最後の瞬間まで私には解らないことだらけです。

私はいつかこれを読んでくれているアナタに託すために書いています。
解っているのは
わたしはゼッタイに多くの友を殺したと思えることです。これは嘘じゃありません。
しかし、友が『消える』ということがどうにも気になります。
皆はわたしに殺されたんでしょうか?それとも『消えた』のでしょうか?
わたしには許されて良い理由がありません。
次は自分の番です。
こんな償い方しかできない弱い自分を許してださい。

 

 

◇A part    ++子(ねずみ)のボナンザ++

 

 

 

 

2月23日

 

今日は非常に嫌な気分であった。
なぜか?
理由は簡単である。今日の団活に谷口国木田が参加していたのだ。
私には許せなかった。
もちろん私だって、付き合い始める前からみくるちゃんと谷口、有希と国木田に気を使っていたからこそ参加を許したのだ。
きっとあの二組はお気楽にも、ばれていないつもりなのだろう。事実キョンあたりは気付いていないようだ。
だからこそ、メリハリをつけて欲しかった。
しかも今日の団活は今月の最終日に卒業を控えたみくるちゃんのお別れ記念になるはずなに!それなのに!
キョンと古泉君は泥酔。
谷口はアホのくせに今年開かれるオリンピックの話しを自慢げに話していて、みくるちゃんも気を使って興味深げに話を聞いてあげていた。
国木田はというと、有希の体が自分より小さく軽いことを良い事に、有希を自分の足の上に座らせ終始イチャイチャイチャ……。
今思い出しても腹が立つ。
わたしは去年のキョンの申し出から、二人のために関係をストップさせているのに・・・
いっそのことあいつらなんて死んでしまえば良いのに!!!!!!!

 

 

 

 

2月24日朝

 

朝に日記を書くのは初めてかもしれない。
しかし、それほどに強烈で刺激的で摩訶不思議な夢を見た!!!
わたしは、久しぶりにあの灰色空間に迷い込んだのだ。

あの嫌な静けさ、低い空、見えない壁、全てがそのままだった。
しかし、二つ違っていたものがあった。
それはわたしが金属バットを持っていたことと、キョンはどこにもいなかったことだ。
そう、そこに現れたのはキョンではないソレだった。
ソレと私との共通点は
①背丈
②北高の制服姿であること
③金属バットを持っている
の三点であったが、顔は黒いカラスのような仮面で覆っていて見えなかった。
わたしが話しかけようとした瞬間そいつは襲いかかってきた。
突然の攻撃にわたしは直に腕でガードする他なかった。
今思い出しても痛かった、腕の中でプチプチと熱いものがはじけるような感じがした。
とにかくわたしは逃げた。
しかし、ここは出口の無い空間である、わたしはすぐに追い詰められる。

「やらなきゃやられる」

そう思った時にはすでに、バットを振りかぶっていた。
ソレはわたしのフルスイングをバットで弾いて捌いていたが、もともと運動神経が悪いのか確実に疲れていた。
わたしはまさに必死で振り続けた、何回目だろう、バットの先がソレの手に直撃した。
ごりっ、と嫌な感覚が金属を伝わる。
「わっ、ごめん」
つい謝ってしまう。
しかし、その隙を突いてソレは片手スイングでわたしの腰を叩いた。
呼吸が出来なくなる、わき腹が痛い、体をよじって痛みを逃そうとするがうまくいくはずも無い。

ソレは容赦しなかった。

わたしは、頭蓋骨を叩き割られ死んだ。

 

正確には死んではいない(もちろん痛かったが)強くてニューゲームである。
わたしは全快の状態、ソレは疲労困憊&右手骨折の状態で再開された。
その後、わたしは2回目のニューゲームでソレを撲殺し、無事こちらに帰って来た。

率直な感想を言わせてもらうとすごくハラハラドキドキしたが、非常に面白い『夢』であった。

 

 

 


2月24日夜


その日は何もなかった。
キョンはいつもどうり谷口と話していたし、みくるちゃんは部活に顔を出してくれたし。
今晩もあの愉しい夢が見れたらいいなとは少し思う。

 

 

 


2月25日朝

 

驚いたことに今日もあの夢を見た。
昨日のソレとは違って今日のソレはだいぶ身長が高く、髪型がオールバックみたいなよくわからない

ダサいものだったが、運動神経は昨日のソレよりだいぶましだった。
武器は「刀」、わたしは持った事もなかったが、ソレも同じようだった。
たがいに不慣れな仕草で斬りあうというより刺しあった。
刀傷は痛いとは少し違った。
なんというか、新雪の中に素手を突っ込んだときに感じる、冷たくしびれるあの感じに似ていた。
わたしは5回目で今日のソレをやっと殺し、目を覚ました。

 

それにしても不思議な夢だ。

 

 

 


2月25日夕


今日はちょっといい日だった。
キョンがわたしにべったりだったのだ。
谷口や国木田と話しているは見なかった気がする。
といか学校にいたのだろうか?まぁどうでもいい。
おかげで、学食にまで付いてくる優しいキョンを見てあの日の事を少し思い出した。
でもキョン、本当は強くないんだわたしは、いつも笑ってるつもりだけど。


気になったことと言えば、わたしが谷口と国木田を尋ねた時のあの反応だ。
何か妙だ・・・

 

 


2月26日朝


今日の対戦相手はちょっと変わっていた。
スラリとした手足、整えられた髪型、どこかで嗅いだことのあるオーデコロン。
ちょっと引っかかる。
しかしそんなことはどうでもいい、問題は今回の攻撃方法である。
それはまさに「超能力バトル」といった感じであろうか。
今日のソレの攻撃の一つは「バレーボール攻撃」で、これは熱い火の玉をバレーのスパイクのように打ち出す技で、何度も焼き殺された。
もう一つが体当たり攻撃で、自分ごと火の玉になって突っ込んでくるのだ、これは防ぎ様がなかった。
そんな時だった。あの時の薄い水色の巨人が現れた。
わたしの思いどうりに動く、右手なら右手左手なら左手というふうに。
しかし、慣性の力に勝てずどうにも赤い球になったソレには当たらない。
その後何度かニューゲームをした。
何十回目か、何百回目か分からないが奇跡が起こった。
火の玉がたまたま崩れてきた校舎の下敷きになったのだ。
なんともスッキリしない勝ち方だった。

 

それに現実のそっくりさんというのもあまり気味の良いもんじゃない。

 

 

 

 

2月26日夕


何が起きているのか私にはわからない。
今日再びキョンに谷口と国木田の事を尋ねたら「何を言ってるんだ?何も知らんぞ?」と言ってき

た。
なぜ?教室に不自然に二つの席が空いている。
名簿をチェックしたが二人の名前だけポッカリと消えている。
消えた?

その後、部活の時にキョンに古泉君のことを聞いたが古泉君自体知らないようだった。
古泉君たちを忘れてる?
まさか、という疑念がつのりさっさと帰って来た。

 

 

 


2月27日朝

もう嫌だ。何で私はこんなことをしなきゃならないのか。
でも、わたしだけは忘れないように書き残さなければならない。

はっきり言って、わたしは今日灰色空間に来たくなかった。しかし、来なければならなかった。
谷口や国木田、古泉君が失踪しキョンの記憶から消えているのだとしたら、それはわたしの責任のような気がするからだ。
わたしは彼らのようなソレを殺した。
殴り、切り刻み、圧殺した。
今日一日罪の意識に苛まれていた。

 

気付くと今日も灰色空間に飛ばされていた。
暗闇の向こうからプシュプシュと音がし、次の瞬間頬に刺すような痛みが走る。
なんだ?
その方向に走ってみるが誰もいない。
周りを見渡しているとまたもプシュプシュと攻撃される。
さすがにイラっとくる。
試しに巨人を呼び出してみる。今日も薄ぼんやりとした巨人がでた。
こいつで驚かしてやろうと身構えていた。
しかし、予想と反してソレ、いやみくるちゃんのような人がわたしの目の前に現れた。
栗色のふわふわとした髪の毛、小さな体躯にこぼれんばかりのバスト、そしてわたしのあげたのと同じモデルガン。
わたしは思わず叫んでいた。
みくるちゃ――ズゴーン
地響きがする。
わたしには何が起こったかわからなかった。
突然暴走した巨人の拳の下にはみくるちゃんだったモノがあった。
思わず叫んでいた。
みくるちゃんだったモノに駆け寄る、とても直視できない。
でも、確認しなきゃ。
何度も吐いた。
カラスを模したような仮面に手をかける。
嫌な暖かさの残る仮面を取る。
ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ
私はミクルチャンを抱き締めて謝り続けた。私の知る全ての方法で、声が嗄れるまで。

 

これが今日の夢である。
そしてわたしは、夢と現実は違ってみくるちゃんは学校に来ている、という最後の望みを持って学校に行くことにした。

 

 

 

 

2月27日夜


わけが分からない。
なぜ?
どうして?
だれか助けて。
みんな、消えた。
みんな、忘れてる。
アホの谷口を、地味な国木田を、何でもできるの古泉君を、人気者のみくるちゃんを。
今日は絶対寝ない、絶対だ。

 

 

 

 

2月28日朝


ごめんなさい
あんな事を考えたりして
ごめんなさい
傷つけて
ごめんなさい・・・

 

わたしは膝を抱えて見ていた。
2時34分30秒 2時34分40秒 2時34分50秒
まばたき
2時34分51秒 2時35分01秒 2時35分11秒
まばたき
2時35分21秒 2時35分31秒 2時35分41秒
まばた――――――――――――――――――――――――――――

 

 

・・・何故ココにイル?
わたしはネテナイ!
有希がいる
光の矢
痛い   

continue?  No!
 10  9  8  No!No!
 7  6  5  Nooooooo!!!!!!!!!!
 4  3  2  タスケテ  1  0
new game start.....

 

有希に何百回も殺してもらう
ありがとう、ごめんね
私は何もしなかった、間違いなく
巨人は勝手に出てきた
ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ

 

 

 

私は決めたキョンに全部話そう

そして、死のう

 

 

受話器を手に取った

 

 

 


2月28日昼 オワリ


大ばか者だわたしは
こんな事なら早く死ねばよかったんだ!!!!!
キョンがしたいようにさせてあげるまではよかった。
キョンがしたいように体を委ねるまではよかった。
素直に悦びの声をあげていたのはまだよかった。

なぜ、あの時彼の腕の中で寝てしまったのか?

バカか?

 

キョンは武器を持ってなかった
思いっきり殴られた
彼は泣いていた
体を二つに引き裂かれるよりも、丸焦げにされるよりも、ミンチにされるよりも、痛かった
何度も何度も叩きつける彼の拳からも血が滴る
私は彼を抱きしめた
彼は殴り続けた
これでいいんだ、ごめんねキョン
巨人がでる
極力密着した
しかし、密着していない部分があることを忘れてた
キスをする時は私が背伸びをしなくちゃいけなかった
抱き合うと、私の手は腰にまわって、キョンの手は肩にまわった
キョンの方が『頭』一つ分私より大きいのだ
無慈悲な水平チョップ

 

 

目を覚まし隣にだれもいないことに気付きました
学校中を探しました
どこにもいません

 

 

部室の窓を開け、つい先ほどまで手をかけていたアルミサッシの上に立ちました
今日はアタタカな日です

空気には卒業式の前日練習の音がまじっています

最後の瞬間まで私には解らないことだらけです。

私はいつかこれを読んでいるアナタに託すために書いています。
解っているのは
わたしはゼッタイに多くの友を殺したと思えることです。これは嘘じゃありません。
しかし、友が『消える』ということがどうにも気になります。
皆はわたしに殺されたんでしょうか?それとも『消えた』のでしょうか?
しかし、わたしには許されて良い理由がありません。
次は自分の番です。
こんな償い方しかできない弱いわたしを許してださい。

 

 

 

 

◇B part    ++亥(いのしし)のボナンザ++

 

異変は気付いたのはいつだろう。
谷口が朝比奈さんと国木田が長門と、どんどん距離を縮めていったのはつい最近のことだった。
だがきっと色恋沙汰とクラスメイトに無関心なハルヒなんかは気づいていなそうだ。それくらいの微々たる変化である。
そして一週間前の団活の日、二組の幸せ者どもから俺と古泉に発表があった。
ハルヒには知らせないでくれ、そう言った奴さん達の目があまりにも真剣だったので俺は思わず頷いた。まぁ、ハルヒが知ればしっちゃかめっちゃかにすることうけあいだからしょうがない。

 

 

その次の日あたりからだろうか
国木田がちょくちょく長門のクラスに遠征するようになった。
突然の彼氏登場に怒り、暴徒と化した長門のクラスの男子が国木田に紙屑を投げたが、それを長門が「私が守るから」と言いながら守ったんだそうだ。
俺はただただ嬉しそうに自慢をする国木田を羨望の眼差しで見つめた。
もちろん『長門や朝比奈さんが彼女』という部分も魅力的だが、それよりも俺の話したことのない『肉体言語』を国木田、谷口が長門、朝比奈さんと話しているだろうことの方が羨ましかった。

 

 

そして、次の日から谷口も国木田のマネを始めたので俺はクラスでの居場所を無くしてしまった。
仕方が無い、というのは言い訳だが、俺はこの日ハルヒとべったり一緒だった。
キモイ、ウザイ、と言われなくて良かった、と思っている自分に驚いた。
その事を谷口に話すと、「やれやれ、お前もやっと気づいたか」という返事が返ってきた。「涼宮さんがそれらしい様子を見せたのなら、ちゃんとそれに答えないと」これは国木田である。
そう…なのか…?これは俺である。
この日、ハルヒに谷口と国木田のことを聞かれたが俺はキチンとアイツらのことを知らないフリをした。我ながら嘘がうまい。

 


次の日
ハルヒは朝から不思議そうな顔をしていた。こんな時はだいたい良くないことが起こると相場は決まっていて、やはり良くないことが起こった。
「あんた、本当に谷口と国木田のこと知らないの?」
俺がキチンと席についている二人の方を見ると2人は無言のプレッシャーをかけてきた。
「何を言ってるんだ?何も知らんぞ?」
俺はまたしても嘘をついた。

その日ハルヒは一日中青い顔をしていた。彼女持ちの2人曰わく『あの日』だそうだが、正直に言おう、心配だ。
そして、その日の部活はヒドイもんだった。
「古泉君は?」
「小泉?知らんな?」
そう俺が答えると、ハルヒはますます青い顔をして帰途についてしまった。
わけがわからん。

 


次の日
事態は確実に悪化していた。ハルヒは瞼を腫らし、髪もボサボサで学校に来たのだ、あの完璧超人涼宮ハルヒがである。
しかも、ブツブツと何かを呟いている、正直気味が悪い。
「二日目は一日目より辛いからね。そういう時こそ支えてあげなきゃ。優しい言葉をかけるんだよキョン!」
こういう時に頼りになる男、国木田君である。
「どうした?病気か?」
俺が尋ねたのは3時間目と4時間目のことだ。
「そうね、病気みたいなものなら良いんだけど」
ハルヒは泣きそうな顔をしていた。
「きっとアンタに相談してもどうにもならないもの。」
その通りだ。そんなこと相談されても困る。
「『精神病』ね、こんなに苦しいものだとは思わなかった。確かめなくちゃいけないのに怖くなるの」
ポロポロと胸を押さえて泣き始めるハルヒに俺は困惑してしまった。
「おいおい、泣くなよ。お前はお前らしいのが一番良いんだぞ?」
そう言って、優しくハルヒの頭を撫でてやった。
ハルヒは授業が始まるまで途切れ途切れの、ありがとう、ごめんね、を繰り返した。
俺はハルヒの言う『精神病』という言葉の意味を確かめるみたいに反芻していた。

昼休みになると国木田と谷口はコソコソと教室を飛び出した。二人は恋人に弁当を作ってもらっているようで、国木田は朝比奈さんを屋上に谷口は長門を図書室に連れ出して食べているようだった。ハルヒはというとやおらに立ち上がりよろよろと教室の出口に向かって行った。
「大丈夫か?」
そう問いかけた俺に
「大丈夫よ、キョン」
と、全然大丈夫じゃない顔で、優しくハルヒは微笑みかけた。
その日、ハルヒを見たのはその時が最後だった。

 


次の日、俺を目覚めさせたのはハルヒの葬式の後にかけたようなモーニングコールだった。
要件は、話さなくちゃいけないことがあるから教室に向かう前に部室に来てくれ、というものだった。
話さなくちゃいけないことか…俺は国木田の言葉を思い出していた。

 

部室へと向かう足取りは重くなったり軽くなったりした。
部室の冷たいドアノブに手をかける、鍵はかかっていない。
「おはよう、元気か?」
部室にいたハルヒは完全に憔悴しきっているように見えた。
「元気じゃないわね」
そうかい、パイプ椅子を手繰り寄せて座る。

 

沈黙

 

互いに言葉をうまく切り出せない。始業の鐘が低く唸るように鳴る。

ため息

―実は、俺昨日よく眠れなかったんだ―
―えっ、どうして?―
―なんだかんだ言って動揺しててな。お前はどうなんだ?―
―私は…そうねここ数日よく寝てないわ―
―数日か、負けたな―

 

部室を包む二人の笑い声

 

―ハルヒ、俺もずっとお前に言いたいことがあったんだ―
―えっ?―
―言わせてくれ―
―だめよ、私の方から言わないとその…卑怯っていうか。とにかく私が納得できない―
―たぶん、言わなきゃ一生後悔する気がするんだ。わがままでも構わない、俺のやり       たいようにやらせてくれ―
―アンタのしたいように?…そうね、それが一番かもね―

―ハルヒЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ―
―そう…―

立ち上がり窓の外を見つめる少女
後ろから少年がそっと包み込むように抱き締める

 

静寂

 

―好きだぞハルヒ―
―ごめんね、私も好きよキョン―

 

どちらともなく、重なる唇
長い、長いキス、重なる視線
少年といえども所詮男、しかも若い
少女へと伸びる手、これが『肉体言語』
少女はかみ殺す、恥辱とちょっぴりの悦び
これが、『初めて』の『肉体言語』
少女が両手をつく、2月の寒気で冷たくなったアルミサッシ
鈍痛、出血

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 


恥ずかしながら俺達は情事の後、睡眠不足に勝てず互いに肩を預けながら眠ってしまった。
何度目かわからないの鐘の音が部室を満たした。
俺の隣でハルヒがなにやら慌ただしく動いている、落ち着きの無いやつだ。
俺は目を閉じまどろみを楽しんでいた。
ハルヒはばたばたと部室を飛び出してしまう、何やってんだ?俺が目を開けたときにはハルヒはもういなかった。
時間はすでに6時間目を指している。今日はサボりか…
とりあえず、ハルヒを探すついでにクラスに顔を出すことにした。
国木田がついさっきハルヒもクラスに来たという話を聞いて、部室に戻ることにした。

部室には誰もいなくて、窓が開けられていた。
俺はパイプ椅子に座り考えた。
本当にこれで良かったのかと。
なぜか?
自分の中でハルヒと肉体関係を持つためにあんなこと言ったのではないかという懐疑があったからだ。いきなりのЖЖЖがまさにその証拠だ。ハルヒの気持ちをきちんと受け止めず、猿のように本能に従った。人として最低だ、まさに自己嫌悪の極みであった。そんなことを考えながらもちゃっかりハルヒのことを思い出してる俺は真性のアホである。俺の理性は流氷のように動物的本能の上に顔を出したり、引っ込めたりしていた。

 

あぁ、ハルヒおまえに会いたい。

 


ドアが開く
朝比奈さんの登場だった
行き場を失っていた春を感じさせる暖かな風が部室を抜ける
カーテンを揺らし
団長机の上におかれたペンを挟み込まれたままの無地の本のページをめくり
出口を探し、朝比奈さんのスカートを揺らし
日めくりのカレンダーの28をたなびかせ、その薄い今日の紙を一枚めくれば春を彷彿とさせる3月が待っているのだと俺に実感させた。


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