いきなりで悪いが今回はお約束を省くぞ。何がお約束で何で省くかなんて俺は知らん。そこら辺は各自で察してくれ。
俺はハルヒに引っ張られ、いつものSOS団アジトに到着したわけだ。
 
「あっ、キョンくん涼宮さん遅かったですね。今お茶入れます」
 
ちなみにハルヒと一緒だからノックなんてしていない。朝比奈さんが着替えてなくて残ね……いや、よかったよ。
 
「随分遅かったですね。お二人で何かしていたんですか?」
「なんだその他人が聞いたら勘違いされそうな聞き方は?お前が何を想像してるかしらんが答えは簡単だ。教室の掃除、これだけだ」
「そうですか。しかし僕は別にそのような想像して聞いたわけではありませんよ。ですがそう聞こえたのなら貴方は…」
「ストップだ。話が長くなりそうだからな」
 
古泉のやついつもの微笑で参りましたね、と言わんばかりに肩を動かしやがった。そんなに語りたかったのか。
 
「はい、お茶です。どうぞ」
「ありがとうございます朝比奈さん」
 
う~ん、これこそ俺が待ち続けた朝比奈さんのお茶だ。別に待っちゃいなかったろって?いやいや、昨日からずっと待っていたんだぜ。まさに癒しだ。
ハルヒはパソコンとにらめっこ、長門、朝比奈さんはいつも通りだ。
 
「さて今日は将棋をやりますか?それとも五目にしますか?」
「五目にしよう。早めに済むからな」
「それでは五目盤を用意しますね」
 
これで古泉もいつも通りか。よしよし今日も平和でよろしい。
 
「「…………」」
 
はずなんだが…ここに入った瞬間から約二名による熱い眼差しを感じる…。いやこれは気のせいだ。自意識過剰になってはいかんぞ俺。
長門と古泉から「後で話がある/あります」何てアイコンタクトはされていない。そうだされていない。
 
「これ」
「な、なんだ長門?」
「これ」
「いや…だから…」
「これ」
 
全部同じこれに見えるが実は言うごとに口調が強くなっている。状況を簡単に説明すると長門が俺に本を渡してきているっとそういうわけだ。OK?
しかし最終手段栞アタックできたか。気付かない振りでどこまで行けるか試そうと思ったのに。
 
「わ、わかったよ。帰ったら読む」
「今読んで」
 
なに?今回はそんなに急がなくちゃならん事なのか?…なら見て見ぬ振りはここまでにするか。古泉は別にいいが、長門にはあんまり迷惑をかけたくない。
しかしハルヒに気付かれないためとはいえ回りくどい奴らだ。え~と栞はっとあったあった。なになに?
 
「キョン何よそれ?」
「うお?いきなりなんだハルヒ。こ、これか?これはだなぁ」
「以前彼にオススメの本はないかっと聞かれた」
「そ、そう長門に頼んでたんだよ。ありがとな長門」
「いい」
 
びっくりさせるなハルヒ。危うく栞を落とすところだったぜ。
 
「ふ~ん。有希は信じられるけど、キョンが怪しいわねぇ。有希に何かやましいことでも頼んだんじゃないの?キョンそれちょっと貸してみなさいよ」
「ちょ、待てハルヒ」
 
一応抵抗の声をあげはしたが簡単にハルヒに取り上げられてしまった。しかし俺だって抜かりはない。栞はもう俺のポケットの中だ。甘いぜハルヒ
 
「んっ~無駄に分厚い本ね。あんたこんなの読めるの?」
「馬鹿にするな。俺だってそれくらい読める」
「ふぅん、じゃあ読んだら感想聞かせなさいよね」
 
なんてこった栞読むだけでよかったはずなのにこんな分厚い本読まなきゃならんのか。仕事がまた増えちまった。
いつもは長門に本借りるくらい何も言わないくせに……いやいつもはハルヒがいない時に渡されてるのか。
 
「わかったよ。いつになるかはわからんがな」
「まあ楽しみにしてるわ」
 
そう言うとハルヒはさっさといつもの席に戻っていった。さて早く栞を読まなきゃならんな。
 
『解散後すぐ私の家に来て』
 
なんだよ。これくらいのことなら小声で言えばよかったんじゃないのか?
ハルヒがいくら地獄耳とはいえ長門の声なら大丈夫だろうに。
 
「それで貴方はいつになったら僕と五目をしてくれるのですか?」
「んっ?ああ、すまんな。それじゃあやるか」
 
白々しい奴だな。俺が四苦八苦してたのはわかってたろうに。見ろ、朝比奈さんは心配そうに俺を見てくれてるぞ。
 
 
 
「おやおや三四ですか。どうやらこの勝負も僕の負けのようです」
 
まったくこいつは何をやっても弱いな。結局何勝したんだよ。
ちょうどここで長門が本を閉じた。活動終了の合図だな。
 
「じゃあ今日はこれで解散!キョンちゃんと感想聞かせるのよ」
「わかってる」
 
さて長門の呼び出しだ。あの様子だとどうせ古泉も同伴だろうな。
 
「じゃあまた明日。キョン学校休むんじゃないわよ」
「休むわけないだろ。あっ朝比奈さんさようなら」
「はい。さようならキョン君、涼宮さん」
「それでは皆さんまた明日会いましょう」
「また明日」
 
朝比奈さんゆっくりとハルヒは走って帰っていった。やっと本題に入れるな。
 
「長門、古泉何のようだ?特に古泉、問題はなかったんじゃないのか?」
 
解散した振りをして再集合。というか集合は長門の家じゃなかったのか?事前の打ち合せもしてないのにまったく阿吽の呼吸というやつか。
 
「ええ。それについては謝ります。何分曖昧だったものですから」
「まあそれならいい。問題だと言われて問題じゃなかったらたまらんからな」
 
しかし問題っていうのはなんだ?ややこしい事は御免だぜ?
 
「貴方の友人のこと」
「友人?誰だ?」
「谷口くんです。実は彼が」
「ちょっとまて古泉。お前があいつを狙ってるってことなら俺は関わりたくないぞ!?」
 
問題っていうか何と言うか……そんな意味不明なことなのか。いやじゃあなんで長門が……うぉ!こ、古泉。か、顔が阿修羅見たいになってるぞ!?
早く元に戻せ。キャラ変えるのは止めろ。
 
「す、すいません。しかしですねぇ!谷口くんを僕が狙ってるというのはどういう事ですか!?」
「いやそのまんまの意味だけど」
「…………古泉一樹、阿修羅は止めて」
 
長門が止めに入ったぞ。まあそれくらい古泉の顔はひどくなっていたが…
 
「あ、あのですね。僕はガチホモなんかじゃありません!ノーマルな人間です!勘違いは止めてください」
「わ、わかったわかった。そんな声を荒げて否定するな。イエスマンのキャラまで崩れるだろ」
「しかしですねぇ。そんな風に僕が思われているなんて納得行きませんよ!?というかイエスマンのキャラってなんですか!?」
 
ああ。もしかして俺は地雷を踏んでおもいっきり脱線した電車の車掌になってしまったんだろうか……。
 
「僕は本当にガチホモなんかじゃありませんからね!」
「もうわかったよ。取りあえず落ち着け」
「話が脱線している」
 
的確な助言だ長門。そうだよな。そんな理由で長門が協力するわけないからな。
 
「…長門さん……失礼しました。柄にも無く取り乱してしまったようです」
「いい」
「まあ古泉の阿修羅には驚いたが、谷口の何が問題なんだ?」
「もう少し落ち着けるところで話したい」
「そうか、ならいつもの所に行くか」
 
それから小一時間ほどした後。俺達はきちんと話すべく、いつもの喫茶店に到着した。まだ古泉がブツブツ言ってるやがる。
本当にねちっこい奴だなぁ。
 
「こいつはほっといて、長門。谷口がどうしたって?」
「馬……彼は涼宮ハルヒの影響によって、今日の深夜3回ほど無作為転移した」
「ん?無作為転移?」
「簡単に言うと瞬間移動ですね。ほら孫悟空がやっていたでしょ?」
「復活したのはいいがな古泉。あんまりそう言う名前を出すな。しかし瞬間移動か」
 
瞬間移動?無作為に?つまりどういう事だ?
 
「谷口くんは閉鎖空間に侵入してきました。しかも神人に潰されちゃいましたよ」
「な、なんで助けなかったんだ!?お前近くに居たんだろ!?」
「熱くならないでください。谷口くんはきちんと登校して貴方と喋っていたんですよ?」
 
それはそうだが……ならどういう事だ?谷口は神人に潰されて死んだんじゃないのか?
 
「それがわからない」
「そうなんですよ。ある程度推測はできたんですが……それも…推測ですしね」
「そう。馬……彼には付加価値が付けられている可能性がある」
 
しかしそれが曖昧だ、といいたいのか。……長門のやつさっきから「ば」って何度か言ってるけど何だ?
 
「気にしてはいけない」
「そ、そうか」
 
長門の威圧感がすごい。何があったんだ長門?また地雷だったか?
 
「後ですね。長門さんにも3回の移動でわからない1ヶ所があるらしいんですよ」
 
何?長門にもわからない場所。どこに行ってたんだよ谷口のやつ。
 
「それで俺は何をすればいい?というか何をすれば解決するんだ?」
「昨日。私は貴方と涼宮ハルヒのやり取りを見ていない」
「つまり昨日貴方と涼宮さんに何があったかを聞きたいんですよ」
 
マジか!?包み隠さずすべてか?
 
「はい。包み隠さずすべてを教えてください」
「教えて」
 
よりにもよって昨日の事かよ。んっ?谷口…昨日?あの事なのか?やっぱりあそこは話さなきゃいけないのか…。
 
「あのさぁ。ここ奢りにするからそれ無しにならないか?」
「なりませんね」
「ない」
 
やっぱりか…。てか二人共どこか楽しそうだぞ。いや絶対楽しんでやがるな。しかしこのままにするわけにもいかんか。
 
「仕方ない。話すよ」
「お願いします」
「どうぞ」
 
二人して目を輝かせるんじゃない。ヤバいな。恥ずかしくて死んでしまうかもしれん。ちくちょう、谷口の野郎め……
 
続く
 


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