忍劇番外編

~INFINITY~

 

 

 

 

 

とある山奥、人が立ち寄らない奥の奥…そこに一つの屋敷があった

陰陽道を継ぐ者、土御門直系…古泉家

そんな家で後継ぎとして生まれた僕は13歳になった

それは決して僕にとって良い意味の誕生日だった訳じゃなくて

どちらかと言えば酷く不安だった。

お父さんやお母さん、叔父さん、御祖父さんが使う強力な術の数々。

それを今日から僕も学ばなければいけないからだ

 

正直嫌だった

僕は知っている…毎日父さんが、自分の使う術の重みに耐えきれずその身を故意に傷つけてる事や、母さんが一日に数回嘔吐を繰り返していること

 

どう考えても術なんか知らない方がいい

僕は継ぎたくなかった

 

 

「どうした一樹?早くこっちに来なさい」

 

「…」

 

「ほら早く。今日はお前に初めて土御門直系に於ける術の基礎を教える日だ。お前だって立派な後継ぎになりたいだろう?」

 

「…はい」

 

 

最初は簡単で驚きの連続だった術の修行。

でもそれは、半月と立たず苦痛の連続へと変わっていった…

 

 

 

 

  

『PROLOGUE』

~炎魔奏曲の出会い~

 

 

 

 

 

土御門家の呪術継承者として修業を始めてから一年が経過した

その頃には毎日がそれほど苦痛とも思いはしなかった。

 

呪いを受け、己が中で耐性を作り、呪いを我が物とする。

それは体力を作る事に比べ遙かに長く、遥かに苦痛。

 

術詠…覚えなければならない呪文は六法全書の約20倍…

しかしそんな中でも僕は毎日を耐え続けた

 

毎日妖魔退治に向い、帰っては自分の部屋で苦しみ悶える父

その父の邪気を吸い込み精神的に随時不安定な母…

 

両親を助けたかった

少しでも家族の力になる為には、僕が学ばなければならない事は沢山ある…

 

そんな事を思いつつ僕は日々呪術を磨いていた

 

 

 

 

 

季節は秋、僕は16歳になっていた

その頃には既に屋敷の中で僕に並ぶ呪術家は数える程しか存在しなかった。

周りからエリートと言われ、それでも僕はできなく、術を磨き続けた…

 

ある日僕は山を降りていた。

母さんはついに床から出れなくなってしまっていた。

月の一度、町に降り、薬を買いに行くのも僕の仕事だった

 

 

普段通りに山道を下っていた僕は、ふと何かの気配を感じた

(…獣?)

 

ハッとして後ろを振り向いた瞬間、巨大な獣が僕に襲いかかってきた

 

「ガウッ!!」

 

僕は式神を取り出し、呪文を唱える

『陰陽道の契約者として示す。遥か古くより我に使われし式神よ、今こそその礎たる力を解き放て!!』

 

「陰陽道・・・・魔軍!!」

 

式神は巨大な魔の軍へと変貌し猛獣を飲み込む。

そして、後型さえ残らない…

 

「また…無駄な殺生を…僕は…」

 

生き物を殺す度に思う

僕の術は何のために存在しているのだろう?

 

人を癒す術が世界には存在する。その半面、僕の術は一体何なんだろうか?

こんな憎しみや呪いだけを増やす術なんて、なぜ生まれてきたのだろうか?

 

疑問はやまない

呪術を習い始めた時から

 

でも、父さんや母さんの負担が少しでも軽くなればいい

その為だけに僕は術を磨いている

 

僕は…僕の解釈は…

呪術とは、人の『宿命』…

そう、それでいい

 

 

しかし山が荒れてしまった

如何に自分の命を守るためとはいえ、僕の術は猛獣を焼き払う為だけじゃなく

聖なる木々までもを酷く焼き払ってしまった

 

「う…うう…」

 

今何か声が聞こえた気がした

また怨霊かな

この辺りにも成仏出来なかった霊が…

 

「う―…」

 

 

…違う、人の声だ!

僕が辺りを見回すと焼き払われ黒くなった木の下に人の脚が見える

 

「大丈夫ですか!?」

 

僕は急いでその木を風の鬼の力でどかし、木の下に埋まっていた人を揺さぶった

 

「大丈夫ですか!どこか怪我は………っ!?」

 

それは少女だったのだ

長く透き通る黒髪、人形の様に整った顔、そして小柄な体系…

町の女の子か?それならこんな山奥に一体何の用だろう?

 

…なんて言ってる場合じゃない!

苦しそうにしているじゃないか

早く屋敷に連れ帰って治療しないと!

 

 

「陰陽道・風鬼!!」

 

 

僕は少女を背中に抱え、風の鬼を呼び屋敷に全速力で飛んだ

 

 

 

 

 

 

FIRAT CHAPTERへ続く


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