新ジャンル「セルヒ」


「ぶるぁぁぁぁああああ!! ただの人間にぃ、興味はなぁぁああい!!」
「サイヤ人、トランクス、ピッコロ、餃子がいたら私の所にくるがいい、いじよう!」
長くて真っ直ぐな緑の皮膚に斑点つけて、クラス全員の視線を傲然と受けとめる顔はこの上なくカラフルな色合い、意志の強そうな大きくて黒い羽を異常に大きい尻尾が縁取り、薄金色のオーラを出した少女。
セルヒの白い喉がやけにまばゆかったのを覚えている。
えらい緑がそこにいた。



「やあごめんごめん! 遅れてしまったぁ! 産むのに手間取ってしまったわ」
片手を頭の上でかざしてセルヒが登場した。
後ろに回されたもう一方の手が別の生物の粘液塗れの腕をつかんでいて、どう見ても無理矢理産まれてこられたと思しきその生物共々、セルヒはズカズカ部屋に入ってなぜかドアに錠を施した。
ガチャリ、というその音に、不安げに震えた小柄な身体の持ち主は、またしても緑だった。
しかもまたすんげー青緑だった。
これのどこが「適材な生物」なんだろうか。
「キー?」
その青緑も言った。
目の毒なことに色彩が悪かった。
「キキー? キキー、キ、キキー? キ、」
「だぁまれぃぃぃいい!!」
セルヒの渋い声に青緑はビクッとして固まった。
「紹介しよう。セルジュニアだ」
それだけ言ったきり、セルヒは黙り込んだ。
もう紹介終わりかよ。



ある日の「世界を大いに恐怖に陥れるための涼宮セルヒの団」、略してSOS団のアジト(正確にはまだ文芸部部室)で、涼宮セルヒはセルゲームでで一番手をかってでたミスターサタンのパフォーマンスのような溌剌さとともに高らかに宣言した。
「ぶるぁぁぁぁああああ! 野球大会にでるぞぉ!」
六月であり、放課後であった。
あの、俺にとっては悪夢のような事件から二週間後のことでもあり、おかげでろくすっぽ勉強に集中できなかったため悪夢そのものだった中間試験の結果が返りつつある初夏の頃でもあった。
そのくせセルヒはどう控えめに見ても全然授業を真面目に聞いていないのに一人で成績学年ベスト10に名を連ねているのだから、この世にデンデがいるのだとしたら、彼には人を見る目がまったくないか、よほどの根性悪に違いない。
……まあ、そんなのはどうでもいいんだ。
今、セルヒが叫んだセリフのほうがよっぽど問題だ。
なんつった、今こいつ?
俺はこの部屋にいる俺以外の三つの顔を見回した。
最初に見たのは、ブルーハワイみたいな蒼い顔のセミ型の子供、セルジュニアさんだった。
黒い羽を広げたら今にも舞空術で天さんへと向かっていきそうな顔立ちの、とんでもなく気持ち悪いお方である。
そのお顔と小柄な身長に関係なく、これまたとんでもなくグロテスクであることを俺は知っている。
なぜか唯一この高校の制服を着ていないセルジュニアさんは現在、黒い斑点混じりの青緑色の皮膚を身にまとい、黒光りする羽を形良く半開きにしてセルヒを見つめていた。
セルジュニアさんが全裸でいるのは露出狂でもなければ江頭2:50フリークというわけでもなく、単なるセルヒの指令によるものだ。
万人が思い浮べるであろう「いったいそれに何の意味があるのか?」という問いには、こう答えよう。
「ねーよ、んなもん」



「どぅしたのかな、キョンんよ」
高一にして妙に年季のある渋すぎるセルヒの声が部室に響いた。
今、この部屋には俺とセルヒしかいない。
セルジュニアさんやヤムチャだけでなく、長門もいないのは珍しい事だった。
「どぅしたと聞いている、答えるのだ」
セルヒが顔を寄せて、繰り返し聞いてくる。
カラフルな顔色が目に悪い。
いや、そんなことより、もうわかってるんだろ?
「どぅいうことだ」
はぁ……とぼけているのか気付いていないのか、セルヒはわからないという顔をしていた。
長くなるのも疲れるだけなので、早めに指摘してやることにする。
「おまえ、何で巫女服きてるんだ?」
「ああ、これか。なに、セルジュニアがいないからな。着せる相手もいないから私が着ているまでよ」
背中の黒い羽をパタパタさせて、無邪気に跳ねている。
セルヒの長身ゆえに、斑混じりの緑色の皮膚の大半が露出している。
どこを通ってその結論に達したのか、相変わらず突飛すぎる思考回路をしているようだ。
と、そこでピタリとした感触が背中に当たった。
やけに膨らんでいて、弾力のあるゴムまりのような感触。
これは、まさか――
「んぅふふぅ、どうだぃ、元気になったかなぁ?」
そいいうと、セルヒは俺の背中にしなだれかかっていた。
巫女服ごしなので、暖かい体温がより身近に感じられる。
あの、あたってるんですけど驚異的に発達した胸筋。
「あててんのよ」



「・・・キョン」
まだ目覚ましは鳴ってないぞ。何度なってもすぐにとめてしまうけどな。
お袋に命じられた妹が面白半分に俺を布団から引きずり出すにはまだ余裕があるはずだ。

「起きるがいい」
いやだ俺は寝ていたい。胡乱な夢を見ているヒマもない。
「起きろと言っているのだ!ぶるぁぁぁぁ!!」



「どぅだい、この完全体ぃ。んめがっさぁ、似合うとはおもわんかねぇ?」
「緑が気持ち悪いです」



「んキミがぁ、キヨンくんかな? セルジュニアからぃよおく聞いているよ、ふふふ……ふむ、ほぉう」
「気持ち悪いんで近づかないでください」



「どぅだぁ、キョンんよ。子供たちが動いているではないかぁ!」
「ああ、うごいてるな、尻尾」
「もうすぐ産まれるのだ、わが息子達よ……ぶるああぁぁぁぁぁあああ!!」
「うおっ!?」
「ハァッ、ハァッ、ハァ……ふぅう、可愛いセルジュニア達をぃよるぉしくぅ」

「青緑が気持ち悪い」



「曜日によってイムェージカルラァーがあると思うのだが、キヨンんよ、貴様はどのように考えている」
「知らねえよ」
「私は毎日がセルリアンブルルゥー! だと思っている」
「セルジュニアでも見てなさい」



キョン「俺もう嫌なんだ…不思議な生物や危険な目にあって生きていくのは」
ハルヒ「ぶるああぁぁぁぁぁあああ!! 不思議をぉぅ、大切にぃしない奴などぉ……だぁい嫌いだぁぁ!!」

キョン「(人造人間(セルヒ)の頭がスマートになってきている)」



キョン「好きだ」

長門 「……そう」

………………

セルヒ「ぶるわああぁぁぁああ!!!!許さんぞキョン!!!!」



「ぅわたしに、アナルなどないぞぉ」
「そりゃあ残念だ」
「ならば、この尻尾を使うがいい。 絶妙な締め付けを約束しよう」
「精気だけじゃなく生気も吸われそうだ……が、テイルセックスとは、興味深いな」
「ふふふ、では、ウォーミングアップに付き合ってもらおうか」




「くっ……セルヒ、まだ本気を出してないな?」
「だからウォーミングアップだと言ったではないか」
「馬鹿にしやがって、本気をだしやがれ! でないと俺はイカせられんぞ!!」
「では、お言葉に甘えて」





「いやあっ、らめぇ!?」

「他愛もない。ふひふ、では、攻守交替といこうか――」



「アッーー!!」



|