「それでは諸君、今日の生徒会役員会議はこれで……、職員室への報告はいつもどおり私から行っておく」
「「「お疲れ様でした」」」

「会長は職員室へと向かわれました、副会長」
「えぇ、それでは……本日の裏議題『来週に迫った会長の誕生日』に移ります。前回は我々生徒会役員がお金を出し合ってプレゼントを贈る、金額は一人あたり……」

「役員一同からのプレゼントは決まりましたけど喜緑さんはどんなプレンゼントを準備してるんです」
「プレンゼントの準備…ですか」
「あれっ? まだ決めてないんですか、早くしないと誕生日が来ちゃいますよ」
「まぁ喜緑さんの場合はいざとなればリボン一つですむから準備もいらないか」
「そうそう、『プレゼントはあ・た・し』ってね」
「こらっ男子、飛ばしすぎ! いい加減にしなさい」
「気にしないでね喜緑さん」
「えぇ……」

「おや、どうしたい、江美りん」
「……(たしか…彼等の友人の鶴屋さん…でしたね)」
「悩みゴトがあるなら、めがっさ相談に乗るにょろ」
「…実は…」

「お誕生日おめでとうございます、会長」
「……ありがとう、諸君!」
「「「どういたしまして」」」
「いよいよ18歳ですね、会長」
「あぁでも18になったからといって何がかわる訳でもないしな、酒タバコは二十歳からだし、競馬やパチンコのギャンブルは高校生である間はできんしな」
「なにいってるんですか会長、18といえばあれが出来るじゃないですか」
「あれとは?」
「またまたわかってる癖に喜緑さんと一緒に共同事業でしょ」
「まぁそこはいわぬが華でしょ、さぁあとは二人に任せて我々お邪魔虫は退散しましょう、それじゃ喜緑さんあとは宜しく」
「「「ごゆっくり~」」」

 

「…会長はもう三年生だからもう18歳ですよね」
「あぁさっきも出たが確かに18だ、そういう喜緑君も三年生だから今年18の筈じゃないかな」
「そうなんですか?」
「……違うのか、喜緑君」
「そういわれてみればそうかも知れませんね」
「……」

「まぁ汚い部屋だが上がってくれたまえ、喜緑君」
「おじゃま致します」
「お茶でも用意しよう、今お湯をわかすから待っていたまえ」
「いえ、会長。私からの誕生日プレゼントのジュースがありますのでこちらを…」
「そうか、すまないな。……それで君の相談事というのは……」

『翌朝』

「…えぇと朝か…確か昨日は…そうだ喜緑君が来て話してて……」
「おはようございます、会長」
「喜緑君! これは一体!」
「責任……とってくださいね、会長」
「せ、責任って……昨夜は全く記憶が…そうだ君がプレゼントにと持ってきたジュースを呑んだら急に眠気が」
「往生際がよくないと……情報連結の解除を申請しちゃいますよ」
「……」

 

「あぁ…責任をとるのは吝かではないんだが、一つ教えてくれないかね喜緑君」
「なんでしょうか、会長」
「我々はお互い昨夜と同じ服を着たままなんだが、責任を取らなければならない事態は生じたのかね」
「もちろんですわ会長、若い男女が一夜を共にする。これで充分でしょう、このような場合は男性の側に一定の責任が発生するのが常識と教えていただいました」
「……具体的にはどんなことが……あぁ起きたのかね。私は眠っていて覚えてないんだ、良ければ教えてくれないか喜緑君」
「昨夜私と話していると会長は急に眠気を催されてテーブルでそのまま眠りはじめました」
「”急に眠気を”ねぇ……」
「えぇ急にです、……それで私は会長をベッドまで運びました」
「あぁすまなかった、ありがとう喜緑君。それでその後は…」
「このような場合は一緒のベッドに入るのがマナーと聞きましたので…私もそうしました」
「マナーねぇ……あぁ、それは制服を着たままかね、つまり我々両方とも…その…」
「えぇ、会長も私もそうです、すると会長は突然獣に……」
「えっ私がケダモノだって? まさかそんなコトが…」
「いえ、獣です、あのイビキは正に獣としかいいようがないものでした」
「……そう、……イビキがか…」
「それで会長はとても良くオヤスミでしたので私も眠ろうとしたんです、でも会長の寝顔を拝見していたら何故か心臓の心拍数が上昇して目が冴えてしまって…」
「目が冴えて……どうしたんだね」
「そのままずっと会長の隣で寝顔を見ていました、なぜか目が離せなくて……」
「あぁ……そのつまり……君は一晩中起きていて私の寝顔を見ていたというわけなのかね……」
「そうです、……いけませんでしたでしょうか?」
「いやいけなくは無いが……、あぁそうだ確かに私は男としての責任を果たさねばならんようだ、すまなかった喜緑君」
「ありがとうございます、会長」
「そうだ、喜緑君眠くはないのかね。昨夜は寝てないんだろう」
「そうですね……、会長のお話を聞いていたらなんだか眠気が」
「ならここで寝ていたまえ、ゆっくり休むといい」
「でも今日は学校が……」
「休みたまえ私も付き合おう」
「えっ、会長ありがとうございます」
「喜緑君、今度は私が君の寝顔を見ていていいかな」
「えぇ、喜んで……zzz…zzz…」

 

「もうお昼近くなんですね、会長」
「あぁそうだな、それじゃ朝食というよりは昼食だな、おっとパンが焼けたようだ、…ほら君の分だ」
「ありがとうございます、会長はトーストにはバターでしたよね?」
「いやそれは喜緑君、君の分なんだが……」
「会長も朝食はまだでいらっしゃいますよね?」
「あぁ……そのなんだ君と…朝食を一緒に食べたかったんでな…」
「はい、どうぞお先にお召し上がりください」
「…ありがとう、次のが焼けたようだな」
「私はこちらを頂かせていただきます」

「ずっと私がおきるのを待っていらっしゃったなんて退屈されませんでしたか?」
「……喜緑君の寝顔をみてると不思議と退屈しなかったな、…おっとお湯が沸いたようだインスタントのコーンスープしかないがのむかね」
「お願いします」

「さてせっかくの休日だ、喜緑君よかったら一緒に映画でもいかないかね」
「えぇでもその前に市役所によらないと……」
「一体市役所へ何しに…」
「これですよ、会長」
「え……と……喜緑君、これは…」
「私達の婚姻届ですよ」
「こ、婚姻届!」
「会長、責任……とっていただけるんですよね」
「いや…その……」
「18歳になれば結婚できるんですよね、そう教えてもらいました」
「…教えてって…その……誰に」
「鶴屋さんにです、会長の事で相談したら…『そんなに好きなら早く結婚しちゃえばいいにょろ』って」
「いや…まだ…私達には早すぎないかね」
「私もそういったんですけど『善は急げっていうにょろ、既成事実つくっちゃえば大丈夫っさ』って鶴屋さんが」
「喜緑君、私達は未成年だから結婚には保護者の承諾がいる筈で……」
「『周囲の説得は全部任せるにょろ、鶴屋家の底力を見せるにょろ』って鶴屋さんが、ほらここに会長のお父さまのサインも」

 

「き、喜緑君…今日は土曜日だから役所は休みじゃないかな」
「休日窓口があって死亡届や出生届、婚姻届は365日24時間受け付けているそうですよ、会長」
「そ、そうなのかね喜緑君……」
「これも…」
「…鶴屋さんが教えてくれた、そうだね喜緑君」
「そうです、よくわかりましたね、それとこれは鶴屋さんからの手紙です、『引導を渡してあげる』っていったましたが引導って一体なんのことです」

『やぁ会長さんめがっさおめでとう、江美りんはちょっと腹黒いかも知れないけれどそれって仕様だから仕方がないっさ、会長も腹黒いから似たもの同士二人で末永くお幸せにね。おねぇさん応援してるにょろよ。そうそう江美りんを泣かしたりしたら承知しないよ、そんなことしたらあたしんちと機関の全力を使って追い込みかけちゃうからね』

「………、逃げ場無し…か…」
「どうしました、会長」
「…いや…、喜緑君…その、愛してる…私と…結婚してくれないか」
「えぇ喜んで、不束ものですが宜しくお願いします」

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最終更新:2008年03月23日 12:40