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「どうしたの古泉くん、屋上なんかに呼び出して。」
「その、涼宮さん……」
「……?」
 
「好きだああああっ!!!」がばっ
 
 
 
 ――古泉一樹の大暴走――
 
 
 
 本日も俺らSOS団メンバーは、団長さんが勝手に乗っ取った文芸部室でほのぼのと活動に努めている。
 そう、いつもと変わらない日々なのだ。ハルヒは例によっていつものネットサーフィン、朝比奈さんも椅子に座ってじっとしていて、長門に至っては本を掴んだまま微動だにしない。
 そして俺は今日も古泉とオセロの対戦相手をしてやってる……のだが。
「どうしたんだ、その頬のでっかい手跡。」
「えっと……ははは。」
 いや、そんなスマイルから何もテレパシーは送られてこないぜ。
「『好きだ』と『好きです』、どっちがいいか確かめたくて……」
「……は?」
「つい先ほど、それを涼宮さん相手に試してみたんです。それが何か誤解されたらしくって。」
「意味が解からん。」
「いやね、僕は恋の病という厄介な病気にかかってしまったようなんです……」
「……ほ、ほほう。ハルヒにか?」
「いいえ違うんです、ある女性に愛の告白をする練習のつもりだったんです。」
 なんだそりゃ。
「それで『好きだ』と言って涼宮さんを抱きしめたら……思いっきり平手ビンタを喰らわせられまして。」
 呆れる野郎だ。同情さえかけてやっていいほどに。
「……たったそれだけの為にハルヒを抱きしめたのか? お前。」
「ええ、まあ。」
 ええ、まあ。じゃねえだろ。結構最悪っぽいぞお前。
「そ、そんなっ、僕はそんなつもりじゃあ……」
「やり方ってもんがあるだろ。そりゃいきなり抱きつかれたら殴られて当然だ。」
「ぼ、僕はどうすれば……」
「解かった、ハルヒには俺から話しておく。誤解を解いてやるから安心しろ。」
「本当ですか? ありがとうございます! じゃあ、お願いしますよ。」
「おう、任せとけ。」
 
 
「ハルヒ、ちょっといいか?」
「何よ。」
「ええとだな、かくかくじかじかかくかくじかじか、ってことで、古泉に悪気は無かったんだよ。」
「……そうだったの? あたしの誤解だったってわけね、古泉くんがそんなことするなんておかしいと思ったもん。」
「そうか、解かってくれたなら良かった。」
「それで古泉くんの好きな子って誰なの?」
「それが俺もよく――」
 
「――好きですっっ!!!」がばっ
「ふ、ふぇええぇぇーっ!?」
 
「「…………。」」
 

 
 
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「……なあ古泉、一発殴っていいか。」
「なっ、僕は今朝比奈さんに殴られたばかりなのに……ですかっ!?」
「ハルヒはともかく、俺のマイエンジェルに手を出すとは……この罪は重いぞ、家族団欒の席でドラマのキスシーンを垣間見ている時の空気よりな……」
「お、おおお落ち着いてくださいっ、あっ、あああ朝比奈さんはどこに?」
「古泉くん、あんたが落ち着きなさい。みくるちゃんならさっき部室を飛び出していったわよ。」
「……そうですか……」
「そうですかじゃないでしょっ! 追いかけなさいよっ!」
「お、追いかけるんですか?」
「当たり前でしょ、女の子を傷つけてしまったんだから!」
「当然の償いだ。」
「わ、解かりました、追いかけてきますっ!」だっ
 
 
 
「ううう……えぐっ、えぐっ……」
「あ、朝比奈さん、さっきは……」
「……! 古泉くん……」
「どうでした?」
「……は?」
「『好きです』と言われて、どう感じましたか?」
「…………」
「ああ、『好きだ』でも良かったのですが、朝比奈さんはどちらが好きでしたかねー?」
「……ひっ」
「あの、答えてもらわないと僕も困――」
「――ひぇぇぇぇっー! 変態ですぅぅぅっー!!」
「あ、あれっ、待ってくださいーっ!」
 
 
 
「……と、いうわけでまた逃げられてしまいました……」
「「…………。」」
 

 
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「お前には呆れて物も言えん、最低だぞ。」
「謝るだけじゃ許してもらえないかもね……」
「そんな……」
「そもそも古泉、お前の告白相手って誰なんだ?」
「あ、相手ですか? ……んふっ、んふふふ……」
「なんだよ、気色悪いな。」
「いえね、あの人を思い浮かべるだけで自然と笑みが……んふっ……」
「「(ダメだこいつ……)」」
「ま、まあとにかく。みくるちゃんはあたしが話をつけておいてあげるから。誤解解きが難しそうだけど。」
「本当に感謝します、涼宮さん。」
「じゃあ行ってくるわねっ。」ガチャ
 
「……で、誰なんだよ。」
「気になるのですか?」
「ん、まあ、な。」
「んふっ……くふふ、うひっ、ひひ……」
「……お、おい思考を止めろ古泉、気持ちが悪くて見てられん。」
「んふふ、ではまだ内緒ということで。」
「だがひとつ訊いておく。その相手は、『女』だよな?」
「…………。」
「…………。」ゴクリ
「……いやっだなあ、当たり前じゃないですかあ。」
「そ、そうか、そうだよな。」
「期待しちゃいましたか?」
「してねーよ。」
 ガチャ
「みくるちゃん連れてきたわよーっ。」
「おお、早かったな。」
「みくるちゃんは物分りがいいからね。」
「少し驚きましたけど……理由があったんですよね。ごめんなさい古泉くん、殴ったりなんかして……ってふぇ? 古泉くんは?」
「へ? さっきまで俺の隣に……」
 
「長門さん、好きだああああっ!!!」がばっ
「ひゃ…………」
 
「「「…………。」」」
 

 
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「…………」
「はっ、また僕はこんなことを!」
「こんなことをじゃねーだろ、このバカ野郎っ!」ポカン
「痛あっ! な、殴らなくても!」
「いーや、お前は一回罰を与えないと治らないぞ!」
「ば、罰ですか……!?」
 
「有希、大丈夫だった?」
「…………いい……」
「ふぁい?」
「……いい……」
「あ、あら!? 有希が紅潮してる!?」
「た、大変ですー!」
 
「こりゃっ、どうだっ!」ポカポカポカポカ
「いっ、痛いです! ああ、うわあっ!」
「まだまだ罪は重いぞっ!」ポカポカポカポカ
「やめてくださいっ! ああ、でもなんか良いかも……」
 ボガッ!
「うぎゃあ!」
「あ、すまん……ちょっと強くしすぎた。」
「う、うう……もうあなた方なんか知らないです! 僕は僕のやり方でいきます!」バタン!
「お、おい古泉!」
「キョン、有希が大変なの! ってあれ? 古泉くんは?」
「なんか出て行っちまった……で、長門がどうしたって?」
「これを見てよ!」
「うおっ……おい長門、どうした?」
「……大胆な古泉一樹も……ふふふ……」
「長門……?」
 TELLLLLLL
「あ、電話?」
「わたしの携帯です!」ピッ
『み、みくる! 大変なんだよっ!』
「鶴屋さん?」
『い、今学校中の女子生徒がある男に抱きつかれまくってて……』
「な、なんですって!?」
「古泉の仕業か……!」
『みくるも気をつけ……っ! (『好きだああああっ!!!』がばっ)きゃあーっ!!』
「「「「…………。」」」」
 

 
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「つ、鶴屋さーん!」
 ツー……ツー……
「あ、あいつ自分の目的を忘れてねーか!?」
「女の子への無差別抱擁……なんて危険な男なの……!?」
「とりあえずあいつを止めよう! これ以上犠牲者を出しちゃいけない!」
「な、長門さん、大丈夫ですかぁ?」
「……古泉一樹を追う。それがこの学校の女生徒のため。……そしてわたしのため」ブツブツ
「わたしの鶴屋さんを襲うなんて許せません!」
「は? わたしの?」
「はっ!」
「朝比奈さん……」
「みくるちゃん……」
「朝比奈みくる……」
「い、いい行きましょう!」
「(やれやれ……こいつらはまったく……)」
 
「きゃあー!!!」
「うおっ、学校の至る所から女性の悲鳴が!」
「あ、あそこ!」
 
「こら古泉、何をしているんだ!」
「好きですっっ!!!」がばっ
「うおお!? こ、古泉お前……」
 
「まずいわ、岡部が古泉くんの魔の手に!」
 
「うおおおおおおお!!!」
 
「外へ出て行ったぞ!」
「追いかけましょう!」
 
 
――――――――――――――――――――――――――――
ハルヒ「……!! 居たわ!」
キョン「こら古泉、このやろう!」
小泉「なんでしょう?」
キョン「違ぇ! こいつ古泉じゃなくて小泉だ!」
みくる「ややこしいわっ! つーか誰だ!」
――――――――――――――――――――――――――――
 
「あら? 光陽園女子校にテレビ局のリポーターとカメラが来てない?」
 
「こちら、光陽園女子高校は今大変なことになっております! 妙に笑顔が爽やかな美少年がこの学校の女子生徒を見るや否や、一直線に向かっ……! (『好きだああああっ!!!』がばっ)うっきゃああーっ!!」
 
「「「「…………。」」」……いい……。」
 
 
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古泉「うおおおおおおおおお!!」
 
ハルヒ「ああっ、古泉くんが校内へ入っていくわ!」
キョン「くそっ……奴の体力は底なしか!?」
長門「早く潜入しないと、女子生徒たちにトラウマの危険性。」
みくる「もう遅いわっ! 既に大トラウマじゃ!」
キョン「よし、ここで終わらせてやろう! 入るぞ!」
ハルヒ「ええ!」
 
 光陽園女子校に入ると、中は無人だった。外は騒がしいってのに中は嫌に静かで、雰囲気そのものが不気味さを物語っていた。
ハルヒ「古泉くーん! 何処なのーっ!?」
???「くくく、古泉なら上の方へ行ったよ。」
キョン「……! あなたがたは……多丸兄弟!」
ハルヒ「どうして居るの!?」
多丸裕「古泉の場所へ辿り着きたくば、ここで僕らを倒していくことだね!」
ハルヒ「何その展開!? そういうのは別に求めてないけど!?」
多丸圭一「さあ、かかってくるがいい!」
長門「しかたがない……ここはわたし一人が引き受ける。古泉一樹を……救って。」
キョン「すまん長門……この作者は、こうするしかなかったんだ!」
ハルヒ「頑張ってね、有希!」たったったった
 
長門「……ずいぶん簡単に行かせたのね。」
多丸裕「くくく……それはね……」
長門「……?」
多丸圭一「長門有希さん、僕たちはキミに興味を抱いていたからだよっ……!」
長門「……!!」
 
 
 
ハルヒ「有希……大丈夫かしら。」
キョン「なあに、心配すんな。逆に多丸兄弟の心配をしてあげた方がいいと思うぜ。」
???「ふふ、長門さん一人を残して来たようね。」
??「いいのですかなあ、そんなことをして。」
「「「…………!?」」」
 
 
みくる「次回、感動のクライマックス!?」
 

 
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みくる「クライマックス? なにそれ、美味しいの?」
 
キョン「あなたたちは……森園生さん、新川さん!」
森「ふふ。今頃長門さんは多丸兄弟に……」
キョン「そんな、長門が……!?」
長門「なに?」
キョン「ってうおおっ!? な、長門!?」
長門「ただいま」
新川「そんな! 多丸兄弟は何をやってるのです!」
長門「今頃三途の川を渡っているはず。」
キョン「瞬殺すぎだろっ! せめてやられたシーンくらい与えてやれよ!」
長門「あなたたちも……死んでみる?」
新川&森「ビクッ」
長門「拒否権は……ない――」
古泉「――もうやめてください!!」
長門「……!!」
古泉「僕の為に争うなんて、間違ってます!」
全員「(ええーっ……)」
キョン「元はと言えば古泉、お前が無差別抱擁なんてことをしだすからだ。」
古泉「この僕に、他にどんな方法が残されていたというのです!」
みくる「いっぱいあるだろっ! 残されまくりだよ!」
キョン「古泉……お前がやったことは決して簡単に許されることではない。だが……刑務所へ行く前に、何かひとつだけやらしてやる。」
古泉「……僕に……告白のチャンスをお与えください……!」
新川「いいでしょう。」
キョン「ちょ、なんでこのタイミングで新川さん!? 俺の台詞を奪うなよ!」
古泉「感謝します、皆さん。」
キョン「じゃあ行くか。」
 
ハルヒ「なんかあたし忘れられてない? ねえ、ねえ。」
 
 
みくる「さあ着きましたよ、古泉くん。」
キョン「行って来い。」
古泉「ええ……!」
 
 
 
古泉「好きだああああっ!!!」がばっ
 
「「「「「「…………。」」」」」……やれやれ。」
 
長門「この物語はフィクションであり実在する人物、団体、事件、その他の固有名詞や現象などとは何の関係もありません。嘘っぱちです。どっか似ていたとしてもそれはたまたま偶然です。他人のそら似です。あ、CMシーンは別よ。大森電器店とヤマツチモデルショップをよろしく! じゃんじゃん買いに行ってあげなさい。え? もう一度言うの? この物語はフィクションであり実在する人物、団体…………。ねえ、キョン。何でこんなこと言わないといけないのよ。あたりまえじゃないの」
 
キョン「……長門、満足か」
長門「…………うん」
 
 
 
 おわり
 

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