ああ…なんだこの気分は…

 

懐かしいこの気持ちは…

 

この温もりは…

 

心の奥から溢れだすものは・・・

 

 

 

 

私を優しく抱いてくれているこのお方は・・・?

 

 

 

 

『目が覚めた?』

 

 

 

 

 

私は・・・

 

 

 

『やっと会えたね。弁慶・・・』

 

 

  

九郎殿…九郎義経殿・・・

 

 

 

 

『君がいなくてずっと寂しかったんだよ。僕は、こんなにずっと君のことを想っていたのに・・・』

 

 

 

申し訳ございませぬ・・・

 

 

 

『・・・もう、いいのかい?』

 

 

 

はい・・・九郎殿・・・私もいよいよお側に参ります・・・

 

 

 

 

『さあ、一緒に行こう。僕の手を取って・・・・』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みくる「あ・・・」

ハルヒ「どうしたのみくるちゃん?」

みくる「今…成仏されました・・・」

 

古泉「そうですか…義経殿のお側に行けたのでしょうね」

 

みくる「きっと会えたんだと思います・・・清い魂しか感じませんから(にこっ)」

 

 

古泉「ええ・・・」

キョン「ああ・・・」

ハルヒ「よかったわね・・・」

 

 

 

 

===「この刀は、九郎様から主達に是非と・・・」===

 

 

 

 

キョン「!」

ハルヒ「・・・今聞こえた?」

キョン「ああ・・・!」

古泉「貴方が貰っていいそうです。あそこに収められている刀を」

キョン「お、おお」

 

 

俺は埃を被っている台から慎重に持ち上げ、鞘からそっと刀を抜いた

 

 

キョン「これが義経の・・・」

長門「伝説の名刀・・・」

 

 

 

 

輝くばかりの銀色に染まるその刀は、見る者全てを虜にしてしまうほど美しかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

==平泉の町==

 

 

キョン「今帰りましたよ。ご主人」

ハルヒ「ただいま!心配しなくてもちゃーんとお宝を持って帰ってきたわよ!」

 

 

 

ご主人は俺達を見るなり顔色を変え、目に涙を浮かべた 

 

 

主人「きみたち・・・よく帰って来たっ!!」

キョン「い、いきなりどうしたんですか?俺に抱きついたりして」

 

 

 

宿屋のご主人は昔、息子を亡くしているらしい

剣術を磨くと言ってあの洞窟に入り、命を落としたのだそうだ。

その子の雰囲気がどことなく俺に似ていたらしい

 

 

 

みくる「あとで私があの洞窟の皆さんの為に御経を詠んでおきますね」

キョン「朝比奈さんってお経詠めるんですか?」

みくる「父に習ったんです。お経だけは絶対詠めるようになれって言われて・・・」

キョン「そうですか・・・お父さんの事、尊敬してますか?」

みくる「はいっ!すばらしい父だったと思ってます!」

 

 

 

朝比奈さんが洞窟の入り口で数時間にわたる長い御経を詠み終えたその後、俺達は平泉の町を後にした

 

 

 

 

 

 

 

キョン「お前が最後に使った術って一体なんだったんだ?」

 

古泉「陰陽道には、【悲観】と呼ばれる術が存在します。人の憎しみや悲しみ、恨みなどを、時には吸い出し、時には増幅させる。心に鏡を翳し、夢想界へと誘う…そんな危険な術で、本来は使うべきものでは在りませんが、今回はやむなく・・・」

 

キョン「・・・なあ古泉」

 

古泉「・・・なんですか?」

 

キョン「お前は前言ってたよな?自分の術に優しさは無いと」

 

古泉「ええ・・・」

 

キョン「救えたじゃねえか」

 

古泉「え・・・?」

 

キョン「過程はどうあれ、お前の術で一つの魂を救う事が出来た。内容がどうあれ、お前が放った最後の術はアイツを優しく包み込んだ・・・だから天に昇れたんだ。お前のおかげでアイツは上に行けたんだよ…」

 

 

 

古泉「・・・はいっ!・・・・ありがとう、ございます・・・」

 

 

 

 

 

古泉は前に言った。

終わらない戦いは、俺達からあらゆる意味での優しさを奪っているのかもしれないと

 

でも俺は、決してそんなことは無いと思う

人が人のことを想うなら、その気持ちは優しいものだし、永遠のものだ

だから俺は忘れないでいたい

そういう心を

人を優しく想う気持ち、人を強く愛しむ気持ち

 

それを忘れてしまったら俺は、俺が一番恨むものと変わらなくなってしまう気がするから・・・

持ち続けていたい、生きる限り

 

 

 

 

その純粋な心を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ハルヒ「それでキョン」

キョン「なんだ?人がせっかく素晴らしい考え事を・・・」

ハルヒ「伝火がなくなっちゃったのよ、ほら平泉の洞窟で全部使っちゃったじゃない」

キョン「ああ、そういえばそうだったな」

ハルヒ「他にも色々買いたいものがあるし…」

古泉「・・・と、くれば」

キョン「あそこしかないな」

みくる「あそこですよねぇ~♪」

長門「・・・こく」

 

 

 

キョ、ハル、長、みく、古『『相模へ行こう!!』』

 

 

 

 

 

==相模城下町==

 

 

 

谷口「WAWAWA~忘れ物~俺のかわいこちゃん~~・・・・うおっ!!」

 

商人「邪魔だよどいたどいた!」

商人B「さあらっしゃいらっしゃい!!!」

商人C「うちは安売り高値買いが基本!!どんと見てってねー!!!」

 

 

谷口「NA、NANANAなんだこの町は!?超活気づいてるじゃねーか!」

 

 

商人「さあこれが今日の大一番!!買わないと損するよ~」

商人A「珍しい一品が手に入ったよ!先着10名のみ販売!!」

 

 

谷口「お、俺にはついてけないぜ…皆すごい商売熱だ・・・・・・ごゆっくりぃ~!!!」

 

 

 

 

 

 

キョン「ようやく着いたな・・」

ハルヒ「け、結構歩いたわねえ・・」

みくる「も、もうへとへとですぅ~ふみぃ」

古泉「おや?こんなところに看板が刺さっていますよ?」

長門「本当・・・」

キョン「なになに?『買物は相模で!!』・・・って当ったり前だぜ」

古泉「それだけ相模は品揃いも良いのでしょう。では町に入りましょう」

ハルヒ「そうね。早く宿を確保して休みたいし」

 

 

 

 

とりあえず宿屋を確保して二時間ほどの休息を取った俺達は、さっそく色々な買い物をするべく、五人で市場や店を歩き周り始めた

 

みくる「ほえ~流石に色々なお店がありますぅ」

ハルヒ「さっすが有名なだけあって品揃えも抜群ね!・・・高いけど」

古泉「こういう場所では掘り出し物を探したりするのも一つの醍醐味かと」

ハルヒ「それよ!腕がなってきたわ~!それっ、とつげきぃー!!!!!」

キョン「おーいハルヒ、あんまり遠くまでは行くんじゃないぞー・・・やれやれ」

古泉「とりあえず僕達もどこかの店に入りましょう」

みくる「そうですねぇ」

長門「賛成…」

 

 

 

タッタッタッタッタッタッ

 

 

キョン「なんだこの音は?」

古泉「誰かが走って向かってくる音でしょうか?」

キョン「ああ、それもかなり急いでる感じ・・・」

 

 

???「ど、どいてどいてぇ!!」

 

 

古泉「うわっ!」

 

 

ズドーン

 

 

何処からともなく、しんぷうの如く走ってきた女の子は古泉に勢いよくタックルをかました

おい・・大丈夫か古泉~?

 

 

古泉「ええ・・・大丈夫です」

キョン「そうか、よかっt

 

???「ごめんっ!大丈夫だったきみぃ~!?」

 

 

うほっ…相模美人とはこういう人のことを言うのだろうか・・・

なんというか・・活発で・・しかしお淑やかそうな・・・

 

 

古泉「大丈夫ですよ。貴方こそ座りながら手を合わせるものではありません。手を貸しますから御立ち下さい。

   お姫様(キラーン)」

 

 

キラーンってのは俺がつけ足してやった

寒気がするほどのハンサム面だったからな。文句は無しで頼むぜ

 

 

???「それもそうだねっ!あたしったらめがっさ不注意でさ~ホントごめんねっ!」

 

古泉「僕に怪我は在りません、問題無です。それより何やら急いでたみたいですが・・・?」

 

 

???「・・・へ?」

 

 

何かを思い出したかのように顔が真っ青になる相模美人。

ああ、どこの町でも美人ってもんは違うぜ

 

???「ああー!!急がないと父さんにめがっさ怒られるにょろ!!じゃあまた縁があったら会おうっ諸君!!」

 

 

相模美人は名前を告げることなく早々に走り去って行ったー

久々にニヤニヤが止まらないぜ

 

こんなニヤケ面をハルヒに見られたら一体どんなことになるか・・・

 

 

 

 

ハルヒ『なぁにキョン?そのまるで、すっごい美人に会った時になるようなニヤケ面は?』

 

 

 

 

 

  

全世界が、停止したかのように思われた

 

 

 

涼宮ハルヒの忍劇9

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