大好きだった貴方

とても愛しかった貴方

誰よりも私が一緒に居続けた貴方

 

純粋な愛、熱く燃え果てるような恋。

それはどんなダイヤモンドより固く

それはどんな水晶よりも透き通っていて・・・

 

 

 

【第二章】冬の過去

 

 

 

「あった・・・これで宿題っぽいものが出来るぜ」

 

自分の机から早々にノートを発見した俺は、帰ろうと鞄を肩にかけた

 

ガラッ

 

誰かが教室の扉を開ける音がした

 

ドサドサドサッ

 

…ついでにプリントが散乱する音も聞こえた

 

 

「うう~」

 

で、誰かの唸り声も聞こえた

 

 

「…何やってるんだ朝倉?」

 

「あ、キョン君」

 

「手伝おうか?」

 

「うんお願い。先生にこのプリントを教室まで運ぶように頼まれたんだけど…重くて」

 

「で、扉まで無理に開けようとしたからこの有様か」

 

「そうよ…もう」

 

「そう言えばお前は委員長でも無いんだろ?なんでこんな手伝いなんかやってるんだ?」

 

「先生や委員長さんの負担を少しでも軽くしてあげたいじゃない?」

 

「今どきそんなこと考える生真面目な奴はこの学園でお前ぐらいだな」

 

俺は微笑む

朝倉も微笑み返してくれる

 

長門の言ってた事もどうやら本当らしい

今のこいつには前の怖さ…殺気みたいなものが一切感じられない

なんていうか…今の朝倉といると心が穏やかになる気がする

 

だが、コイツは俺を殺そうと…って、いかんいかん

あの時の事はもう忘れるんだ俺!

 

「どうしたの?」

 

朝倉は俺の方に体を寄せてくる

 

「ん、あ、ああなんでもないさ」

 

今のコイツに教える必要もないし、コイツには今のままでいて欲しい

このままの朝倉と、ずっと接していきたい

まさに、俺がそう思った瞬間だった

 

「なに~気になるなあ♪ ・・・・!?」

 

「こら朝倉、そんなに顔を近づけるな恥ずかしいだろ…ってどうした朝倉?」

 

 

 

 

…今何か音がした気がした

私の耳の中…頭 の中?

 

 

====『アナタを殺して涼宮ハルヒの出方を見る』====

 

 

…なに今の?

 

 

====『冗談はやめろ朝倉!マジ危ないって!!』====

 

 

・・・キョン・・・・君?

 

 

頭の中で何かの声と映像が一瞬写った

なに今の?私は一体何を…

 

 

 

 

 

「おい朝倉!!」

 

「…あ」

 

「どうしたんだ?今一瞬目が虚ろだったぞ?」

 

「…キョン…君」

 

「何だ?」

 

 

 

涙が自然と出てくる

止まらない、止められない

彼の顔が見えなくなる

意識が朦朧とする

 

 

 

 

『私、貴方に酷い事を…』

 

 

 

 

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とあるガラス張りの喫茶店

男はコーヒーカップを手にしながら町行く人々の風景を見ていた

 

「過ぎ去って行く時間と町を歩く有機生命体を観察し続けるのも悪くはない」

 

同じ場所で同じ位置を見続けて飽きない

宇宙で思念のみを繰り返し続けてきた彼にとって、これほど飽きない『同じ』は久しぶりだった

 

外を映し出すガラスから光が差し込んでいた

その光は何時の間にか紅く染まり、今に至っては途絶えている

 

外の色も黄色、赤色、グレーと面白い変化が行われている

そう男は感じた

 

(これを人間は俗に朝、昼、夜と呼ぶ…)

 

アイツは二時間前にも一度右から通った

そして左からまた現れた

 

アイツは五分前に同じ右から来た

 

そんな緻密且繊細な部分も、コーヒーカップを片手に一日…全くつまらなくはなかった

 

喫茶店の中を見回してみる

煙草を吸っている者、電子機器と睨みあっている者、皿を洗っている者、料理を運んでいる者

 

(人間とはやはり理解し難い生き物だ…お前達は何故そんな、つまらなさそうにしている?体中から溢れだす倦怠感、…感じるに耐えない。【ヒト】は分からない)

 

 

 

「…思い出しかけたな」

 

自分の造ったインターフェイスに変化が生じたと感じた男は、喫茶店を後にした。

その男が歩く方向に存在するものは、北高…

 

 

 

 

 

 


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