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────────プロローグ。「追加」

 


喜緑「か~いちょっ! うふふ、やっとこの日が来ましたね」
会長「どうした喜緑くん。何が楽しみなんだね」
喜緑「やだぁ、も~、トボケちゃって~。今日は男の子が毎年楽しみにしてるあの日じゃないですか~」
会長「いっとくがバレンタインデーは昨日だぞ」
喜緑「ええ、ですから。はい、チョコレートのような物です」
会長「『のような物』ってなんだね。今日はそういう日じゃないだろう」
喜緑「何言ってるんですか。今日は待ちに待ったバレンタインデーアフターじゃないですか」
会長「勝手に変な記念日を作って遊ぶんじゃない。
   そうそう毎日あんなことがあってたまるか」
喜緑「会長ったら考え方が古いですわ。若者っぽくないです。
   本当は何もない日なんてないんですよ。
   昨日と今日にいったいどれだけの違いがあるというのですか?
   同じ地球上にだってまだ2月14日のところはあったりするんですよ。
   要するに自分の気持ちしだいで毎日が特別な一日になるんです!
   そうすれば毎日とても楽しくやっていけると思いませんか?」
会長「たまにそうやっていいこといって、上手くまとめようとしないでくれたまえ」
喜緑「今年は何人の犠牲者が出るんでしょうか」
会長「頼むから死人だけは出さないでくれよ」
喜緑「今年も会長はわたしからのチョコ1つしかもらえませんでしたね」
会長「どうせ君が他の子の妨害をしてるんだろう」
喜緑「あのー、会長。実はそれなんですけど」
会長「なんだね」
喜緑「たしかにわたし、いつも会長にチョコを渡す不届き者を妨害しようと心待ちにしてるんですが、
   一度として会長にチョコを渡そうという女子に出会ったことがないんですが、なぜでしょう」
会長「………………知らん」
喜緑「おかしいですよね。まさか生徒会長たるものがバレンタインデーに義理チョコすらもらえないなんて」
会長「別にそんな恥ずかしいことではないだろう」
喜緑「え? まさか……え?まさか……会長って……」
会長「まさかってなんだね。私にまさかなどない」
喜緑「そうですよねー。そんなことないですよねえ。会長に限って」
会長「心配するな。きっと今日こそ下駄箱を空けたら女の子からチョコレートが」パカッ
喜緑「入ってますよね(笑)」ププ
会長「………………入ってた」
喜緑「な、なにぃぃぃぃぃぃ!!!?」
会長「……ふっふっふ。ど、どうだ。私だってモテる時はモテるんだよ」
喜緑「何かの間違いですよ。だいたいバレンタインデーの次の日にチョコを渡すバカなんていません」
会長「それは自分のしてることわかって言っているのか?」
喜緑「もしかしたらそれはギョウザかもしれませんよ! 危ないです!」
会長「いや……チョコレートだ。ちゃんとハート型の箱にラッピングしてあるし」
喜緑「誰かと間違えたんですよ。隣の下駄箱とか」
会長「ちゃんと宛名も『生徒会長さんへ』ってなってるし!」
喜緑「ということは……」
会長「う……生まれて初めて女の子にチョコをもらった!?」
喜緑「あっれー!? わたしのはノーカウントですかぁ?」
会長「う、うれしい……素直にうれしいぞこれは……ジーン」
喜緑「むぅ~……ムスー」

 

「──────喜んでもらえて───うれしい」

 

会長「だ、誰だ君は。いつからそこに?!」
「──────わたしは、右翼」

 

九曜「……────右翼───左翼」
喜緑「あら、過激的な名前ですわね」
九曜「間違えた──────九曜──周防」
喜緑「さっきのお名前の方が素敵ですよ」
会長「いいから君は黙っててくれないか。このプレゼントは君がくれたのかい?」
九曜「─────────そう」
会長「ふっふっふ。ほら見たまえ。私もチョコをくれる女子の一人や二人くらいいるのだよ。喜緑くん」
喜緑「ありえん(笑)」
会長「君も毎年くれるだろうが」
喜緑「だって(笑)ありえん(笑)」
会長「笑うな、ムカツクからそれ」
喜緑「会長にチョコをプレゼントしてどうするんですか(笑)なんでチョコ(笑)」
会長「……今年渡されたアレは何だったんだね?」
喜緑「うふふ。もう忘れました」
会長「食べなくてよかった……」
九曜「──生徒───会長───あなたに──────あげる。
   ─────バ───レン──タイ───ン─────チ────」
会長「……なだかよく聞き取りづらい声だな」
喜緑「でもあなたねー。今日が何日だか知ってるの? 2月15日よ? バレンタインデーじゃないわよ?
   そこのところわかってるの? 会長はすごく迷惑そうにしてるんだけど」
会長「まずはそれを自分に言い聞かせてくれ」
九曜「────────開けて」
会長「ああ、さっそく開けてみるよ」ガサガサ
喜緑「なんでそんなに嬉しそうなんですか。らしくないですよ。鼻の下も伸びてるし」
会長「ははは。なんとでもいいたまえ」ガサガサ
九曜「──────どう?」
会長「こ、これは!」
喜緑「これがチョコなの!? う、美しい……。
   なんて精巧かつ緻密な作りなの……。
   ツヤ、黒さ、丸み、太さ、右に曲がっているところ、
   皮のあまり具合、棒の短さ。どれをとっても本物そっくり……。
   まさしくこれこそ……バレンタイン──────」
九曜「───チンコ」
会長「ふ、ふざけるなぁあ!」
喜緑「ねえ、あなた……どうして会長のチンコのことをこんなに詳しく知ってる訳?」
会長「なあ、全く同じ質問を君にしてもいいかな? 喜緑くん」
九曜「──────バレンタインデーはこれを送るのが定番だと───聞いた」
会長「誰にだよ!?」
喜緑「あ、そうだ。はい、会長。わたしからも定番のプレゼントですよー」
会長「お前かぁぁー!」

 

………
……

 

ついに─────────みつけた。

今回の使命は。観測対象の鍵となる存在の捕獲。
ターゲット対象は県立北高校に所属している男子生徒。
年齢は16~17歳。
性格はおとなしめで普通。
成績も至って普通。
顔もハンサムというわけでもなく、普通。
周りのみんなには名前で呼ばれるよりも通称で呼ばれることの方が多いらしい。
ただそれだけだと極めて普通の存在でしかない。
その者だけにある特徴として、情報統合思念体の作り出したアンドロイドがいつも傍らにいること。
そしてそのアンドロイドの特徴は、
女性型であること。
思考回路が極端にバカなこと。
アホなこと。
エロいこと。
使えないグズなこと。
ドジ、マヌケ、トーヘンボク。

 

とりあえず今のところわかるのはこれだけ。
思い出せるのはこれだけ。
あとは説明聞くのめんどくさくて覚えていない。
後半スルーしてたから忘れた。
でもたぶんあいつで間違いない。
もう一人のあの女も完璧バカだったし。
あいつマジでバカ。笑える。
地球での流行のプレゼントまで教えてくれるし。
おかげで第一次接触としてはかなりの好印象だったはず。
もうすぐ結納の準備をしなくては。

髪があそこまでワカメとは聞いてなかったけどあれが長門有希に違いない。
間違いない。絶対。

 

しかし地球人はわからない。
男性器型のチョコレートをもらって喜ぶとは。
きっと一ヵ月後のお返しはこの前海に行った時に岩場に張り付いていたアレかもしれない。
海には髪の毛に似た何かも生えてるし、地球は想像以上に不思議な辺鄙なところだ。

 

以上、報告終わり──────。

 



  ~もし長門がバカだったら
   もちろん九曜もバカだった~

 

 


─────────1。「不在」



4月……。
去年はいろいろあったが俺は無事に2年生に進級した。
その『いろいろ』については……いまさら説明するのは手間がかかる。
たっぷりある。何せ100話ある。
長すぎて俺は読み返す気が起きない。
とにかく今、俺の隣にいるこの長門っていう宇宙人が、
思ったよりもバカでガキで泣き虫で性格が悪く腹黒いということだけ覚えてもらえればいい。
他にもいろいろいるが、基本的に俺の周りはバカばかりだ。

バカっていう奴がバカだって?

そうだよ、俺もバカだよコンチクショウ。

 


とにかく、話はそれちまったが今日はハルヒに呼び出されて久々の市内探索だ。
バカのせいで何か悪いことが起きない事を祈りながら、

俺は長門と一緒に駅前の広場へと向かっていた。


キョン「しっかし、お前よく2年になれたな。毎回テストで赤点とってなかったか」
長門「それは平気。なんとかなった」
キョン「カンニングでもしてたんじゃないのか」
長門「していない。していたとしても、それはカンニングという名の情報操作。
   決して悪いことではない」
キョン「してんじゃねえか! 認めてるじゃねえか!」
長門「わたしは悪くない。悪いのはわたしにカンニングをさせてしまうほど追い込む競争社会」
キョン「そんなに追い込まれるほど勉強したことないだろ」
長門「テストの問題が悪い」
キョン「悪いのはお前の頭の方だと思うが」
長門「あんな問題で満点とれても面白くない」
キョン「そういうことはとってから言え。……ん?」


ふと、何気なく向きを変えたその瞬間、前方にこっちをずっと見ている少女が目が留まった。
一瞬何気なくスルーしてしまいそうになったが、俺は直ちに前を向き直った。
その顔は忘れもしないあの人物であった。


長門「その声は!?」
キョン「まだ何も言ってないだろ」


「ふふ、こんにちは。また会いましたね」


キョン「お前は……朝比奈さんを誘拐した女だな」
長門「そして貧乳!」
橘「ひどい言われようね。でもまあ、事実だから仕方ないんだけど」
長門「貧乳も?」
橘「そこは否定します」
長門「今度はわたしを誘拐する気? 何する気? ねえ、どんなことするの?」
橘「いいえ、しません。私はもうあなたたちからは手を引いたのです」
長門「……引いたのは貧乏くじ」
キョン「それは俺のことだ」
橘「今日はあなたに会わせたい人がいるのです」
キョン「……え? ……あっ!」
佐々木「やあ、キョン。久しぶりだね」
長門「えー、あ、あぁ~。ひ、ひさしぶりぶりー。元気してたー?」
キョン「お前の知り合いじゃねえよ。俺の中学時代の知り合いだ」
長門「……でももう知り合い」
キョン「相変わらず負けず嫌いだな」
佐々木「くっくっ、君の友達は面白いなぁ」
長門「朝比奈みくるはそんなに面白くない。無駄な脂肪がついているだけ」
橘「そうだそうだ」
佐々木「いや、君のことだよ」
キョン「えーと、こいつは長門。同じ学校の……部活仲間ってところだな」
長門「……長門有希」
佐々木「はじめまして」
長門「はじめました」
キョン「冷やし中華か」
佐々木「僕は佐々木。キョンの親友さ」
キョン「し、親友!?」
長門「親友!?」
佐々木「どうしたんだい、二人とも。そんなに驚くことかな?」
長門「……てっきり母親かと」
佐々木「僕はそんなに老けてないけど……」
キョン「ああ……コイツのボケはいちいち真に受けないでくれ」
橘「えー、コホン」
キョン「ん、なんだよ?」
橘「久しぶりの再開で喜びを分かち合うのはもういいかしら? まだ紹介したい人がいるんだけど」
キョン「どこにいるんだ?」
橘「気づかなかったかもしれないけど、すぐそこにいるわ」
キョン「え? どこだよ」
橘「ふふ、まだ気づかないようね。そこよそこ。普通の人間じゃないのよ」
キョン「だからどこにいるんだってば」
長門「バカには見えないだけ。わたしには見える」
キョン「お前に言われたくねえよ。それに本当にいないぞ。何も」
橘「って……あ、あれ……? さっきまでそこにいたのに……。九曜さーん。九曜さんどこー?」
佐々木「ああ、九曜さんならさっき『そうだ京都行こう』って言ってたよ」
橘「あ、あいつめぇ……。またあの発作かよー」
キョン「何か俺と似たような苦労を感じるな」
長門「誰のこと?」
橘「ま、まだほかにもいるのです! そう、未来人なんてのも仲間にし……」
佐々木「ああ、彼ならなんか今日は寝坊して遅刻するのが規定事項だと言ってたよ」
キョン「そこまで未来がわかってるなら防ごうとしろよ」
橘「今言った事は忘れてください」
キョン「切り替え早いな」
橘「とにかく! わたしたち3人はこの佐々木さんこそが本来の神的存在なのだと考えています」
キョン「今はお前一人しかいないけどな」
橘「うぅ……ぐす」ジワ
佐々木「泣かない泣かない」
橘「ち……ちがうもん……ぐす……組織の命令なんだもん……うぅ」
長門「泣ーかしーた。泣かしーた。せーんせーに言ってやろー」
キョン「う……ご、ごめん。言い過ぎたよ」


「こらー!」


橘「あ、藤原さん! 来てくれたんですね」
キョン「今度はお前か。誘拐未来人」
藤原「京子タンを泣かすな! 泣かしていいのは俺だけだ!」
キョン「お前はいいのか」
藤原「それも……初めての夜を俺とすごして、
   最初はすごく痛かったけど俺が優しくしたから痛さよりも愛を強く感じてしまい、
   横で寝息を立ててる俺を見てつい涙が出ちゃう。
   そんな感じのうれし泣きだ! さあ、俺のためにドバドバと涙を流すがいい!」
橘「もう帰ってくれませんかね」
藤原「ああっ、登場していきなりその言葉! そこにしびれるあこがれるゥ」ゾクゾクゥ
キョン「行こうか長門」
長門「……では参りましょうか助さんや」
橘「ま、待ってぇー。まだ話があるのにぃー!」




─────────2。「翌日」



佐々木「ん? あ、君は……」
長門「……何?」
佐々木「やあ、偶然だね。昨日駅前で会ったよね」
長門「芸能スカウトお断り。……でもギャラがいくらかだけ聞いておく」
佐々木「残念だけど僕はそういう職業の人じゃないんだ。まだ高校2年生なもんでね」
長門「……ああ、あなたはこの前の……」
佐々木「佐々木です。キョンの親友の」
長門「チンチロリンで班長のイカサマを見破ったあの……」
佐々木「いや……僕は地下帝国で強制労働させられてなんかいないよ」
長門「知らない人に話しかけられてもついていくな、と彼に言われている」
佐々木「知らない人じゃないよ。君は昨日キョンや涼宮さんと一緒にいた子でしょ?」
長門「……わたしは生まれてから4年しか経っていない。それ以前の出来事は記憶にない」
佐々木「昨日の話だってば。えーと、たしか君の名前は……」
長門「朝比奈み…」
佐々木「長門有希さんだね」
長門「……」
佐々木「昨日駅前でキョンと僕が一緒にいたのを覚えてないかな」
長門「……思い出した」
佐々木「そうか、よかった」
長門「長門有希……それはわたしの名前……」
佐々木「そこを思い出したかぁ……。くっくっ、話が長くなりそうだね」
長門「あなたは?」
佐々木「僕の名前は佐々木」
長門「ボッキ?」
佐々木「『キ』しか合ってないんだけど。佐々木だよ」
長門「ああ、クリフトの役立たずめ……」
佐々木「それはザラキ。佐々木だよ。佐々木」
長門「焼肉でこの前食べた」
佐々木「それはハラミ。とうとう一文字も合わなくなったよ」
長門「わからない……どんな字を書くの?」
佐々木「佐藤さんとか佐賀県の佐に……」
長門「……わからない。ここに書いて」
佐々木「え~と、こうやってこう……これで『佐々木』だよ」
長門「なるほど……わかった」
佐々木「ふう、よかった」
長門「結構汚い字を書く」
佐々木「……どんな字を書くって……そこ?」
長門「……」コクリ
佐々木「キョンの苦労が窺えるなぁ」
長門「彼とはどんな関係?」
佐々木「ああ、キョンとは中学生時代からの親友さ」
長門「中学生時代はバイクを盗んで走り出していたってところまでは理解できた」
佐々木「全く理解してないね」
長門「……」コクリ
佐々木「昨日のことは思い出せる?」
長門「昨日は家で寝てた」
佐々木「いや、キョン達と駅前に来てたでしょ?」
長門「……それは起きた後のこと」
佐々木「そうだよ。起きた後僕と会ったでしょ?」
長門「彼と一緒に駅前に行って……」
佐々木「少しは思い出してくれたかい? 僕のことを」
長門「……思い出した」
佐々木「そうか。よかったよ」
長門「あなたは昨日橘京子という女の横にいた佐々木とかいう知らない人」
佐々木「知ってる人です」
長門「……なるほど。早く言えばいいのに」
佐々木「言ってたよ」
長門「もう一度名前を聞いていい?」
佐々木「もう忘れたのかい? 佐々木だよ」
長門「違う……。そうじゃなくて」
佐々木「字はこう書くんだけど?」
長門「違くて……」
佐々木「え? じゃあ何がわからないんだい長門さん」
長門「あ……それ……」
佐々木「自分の名前ですか」
長門「長門有希長門有希長門有希長門有希俺の嫁長門有希……よし、覚えた」
佐々木「くっくっ、……やっぱり君はキョンの話してたとおりの子だね」
長門「まさか……学園のアイドルとか噂されて」
佐々木「残念だけど違うね」
長門「……学園の巨乳アイドル?」
佐々木「むしろ遠くなったんじゃないかな……」


長門「……わたしもあなたのことは聞いている」
佐々木「え? キョンが何か僕のことを話していたのかい?」
長門「……気になる?」
佐々木「いや、別に気にはならないよ。
  だってキョンにどう思われていようと僕は僕だ。 
  僕という存在は彼の言葉や気持ちによって形成されているわけではないからね。
  だから何と言われていようと別にどうでもいい事さ。
  たとえそれが悪口だろうと今までに築いた僕という存在は変わらない。
  それは単なる一つの評価でしかないからね」
長門「……そう。じゃあ言わない」
佐々木「あぁーあ。でもちょっと待ってね。
  例えばなんだけど、例えばの話ね。
  ここに一つの花が咲いていたとしよう。
  これを見て人は何と感じるか。
  美しい花だなと感じる人もいれば、
  そうでもないと感じる人もいる。
  そもそも花の存在に気づかない人もいる。
  そして美しい花だなと感じた人の行動もそれぞれ異なる。
  美しいから家に持って帰ろうと考える人もいるかもしれないし、
  かわいそうだからそっとこのままにしておこうと考えるかもしれないし、
  これを売ったらいくらになるかなと考える人もいるかもしれない。
  花はそこに存在していることに変わりはないし、
  その形も意味合いも変化していない。
  なのに同じ出来事を一つとっても感じ方は人それぞれってことさ。
  他人の評価というものは結局相対的で当てにはならないのさ」
長門「……」
佐々木「まあ、悪口とかは直接言われたら僕だってさすがにムッとすることくらいあるさ。
  でも影で言ってくれる分には大いに結構。
  僕は傷つくことはないからね。
  まあ、出来ることならそういう事実は永遠に知りたくはないことだけど。
  知らなければ存在しないことと同意義だからね」
長門「……」
佐々木「それによく勘違いされるんだけど、キョンと僕が付き合ってるんじゃないかってさ。
  それだけは絶対無いと言い切れるね。
  だって僕はキョンのことなんてこれっぽっちもなんとも思っていないからさ。
  たしかにキョンと僕は親友と呼べるほどの仲だよ。
  塾の帰りも一緒だったし、学校でも一番よくしゃべっていた。
  僕にとってもとても話しやすい存在だし、
  彼にとってもいい話相手になれていたと思うよ。自分ではね。
  そういえば塾の帰りに自転車の後ろに乗せてもらったりしてたなぁ。
  そのとき暖かい背中越しでちょっとだけキョンの鼓動を感じるんだ。
  いつもより少しだけ早い鼓動をね。
  ああ、ごめん。話が逸れたね。くっくっ。
  まあ、仲がよかったことは認めるよ。
  ときどきクラスでも噂になってた仲だしね。
  でもそもそも僕には恋愛感情なんていうものはないんだ。
  いや、もしかしたらあると言われるかもしれないが、それは僕の精神が勘違いを起こしているだけなのさ。
  恋愛感情なんてはいわば一種の精神病だよ。
  僕にいわせれば未熟な精神が起こす錯覚さ。
  だからもし今僕が恋愛感情を抱いていたとしても、
  覚めればあとで必ず悔いるだろうし、誤りだったと気づくだろうね。
  いわゆる若気の至りだと」
長門「……」
佐々木「だから別にキョンのことなんてなんとも思ってないけど、
  彼が僕のことをなんていっていたのかと言うことに対しては、
  正直に言うと単純な好奇心はあるよ。
  いうなればなんとなく知りたいという欲求だね。
  知的好奇心なんかもこういう部類に入るんじゃないかな。
  単純に知りたいということ。
  それはおなかが減るのとか眠くなるのと一緒で人間が本来持っている欲求さ。
  だから僕は今そのことが少し気になっただけ。
  別に教えてもらわなくても一向に構わないし、損得はないね。
  でももし教えてもらえるなら少しだけ今の欲求不満を解消できるし、
  ちょっと時間つぶしにもなるからさ。
  実は今少し暇なんだよね。うん、そういえば暇だった。
  そんなわけでキョンが僕のことをなんと言っていたのかな~。って聞いてみたわけさ。軽い気持ちでね。
  で、どうかな?」
長門「…………彼はあなたのことを……」
佐々木「うん、キョンはなんて?」
長門「自分の気持ちに素直じゃないって」
佐々木「……ち、違うもん…」
長門「……ふ-ん」
佐々木「ほ……ほんとだよ?」
長門「……知らない人の言う事は信用できない。でもギャラだけは聞いておく」
佐々木「いい加減覚えてよ!」




─────────3。「結集」

 

 

橘「みなさん、今日集まってもらったのは他でもありません」
藤原「おぉ、京子タンもとうとう俺と……」
橘「あなたは呼んでません。なんでここにいるんですか」
藤原「俺を呼び忘れるとか、ドジっ娘属性まで持ち合わせているなんて、
  さすがは京子タンだなぁ……。全部ストライクゾーンだ」
九曜「─────ドジっ娘属性って何」
藤原「妄言だ。結婚してくれ」
九曜「──────嬉しい───婚姻届出しておくわ」
佐々木「おめでと~」
橘「わたしの名前で出さないでください。そしてこんなものビリビリポイです」ビリビリ
九曜「─────────あぁう」
藤原「ひゃぁうん」
橘「今日はこんなコントをやるために集まったのではありません。
  あの涼宮ハルヒ達に、わたし達の存在を教えてやるために集まったのです」
佐々木「じゃあ今日もキョンに会えるんだね。くっくっ、楽しみだ」
九曜「──────でもいつも存在感ないって言われる──」
藤原「うらやましいぜ。そんなこと出来たら京子タンのお風呂覗き放題なんだけどな」
佐々木「いつもやってることじゃないかそれは」
藤原「まあな」
橘「ちょ、ちょっとそれ初耳なんだけど!」
藤原「話を本題に戻そうか。今は少しでも時間が惜しい」

橘「なにごまかそうとしてるのよ!」
九曜「────今日は遊びに来たのではない───橘京子あなたにはその自覚があるの?」
橘「うー、納得いかないわ……」
佐々木「まあまあ」


橘「まあいいわ。それと、九曜さんはこの前みたいに突然いなくならないでね」
九曜「シ──────ネ」
橘「なに? なんか言った?」
九曜「──────何も」
佐々木「そういえば九曜さん。この前の京都旅行はどうだったい?」
九曜「────でっか───い大仏」
佐々木「うんうん」
九曜「─────かわいい鹿はかわいい───餌───あげてきた」
佐々木「そうか。よかったねー。でもそこ奈良だよね」
九曜「─────あ─────下手こいた──」
佐々木「デデデン、デデデン、デデデン、デデデン♪」
九曜「─────────イエーイ」
橘「ちょっと佐々木さん! 話題を逸らさないで!」
佐々木「は、は~い」

九曜「オッパイピ──────」
橘「そもそもみんなこの集まりの意味がわかってるの?
  お互いにすごく大事な使命があるから協力し合うことにしたんでしょ?」
藤原「俺は君がいるからここにいる。ただそれだけだ」
橘「単なるストーカーでしょ」
九曜「────大事な使命────それを思い出すためにここにいる」
橘「素直に忘れたと言いなさい」
佐々木「僕はどちらかというと被害者の側なんだけどな。
  別に神的存在になんてなりたくないし」
橘「また新しくキョン君のブロマイド写真を撮ってきたんだけど、見る?」
佐々木「べ、別にそういう物には興味があるわけではないけど、
  君たちとは一緒にいるだけなら損ではないし楽しいからいいかな」
橘「……はぁ」

 

橘「なんかあなた達といるとすごく疲れる……」
藤原「そうか。じゃあ、胸でも揉んであげるよ」
橘「肩だろ!」

 

 

 

─────────4。「真偽」

 


藤原「橘京子、お前にこの花をやろう」
橘「あら、なにかくれるの?」
藤原「パンジーだ」
橘「この前その花の花壇踏みにじってなかったですか?」
藤原「花言葉は『京子たんラブ』だ」
橘「いりません」
九曜「───はなことば……花子…鳥羽? 鳥羽…イチロー……。───地球が危ない」
藤原「2つあるから『京子たんラブ・ラブ』になるわけだ。ふんっ、規定事項だ」
橘「1つだっていりません」
九曜「地球がぁ─────」ブルブル
藤原「あ、よく見たら3つあるな。どうだ九曜。俺のパンジーは──」
九曜「───カ───────ア───ア──────ペッ」
藤原「ああ、ひどい! なんてことを! どれが俺のツバをつけた花かわからなくなるだろ!」
橘「未来に帰れ」
藤原「直訳するとバックトゥーザフューチャーか。その映画一緒に観にいこうっていう意味だな」
橘「全然違います」
藤原「今ちょうど偶然にも映画館のチケットが二枚手元にあった。
  でもこのチケットの有効期限はなんと今日まで。
  そして今偶然にもここにいる俺と京子たん。どうする?」
九曜「──────あいふる?」
橘「どうもしません。勝手に一人で行ってください」
藤原「えー、いいじゃん。どうせこの後暇なんでしょ?」
橘「イヤです」
藤原「いいじゃん、ちょっとくらい。キスなんて減るもんじゃないし」
橘「ちょっと! 勝手にイベントを進めないでください!
  そして私のフラグは永遠に立ちませんから!」
九曜「────────気になるポイント3上昇」
橘「上がってません!」
藤原「あー、かわいいなあ、もう! 逮捕しちゃうぞ!」
橘「んんっもう! 触らないで!」
九曜「──────かわいい罪。罰金最高20円」
藤原「金額までかわいい犯罪だな」
橘「10円ずつあげるから帰ってください。未来と宇宙に」
藤原「冷たいなぁ。俺たち仲間じゃないか」
九曜「───由紀恵じゃないか」
橘「あー、もうやだ! あんた達と一緒になんてやってられるもんですかー!
  もう知らない! 組織も抜けてやるんだからー!」
藤原「ふーん。まあ、ちなみに未来では俺と君は結ばれてるから抵抗しても無駄だぜ」
九曜「ああ─────ネタバレ自重」
橘「はぁ? 何をわけのわからないことを……」
藤原「あ、やべェ……」
橘「え……嘘でしょ?」
藤原「……あ…………うん。嘘だよ?」
九曜「あははっ冗談冗談♪ 藤原さんったらホント冗談がうまいんだからー」
橘「ねえ九曜さん。何そのしゃべり方。ちょっと気持ち悪いんだけど……」
藤原「あー、今のはなんでもない! なんでもー」
九曜「えへへ、なんでもないよっ! ねー♪」
藤原「ねー♪」
橘「ちょ、ちょっと教えなさいよ! なんでそんなことになるのよ! ねえ!」
藤原「んー、それは禁則事項だから教えられないなぁ(棒読み)」
九曜「わたし地球のことよくわっかんなーい」
橘「いじめ反対だよう……グスン」

 

 

 

 

─────────5。「古典」

 

 

ここはとあるレストラン。
わたしは休みの日によくここに来る。


わたしは高校で生徒会長をしている。
その役職柄色々な苦労を普段から背負わされている。
部下のこと、友人のこと、クラスのこと、学校全体のこと。
もちろん受験のことや部活のことなど他の学生が抱えた悩みも普通にある。
その苦労から解き放たれるための隠れ家として、ここは最適な店だ。
ここには涼宮ハルヒとかいうバカも、長門有希とかいうバカも、
そして何よりあのうるさいバカ書記もいない。
特にあの書記が一番ウザい。今一番の悩みの種だ。

書記とは名ばかりでまともに字も書けないバカだ。

おまけに人の仕事の邪魔ばかりする。

休みの日くらいあいつに会いたくないという私の気持ちを理解できない人がいるだろうか。


店内に入り、静かに流れるBGMを背景に本を読む。
たまにはこうして癒されないと、生徒会長という仕事はこなしていけない。
そろそろ店員が注文を取りに来るころだ。
メニューはいつものあのメニュー。
この店の人気メニューである。


喜緑「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか」
会長「あ、店員さん。スパゲッティナポリタンをください」
喜緑「はい。他にご注文はございますか」
会長「ふむ。じゃあ、デザートにおいしそうな君をいただこうか。なんてね」
喜緑「うふふ、お上手ですね♪」
会長「………って何をしてるんだ君は」
喜緑「アルバイトです」
会長「それは見ればわかる」
喜緑「いつもよくこの店に会長がお忍びで来ているって聞いたもので」
会長「ついに私の隠れ家的店がなくなったか……」
喜緑「生徒会の方には内密にお願いします。生徒会役員は原則アルバイト禁止ですから」
会長「……君は私を何の会長だと思っているのかね?」
九曜「─────わたしもナポリタン」
会長「おわっ! い、いつからそこに!?」
九曜「──────大丈夫───お金は最初から持ってきていない」
会長「大丈夫じゃない! 誰が君にメシなんておごるもんか!」
喜緑「そうです。この店のスパゲッティナポリタンなんて、
  まずい上に高くて味覚のおかしい人以外で注文する人なんていません」
会長「悪かったな」
九曜「──────あなたのことが───もっと知りたくて」
会長「まいったな。そう言われるのは悪い気はしないが」
九曜「────わたしの作ったあのチョコを───まさか───食べきるなんて」
会長「何を入れたんだ、おい」
喜緑「ちょっとあなた」
九曜「─────なに?」
喜緑「これ以上会長に付きまとうのはやめてもらえますか?
  そういうのストーカーっていうんですよ。これは犯罪行為だと自覚してください」
会長「私の行きつけの店を探し出してバイト始めた人が言わないでください」
九曜「─────この店は──────変わったお店ね」
喜緑「何がですか」
九曜「────ワカメが接客しているなんて───よほどの人手不足」
喜緑「それは喧嘩を売ってると取っていいのでしょうか」
九曜「──────きっとこれから出てくるスパゲッティもワカメ味」
喜緑「何を当たり前のことを……」
会長「当たり前じゃねえ。ナポリタンっつったの聞いてねえのかよ」
九曜「───むむ」
喜緑「まだ何かいちゃもんをつける気ですか?」
九曜「──────コーヒーにワカメが入ってる───コックを呼べ」
喜緑「失礼な! それはワカメじゃなくてわたしの髪の毛です!」
会長「もっとダメだろ!」
九曜「───────こんなに枝毛の多いものが食えるか」
会長「なくても食うな」
喜緑「わかってないわね。枝毛の方が色々と栄養価が高いって言われているのよ」
会長「言わん」
九曜「───それに値段が──高い─────もっと値引きしろ」
会長「そういうことは金持ってきてから言ってくれ」
喜緑「すみませんが当店では値引きはいたしておりません。万引きならよくしてたけど」
会長「さらりと前科をバラさないでくれ」
九曜「────ええい───責任者を呼べ」
喜緑「なぜですか?」
九曜「──────店員の対応が悪い───クビにしろ」
会長「それには同意する」
喜緑「うふふ、それは無理な相談ですわ」
九曜「────そうだんですか」
会長「さぶっ!」
喜緑「だってわたし、店員のフリしてるだけですから」
会長「店員さーん! 本当の店員さーん! こいつ早くつまみ出してくださーい!」
九曜「─────そうきたか─────ならば───戦争だ」
喜緑「わたしが追い出される前に決着をつけましょう」
会長「頼むから外でやってくれ」
九曜「─────外────そうだ。京都行こう」
会長「勝手に行ってこい」
喜緑「お土産のしびれフグ忘れないでくださいね」
会長「それはどう考えても京都のお土産ではない」
九曜「─────その前にナポリタンはまだか」
喜緑「周防さん、あなたはまだ気がつきませんか?」
九曜「────なにを────────────はっ!」
会長「は?」
九曜「───ここはとあるレストラン────人気メニューは───ナポリタン──」
会長「は? どういう意味だ?」
喜緑「うふふふ、ようやく気がついたようね」
会長「???」
九曜「──────ひとまずここは退散しておく────次は会長のお尻を頂く」
会長「おい、最後に意味のわからない捨て台詞を吐くな」
喜緑「会長も───手遅れになる前に……」
会長「え? なに、なんだよう。やめてくれよな。
  ちょ、ちょっと。怖いってば。怖いよう。えーんえーん」

 

 

 

 

─────────6。「呼称」

 


橘「んんっ、もう! 9時って言ったのにもう10時半! 遅いなぁ~。みんな何してるのよ~」


佐々木「やあ、ごめんごめん。すっかり遅くなってしまったよ」
橘「遅いです! 佐々木さん! 何してたんですか!」
佐々木「いやあ、夢の中でキョンが僕のことを離してくれなくてさ」
橘「……どんだけ彼のことが好きなんですか」
佐々木「違うよ。そうじゃないってば。夢の中ではいつもキョンの方から言い寄ってきてるんだよ」
橘「はいはい……。それで、後は九曜さんだけね」
藤原「お、おいおい。俺のことを忘れてもらっちゃ困るぜ」
橘「あら、いたの。呼んでもいないのに」
藤原「ずっと京子タンの後ろにいたよ。三日前から」
橘「キ、キモッ!」
佐々木「あ、九曜さん来たみたいだよ」


九曜「──────ただいま────フロム京都」
佐々木「また京都に行ってきたのかい? 相変わらず好きだね」
九曜「───これ──────食べて」
佐々木「あ、わざわざお土産買って来てくれたんだ。ありがとう」
九曜「──────名物──────牛タン」
橘「なんで京都通り越して仙台に行くかな……」
佐々木「九曜さんは宇宙人のくせに相当な方向音痴だよね」
九曜「そう──────それだけが───玉に瑕─────」
橘「それだけじゃないと思います」
藤原「他にも欠陥だらけだな」
九曜「──そんなこと──────ない」
橘「あるわよ! この前だって駅前に集まる約束だったの忘れてたじゃないの!」
九曜「─────あのときは──────考え事してた」
藤原「へー、何を?」
九曜「───男性器のことを──チンコと呼ぶか───チンポと呼ぶか」
橘「悩むなー!」
藤原「他にもチンチンって呼び方もあるぞ」
橘「お前も意見するなー!」
佐々木「チンポって呼び名の方がかなり下品に聞こえるっていう統計も出てるよ」
橘「佐々木さんは無駄知識披露しないでー!」
九曜「───ああ──あ──────どうしよう───どうしよう」
橘「好きにしなさい」
九曜「─────あなたは──────どっちが好き?」
橘「どっちも好きじゃありません」
九曜「なるほど─────チンチンって呼ぶのが好き───」
橘「違う!」
藤原「違うよねー。好きなのは俺のチンチンだけだよねー」
橘「もっと違う!」
九曜「────そう─────好きなのは───あなた自身」
藤原「あー、やっぱりー。そうなんだー。困るなぁ、でへへえ」
橘「もう無視します」
藤原「でたっ、ツンデレモード!」
佐々木「一度もデレたことないけどね」


橘「ほらー、んもう! 九曜さんのおかげでせっかくの集会が下らない話だけで終わりそうじゃない!
  そういうところがあなたのダメなところなのよー!」
藤原「九曜のせいだけではないけどな」
佐々木「残りは君のせいだね」
藤原「うん」
九曜「────────わかった」
橘「そう、やっとわかってくれたのね……」
九曜「───今度から──────男性器の事をチンポと呼ぶ」
橘「わかってねええ!!」

 

 

 

─────────7。「映画」

 

 

キョン「よう、佐々木。どうしたんだこんなところで会うなんて。うちの高校に何か用か?」
佐々木「やあ、キョン。偶然だね。たまたまここを通りかかってね。
  決してキョンが来るまでここでずっと待機していたわけではないよ。ほんとに偶然なんだ」
キョン「……そうか。お前がそう言うならそうなんだろうが……」
佐々木「そう、偶然偶然」
キョン「ところでこの前会ったときの周りの奴ら。あいつら何者なんだ」
佐々木「ああ、彼女達はね。そうだね……僕の友達ってところかな」
キョン「あんな奴らとは付き合わないほうがいいぞ。前に俺の知り合いが誘拐されかけたんだぞ」
佐々木「うーん、でもそんな悪い人たちではないよ」
キョン「じゃあ普段集まって何してるんだ?」
佐々木「昨日は男性器の呼称について活発に協議してたよ」
キョン「へ、へー……そうなんだあ(棒読み)」
佐々木「わ、悪い人たちではないんだよ? ちょっと頭が足りないくらいで……」
長門「呼んだ?」
キョン「呼んでない。それといきなり足元から現れるな気色悪い」
佐々木「やあ、長門さん。また会ったね」
長門「……誰?」
佐々木「また忘れちゃったのかい? 僕だよ僕。佐々木だよ」
長門「…………あ、あー……うん、ひ、ひさしぶりー。元気してたー? 何年ぶりだっけー?」
キョン「忘れたなコイツ」
佐々木「じゃあ、はじめましてでいいよ。僕は佐々木。キョンの中学時代からの親友さ」
長門「……そう。でもわたしは小学校以前からの彼の親友」
キョン「すぐバレる嘘をつくな」
佐々木「ところでさ、キョン。せっかく偶然にもこうして会ったんだし、
  この後一緒に映画でも観にいかないか? 長門さんはこの辺に置いといて」
長門「……ガッデム」
キョン「うーん、別に行くのはいいけど、長門は一緒にいてもいいだろう?
  どうせなら三人で行かないか? 長門とは今日一緒に帰る約束してたしな」
佐々木「……チッ。あ、うん。そうだね。せっかくだし長門さんも一緒に行こうか?
キョン「……ほんとは長門と一緒なのは嫌なのか?」
佐々木「ううん、そんなことないよ。長門さんとは趣味が合いそうだし」
長門「……そう。たしかに趣味 だ け は合いそう」
キョン「……なんか不穏な空気を感じるのは俺だけか?」
佐々木「じゃあ、何観にいこうか。そうだ、最近駅前の映画館に来たあの映画観ようか。
  うん、そうしよう。あ、そうだ偶然にもその映画のチケット2枚持ってたなぁ。
  これはラッキー。ラッキーだなあ。じゃあ、これは僕とキョンの分だね」
キョン「俺の意見聞いてないし準備がよすぎるぞ佐々木」
佐々木「いやあ、偶然だって。あ、長門さんは自分で買ってね。
  でも長門さんは子供料金でいいから安いよ。よかったね」
長門「それを聞いて安心した」
キョン「バカにされてるんだぞお前」
佐々木「やだなぁ、深読みしすぎだよキョン。僕がそんなこと考えるはずがないじゃないか」
長門「そう。彼女はそこまで深い意味で発言していない」
キョン「まあ、長門がいいならいいけどさ」
長門「今日はその映画館が休みだということも考慮に入れていない程度の浅はかさ」
佐々木「……くっ、し、しまった」
キョン「あ、そういえば今日は休みか」
長門「仕方ない……別のチケットがあるから今日はここに行こう」
キョン「何のチケットだ?」
長門「ラブホテルの割引チケット」
キョン「帰れ」
佐々木「う、うーん3人でか……悪くないかも……」
キョン「お前も悩むな!」

 

 

 

─────────8。「逆鱗」

 

 

藤原「きょ~うこちゃ~ん」
橘「やめて下さい! もう、変態!」
藤原「釣れないなぁ不二子ちゃんは」
橘「誰が峰不二子ですか! いい加減にしないと警察呼びますよ」
藤原「警察が怖くて未来人が務まるかってんだ」
橘「あ、もしもし? 今変な人に絡まれて困ってるんですが」
藤原「あはは、ほんとに電話してるし。ツンデレだなぁ」
橘「永遠にツンだけです」
藤原「わさびみたいで可愛いよ」
橘「意味がわかりません」
藤原「いつも蕎麦(そば)にはかかせないっていうじゃない。あ、うまいこと言った俺」
橘「あ、パトカーが迎えに来ましたよ。よかったですね」ウーウー
藤原「おっと、そろそろ魔法が解ける時間だ。私は帰らなくては。タラバダ! とうっ!」
橘「もう二度と来ないでくださいね~」
藤原「わかった。また来るよー」


~~1時間後~~


藤原「というわけで京子ちゃんってば俺にベタ惚れなんだよね」
佐々木「どこをどう捉えてもそうは見えないんだけど」
藤原「そうか? ノロケ話のつもりだったんだが」
九曜「────ケンカするほど───バカがいい」
佐々木「それを言うなら『仲がいい』でしょ。でも君の場合、
  ケンカというより一方的に嫌われてるだけだと思うんだけどなあ」
藤原「そう嫉妬するなよ。いくらあいつと上手くいってないからさー」
佐々木「───ブッチン」
藤原「ん、な、なにかいけない地雷を踏んだ音がしたような気が……」
九曜「緊急事態発生─────そうだ。京都行こう」ピュー
藤原「あ、こら九曜逃げるな、おい!」
佐々木「ふーん……せっかく橘さんと仲良くなれる方法を教えてあげようと思ったのになぁ」
藤原「本当か佐々木! いや、佐々木様!

  やっぱ俺達の神的存在だけあって頼りになるなぁ。

  かっこいいなぁ、かわいいなぁ。頭がいいなぁ。気が利くなぁ。

  あ、ちなみに俺は京子ちゃんじゃなくても君でも全然OKだぜ」
佐々木「あはは、さすがに死んでもそれだけは御免だね」
藤原「そこまで嫌っすか」
佐々木「嫌というか無理だね。僕にはもう運命を共にする相手がいるし」
藤原「じゃあ、どうすれば京子ちゃんが落せるのか教えてくれないでしょうか佐々木様」
佐々木「そうだね。それにはまず七輪を用意するんだ」
藤原「ああ、あの古代式調理器具か」
佐々木「それに炭を入れて火をつける」
藤原「そうか! 焼肉だな!? 確かにうまいものを食べさせれば、
  女の子は思考能力が下がるっていうしな」
佐々木「そのまま部屋を密閉する」
藤原「おお、京子ちゃんと二人きりで密閉された空間か!」
佐々木「いやいや、君だけだよ。一人でそうやるんだ」
藤原「……え? えーと、密閉するんだよね?
佐々木「そうだよ。窓も扉も全部目張りして密封するんだ」
藤原「……ねえ……それ……死なない? 一酸化炭素とかで……」
佐々木「大丈夫イメージするんだ。イメージ」
藤原「イメージ? うーん……」


………
……

藤原「くっ……もうだめだ……だんだん意識が……」


ガチャン! パリーン!


橘「ちょっとアンタ! 何してんのよ!」ペシペシッ
藤原「かがみ…いや、京子ちゃんか……。なんで邪魔するんだよ……」
橘「バカ! なんで死のうなんて考えるのよ! 残されたあたしはどうなるわけ!?」
藤原「いや……俺がいると君に迷惑がかかると思ってさ…。
  それに俺、君に嫌われてるみたいだし……。もういいんだ……」
橘「バカ!! バカバカバカ!  この鈍感男!」
藤原「鈍感……?」
橘「あっ! そ、それはその……」
藤原「え……それってどういう……」
橘「んん……もうっ! これ以上言わせる気!? バカバカバカ!」


~~~中略~~~


藤原「君の瞳に乾杯……」
橘「んんっ、もう! 総統閣下様大大大大だ~い好き!」


……

藤原「でへへ。それいいな」
佐々木「さすがは未来人、思考回路まで前向きというか未来に向いてるね」
藤原「よし、練炭に火をつけたし、窓も全部目張りしたぜ。これで完璧だ。
  後は外からお前が鍵を掛けてくれれば、京子たんが助けに来てくれるというわけだ」
佐々木「グッドラック!!」ビシッ!!
藤原「おお!」ビシッ!!


ガラガラガラ ピシャン


佐々木「くっくっ。グッドナイ……」

 


次回につづく。藤原の人生は続くかどうかはわからない

 

 


 

長門