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「いらっしゃいませ~、はい。チーズケーキですね。1200円になりまーす」
 
こんばんは。朝比奈みくるです。え?今何をしているのかって?
見ての通りアルバイトですよ。ケーキ屋さんでアルバイトです。
今ケーキ屋さんは大忙し!なんたって今日はクリスマス・イヴですからね!
クリスマスイヴと言えば……思い出すのは去年のこと。同じ1人身の同士を集ってSOS団に闘いを挑みました。そう、「しっと団」として。
あれから何度かちょっかい出したり対決したりしましたが、全て失敗。今年の3月に解散しました。
そして私は今……浪人生。未来から指示されていた大学に受かることが出来なかったためです。
まあそりゃそうですよね。大事な受験の時期にあんなことしまくってたらそりゃ落ちるってもんです。
場合によっては未来から手を回して(裏金的な意味で)入れてくれたりもするんですが、私の場合は浪人を命令されました。
まあそりゃそうですよね、最後の方は未来からの指示とか無視しまくって暴走してましたからね。
でも私は後悔などしていませんよ。あの時の私は間違いなく人生で1番輝いていましたし、そのおかげで今は1人身に悟りを開いて、穏やかな毎日を過ごしています。
もう決して嫉妬などはしません。本当ですよ?
 
「いらっしゃいませ~……あ。」
「あ、朝比奈さんじゃないですか。お久しぶりです。」
 
店に入ってきたのは国木田君でした。隣に居るのは……あれ?どこかで見覚えが……
 
「お久しぶりなのね、朝比奈さん。」
 
思い出した!この人は確か……阪中さん!ルソーの事件の時にご一緒したキョン君のクラスメイトの方です。
今でもそうなのかは知りませんが……
でも……クリスマスイヴに二人でこんなケーキ屋に入ってくることから考えると……
 
「お久しぶりです。あの、もしかしてお二人は……」
「ええ、恋人同士です。今年の春頃から。」
 
はい出た。また私を差し置いて1カップル成立ですよ!ま、まあ脇役同士お似合いなんじゃないですか?
その後二人はいちゃいちゃしながらケーキを買って帰りました。まあ悟りを開いた私はまったく心乱されませんでしたけどね!ほ、本当ですよ?
 
しかしさらに私に精神攻撃をしかけてきた人がいました。
 
「おーっす、みくる~!」
「あ、鶴屋さん。」
 
鶴屋さんです。県内トップレベルの大学に合格して、今はキャンパスライフをエンジョイしています。
それでも浪人生の私とも時々会ってくれます。とてもありがたいです。
しかし……
 
「そのケーキ1つ貰うっさ!」
 
その……隣にいる人は……
 
「おいおい、1番高いヤツじゃないか。」
「構わないっさ!こういうのは豪華な方が雰囲気出るっさ!」
 
コ、コ、コ……
 
「まったく、君らしいね。」
 
コンピ研部長!?
 
「あああありがとうござざざいます。あああの、ももももしかして二人はつつつつ……」
「うん!実は同じ大学でねっ!夏頃から付き合っているっさ!なかなか面白い人だよ!」
「いやはや、長いこと二次元しか見ていなかったが、三次元も良いものだね……」
 
私はいちゃいちゃする二人を、呆然と眺めるしかありませんでした……
 
 
 
~~~~
 
午後8時、バイトも終えた帰り道。私は一人悶々とした気持ちを抱えていました。
まあ国木田×阪中は許しますよ。ええ。脇役同士で出番少ないとは言え、割とよく見かけるカップルですしね。
でも!でもコンピ研部長×鶴屋は無いでしょう!!それは流石に!どう考えても需要が存在しません!!
お、落ち付け。落ち付けみくる!落ちついてこのシリーズで成立したカップルを数えるんだ!
ハルヒ×キョン、長門×古泉、会長×喜緑、谷口×朝倉、新川×森、国木田×阪中、鶴屋×コンピ研部長……
私思うんですけど、男と女が居たらとりあえずカップルにしよう的な流れって良くないと思うんですよね!
トランプの神経衰弱じゃないんだから!別にカップルにならなくたって……カップルにならなくたって!
 
「あ、あの~、朝比奈さん……」
 
私は1人身です!だけど生きている!生きているんだぁぁ!!
 
「あ、朝比奈さ~ん……」
 
……あれ?私が悶々とした思考をしているうちに、誰かに声をかけられていたようです。
振り向くとそこにあったのは……ツインテール。この人は確か……
 
「橘さん、でしたっけ?」
「覚えていてくれて光栄なのです。」
 
そりゃ覚えてますとも!この私を誘拐した人ですからね!と私は警戒心を強めました。
 
「あっ、そんなに警戒しないでください。もうあんなことはしませんから。」
「はぁ……それで、私に何か用ですか?」
「ええ。お願いがあるんです。これは機関とかじゃなく、私個人として……
 そして、しっと団の団長を務めたあなたへのお願いなのです!」
「ちょ、ちょっと待ってください!なんであなたがそのことを!?」
「藤原君が教えてくれました。未来では結構有名みたいですよ?」
 
あのパンジー野郎め!っていうか、未来で有名!?どうしましょう、未来に帰れないですよ……恥ずかしくて。
 
「それでそのパンジー君は今どうしているんですか?」
「彼ですか?九曜さんとラブラブデート中なのです。」
 
あのヘタレパンジー野郎!!ああ、またカップルが1組増えましたね……
パンジーのくせに生意気な……
 
「でも、今回はそっちはどうでもいいんです!問題なのは佐々木さんで……」
「佐々木さんも誰かと付き合ってたり?」
「はい……」
「でも、多分主要な男キャラはほとんどカップルにされちゃったと思うんですけど……
 あとはもう多丸兄弟ぐらいしか……あ、でもあれはあれでカップルかな……」
「何を言ってるのかさっぱりわかりませんが……佐々木さんが付き合ってるのは、キョン君です。」
 
はい?
 
「い、今なんと……」
「だから、キョン君と付き合っているらしいんです。」
「でもキョン君は涼宮さんとうざったいぐらいラブラブですよ?」
「ええ。ですからキョン君は、涼宮さんと付き合いつつ佐々木さんとも付き合っているらしいんですよ。」
 
な……なななな
 
何をやっているんですかキョン君!!あなたいつの間にそんな女たらしに!!
 
「この件については佐々木さん自身から話を聞いた方がいいと思います。実は近くの喫茶店に来てもらっているのです。……来てくれますか?」
「分かりました。とりあえず詳しい話を聞かないと……私もまだ少し混乱していますし。」
 
 
~~~~~~~~~
 
そして私は橘さんに連れられて、近くの喫茶店へとやってきました。
そこには既に、キョン君の中学時代の同級生……つまり佐々木さんが居ました。
 
「やあ、朝比奈さん、だったっけ。久しぶりだね。」
「お久しぶりです、佐々木さん。それでいきなりですが……キョン君と……」
「うん、お付合いさせて貰っているよ。」
 
や、やっぱりそうなんだ……
 
「でも、キョン君は涼宮さんと付き合っているはずですけど?」
「ああ。知ってるよ。だからこそ燃えるのさ!不倫というのもなかなかいいものだよ。」
 
佐々木さんはうっとりとした目でそう呟きました。ダメだこの人、完全にこの状況に酔っている……
私が呆然としていると、隣に居た橘さんが叫び出しました。
 
「それじゃあダメなのです!佐々木さん、それでも男ですか!」
「いや、女だけども……」
「言葉のあやです!いいですか佐々木さん、このままこの状態を続けてても、最終的にはキョン君は涼宮さんを選びますよ!?」
「う……し、しかし」
「しかしもお菓子もありません!そして涼宮さんはキョン君と結婚して幸せな家庭を築いて、あなたは影でそれを羨むだけ!
 ドラマで言うと完全に悪女のポジションですよ!?」
「だ、だけどどうしようもないじゃないか。彼女の方が先に付き合っていたのだから……」
「とにかくこの現状を変えるしかありません!そのためにその手のエキスパートである朝比奈さんを呼んできたんですから!」
 
え……ええ~……?
なんか私が変なエキスパートになっちゃってるんですけど……
 
「そうだね……略奪愛と言うのも悪くはないね。ここは1つ、朝比奈さんに全てを任せてみてもいいかもしれない。」
 
なんか私が全部任せられる流れになってるんですけど!困りますよ!
ていうかこの人はなんでそういうシチュエーションが大好きなんでしょうかね!不倫だとか略奪愛だとか……
齢18にして物凄く捻くれてますよ。
 
まあでも……私としてもこのままキョン君の横暴を許すわけにはいきません。
何よりも、先程の出来事や今聞いた事実を知ったことで、久しぶりに燃えあがってきました……
そう、「しっと」の心が!!
 
「……いいでしょう!協力します。というか私について来てください!
 あなた達二人の「しっと団」への加入を認めます!」
「やったー!よろしくなのです!」
「ふふ、面白くなってきたね。」
 
歓喜の声をあげる橘さんと含み笑いをする佐々木さん。
さて、じゃあまず最初にすることは……
 
「入ったからには、これからはコードネームで呼び合います。これはしっと団始まって以来の伝統です。
 ちなみに私は『トゥモロー』。これからは朝比奈みくるでなくこの名で呼んでください。」
「はい!『トゥモロー』!」
「了解したよ、『トゥモロー』。」
 
そう、コードネーム決めです。
橘さんはあっさり思いつきました。この人、なんか雰囲気とかウサギっぽいんですよね。だから……
 
「橘さん!あなたは『ラビット』です!」
「わあ、かわいい!ありがとうございます!」
 
で、問題なのは佐々木さんです。この人は雰囲気的にはキツネなんですよね。
しかし「フォックス」は既に他の元団員に使ってしまいました。
ええ、第二回ですぐに抜けて全然印象に残っていないであろう、生徒会長です。
ということで動物的なものは諦めます。あとは……イメージですね。
佐々木さんのイメージ……うんちく……哲学……哲学者といえば……
 
「さ、佐々木さんのコードネームは……ソ、『ソクラテス』です!」
 
………………
空気が、凍りました。
橘さんを見ると、見るからに「ええ~……?」って感じで引いています。
佐々木さんはうつむいてプルプルしてらっしゃいます。うわあ、こりゃ怒らせましたかね……
 
「や、やっぱりダメですよね、変えますからそんなに怒らないで……」
「いや、怒っていないよ……」
「え?でも先程からプルプルと……」
「違うよ……これは……歓喜の震えさ!!」
 
顔を上げた佐々木さん。その顔は、とても輝いていました。そう、親にプレゼントを貰った、子供のように……!
 
「『ソクラテス』……なんて知的な響きなんだ!こんなコードネームを僕にくれたことに感謝するよ!
 このようなコードネームを貰ったからには、『トゥモロー』に忠心するしかないね!橘さん!!」
「え!?あ、そ、そうですね……」
 
急に話を振られてしどろもどろに答える橘さん。その顔は完全に苦笑いです。
いやはやまさか、『ソクラテス』と名付けられてここまで喜ぶ女子高生がいるとは思いませんでした。
なんというか、最初はまともな人かと思いましたが、この人も結構アレですね……
 
「よ、喜んでくれたみたいで何よりです。とりあえずあの二人は絶対デートをしているはずです。
 その現場に行くことが出来れば、デートの邪魔も出来るし不倫関係にケリをつけることが出来ます。
 問題は、あの二人がどこでデートをしているか……心当たりはありますか?」
「うーん、僕には検討がつかないよ。僕もクリスマス、恋人と過ごすなんてことはしたことが無いからね……」
 
頭を悩ます私と『ソクラテス』。そりゃモテない女二人が知恵を振り絞ったところで分かるはずがありません。
私にとってデートなんて「なにそれ?おいしいの?」って感じでしたからね。
う~~~~~~~ん……
 
「セントラルタワーです!」
 
……!?『ラビット』は、力強く宣言しました。その顔には自信に満ち溢れています。
セントラルタワー……それは恋人達の聖地と呼ばれている場所です。特にクリスマスには力を入れています。
そして去年のクリスマス、そこで涼宮さんカポーと長門さんカポー相手に死闘を繰り広げました。無様に負けましたけどね……
 
「な、何故そう言いきれるんですか?」
「そうだね。確かにセントラルタワーは恋人達の聖地だ。かと言って彼らがそこに行くとも限らないだろう。
 特に涼宮さんと普遍的なことを嫌う傾向があるからね。」
「大丈夫です!私が直接聞きましたから!」
「え?会ったんですか?」
「いえ、盗み聞きしました!お忘れですか?私だって『組織』の一員なのです!彼らをつけるぐらい朝飯前です!」
 
ああ、そう言えば……
でもなんとなくこの人、『組織』って感じがしないんですよね。古泉くんや新川さんと比べると、格が落ちるというかなんというか……
 
「ちょっと『トゥモロー』!今何か失礼なこと考えましたね!」
「い、いえとんでもない!流石『組織』の人は違うなあと思って感動してたんですよ!」
「お手柄だよ。たちば……いや『ラビット』。でも涼宮さん達にしてはありきたりな気がするなあ。」
「なんでも、『去年は変な軍団に邪魔されたからね!今年こそ純粋に楽しみましょ!』『そうだな、今年は純粋にハルヒと二人きりで過ごしたいね。』『バカ……』だそうで……」
「変な軍団とはなんですか!!」
「何が二人きりだ!!!」
 
私と『ソクラテス』は同時に『ラビット』につめよりました。『ソクラテス』は物凄く恐ろしい形相です。そして私も……
 
「ひえええ!!お、落ちついてください!言ったのはあの二人ですから!私じゃないですからぁ~!!」
「はっ!……すいません『ラビット』。つい……」
「僕としたことが取り乱してしまったようだね。」
 
『ラビット』は半べそをかいています。そんなに怖かったんですかね?大げさだなあ。
まあなんにせよ、今のを聞いて私の嫉妬パワーはもはや限界値を超えようとしています。
久々に見せてあげますよ……「しっと団」の力を……!ふふふ……ふふふ……ふふふのふ……!!
 
後編に続く

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