「お天気シリーズ第二段
あの晴れの日は、あたしはやっぱりSOS団のみんなが大好きなんだなあ、と
改めて感じることが出来た、そんな日でした。
学校から帰ってきたあたしは、特にすることもなかったのでお家でのんびりしようと思いました。
(あ、宿題とかは、さっき終わらせましたよ!)
明日はお休みの日です。でも、不思議探索があるとは聞いていません。なんでだろう?
…でも、そんな疑問はすぐに解決されちゃいました。
ぴぴぴぴ、と携帯が鳴ったのです。
涼宮さんから電話みたい。
「はい、もしもし」
「あ、みくるちゃん?明日、SOS団のみんなで不思議探索兼ピクニックに行くわよ!
場所はあとで決めるわ。だから、お弁当作ってきてちょうだい!9時に駅前よ、じゃ!」
ぷつっ。ぴーぴーぴー。返事をする暇も与えずに、電話は切れてしまいました。
「ピクニック、かあ…」
お弁当、がんばって作らなきゃ。
あたしはお料理の雑誌を広げてみました。
みんなが喜んでくれるものがいいな。どれにしよう?
「みっくるちゃーん!こっちこっち、遅かったじゃない!」
集合場所には、もうみなさんが集まっていました。
「ご、ごめんなさいっ」
キョンくんと古泉くんが笑顔で手を振ってくれます。
涼宮さんもにこにこしていました。
長門さんは…相変わらず無表情で、ちょっと怖かったけど、きっと許してくれているんだと思います。
長門さんは優しい人なの。あたしにはわかります。
「ここの近くに大きなハイキングコースがあるけど、あそこには行かないわよ!
もーっと不思議のありそうな雑木林とかがオススメね!」
「立ち入り禁止なんじゃないか?」
「ふふん、だからいいんじゃないの!
きっと、ああいうとこは宇宙人やら異世界人がうじゃうじゃ出るから立ち入り禁止なのね!そうに決まってるわ!」
涼宮さんは鼻歌を歌いながら歩き出しました。
でもそんな彼女とは反対に、あたしは緊張していました。
お弁当、喜んでもらえるかなあ…
ううん、きっと大丈夫、あんなにがんばったもの。
お昼の時間、早く来ないかな。
と、そんなことを考えていたら、
「どうしました、朝比奈さん?ぼーっとして」
キョンくんが笑いながら手を引いてくれました。
少し顔、赤いです。
「こらそこぉ!ちゃっちゃと歩くのよ!」
あわあわ、だめです。こんなこと考えちゃ。
あたしはキョンくんと走りました。
「ふう、疲れたわねえ。そろそろお弁当にしましょう!」
出発してから3時間。
…あれ、もうこんなに経ってたんだ。
楽しくて、時が過ぎるのを忘れちゃってたみたいです。
「ああ、そうだな…」
「そうですね。もう12時ですし」
あたしはドキドキしながら、お弁当を出します。
「あら!凄いじゃない!」
お弁当を見た涼宮さんが、あたしに抱きつきながら言いました。
ふう、見た目は大丈夫だったみたいです。
でも、問題は味。
玉子焼き、砂糖多すぎなかったかな、おにぎりだって、塩を少なくしちゃったかも…
ぱく。
長門さんが、たこさんウインナーを食べてくれました。
「はわわ…どうですか?」
少し微笑んだように見えたのは、気のせいでしょうか…?
「…おいしい」
「!!」
長門さん。
ありがとう、ございます。
ちょっと感動で、泣いちゃう、かも、
「朝比奈さん、凄くおいしいです」
「まことに美味ですね。もうひとつ頂いてよろしいですか?」
「みくるちゃん、あなた最高よ!」
あたしの自惚れかもしれないけど、きっとみんな、本心で言ってくれたんだろうな、って思います。
嬉しくて涙が出ること、よくありますよね。
でもこの晴れの日、それを再確認しました。
お日様が、あったかいです。
あたし、ほんとに心から、
「…ありがと…」
そう言えました。
ある晴の日に 完