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高校とは違うベクトルに慌ただしかった大学を無事卒業してから四年あまりの月日が経った現在おれたち家族は騒がしくも楽しく平穏な日々を過ごしていた。
それなりに色々あったわけだが、高校卒業から一年して生まれたハルカとハルキのヨチヨチ歩きの可愛さに打ちのめされていたおれが、うっかり"やっぱり子供はたくさんいたほうが賑やかでいいな"なんて口にしてしまったからかはわからんが次に生まれた子供もまたしても男女の双子だったりとか、普通の会社勤めを望んでいたおれに対し、ハルヒの"普通の会社勤めなんてつまらない"なんて一言で会社を立ち上げるハメになり、ハルヒや有希の人知を越えた万能さを見込んだ鶴屋さんの資金面や仕事の斡旋などの全面支援でうまく立ち上がり、その後鶴屋家の全面支援という信用からか仕事が途絶えることもなく、この歳では破格の収入を得るまでになっていた。
まぁ、トントン拍子にうまくいっていたのだが、その平穏な日々は実に意外な所から乱れることになった。
 
古「お願いします!妹さんとの結婚を許可してください!」
……さて、まったくわけがわからない状況なわけであるのだが、一体こいつは、なにを言っているのだろう。
結婚?誰が?古泉が?誰と?おれの妹と?
………まったく、なにの冗談かはわからんがおれの妹まで巻き込むとは言語道断だな。少し説教してやらんt…
古「先日、お義父さんとお義母さんの許可は頂きました。ですが、僕としてはあなたの許可なく結婚は出来ません。どうかお願いします!」
 
モノローグくらい最後まで喋らせろ。………とりあえず、冷静に状況を見てみよう。
おれの隣にはハルヒが居てその膝の上に二歳になる娘のコハル。おれの膝の上に双子の弟のハルヒコ。
後ろにはこんなときも相変わらず無表情な有希。
その有希に無邪気にじゃれついて遊んでいるのが六歳になった上の娘、ハルカ。それとその双子の弟ハルキ。
いつもの我が家の団欒風景だ。ちがうのはおれに向かって土下座する古泉とその隣にいつになく真剣な表情の妹とい……
 
ハ「なにブツブツ言ってんのよ?ちゃんと話聞いてたの?」
 
だからモノローグくらい最後まで喋らせろ。
 
キ「いや、しかしだな、いきなり妹と結婚なんて戸惑うなってほうがおかしだろ」
 
ハ「いきなりじゃないわよ。あたしは前から知ってたし。」
 
キ「知ってたなら言えよ。つーか、いつからそういう仲になったんだ?」
 
妹「・・・えっと、付き合い始めたのはわたしが高校卒業したときから」
 
キ「二年も前じゃねーか!なんでおれに言わなかったんだ!?」
 
ハ「あたしが言わなくていいって言ったのよ。あんたなんだかんだ言って、シスコンを疑いたくなるくらい妹ちゃんのこと溺愛してるじゃない。
ややこしいことにならないように将来見据えるまで黙ってろって言ったのよ。あのときの状況考えたらあんた反対するに決まってたからね。」
 
あのときの状況ねぇ・・・、まぁ正直、こうなった心当たりが無いわけでもない。
それについてはおれたちが大学の3年、妹が高校1年の時まで遡るわけだが・・・。
 
幼馴染のミヨキチとともに北高に進学した妹はどういうわけか童顔で小柄でナイスプロポーションを誇ったあの高校時代の朝比奈さんそっくりの美少女へと成長していた。
もしそのときの北高に谷口がいたらミヨキチとともに、確実に奴的ランキングSランクをつけていただろうことは容易に推測できる。
そんな妹が北高に進学して1ヶ月あまりがたったある日のこと、唐突に妹に相談を持ちかけられた。
 
キ「バイトがしたい?」
 
妹「そう、どういうのがいいかな?」
 
キ「いや、バイトするのはかまわんと思うが、いきなりどうした?小遣いなら十分もらってるんじゃないか?」
 
妹「そうなんだけど、前から考えてたの。高校生になったらアルバイトしようって。」
 
キ「それはまたなんでだ?」
 
妹「んとね、アルバイトしてもらったお金でハルちゃんやハル君、お父さん、お母さんに誕生日とかのプレゼント買うの。やっぱりプレゼントはおこづかいじゃなくて自分で働いたお金で買いたいなって思って、もちろん、キョンくんやハルにゃんにもね、だからどんな仕事がいいかなって」
 
・・・・・・いやはや、あのちんちくりんだった妹がよもやこんな立派なことを考えるまでに成長したとは、兄として感慨深い。
 
そんなこんなで妹のバイトが始まったわけだが、そんな朝比奈さん級の美少女へと成長した妹に男どもの注目が集まり、結果ろくでもない男が言い寄ってくるのも十分考えられることだったわけだ。
 
妹がバイトを始めて1ヶ月ほどたったある日、今度は深刻な顔で再び妹に相談を持ちかけられた。
聞けば、バイト先の男にしつこく言い寄られているのだという。何度も断っても諦めてくれず、直接教えたわけでもないのになぜか携帯に深夜、早朝に関わらず電話やメール来るようになり、さすがに怖くなったという。
そんな状態でバイトも続けていられるわけもなく、早々にバイトを辞めるハメになったがそれでも相手の男は諦めずついには自宅にまで押しかけてきた。まぁ、そんな奴を相手にわが妻、ハルヒや娘の有希が黙っているはずもなく、相手の男がどういう末路を辿ったかは想像に難くない。ただ一つ、怒り狂うハルヒと黒い怒りのオーラを立ち上らせる有希を前におれはただただ、事の成り行きを見守るしか術はなかったとだけ言っておく。
 
そんなことがあり、落ち込んでいる妹を兄としてどう慰めてやるべきかと思案していると、古泉から連絡が入った。
 
古「実は、この前、久しぶりに小規模ですが閉鎖空間が発生したのですがなにか心当たりはありませんか?」
 
おれは古泉に妹のことの詳細を説明してやった。
 
古「・・・そうでしたか、実はそのような事態は機関でも把握していたのですが、今、機関ではあなた方家族の生活には極力干渉すべきではないとの方針を打ち出していまして、どうやらそれが裏目に出てしまったようですね。それで今、妹さんの様子は?」
 
キ「まぁ、まだ働きたいって意志はあるんだが、こんなことのあった後だ、また同じようなことになるんじゃないかと落ち込んだままでな。元気付けてやりたいとは思うんだが、なかなか難しいな。」
 
古「でしたら僕の方から妹さんにアルバイトを紹介するというのはどうでしょう?」
 
キ「おまえが?あてはあるのか?」
 
古「ええ、機関の関連している企業を当たればそれなりに良い条件で紹介できると思います。」
 
キ「おまえんとこの組織が関わってるのが引っかかるぞ。」
 
古「機関が関連しているとはいえ普通の一般企業ですからご安心下さい。ご心配でしたら僕も妹さんと一緒にバイトとして潜り込みますが、どうでしょう?」
 
キ「ありがたい話だがいくらなんでも妹のためにそこまでしてもらうのは悪い気がするな」
 
古「いえ、ただ僕も幼いころから知るあなたの妹さんの真摯で純粋な想いを手助けしたいと思ったまでですので。」
 
正直、妹ことを考えれば願ってもない話だ。
機関のことは気になるが森さんや新川さん、多丸さん兄弟には世話になってるし、ある程度信頼もしている。
なにより古泉が付いてくれるなら安心出来る。おれは古泉の提案を受けることにした。
まぁ、その後古泉は妹のボディガード役としてバイト先や自宅への送迎など色々と良くしてくれたわけだが、妹にとって古泉は小さい頃からの顔見知りで兄の友人という信頼出来る年上の男性なわけだ、そんな相手がなにかと自分を気にかけてくれるんだから年頃の妹が古泉に特別な感情を抱くのもごく自然なことということにこのとき気付くべきだったんだな………長々とそんなことを思い返していたらいきなり後頭部へ衝撃が走った。
 
ハ「ちょっとキョン、何またブツブツ言ってんのよ、それで、どうするわけ?」
 
キ「痛えな、なにすんだ。って、どうするって、なにがだ?」
 
ハ「古泉君に対する答えに決まってるじゃない。本来ならお義母さんとお義父さんの許しはもらってるんだから、あんたに許可とる必要なんてないのよ。それでも古泉君はあんたの顔立てて来てくれてんだからちゃんと答えなさい。」
 
……さて、どう答えればいいだろう。すっかり頭が混乱してわけがわからない。
 
キ「あー・・・、すまんが今は混乱して正直どう答えればいいかわからない、少し時間をくれ。ちょうど片付けないといけない仕事もあるからそれをしながら頭ん中整理してくる。とりあえず二人とも今日は晩飯食っていってくれ。ハルヒ、二人の分も頼むぞ。」
 
ハ「そのつもりよ。それより早く答えてあげなさいよね。」
 
キ「ああ、わかってるよ。」
 
そう言っておれは仕事部屋へ向かった。実際は急いで片付けなきゃならない仕事があるわけでもない、ただ一人で考えを整理したかっただけだ。
 
キ「・・・・・・それにしても妹が結婚ねぇ、しかも相手は古泉ときたもんだ・・・。」
 
古泉か・・・、普通だったら悔しいが申し分ない相手だ・・・。だがなぜだろう、心にもやもやしたものがあり気が晴れないというか・・・。
そのとき携帯が鳴り出した。表示は朝比奈さんからだと示している。朝比奈さんがおれに直接かけてくるのは珍しいな。
少し驚きながら出ると昔から変わらない愛らしい声が聞こえてきた。
 
朝「こんばんわ。キョンくん、みくるです。今、大丈夫ですか?」
 
キ「ええ、平気ですよ。珍しいですね、朝比奈さんがおれに直接かけてくるなんて。」
 
朝「えっと、実はハルヒさんに聞かれるわけにはいかないお話があるんです」
 
キ「……ということはなにか未来に関することですか?」
 
朝「そうなの、難しいことじゃなくてキョンくんにある事を伝えればいいんですけど、とても大切なことなの。聞いてくれますか?」
 
キ「まぁ、そんな風に言われたら聞かないわけにいかないですね。話してください。」
 
朝「ありがとう、えっと、今、キョンくんのお宅に古泉くんとキョンくんの妹さんが居ると思うんですけど、二人の結婚についてなんです。」
 
正直驚いた。まさか未来的話で二人のことが出るとは予想してなかった。
 
キ「二人の結婚がなにか未来的にまずいことでも?」
 
朝「いえ、そうじゃなくて、逆です。二人が結婚することは未来にとってとても重要な既定事項なんです。ううん、未来だけじゃない、私たちSOS団やそれに深く関わる全ての人たちの未来や現在、過去にまで影響を与えるくらいとても、とても大事なことなんです。」
 
キ「…いやいや、ちょっと待って下さい、二人の結婚がそんな大きな話になるとはさすがに思えないんですが」
 
朝「でも大事なことって言われたんです。指令はここまでで詳しくはわたしも聞いてないの。ただこのことをキョンくんに伝えること、それが今回の指令なんです。」
 
キ「このことを聞いておれはなにをすればいいんですか?」
 
朝「他はなにもないんです。ただこのことをキョンくんに知っていてもらう。それだけなんです」
 
キ「そうですか……。」
 
朝「ごめんなさい…。わけがわからないですよね、いきなりこんなこと…でも、本当に大切ことなんだってこと。それだけは覚えていて。」
 
キ「……いや、なんとなくわかりますよ」
 
なんだか情けないな、おそらくおれのヘタれっぷりはどうやら未来人たちまで心配させているらしい。
 
キ「…情けない話なんですがさっきから妹の結婚ってことに動揺して落ち着かなかったんですよ。たぶん、なんか父親的な寂しさというか感傷というか、そんな感じです。ですがお陰で腹は決まりました。これで古泉に安心して妹を任せられますよ」
 
そうだよな、最初から答えては決まりきってる。古泉が相手なんだ。
長い付き合いだし妹を信頼して任せられる相手としてこれ以上は望むべくもない。
やれやれ、こんな妹離れ出来てない兄じゃハルヒに"シスコンを疑いたくなる"なんて言われてもしょうがないな。
 
朝「よかった、なんか混乱させちゃわないか心配だったんですけど、少しはお役にたてましたか?」
 
キ「ええ、十分過ぎるくらいですよ。ありがとうございます。あ、それと朝比奈さん、この先…」
 
ここで"妹は幸せになれるでしょうか"と聞こうとしてやめておいた。おそらく聞いても朝比奈さんは答えられないだろう。
それに先ほど古泉を信頼して任せると決めたんだ。ヤボなことを聞くのはよそう。
 
朝「?なんですか??」
 
キ「いえ、その、妹の結婚はいつ知ったんですか?おれは付き合ってたことも知らなかったんですよ。」
 
朝「えっ!?そうだったんですか?」
 
キ「なんかおれだけが知らなかったみたいですね」
 
朝「わたしは少しまえに妹さんから聞きました。たまに妹さんと連絡取り合って一緒にお買い物とか行くんですよ。そのとき聞きました。そうそう、妹さんと一緒に買い物行くとなぜか必ず姉妹と間違えられるんです。なんでかなぁ?」
 
キ「それはそうでしょう。兄のおれから見ても朝比奈さんと妹は本当によく似ていますよ」
 
朝「そうなんですか?自分ではよくわからないけど…」
 
ん?なんか今の会話になぜか引っ掛かりを覚える……。なんだろう、なぜかはわかんが。
そのとき部屋のドアがノックされた。まさかハルヒか?
 
キ「すいません、朝比奈さん。誰か来たみたいです、今日はこの辺で、ありがとうございました」
 
朝「あ、はい、こちらこそ話を聞いてくれてありがとう。じゃあ。」
 
電話を切って扉の外の人物に中にへ入るように促す。ドアを開け入ってきたのは妹だった。
 
キ「どうした?古泉と一緒にいなくていいのか?」
 
妹「うん…、ちょっとキョンくんと話がしたくて……。」
 
そう言ったきり妹は黙ってうつ向いてしまった。まぁ、なにを話したいのかはなんとなくわかる。だがおれは妹が話出すのジッと待った。
 
妹「あのね…、一樹くんと付き合ってたのずっと黙っててごめんなさい…。」
 
キ「気にすることはないぞ、ハルヒが口止めしてたんだろ?」
 
妹「ううん、本当はそうじゃないの、一樹くんとも何度もキョンくんに伝えようって話ししたの。でも伝えてもし反対されて、もしキョンくんと一樹くんが喧嘩しちゃったりしたら、とか考えたら怖くなって、でもよく考えたらそんなことあるはずないのわかってたのに、でもなんか……」
 
妹は目に涙を浮かべ混乱しながらも必死に言葉を紡いでいる、おれはそんな妹の頭をくしゃくしゃ撫でながら言ってやった。
 
キ「なにも心配するな、わかってるよ、古泉になら安心しておまえを任せられる。」
 
妹はその涙を沢山浮かべた目を驚いたように見開いて俺を見つめている。
 
キ「しっかり古泉を支えてあいつを幸せにしてやれ、見返りに3倍幸せにしてもらうのを忘れるなよ。」
 
妹の目に浮んでいた涙が耐え切れないといったように溢れ出す、同時に抱きついてきて胸に顔を埋めてきた。
 
妹「・・・・・・ありがとうお兄ちゃん・・・。」
 
久々に聞いた”お兄ちゃん”という呼び名はどうにも照れくささや、くすぐったさを感じさせながら、でもどこか心地よい響きだった。
 
 
妹と共に居間へ降りるとまるで”全部わかってたわよ”と言わんばかりの豪勢な夕食が並べらていた。
やっぱりハルヒには全てお見通しだったみたいだな。その後はお祝いムード一色の騒がしい時間が過ぎていき、日付も変わった深夜、子供達とハルヒと有希、結局泊まることになった妹はすでに就寝し、静かになった居間にはおれと古泉だけが残っていた。
 
古「こんなぎりぎりまで黙っていることになってしまって申し訳ありませんでした。お義兄さん。」
 
キ「謝ることねえよ、つか、その”お義兄さん”はやめろ。鳥肌がたつ」
 
古「いえいえ、義兄になる方相手にそういうわけにはいきませんよ、お義兄さん」
 
キ「・・・それ以上言うなら高校のとき、おまえにガチホモ疑惑があったこと、妹にばらすぞ?」
 
古「どうぞ、大丈夫ですよ、そんなことでは僕たちの仲は揺らぎません。」
 
キ「ノロケてんじゃねえよ」
 
古「あなたとハルヒさんほどじゃないと思いますが。」
 
キ「いってろ。・・・・・・・・・なあ、古泉」
 
古「・・・なんでしょう?」
 
キ「・・・・・・妹を頼んだぞ」
 
古「・・・かしこまりました。全力で、この命が尽きるまでお約束します。」
 
今までに無い真剣な顔でそう言った古泉を見てなにか安心感のようなものをおれは感じていた。
 
そんな感じで数ヶ月後、妹と古泉の結婚式が盛大に催された。
その結婚式のときだが、古泉と妹からそれぞれ”二人の親友へ””大好きな兄、姉へ”のメッセージとともに式を挙げていなかったおれとハルヒへのサプライズとして、なぜかおれたちも同時に式を挙げることになりその計らいに不覚にも涙を零してしまったことなどは恥ずかしいので割愛させてもらう。
ただ、ハルヒと妹、二人のあの幸せそうな顔は一生忘れることはないだろうな。
 
そんな騒がしかった年の明けた正月、我が家には古泉、妹夫婦と朝比奈さんが集まり、こういうイベント事は全力で楽しむハルヒの号令の元、初詣や羽根突き、福笑い、凧揚げなどを子供達と全力で楽しむという、正月らしい正月を満喫していた。
夜も深けてきたころ、近くに新居を構えていた古泉と妹は帰り、朝早くからお節作りだのなんだのと精力的に動いていたハルヒはさすがに疲れたのか子供達と早々に寝てしまった。
今はおれと有希と朝比奈さんの三人でまったりとした時間過ごしており、久しぶりに朝比奈さんに淹れて頂いた極上のお茶を啜りながらおれと朝比奈さんは世間話に興じていて、有希は片手で本を読みながら煎餅を咥え、もう片方の手でみかんを皮を剥くという器用なことをしていたわけだが、ここで、ふと気になっていたことを朝比奈さんに尋ねてみた。
 
キ「朝比奈さん、一つ聞いていいですか?」
 
朝「はい、なんですか?」
 
キ「前に言っていた古泉と妹の結婚の重大な影響ってのは一体なんだったんですか?話せることだけでもいいんで聞かせてもらいたいんですが」
 
朝「えっと、細かく正確には禁則なので話せないんですが、実は時間の流れ的にキョンくんとハルヒさんの出会いやSOS団の結成にも関わっていることなんです」
 
キ「そんな昔までですか?なんかよけいに話が見えないんですが・・・」
 
朝「どこから説明したらいいかな・・・、その、ハルヒさんが直接関わっていた既定事項の多くはキョンくんが発端になってるんです」
 
キ「おれがですか?身に覚えが無いんですが?」
 
朝「考えてもみて、SOS団が出来たのもキョンくんの言葉がきっかけで、ハルヒさんが北高へ来たのも時間遡行して会いに行ったキョンくんがきっかけなんです。」
 
キ「SOS団が出来た原因についてはまぁ、わかるんですが・・・」
 
朝「キョンくんとハルヒさんの結婚もキョンくんとの会話でSOS団の終わりを連想して、キョンくんと離れたくない気持ちからの行動だったと思います」
 
キ「ああ、まあ、言われてみれば・・・」
 
朝「有希さんの養子のこともそうです。キョンくんの”SOS団はもうひとつの家族みたいなもの”って言葉がきっかけだったでしょ?」
 
キ「たしかに・・・」
 
朝「でも、この”SOS団はもうひとつの家族みたいなもの”って言葉はそれで終わりじゃなくて、この言葉が一番大きな意味を持ってるんです」
 
キ「それは一体どういう・・・」
 
朝「あのときハルヒさんはたぶんこう思ったんだと思います、”みんないつか離れ離れになるかもしれない、でももし家族だったならずっと離れないで繋がっていられる”って」
 
キ「じゃあ、妹と古泉が結婚したのはハルヒの力のせいなんですか?」
 
朝「あ、ううん、誤解しないで。それに関してはハルヒさんはただ、きっかけを与えただけ。結婚はちゃんと二人の想いが通じ合ったから。ハルヒさんが人の想いまで無理に動かしたりしないのはキョンくんが一番よくわかってるでしょ?」
 
キ「・・・そうですね、よくわかってます」
 
朝「でも、そのきっかけで結果的に古泉くんもキョンくんとハルヒさんの家族の一員になりました。」
 
キ「そこまではわかりました、ですが妹と古泉が結婚したこととSOS団が出来たことの繋がりががやっぱりわかりません。それとSOS団が家族になるなら朝比奈さんはどうなんです?この先まだなにかあるんですか?」
 
朝「それについてはキョンくんはもう答えを知っているはずです。」
 
キ「答えを知っている・・・?おれがですか?」
 
朝「はい、そうですよ、キョンくんは以前わたしに言ったはずです、キョンくんの妹さんとわたしが”兄のおれから見ても朝比奈さんと妹はよく似ていますよ”って。」
 
キ「ちょ、ちょっと待ってください、まさかそれじゃあ・・・朝比奈さんは・・・・・・。」
 
朝「ふふっ、お察しの通りです。わたしも知ったときはさすがに驚きました。」
 
キ「そうか、朝比奈さんがいなければおれがハルヒにジョン・スミスとして会う事もないわけだから・・・」
 
朝「それにそんな沢山の既定事項も有希さんがいなければ、ほとんど叶わなかった。わたしがここに居られるのはみんなのおかげなんです。きっかけはキョンくん言葉とハルヒさんの力、でも、わたしたちは誰か一人でも欠けたら誰もこうしてここに居ることが出来ないんです。みんなが絶ちがたい絆で結ばれている。時間はそんな積み重ねで出来ているんです」
 
そうか・・・。みんな繋がっている。おれはそのとき長い間心の中に燻っていたなにかが消えていくように感じた・・・。
 
朝「でも変だなぁ・・・。」
 
キ「なにがですか?」
 
朝「本当はこんなに話せるとは思わなかったんです。もっと禁則に掛かると思ったんですけど・・・。なんでだろう・・・。」
 
有「それは一つ重大な既定事項がクリアされたため。」
 
ここで今までひたすらみかんと煎餅を食べつづけながら黙って話を聞いていた有希が突然話を切り出した。
 
朝「そ、それ本当ですか!?それって一体なんなんですか!?」
 
有「この時間軸における朝比奈みくるの出生に関する既定事項が満たされた。それによりいくつかの禁則事項が解除されたと思われる。」
 
キ「お、おい、朝比奈さんの出生ってことは、それじゃあ、妹と古泉に関係することか!?」
 
有「そう、現在、彼女は妊娠状態にある。いまは4週目、本人もまだ気付いていない。」
 
キ「な、なんてこった、い、妹に子供が・・・。まだあんな子供っぽいてのに・・・。」
 
朝「ふえぇぇ・・・」
 
有「おとうさんはおじさん。おかあさんはおばさん。わたしはいとこ。・・・・・・楽しみ。」
 
そう言った有希はどこか嬉しそうな、楽しそうな、わくわくしているというように見えた。
まったく、なんだかもうすっかり子供好きだな。・・・やれやれ。
 
翌日、いつものようにハルカとコハルに妹直伝のボディープレスツープラトンアタックをくらい目が覚めた。
それにしても昨日は色々とショックだったな・・・。妹と古泉に子供が出来てたなんて本人たちより先に知っちまって知らされたときどんなリアクションとればいいんだか・・・。
居間へ行くとすでにハルヒと有希は朝食の支度をしていた。最後に起きてきたおれが”遅いわよ、いつまで寝てんのよバカキョン!”なんて怒られるのもいつも通りだ。
鼻歌なんかを歌いながら機嫌よさそうに朝食を作るハルヒを見て昨日の朝比奈さんの話を思い出す。
朝比奈さんは様々なきっかけはおれだと言っていた。しかしやはりハルヒが願わなければ今のこの幸せな気分は到底味わえなかっただろう。そんなハルヒを見ながらおれはなんとなく言ってみたくなった。
 
キ「なぁ、ハルヒ」
 
ハ「なぁに?ごはんならまだよ?」
 
キ「愛してるぞ」
 
ハ「はぁっ!?ち、ちょっと、あんた朝からなに・・・・・・むぅ・・・(///// 」
 
まったく本当にとんでもない奴だ。ちょっと願うだけでこんなにも周りの人間を幸せにしちまうんだから。
まぁ、一番幸せなのはそんなとんでもない奴を嫁にもらったおれ自身だろうがな。
真っ赤になってふくれているハルヒを見ながら改めておれは思った。この繋がってる絆を生涯、絶対守り続けようってな。
 
おわり
 

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