○俺とENOZのZとのラブソング
    第二楽譜 『begins to move』

 

 

気持ちよく熟睡していた俺だったがいつものように妹に布団の上へ乗られて、さらにベッドから引き離された
起きてから俺はすぐに携帯を確認したがどうやら昨日の出来事は夢ではなかったのでホッとした
身支度と朝飯を済ましてから急いで家を飛び出して待ち合わせ場所を目指した

 

 

待ち合わせ場所とは昨日の別れ際に財前さんから登校と下校は一緒にしたいというリクエストがあったので

本日より登校前は昨日の公園で待ち合わせるという運びとなった

 
公園に着くと先に財前さんが到着していた
キョン「すいません、待ちましたか」
財前「ううん、今来たところだよ」
キョン「良かった、そんじゃ行きましょうか」

 

 
俺と財前さんは並んでハイキングコースを登っている
彼女と一緒に登校という俺の長年の夢はここに成就された
今まで苦痛でしかなかったこの坂道も彼女と二人ならエスカレーターに乗っているぐらいに足が軽い
財前「そうなんだ、いつも妹さんに起こされるんだ」
キョン「あの財前さん、SOS団は今まで通り続けてもいいですか?」
財前「全然いいよ、私の方こそ軽音楽部や受験なんかで忙しくてごめんね」
キョン「いえ構いませんよ」
財前「後、敬語なんて使わなくていいよ」
キョン「すいません、徐々に直していきますね」
財前「それとこれからは舞って呼んで」
キョン「舞か、なんかまだ慣れてないのでとりあえず舞さんでいい」
財前「しょうがないけど、いいよ」
キョン「で舞さん」
財前「なあにキョン君」

 
俺達は青春恋愛ドラマのような登校シーンを楽しんで学校に到着した
舞さんとは下駄箱で別れた
舞さんは今日は部活があるので俺も今日はSOS団に参加するとしょうか

 

 
放課後、駆け足で文芸部へ向かった
文芸部の扉をノックしたら中から朝比奈さんの返事が返ってきたので扉を開けるとすでに3人とも揃っていた
部室に入るなり朝比奈さんに部屋の隅へと引っ張られた
みくる「鶴屋さんから聞いたんですけど、財前さんとお付き合いしているんですか?」
朝比奈さんは他の二人に聞かれないようにヒソヒソ話で問いかけた
舞さんと鶴屋さんは親友だったよな、鶴屋さんに話してても不思議ではないな
まー隠してもいつかはばれることだ
キョン「はい、昨日からお付き合いしてます」
みくる「えー!本当だったんですか!?」
朝比奈さんは俺の鼓膜を破らんとばかりに大声を出した
キョン「朝比奈さん、急に大声で」
みくる「あっ、すいません」
再び、ヒソヒソ声に戻って謝罪をした
みくる「びっくりです、キョン君は涼宮さんって思ってたのに」
キョン「ハルヒとは何もないですよ」
みくる「そうですか…財前さんとお幸せに頑張ってくださいね」
朝比奈さんからの癒しの笑みで見送られながら、俺は古泉の前へ座った
古泉は将棋の用意をしながら俺に顔を近づけてきた、きしょくが悪いぞ
古泉「おめでとうございます、何でも彼女ができたそうで」
キョン「どこで知ったか知らんが早いな」
古泉「機関の情報網を甘く見ないでください」
キョン「で、なんかあるか」
古泉「この件についてはまた後日」
キョン「そうかい」

 
古泉としばらく将棋を指していると長門が立ち上がって俺の方に近づいた
多分、俺の近くの本棚で違う本を選ぶのかと思ったが俺の後ろで立ち止まった
そして考えられない音がした…その音とは舌打ちの音だった
ゆっくりと後ろを振り向くと長門は自分の定位置へと戻って読書を再開していた
古泉や朝比奈さんに聞こえない音量だったので二人は慌てふためいている俺を不思議そうに見ている
Why?長門が舌打ちを俺に?
今のは幻聴かとしばらく考え込んでいるうちに長門の本が閉じられて今日の活動は再開した
長門の舌打ちというありえない行動以外はいたって普通の日だった
こうしてファーストコンタクトは終了した

 

 
舞さんと待ち合わせ場所の校門に向かう為に下駄箱へ到着した俺は最初のメッセージを受け取った
そのメッセージはファンシーなレターセットという形で下駄箱に入っていた
『午後8時に光陽園駅前公園のベンチでまってます。みくる』
みくると書かれているが多分この時間の朝比奈さんではなくて、異時間同位体の方の朝比奈さんだろう

 
とりあえず手紙のことは一旦忘れて校門へと向かった
舞さんはすでに到着しており、俺達は合流してたわいない話をしながら下校をした

 

 
家に帰って晩飯を片付けて、シャミセンをこねくり回しているうちに7時半となった
俺は自転車を漕いで指定された場所を目指した

 

 
昨日舞さんと座ったベンチへ到着したがまだ姿は見えない
とりあえず俺はベンチに腰を落とした
ここに座るのも二日連続だなと思っていると後ろの植え込みから人が出てくる音が聞こえた
後ろを振り向くとそこには見覚えのある人が外灯に照らされて立っていた
???「お久しぶり、座ってもいい」
キョン「もちろんです、朝比奈さん」
話しかけた人物は朝比奈さんの異時間同位体、朝比奈みくるさん(大)だった
朝比奈さん(大)は俺の横へと腰掛けた
キョン「来られた件は舞さんのことですか?」
みくる(大)「するどいわね」
朝比奈さん(大)は鋭い笑みでこちらを見た
俺はその顔を見て体がギュッと引き締まった
みくる(大)「安心してキョン君と財前さんが付き合うことは規定事項よ」
俺は安堵から胸を撫で下ろした
安心した俺の顔を見て朝比奈さん(大)は一つ大きな溜息をついた
みくる(大)「キョン君、こっちを向いてくれますか」
キョン「あっ、はい」
振り返るといきなり朝比奈さん(大)にビンタをもらった
長門の舌打ちと同じぐらい頭に?マークが出ている
みくる(大)「ごめんね、でもやっとスッとした」
痛みよりもびっくりの方が上回って何も答えられずにいた
みくる(大)「幸せそうにニヤついてたそのお返しですよ」
あの朝比奈さんがビンタするほど二ヤついてたのか…自粛しないとな
みくる(大)「それとこの後の大変だったことも含めて」
キョン「この後?何か起こるんですか?」
朝比奈さん(大)は静かにうなずき、ゆっくりと話し始めた
みくる(大)「何が起こるかは言えませんがあなたとSOS団と財前さん…その他にもたくさんの人が巻き込まれます」
キョン「俺達以外にも巻き込まれるんですか?」
みくる(大)「はい、その際ににキョン君は大切な決断を迫られます…その時は自分の心に正直な気持ちで決めてください」
キョン「正直な気持ち」
みくる(大)「今は解らないと思いますが覚えておいてください」
キョン「…はい」
みくる(大)「さっきは叩いてごめんなさい」
キョン「いえ、俺も二ヤついててすいません」
みくる(大)「気にしないで…ちょっぴりやきもちもあったんで」
キョン「やきもちですか?…もしかして俺のこと」
朝比奈さん(大)は人差し指を唇に当てて
みくる(大)「禁則事項です」
その笑顔はビックバンほどの威力があった
みくる(大)「それじゃ帰ります」
キョン「あっ、はい」
みくる(大)「頑張ってください、後…お幸せにね」
立ち上がり朝比奈さん(大)にお辞儀をして自転車をおして、その場を離れた
少し離れてから振り返った時にはもう朝比奈さん(大)は消えていた
しかし、あの朝比奈さんからビンタをもらうなんてな
二ヤつかないように自重でもしょう

 

 
家に戻り、風呂に入ってから床についた
携帯を見たら舞さんからオヤスミのメールが届いていたので返信して部屋の電気を消した
しばらくすると携帯が鳴ったので手にとるとディスプレイにはハルヒの名前が表示されていた
ハルヒ『寝てた』
キョン「ああ、どうした」
ハルヒ『特に用はないけど、SOS団の活動報告が聞きたくて』
キョン「いつも通りの活動だよ」
ハルヒ『なんか不思議なことや変わったことはなかった』
キョン「何も不思議なことは起こっていないぞ」
ハルヒ『そう…何か変わったことがあればすぐに報告しなさいよ』
ハルヒは一方的に話して電話を切った
あいつは何が話したかったんだ?
まさか、舞さんと付き合ってることに気づいたのでないのかと思ったが
いくらあいつでも遠方の地では情報も届かんだろうし
それにあのSOS団の3人がハルヒに連絡までして伝えることはないだろう
そんな状況であいつがこんなに早く知るすべはないな
気にせずに寝ようと思ったが…なぜかハルヒの言葉が気になった

 

 

ハルヒからの謎の電話と朝比奈さん(大)からの言葉を考えてこの日はあまり眠れなかった
ハルヒが戻ってくるまで後4日か

 

 
第三楽譜へつづく

 

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最終更新:2008年03月22日 15:14