「ねぇ、キョン。あんたポケモン持ってないの?」
近頃は最新型パソコンと睨めっこバトルをくり広げている団長様が、やおら話題をふってきた。まだまだ嵐の前のナンとやらを堪能していたい俺は、何をやらかすか分からんハルヒの目論見をできるだけけしかけないように答えた。
「あんな面倒なものは小四で卒業した」
「私、昨日ゲーム機ごと買ったんだけど……あんたもやらない?」
何故たった一言返しただけでここまで話が進むんだ?…まぁ、ゲームごときで深刻に考えるのもどうかしてるが、ハルヒはここ最近ネットばかりしているからなぁ
「昔は誰でもやったことあるわよね、どぉ?みんなで対戦とかやりたくない?」
「ふぇ~ゲームですかぁ…」
ゲームにまで手を出したら、今流行りのフリーター万歳人間になってしまうのではないか…仕方ない。ハルヒにこんな話をしても無駄だと思うが、たまには世界の平穏の為に働いてみるか
「…ハルヒぃ……こんな話を…知ってるかぁ?」
「な、何よ変なしゃべり方して」
「ポケモンシリーズの初代主人公は死んでいるらしい。」
「!!」
思った以上にリアクションがでかいな。気を悪くするなよ、お前の将来の為だ。
「し、知ってるわよ。金銀で話かけても『………』ってヤツでしょ?そんなんで死んでるって決め付けるなっ!!」
「マサラタウンの母親に聞くと、何か月も音信不通らしい。それに、ゴースト系のポケモンばかり出てくるしな」
「………。」
「これ以外にもポケモンには不気味な噂が沢山あるんだぞ?」
それでもやりたいか?…と言うのはまだ速いか。とりあえず、この意外と怖がりちゃんには精神的に死んでもらおう
「GBA版の伝説ポケモンで、レジアイス、レジスチル、レジロックっているだろ。」
「あれ、第二次世界大戦で死んだ障害者の権化らしい」
「ちょっと!!今日のあんたおかしいわよ、酷いじゃないッ!!」
「ホウエン地方って、九州がモデルだろ?」
レジアイスは長崎
レジスチルは宮崎
レジロックは大分
どれも原爆があった場所だ
…朝比奈さん、泣かないで下さいよ。ハルヒの怪しい力でみんなにとばっちりがいかないように頑張ってるんだから
「ふぇ…」
ちなみに今呻きをあげたのは朝比奈さんではなく、団長様である
「奴らの祠にある文字は、病気の人用の『点字』だしな」
「…もう、止めた方がいい」
今から、森の洋館について話そうかと話を繋げようとする前に長門が教えてくれた。ハルヒが泣いてる。
「ふぇ…ふぇ…クスン」
萌えた。
「こんのバッカキョーンッ!!!買ったばかりなのにー!!もうできないじゃないのぉ……」
「ロトムってポケモンが―――」
「いやぁぁぁぁぁぁッ!!!」
古泉はニヤけているが、いいのか?閉鎖空間が発生しそうだか?
「おや、貴方はそんなつもりであんな話をしたのですか?」
「…スマン、まさか泣くとは思わなかった」
ハルヒは腰を抜かしたらしく、長門におぶってもらいながら坂を降る。怖がりすぎだ
「ゆきぃ…トイレ」
「ハルヒ、後ろにピカチュウが――」
「いやぁぁぁぁぁぁッ!!!」
失禁するなよ?
ただでさえ、下校中の北高生に見られてるんだから。それにしてもお前がそんなに怖い話が苦手だなんて知らなかったよ
「今日の彼は a bully。私も苛められたい……」モミモミ
「ちょっと、有希。お尻揉まないでよーオシッコ出るぅ」
…ほら、貴方の後ろにもピカチュウが――
最終更新:2008年05月20日 21:47