結局その後、俺達は飲めや騒げやなんとやらで一晩中宴会場で騒いでいた

 

分かった事は喜緑さんは備中と呼ばれる城下町出身の飯綱使で、眼鏡の男の人と一緒に旅をしていると言う事ぐらいだ。

その眼鏡の人は自分の名前が分からないらしく、それを含めた全ての記憶を探す旅をしているんだとか

 

 

==宴会所・朝食==

 

 

ハルヒ「ねえアンタ」

眼鏡の男「なんだね?」

ハルヒ「なにか呼ばれたい名前とか無いの?眼鏡の男じゃ違和感があるわ」

眼鏡の男「そんなものはどうでも良かろう」

ハルヒ「でも眼鏡の男じゃなんかあれよねえ…」

喜緑さん「う~ん、そうですね。あ、そういえば東の方の城下町では会長なんて呼ばれてますよ?」

古泉「会長とは?」

喜緑さん「私もよく分らないんですけど…『短筒を愛する会』と呼ばれる集りのまとめ役を会長と呼ぶらしいんです」

ハルヒ「決まりね!そっちの方が呼びやすいし!アンタこれから会長って呼ぶわ」

会長「お、おいそんな勝手に…」

キョン「まあ、いいじゃないですか。眼鏡の人より呼びやすいですよ。」

会長「…まあ呼ばれ方にはそう拘らん。それより君達は此れからどうするんだね?」

キョン「此処でもう少し掘り出し物を探してから…比叡山に行こうと思っています」

会長「比叡山だと…?あらゆる生命を司る神々の住む領域…人呼んで【神霊域】と呼ばれるあの場所へか…?」

キョン「ええ、あそこが一番手っ取り早く腕を鍛える事が出来ると思うんです」

喜緑さん「やめた方がいいと思います…あの洞穴は神の領域。私の母もあの地で命を…」

キョン「・・・・」

会長「好きにすれば良い」

喜緑さん「でも・・・」

会長「止めはしない。だがもう少し時を置いても良いんじゃないか?」

キョン「・・・?」

古泉「具体的にどうすれば良いのでしょうか?」

会長「相模天狗の森に行け」

古泉「!」

ハルヒ「何よその相模天狗の森っていうのは」

古泉「僕から説明します。この城下町を少し北へ行ったところに一際不気味な森があります。それを万民は『天狗の森』と呼びます」

キョン「なんだそりゃ?天狗と戦えとでも言うのか?」

会長「その通りだ。今の君達の力がどれ程の物かは知らん。だが相模天狗と言えば古来より伝承されてきた仙術を駆使する、いわゆる仙人だ。噂によれば、かなり好戦的とも聞く。経験に勝る知恵無しとでも言うべきか…比叡山に行くつもりならその前に寄ってみて損は無いだろう。腕試し、と言ったところか」

キョン「なるほど…わかりました。色々ありがとうございました」

喜緑さん「良いんです。久しぶりに楽しかったですし・・・そうだ!今日は皆様一緒に相模市場を周りませんか?」

ハルヒ「いいわよ!有益な情報を提供してもらったし人数は多い方が楽しいわ!!」

古泉「どうやら決まりのようですね。」

長門「・・・決まり」

 

うお長門!

今日初めて声を聞いたぜ

 

あれ・・・朝比奈さんは?

 

 

ハルヒ「みくるちゃんなら知らない女の子に連れられてどっか行っちゃったわよ。アタシも起きたところで寝ぼけてたから止められなかったのよね」

 

 

な、なんですとっ!?

 

 

 

 

 

==相模城下町・市場==

 

 

???「どうだいこのお茶っ葉!めがっさいい品じゃないかなっ!!どうにょろ?」

みくる「いい品ですぅ~これも買いですぅ!」

???「はい毎度ありぃ!」

みくる「このお店は広くて大きくてどんなお茶っ葉でもありますぅ~凄いですぅ」

???「相模市場の中でもこの鶴屋商店はめがっさ人気の店なのさ!刀、鎧、薬、食糧なんでもござれって感じだねっ!」

みくる「こんないい店に連れてきてくれて嬉しいですぅ。本当にありがとうございますぅ~」

???「良いって良いって!うちの親父がやってる店だからねこれっ!」

みくる「ふぇえ~!?そうだったんですかぁ?」

鶴屋さん「そうそう!アタシのことは鶴屋さんって呼んでくれていいよっ!」

みくる「私は朝比奈みくるって言います。宜しくです鶴屋さん」

鶴屋さん「よろしくっ!」

 

 

 

 

 

会長「私も見たぞ。確か鶴屋商店の若い娘に連れられていったな」

ハルヒ「鶴屋商店?」

会長「相模商店の中で最大の権力を持つ鶴屋家の営む店だ」

キョン「とりあえずその鶴屋商店に案内してください!」

会長「うむ。急ぐのならば走るぞ。付いてこい」

 

 

 

 

 

 

みくる「あ、みなさぁ~ん」

鶴屋さん「ん?みくるの知り合いにょろ?」

みくる「旅の仲間なんです」

 

 

キョン「あっ朝比奈さん・・・・ぜえぜえ・・」

ハルヒ「あんた早いわよ・・・はあはあ・・」

会長「こっ・・・これぐらいの速度で無ければ走るとは言わん・・・」

喜緑さん「何気合い入れて走ってるんですか・・・もう・・・」

会長「き、気合いなど入れてない!」

喜緑さん「隠したってバレバレですよ~」

会長「ま、全く何を言っているのだか」

古泉「それより朝比奈さん、ご無事で何よりです」

長門「何より・・」

 

 

みくる「ふ、ふえ?」

 

 

 

 

鶴屋さん「そういう事にょろか~ごめんよーこの子があんまりにも可愛いもんだからつい手を引きたくなったのさ」

 

うほっ・・・いつか見た相模美人・・・

この店の人だったんだな

流石にいい店にはいい美人がいると言ったところか・・

しかし・・・朝比奈さんまでとは言わないが・・・大盛り・・・って何を考えているんだ俺は!?

 

 

話を聞くところによると、鶴屋さんは宿屋にある物を配達しに来たらしい

その時に宿の入り口で寝起きの背伸びをしている朝比奈さんを見て何となく自分の店に連れて行きたくなったらしい

 

 

動機が素晴らしく無茶苦茶だな…この人は

 

 

 

それから遠慮する俺達を遮り、鶴屋さんがお茶と団子を御馳走してくださった

ハルヒも長門も鶴屋さんとは非常に気が合うらしく、まあこれはこれで良かったと思っている。

 

 

楽しい時間を過ごす内に、日はやがて傾き、俺達は宿に戻る事になった

 

 

長門も古泉も鶴屋商店で自分の買い物をすませたらしい

さて、あと一つだな・・・

 

 

==宿屋・キョン、古泉部屋==

 

 

 

朝、ゆっくりと顔を見せる日の出を見つめながら、俺は一つの懸案事項を抱えていた。

 

それは平泉の洞窟で手に入れたこの刀…鋼忍刀(義経刀)の事である。

 

 

キョン(なぜ抜けないんだ・・・?)

 

 

そう、抜けないのである。

洞窟で一度抜いたきり、後から何度やっても鞘からこの刀を抜くことが出来なかったのだ

 

俺が足りない頭を動かして、必死に鞘から刀を抜く方法を考えていると古泉が起きてきた

 

 

古泉「…どうもおはよう御座います。どうかされましたか?何か思い詰めているような顔付きですが・・・」

キョン「ああ、少しな」

古泉「僕で良ければ御話を伺いますよ?」

 

 

 

 

古泉「成程…つまりあれから一度も抜刀していないと?」

キョン「ああ、手入れも出来ない」

古泉「昨日、鶴屋さんに少しお話を伺ったのですが、この町の外れに宗兵衛と言う名匠が住まれていらっしゃるそうです。その方なら何か分かるかも知れません」

キョン「そうだな。今日はそこに行ってみるか」

古泉「お供しますよ。涼宮さん達はどうされます?」

キョン「あいつらも連れて行こう。特にハルヒは愛用の双剣が欠けちまったらしいからな」

古泉「了解しました」

 

 

 

==相模城下町付近・山道==

 

鬼道丸「あの民家か…」

 

影の軍中忍「そのようです。捉えますか?」

 

鬼道丸「その必要は無い。私は頼み事を行う立場にいる。成らば、剣術家として最大限の礼儀を払うべきは、この私だろう」

 

影の軍中忍「相も変わらぬ剣術家精神…感服致します」

 

鬼道丸「行くぞ・・・」

 

 

===相模町外れ・山道寄り==

 

 

キョン「あの民家がそうなのか?」

古泉「町の人の情報によると、そうらしいですね」

ハルヒ「早くアタシの双剣直してもらいたいわ」

キョン「先に俺の刀を説明するぞ」

ハルヒ「別にいいわよ。アタシは急ぎじゃないし」

 

みくる「ふ、ふえええ!」

ハルヒ「どうしたのみくるちゃん?」

みくる「あ…あれ…」

ハルヒ「へ?」

みくる「ほらあそこに・・・」

ハルヒ「…!あれは」

 

キョン「どうしたハルヒ?」

ハルヒ「キョン、あれって影の軍じゃないの?」

 

 

黒い忍者服に身を包んだ群衆…間違いない!!

 

 

キョン「!!・・・確かにそうだ!」

ハルヒ「まさか…」

古泉「どうやら目的は僕達と同じあの小屋にあるようですね」

ハルヒ「何をしに来たのかしら?」

 

キョン「何でもいい!あいつらの事だから何か悪事を仕出かすに違いない!」

古泉「しかしその考えは聊か早計では…」

 

ハルヒ「あいつらは信長が動かす影の軍よ?いい事なんかする筈ないわ!!」

 

 

そうだ、あいつらが今までどんな事をしてきたか考えれば俺達が成すべきことは決まっている!!

 

 

キョン「行くぞみんな!」

 

 

 

 

 

涼宮ハルヒの忍劇11


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