「あんたの苦手分野ってなに?」
中河「………」

 

 

中河「……それを聞いてどうするつもりなんだよ」
藤原「言っただろう、たとえばの話だって。あまり深い意味があって聞いたんじゃないんだ。日常会話みたいなもんだと思ってくれてけっこう」
中河「………」

 

中河「一応聞いておくけど、それを聞いてから勝負の内容を決めようとかは、さすがに思ってないよな?」
藤原「はあ!? 当たり前じゃないか。あんたは僕を侮っているのか? そこまで露骨な意味を持って質問するわけないじゃないか」
中河「まあ、そうだよな。俺の苦手分野を聞いてからそれを勝負に反映しようなんて、安直すぎるよな。さすがに考え過ぎか」

 

中河「俺の苦手な分野と言われても困るが……まあ、言うなれば、数学とかかな」
藤原「よし、数学のテストで勝負だ!」
中河「おい! 仮の話だったんじゃないのかよ!? なんとなくこの展開は読めていたが、まさか直球で数学勝負だなんて言ってくるとは思ってなかったぞ!」
藤原「馬鹿め。まんまとこの僕のマーベラスな策に乗せられおって! おめでたいヤツよのぅ!」

 

藤原「ん? どうだ? 自分から弱点をさらけ出し、そのウィークポイントを徹底的に指摘される気分は? え? なに? きこえな~い?」
中河「………冗談抜きで本気で殴りてぇ……」

 

藤原「よし、朝比奈みくる。すぐさま準備せい! 正義の聖戦だ! 数学のテストを用意するんだ!」
みくる「えぇ!? 本気でやるんですか!? しかし、それはあまりにも卑劣きわまる……
藤原「ええい、これだから甘ちゃんは! 勝負の世界は非情なのだ! 相手の弱い部分を狙って攻めるのは格闘技においても当然の定石手段だぞ!?」
みくる「なんでわざわざ格闘技を引き合いに。でもそれで話が進むのなら」
中河「そういえば何で俺、こいつらに付き合ってやってるんだろう?」

 

 

みくる「じゃーん。できましたよ、数学のテスト」

 

みくる「といっても、私が去年使ってた教科書から問題を抜粋しただけですけど」
藤原「上出来だ。IQ300のこの僕に数学の問題など、ヘソで茶をわかすにも似た滑稽さだが、勝負である以上手加減はしないぞ」
中河「もう何でもいいから、さっさとしろよ……」

みくる「それでは、位置について! よーい、どん!」

 


<<30分後>>

 


みくる「藤原さん、中河さんの数学のテストの採点が終わりました。今から点数を発表したいと思います」
藤原「ふふん。どうせ僕が100点で、そこのマッスルダルマが5点くらいなんだろう。誰にでも予測できる、聞くまでもない既定事項だ。潔くスパッと切ってやるがいいぞ、朝比奈みくる」
中河「なんでお前は終始偉そうなんだよ」

 

みくる「それでは、まず藤原さんの点数を発表します」

 

みくる「藤原さんは、87点です」

 

藤原「なんだって? この僕が13点も落としてしまっただと? おいおい、ちゃんと集計したんだろうな朝比奈みくる」
みくる「も、もちろんですよ。公平に、間違いのないように採点しましたよ」
藤原「ふん。まあいい。それでも高得点であることに違いはない。四捨五入すれば100点なんだからな」
みくる「その論法でいくなら、50点でも100点じゃないですか」

 

みくる「それでは、中河さんの点数を発表します」

 

みくる「中河さんは、なんと! 95点!」
藤原「ッ!?」

 

 

中河「よかった。実は今日の問題、全部こないだの中間テストに出てた範囲の内容だったんだよな。その時は一夜漬けだったが、公式覚えてて助かったぜ」
みくる「この勝負、中河さんの勝ち~」

 

藤原「ふざけるな、ちん○す共! インチキしやがったな!」


中河「な、なんだと!?」

藤原「おかしいって。絶対おかしいってこの勝負! 穴だらけやもん!」

 

藤原「ていうかお前、テストの範囲で勉強したばかりだったって。卑怯やんそんなん。それ間違いなくハメやん」

 

藤原「つうかこれ罠やろ? え? お前ら組んでるやろ? 言わんでも分かってるし。俺知ってるから」


中河「なんて見苦しい負け惜しみ!」

藤原「絶対に、キミたちは、組んでます。ハナっから俺を陥れるために、それを目的にして手を組んでました 君 た ち は !」
みくる「そんなわけないじゃないですか。私は藤原さんの味方なんですよ。今回は審査員という立場でしたから公平に審判しましたけど。絶対に打ち合わせとかしてませんから」
藤原「うそ。絶対にうそ、それ。密約でも交わしてないと、こんなピンポイントで中河に有利な問題つくれないもん」
みくる「たまたまたですよ。偶然今回の問題が、中河さんが勉強したばかりの箇所だっただけですよ。第一、数学勝負をやるって言い出したのは藤原さんですし、私に問題を作るように言ったのも藤原さんじゃないですか」
藤原「だからそれは、お前らが俺に数学の勝負をするような流れに誘導したんだって」
中河「しねえよ! 何言ってんだよお前、さっきから! 口を開けば文句ばかりつけやがって。自己中な女子高生かよ」
藤原「ちがいますー。僕は女子高生じゃありませんー。見たまんま男ですー。あなたには僕が女に見えるんですかー。バカなんじゃないですかー」
みくる「や、やめてください藤原さん……さすがにこれ以上は……見ててこっちが辛いです……」

 

 

藤原「とにかく、ルソーはお前みたいなやつには任せておけない! こんな筋肉バカに身柄を預けていてはルソーの将来が危ぶまれる! 当初の予定通り、やはりこいつは俺が預かる!」
中河「あ、おい! ちょっと! 待てこの野郎! 負けたくせに何ぬかしてんだテメー!」
藤原「へへーん、この僕の俊足においつけるものならおいついてみやがれ! お前の母ちゃんでべそー!」


みくる「ちがうんです。私は彼とは一切なんの関係もないんです。他人です。あくまで他人ですよ」
中河「もうブチ切れた! さすがに我慢の限界だ! とっつかまえてダムの底に沈めてやる!」

 

 ざくっ

 

中河「ぐわっ! なな、なんだ!? 地面の上に何かが転がってて、俺の足に……」
藤原「ふっはっは! このオタンコナスめ! 早速かかりやがったな包茎野郎!」

 

藤原「それは僕がまいたマキビシだ! ふわっはっはっは! どうだ、これではもう追ってこられまい!」
中河「たちの悪い小学生かお前は!?」
ルソー「くーんくーん」
中河「ああ、ルソー、ルソー!」

 

藤原「ん? なだって? どうかしたのか、ルソーくん。あの足にマキビシくっつけてひーひー言ってるアホバカマヌケに何か言う伝言があるのか?」
ルソー「くーんくーん」

藤原「聞いたかおい、スポーツマン! ルソーからの伝言だ! 『汗まみれのくせぇ手で俺さまの自慢の毛にさわりやがって、う○こ臭いスメルが移ったらどうしてくれるつもりだったんだ!?』 だとよ!」
中河「どう考えてもそれはお前の感想だろ! ルソーのその怯えた表情のどこからそんな暴力的な表現が醸しだされるってんだ! ルソーを汚すな! たたき殺すぞ!」


ルソー「くーんくーん」
藤原「え? なになに。『僕は早くあの妖怪ワキガ人間の支配から逃れたいです。どうか藤原さまのようなすばらしい人間の下にかくまってくださいお願いします』 だって? はっはっは! 分かっているではないか犬っころ!」
中河「ちくしょー! 俺に、俺にカメハメ波を放つ力があったならッ!!」

 


藤原「ふふふ。悔しいか? んん? 悔しかろう?」

 

藤原「お前はそこで一生、大事なものを救えなかった苦悩に苛まれ続けて果てるがよいわ!」

 

藤原「ふあっはっはっはっはっはっは!」

 

みくる「……阪中さんとルソーのためとはいえ、思い切り悪役っぽい……泣いて崩れ落ちる中河さんが不憫でなりません」
藤原「朝比奈みくる! ハイヤーを呼べい! 偉大なる勝者の凱旋だ!」

中河「ルソー、ルソー!」
ルソー「くーんくーん」
みくる「もう見てられませぇん!」

 


~~~~~

 


阪中「ルソー! よかった、無事だったのね!」
ルソー「くーんくーん」
ハルヒ「ルソーが放課後の校庭に突然現れるんだもの。びっくりしたわ」
キョン「きっと、阪中に会いたくなって学校までやってきたんだろうな」
阪中「もう勝手に居なくなっちゃダメだよ」
ルソー「きゅーん」

 

長門「一件落着」
古泉「そうですね。1限目の授業をサボってまで探しに出かけた僕らの苦労も、これで報われるというものです」

 

古泉「それにしても……あれだけ探して見つからなかったルソー氏が、タイミングを見計らったかのように授業終了後に現れるなんて。なんだか都合が良い展開ですね」
みくる「ぎくっ!」

 

みくる「まま、ま、まあ、いいじゃないですか。ぶ、無事にルル、ルソーさんが見つかったんですから……」

 

みくる「はは、ははは……」
古泉「朝比奈さん、湯のみからお茶があふれてますよ」
みくる「あつッ!」
長門「………」

 

長門「終わりよければ全てよし。過程は気にしなくていい」
みくる「……はい。そうですね」

 

 

~~~~~

 

 

藤原「ふん。単なる暇つぶしのつもりだったが、なかなか楽しめたな」

 

藤原「野蛮な低脳人をからかって遊ぶのも、たまには良いものだ」

 

藤原「ふふふ。暴力の塊のようなあの男をさっそうと知能プレーで打ち負かす。僕はやはりパーフェクトな人間だ」

 

藤原「なんと愉快なことか。はっはっは」

 

藤原「ぼりぼりぼり」

 

藤原「ドックフードうめぇ」

 

 

 おわり


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