※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

今はゴールデンウィークが終わり、来月は祝日が無いのかと考えると憂鬱になりそうな5月の中ごろである。

 

新学期が始まってからというもの、世界が分裂しかけたとか、長門が雪山に引き続き倒れたとか、

先の事件で約束を果たした古泉が機関の反感を買い転校させられ掛けた等の非日常な出来事から、

鶴屋家での花見大会第2弾等の日常的な出来事までイベント目白押しだったわけだが、それらもひと段落して

俺はおそらく束の間であろう平穏な時間を満喫していた。

 

そんなある日の事である、

「おーい○○(俺の名前)。」

と仕事から帰ってきた親父は俺を呼んだ。

「どうした?親父。」

「上司にレストランの割引券を貰ったんだが、すっかり忘れててな、期限が明日までなんだ、

しかも俺は明日用事があって行けん。だからお前にやる。」

と言って優待券を俺に渡した。そのとき、それペアのやつだし、お前ももう高2なんだから気になる子ぐらいいるだろその子誘っていって来い。

とか言ってた気がするがスルーし、

「まあ、貰えるんなら貰っとくよ。」

とだけ言って部屋に戻った。

 

明日はちょうど休み、しかもSOS団の活動もない。さて誰を誘おうか、とけっこう高そうなレストランの優待券を眺めつつしばし考え、

ハルヒを誘おうという結論に達し、あいつの携帯に電話をかけた。

ハルヒを誘おうとしたのは別にあいつと二人で食事に行きたいというわけではなく、

朝比奈さんや長門誘って、それがハルヒにばれたらどんな罰ゲームを食らうかわからず

かといって古泉と男二人で行く気のもなれないから仕方がなくである。まあそれに、明日は…。

「どうしたの、キョン。」

「いや、親父にレストランの優待券ペアのやつを貰ったんでな、せっかくだから偶には団長様に

奉仕しようと思って。明日いけるか?」

「明日!?えらくきゅうね。」

お前だけには言われたくないね。

「優待券の期限が明日までなんだよ。まあ無理なら別にいいが…。」

「別に無理じゃないわよ。ただあんたがらしくも無くいきなり言い出したから驚いただけ。」

「そうか、ならいいが。」

その後俺はそのレストランの場所のことや、そのレストランは結構お高い所だが

昼時は手ごろな値段な値段で若い人たちにも人気があること(階段を上がる前に親父が言ってた。)を説明した。

「それで集合時間と場所は?」

「このレストランの最寄の駅はいつもの駅から30分くらいだから、11時半にいつものところに集合でどうだ?」

「わかった。」

そう言ってハルヒは電話を切った。ここら辺は相変わらずだな、やれやれ。

 

 

 

そして翌日。

俺はいつものところに自転車を止めて例の場所に向かった。携帯を見ると時刻は10時25分。

こっちから誘っておいて相手を待たせるわけにもいかんからな。いくらハルヒと言えども1時間前に来れば大丈夫………。

俺の時間は一瞬止まった。

俺が駅前で見たものは、薄手のナイロンジャケットに、裾を黒いレースで飾ったオレンジ色のプリーツスカートを着て、

薄っすらと化粧をした顔に不安そうな表情を浮かべ時計を見ている我らがSOS団団長だった。

そのとき、俺は不覚にもハルヒをかわいいと思っちまった。

一瞬首を吊りたくなったが、ハルヒの表情を見ていると早く話し掛けたほうがいい気がしたので何とか気を取り直しあいつに声をかけた。

 

「よぉ、待ったか?」

ハルヒもやっとこっちに気づいたらしく、

「べっ、別に、あたしもついさっき来たところ。」

となぜかアヒル口で返事した。

「そうかい。」

「所で、遅れてきたから罰金ね。お昼代あんた持ちだから!」

気が付くといつもの笑顔に戻っていたハルヒは俺にそう言った。もちろんポーズもいつものやつでな。

まったくさっきの表情はなんだったんだろうね…。まあ、あいつは笑顔が一番だからよしとしようかねぇ。

「あのなぁ、遅れてきたって…。俺は約束の時間の1時間前にここに来たんだが。」

「何言ってんの。誘ったあんたが誘われたあたしより後に来たんだから、遅れてきたことになるに決まってんじゃない!」

ホント、なんでこんな嬉しそうな表情でこんな事言うんだろうね。

「ほら、そんなことよりさっさと行くわよ!」

「ちょっ、待て、そんなに急いだって早く着きすぎるだけだろ。てかっ、そんなに引っ張るな、転ぶだろうが。」

「なにぐだぐだ言ってんの!」

そして俺は改札口までそのまま引っ張られた。やれやれ。

 

その後これと言って語ることもなく俺たちの乗った電車は目的の駅に着いた。

「どうする?まだ11前だが。昼にするにはちょっと早いよな。」

「そうね。とりあえず1時間くらい町をぶらつかない?」

まあそんなところだろうな。

OK。それじゃ、行きますか。」

 

「わー、綺麗。」

今俺たちがいるのはアクセサリーショップ。そんでもってハルヒが見ているのは携帯のアクセサリーである。

具体的に言うとイルカのアクセサリーで色は透明。確かに綺麗だがその分値も張る代物だ。

ハルヒ的にも懐に厳しいのか名残惜しそうにアクセサリーを戻していた。しょうがないな…。

「それ欲しいのか?」

「えっ?」

「だから、そのイルカのアクセサリーが欲しいのかと聞いているんだ。」

「そりゃ、欲しいけど。それ結構高いから止めといたの。」

「買ってやるよ、それ。」

「いっ、いいわよ別に…。」

あな珍し。あの唯我独尊な団長様が遠慮している。

「お前らしくない、遠慮するなって。今朝、臨時収入(今朝親父がニヤニヤしながらくれた)が入ってな、昼飯台を考慮に入れても金は大丈夫だからさ。」

そう言って俺はイルカのアクセサリーを取ってレジに向かった。

 

「ほらよっ。」

俺は買ってきたイルかのアクセサリーをハルヒに渡した。

「……、…ありがと。」

「んっ。なんだって?」

「聞いてなかったあんたが悪い!こっの、馬鹿キョン!!」

「おわっ。」

いてて、何でか判らんがハルヒは俺を吹っ飛ばして店から出て行っちまった。やれやれ。

「まてよ。」

 

何とかハルヒに追いついてハルヒの機嫌を直したころにはもう正午を回っていた。

「そろそろ昼飯食いに行くか。」

「そうね、いきましょ。」

とまあ歩くこと10分レストランに到着した。海に面しているので景色が良くランチタイムは手ごろな値段のメニューもあるので俺たちみたいに若い客も結構いた。

「お客様、2名様でよろしいでしょうか。」

「「はい。」」

被っちまった。恥ずかし。

「こちらへどうぞ。」

店員の女性は微笑ましそうに俺らを席に案内した。

「こちらになります。」

席に着くなりアヒル口になったハルヒは、

「あんたのせいで恥をかいたじゃない。」

俺のせいかよ。まあそんな事をこいつに言っても無駄なので溜息ついてメニューに目を通した。

「過ぎたことをとやかく言っても始まらん。俺は日替わりランチとモカにしようと思うがおまえは?」

ハルヒはアヒル口のまま、

「あたしは日替わりランチとミルクティー。あと、デザートに苺のパフェ。」

 

その後俺たちは注文したものが来るまで他愛もない会話をし、つつがなくランチを満喫した。

因みにハルヒの機嫌は飯が来るとすぐに直った。単純なやつ…。

 

「苺のパフェとミルクティーとモカになります。」

食後に頼んでおいたものが来た。

早速一口飲んでみたが美味かった。いつもの喫茶店のコーヒーもいいが、やっぱりこういう所のやつは格別だな。

ふとハルヒを見ると、あいつはこれでもかってくらい幸せそうな顔でパフェを食っていた。

いや本当に、こんな顔で食われたらパフェの方も本望だろうな。

「なによ。人の顔をじーっと見て。」

やべっ。俺そんなにハルヒの顔を見てたか。とりあえず何か言わないとまずいな。

「いや。お前があまりにも幸せそうにパフェを食うんでなおごりがいがあると思ってただけだ。」

「…ばか。」

ハルヒはいきなりそっぽ向いた。アー…、またやっちまった。

ここで今日、何度目かにハルヒの機嫌の直し方を考えたのがまずかったんだろうね。

「隙有り。うりゃー!」

「なっ!?」

ハルヒにまだ一口しか飲んでないモカ全部飲まれちまった。

「なーに恨めしそうな目してんの。さっさと飲まないで考え事してるあんたが悪いのよ。」

「あのなあ、熱い飲み物を一気飲みすんのは世界広しといえどもお前くらいのもんだ。それに…、」

それ以降の台詞は言えなかった。

「はいはい。あたしのパフェ揚げるからから機嫌直しなさい。」

と言ったハルヒにスプーンで口を塞がれちまったからだ。恥ずかしくて死にそう…。

「間抜け面。」

ハルヒは嬉しそうな顔と声でそう言った。

 

「所でこの後どーすんのよ。」

「考えてないな。」

「はぁ…。」

そんな露骨にため息つくなよ。それは俺の専売特許だ。

「そんなことだろうと思ったわ。」

と言って映画のチケットを2枚取り出した。

「昨日有希に貰ったの。『明日でSOS団は創設1周年。彼と二人で見てくることを推奨する…。オススメ。』だそうよ。」

よく見るとその映画のタイトルは春休み前に長門から借りた本のそれと同じだった。

「言っとくけど、有希に進められたから見に行くのよ。
別にあんたと映画見たいとかそういうのじゃ無いんだからね!」

「わかってるよ。それで、どこで見るんだ?」

「駅を挟んで反対側にシネマがあるからそこでよ。」

「それじゃあ支払い済ませて行こうか。」

俺はレシートをとってレジに向かった。優待券を使ったが二人分の代金は結構なものだった。

ファーストフードなら何食分になることか…、改めて親父に感謝すべきかもしれない。
そう思いながら支払いを済ませると、

「ほらほら、さっさと次いくわよ、キョン!」

と言ったハルヒに引っ張られるままに店から引きずり出された。

「そんなに慌てるなって。食後直ぐに動き回るのは体に悪いし、映画は逃げん。」

「早く行かないと映画が始まっちゃうかもしれないじゃない。あたしは待つのが嫌いなの。」

「もしかしたらもう始まってるかもしれんだろうが。その場合は早く行っても結局待つことになるんじゃないのか。」

「あーもお!ぐだぐだ言ってないでさっさと行くわよ!」

結局俺の反論も虚しく映画館に急ぎ足で行くことになっちまった。まあどうせ反論しても無駄だってわかってたけどな。やれやれ。

 

ハルヒがやたらと急かしたおかげで開演にギリギリ間に合った。

まあ開演と言ってもその後まだしばらく映画始まら無い訳で、俺は今二人分飲み物を買ってハルヒのいる席へ向かっている。

 

「ほら、飲みものだ。」

ハルヒに飲み物を渡しながら俺はハルヒの隣の席に腰を落とした。

「団長に場所取りさせるなんていい根性してるわね、まったく。」

因みに俺達が座っているのは、中央列の一番端だ。ハルヒが端で俺がその隣。

こいつの事だからてっきりど真ん中を取ると思ってたんだが意外だな。

「何か言いたそうね。」

と、ハルヒは訝しそうな表情で俺に問い詰めてきた。

「お前だったらど真ん中の席を取ると思ってたんでな、少し意外だと思ってただけさ。」

隠すことでもないので正直に言ってやった。

「べっ、別に深い意味は無いわ。何となくよ、何となく。」

何故かは知らんがハルヒは動揺してるようだった。まずい事を言ったつもりは無かったんだがな。

「あ、映画が始まった、ほらキョン、せっかく有希がくれたチケット何だからしっかり見る。」

と言って無理やり顔の向きを正面に向けさせられた。たくっ、首を違えたらどうするつもりだ。

 

映画の内容を簡単に説明すると、高校生から大学生に至るまでの男女が織りなす恋愛物ってやつだ。

俺は小説のほうを読んでたので、やはりと言うべきかあんまり映画を見る気になれなかった。だからハルヒの横顔でも見て暇を潰すことにした。

食い入るように見るの語源はこれだ、というくらいにハルヒは映画に見入っていた。なんせ俺がずっと見てても気づかないくらいだからな。

しかし恋愛感情を精神病の一種といっていたやつが恋愛ものを夢中で見るとはね。

まあそれだけハルヒも普通に馴染んできたってことなんだろうな。良いことだ。

 

映画を見終わった俺たちはシネマを後にしようとしていた。

しかしそこで、予想だにしなかった声によって俺達は呼び止められた。

「そこにいるのは、ハルにゃんとキョン君じゃないかっ!」

「「つ、鶴屋さんどうしてここに!?」」

また被っちまった!

「はっはっはっ。息がぴったりだねお二人さんっ!」

俺たちが恥ずかしくて悶えていると、

「それよりお姉さんは君たちがどうしてここにいるのかのほうが気になるなあ。もしかしてデートかいっ!?」

鶴屋さんはさらに爆弾発言で追い討ちしてきた。

ハルヒはまださっきのショックから立ち直れてなさそうなので俺が返答することにした。

「ええ…、まあ…そんなところです。」

よほど俺の返答が予想外だったらしく今度は鶴屋さんが驚いていた。

そうだろうな。言った本人も驚いている。

まあ、若い男女が一緒にウインドショッピングしたり、食事したり、映画見たりしたりしたんだから間違いではないと思うが…。

 

俺が自分の言ったことを後悔し始めていたそのとき、

「おやおや、これは。」

これまた予想外な声が乱入してきた。

見なくても誰だかわかるが一応振り返ってみると、頭からつま先までスタイリッシュなSOS団副団長、古泉一樹がそこにいた。

 

その後、何だかんだあって俺たち…、俺とハルヒと鶴屋さんと古泉は俺とハルヒが最初に行ったアクセサリーショップの近くの喫茶店に行くことになった。

ハルヒが、

「みくるちゃんがね、駅の近くにお茶が美味しい店があるって言ってたからそこに行きましょ。」

と言い出したからだ。

最初は二人ともせっかくのデートを邪魔するのは悪いといって断っていたが、

「あれはバカキョンが勝手に言っただけなんだから気にしなくていいの。」

とハルヒが言ったのを聞いて、何故か素直じゃない妹を見るような目をしながら喫茶店に行くことを承諾した。

 

目の前2m先くらいにハルヒと鶴屋さんの北高最強タッグが何やら楽しそうに話しながら歩いている。

そんでもって俺と古泉がそれを追いかける形になっている。せっかくなので隣の何故か両手に紙袋を持っているニヤケ面に聞いてみた。

「お前いつからいたんだ?お前のことだ、どうせ俺らに声をかける前からいたんだろ。」

「おや。ばれてましたか。」

やっぱりか。

「たしかに、『つ、鶴屋さんどうしてここに!?』というあたりからいました。」

最初っからじゃねえか。

俺は盛大に溜息をついてからついでとばかりにもう一つ質問した。

「お前と鶴屋さんはどうしてシネマにいたんだ?あとおまえのその荷物はどうしたんだ。」

「それは見てのとうりです。」

古泉は微笑みながら続けた、

「鶴屋さんと買い物に行ったあと映画をあそこで見ていたんですよ。これはそのとき鶴屋さんが買ったものです。」

まあそうだよな。見りゃわかる。

「鶴屋さんにこの前の御礼をしたいと言ったら、買い物につきって欲しいと言われましてね。映画はおまけです。」

「御礼って、この前の転校騒ぎのときのか。」

「ええ。彼女のおかげで今もこうしてここにいられる訳ですから、感謝してもしきれないですね。」

そう冒頭で述べた古泉の転校騒ぎは、実は鶴屋さんに協力してもらって何とかなったのである。

だから買い物の件は納得したが、古泉曰くおまけの映画の件は怪しい。ひょっとしてつけてたんじゃないだろうな。

そんな考えが顔に出てたのか、

「シネマで貴方達に会ったのは偶然です。安心してください。」

と俺を安心させるような笑顔で言った。ただ多少笑顔に苦笑が混じっていた気がするが。

 

その後、俺達は喫茶店で朝比奈さんが美味しいと言っていたお茶(朝比奈さんが美味しいといってるだけにかなり美味かった。

もっとも朝比奈さんが淹れるお茶に勝てるお茶なんてこの世に存在しないがな)を飲みながら他愛も無い会話を子一時間ほどしていたんだが、

ちょっと前にハルヒと鶴屋さんが席を立ったので、今席には男二人が隣り合って座っているだけである。

仕方が無いので古泉と二人で言葉のキャッチボールをしていると、鶴屋さんだけが帰ってきた、

「ハルにゃんはもうちょいかかるってっ。」

何故か楽しそうな顔をしながら。まあこのお方はいつも楽しそうにしていらっしゃるが何か違う。

「そうですか。」

とりあえず無難に返しておく。

「さてと。あたし達はそろそろ帰るねっ。お邪魔物はたいさーん!」

そう言うやいなや、鶴屋さんは古泉の手とレシートを取ってあっという間にいなくなってしまった。

手を取られて引っ張られていった古泉は苦笑していたが、まんざらでもないようだった。

何でわかるかって?

古泉が鶴屋さんの手を握り返していたからさ。

 

しかしハルヒのやつ遅いな。化粧直しでもしてるんだろうか。

 

「あれ。古泉君と鶴屋さんは?」

「用事が有るらしく先に帰っちまった。後、料金は鶴屋さん達が払って行った。」

「そう。それじゃああたし達も帰りましょうか。」

 

帰りの電車の中、ハルヒはよほど疲れたのか俺の肩に頭を乗せ寝てしまった。

周りの視線が少し痛いが20分ちょいの辛抱だ、まあいいか。

俺の方はハルヒの寝顔見ながら北高に入学してからの1年余りを振り返っていた。

「こいつが笑うようになってもう1年か…。」

あと二駅で到着だな。そろそろハルヒを起こすか。

「ハルヒ、起きろ。もうすぐ着くぞ。」

 

今は電車から降りて駅前である。

「これ…。」

と言いながらハルヒが俺に渡したのは、朝、俺がハルヒに買ってやったイルカのアクセサリーだ。

しかしこれは俺が買ったものではない。何故なら俺が買ってやったやつは昼飯のときにハルヒがさっさと自分の携帯につけちまったからな。おそらく、さっきトイレに行くフリをして買ってきたんだろう。道理で長かったわけだ。

「あたしは借りは返さないと気が済まないの!」

「だからって、同じ物もう一つ買わなくてもだな。それじゃあ意味が無いだろ。」

てか、高くて予算オーバーじゃなかったのか?

「いいの、こういうのは気持ちが大事なの。」

ハルヒは訳のわからないことを言い出した。だが何故か悪い気はしなかった。

「そうかい。それじゃあ遠慮なく貰うぞ。」

そう言ってイルカのアクセサリーを受け取ると、ハルヒは100万Wの笑みを浮かべ、

「よろしい。それじゃあ早速付けなさい。団長命令!」

と言った。もちろんいつものポーズで。

 

俺がイルカのアクセサリーを携帯に付けていると、

「キョン!あんた今日はあたしを家に送りなさい!」

と言う団長様のありがたい言葉をいただいた。やれやれ。

まあ、ここまで来たら最期まで着きやってやるか。

「わかったよ。」

 

「なあ、ハルヒ。」

「なによ」

「今日は楽しかったか?」

ハルヒは一瞬きょとんとしてから、

「まあまあね。あんたにしては良くやったんじゃない。」

笑顔でそう言った。

「そりゃ良かった。」

これは俺の本心だ。

今日の普通のデートをまあまあ楽しいと思ったなら、こいつも普通の楽しみ方が少しは身についてきたってことだからな。

それに、何故だか知らんが俺はこいつが楽しんでいると自分まで楽しくなるらしい。

その根本には俺にも良くわからない、心にもやが掛かったような気持ちがあるように思う。

しかし、その心にもやが掛かったような気持は、何故か悪いように感じない。

むしろ心地よくさえ思う。だから俺は………。

「ハルヒ。」

「今度は何。」

「また二人でどこかに行かないか?」

 

 

 

 

 

Fin

関連作品:買い物日和

|