谷口「メリークリトリ───────ス!!」
谷口「ふっほっほ。いやはや12月でございますよ」
谷口「谷口でございますよ」
鶴屋「いやあ、さすが1年の終わりの月だけあって世間はせわしいねえ。でもなんだか心ウキウキ浮かれちゃうな」
谷口「まったくでございます。SSサイトも県立北高校文芸部 @Wiki に改変されてしまうし」
鶴屋「有希っこもやってくれるよね~。まさか師走のこに時期にいきなりあんな大暴走しちゃうなんてね!」
鶴屋「なにはともあれ、サイト管理人さんの遊び心と1週間後のクリスマスを祝おうじゃない!」
谷口「ひぐらしのなく頃にアニメ第3期決定おめでとうございます」
鶴屋「ちょwwwおまwwwそこでひぐらしwwww」
谷口「2期の最終回見ました? あのラストシーン。絶対に賽殺し編へ続くフラグですよ」
鶴屋「知らないよ。どうでもいいよ、今はそんなこと」
谷口「ひぐらしのなく頃に第一話『高野クリニック』」
鶴屋「序盤をどんだけ省略してるんだよ! 第一話でいきなり飛ばしすぎだよ!」
鶴屋「あんた、私の話をちゃんと聞いてたんだろうね」
谷口「もちろんじゃないですか。この谷口と聖なる夜を共に過ごしましょうというお誘いでしょ? OKに決まっているじゃござあせんか」
鶴屋「全然聞いてないよね」
鶴屋「それに。実は、私はもうクリスマスの予定は立ってるんだよね」
谷口「そういや鶴屋さまのご実家は大富豪ですからなあ。きっとあちこちの財閥のお偉いさんや有力者を集めて盛大にパーティーなどを開かれるんでしょうなあ。お誘いありがとうございます」
鶴屋「パーティーは開かないんだけどね。っていうか、たとえパーティーを催したとしてもお前だけは呼ばねえ」
谷口「いやあ、照れるなあ」
鶴屋「まだ予定が確定してるわけじゃないんだけど。これから古泉くんに声をかけて、一緒にクリスマスを過ごさないかって誘ってみるつもりなのさ。うふふふふ」
谷口「むはっ!? 古泉一樹ですと!? 我らデラックスデストロイヤー鶴屋団、略してDDTの天敵であるSOS団の副団長、古泉一樹のことですか!?」
鶴屋「誰がDDTだ」
谷口「認めません! 認めませんよそんなこと! お父さんはそんなこと認めません!」
鶴屋「ふっふっふ。実はこっそり手編みのマフラーを作ってきてるんだよね。古泉くん、気にいってくれるかな。じゃーねー、あばよバカ人間!」
谷口「やったあ、鶴屋さまに人間と認めてもらえた! ついに僕はやったよ、ベム!」
谷口「ってちょっと待ってえ! お待ちあそばせえええええ!」
谷口「待てええええええええええ!」
谷口「はあはあはあ!」
谷口「ひっひっふー!」
谷口「はあはあはあはあ………!」
谷口「…………」
谷口「おお谷口よ、力尽きてしまうとは情けない」
谷口「最近運動不足かな。ちょっと走っただけで息切れするなんて、本当に情けない……」
~~~~~
谷口「なんとか鶴屋さんを追って文芸部室までやってきたぞ」
谷口「古泉のコンチクショーめ。我らが鶴屋さまを篭絡するとは許せないやつだ。男油の刑に処してやらねば気がすまない」
谷口「おんや? 文芸部室の前で一人ポツンとたたずんでいるあの人影は、長門有希じゃないか」
谷口「HEY、そこのうつろな瞳の幼女。どうしたんだい? ポンポン痛いんか? ん? ポンポン痛いん? 女子便まで一緒に行ってあげようか?」
谷口「なんなら中まで一緒について行ってあげようか? 一応ことわっておくけど、これは親切心で言ってるんだけんね。セクハラとかじゃないんだけんね」
長門「………そんなことはどうでもいい。大変なことになってしまった」
谷口「どうしたの。女子便所よりも大変なこと? そんなものこの世の中に存在するわけが……え? 文芸部室の中を見ろだって?」
谷口「部室の中にはいったい何がありばってん?」
谷口「んー?」
鶴屋「ねえ古泉くん。これ、私が心をこめて編んだマフラーなんだ。これからもっと寒くなるだろうから、良かったら使ってね。で、もしよかったら……イヴの日、一緒に食事でもしないかい?」
古泉「涼宮さん、今度のSOS団冬季合宿の打ち合わせなどもありますし、クリスマスイヴにゆっくりお話ししませんか? もちろん、団長と副団長の2人きりで」
ハルヒ「キョン、クリスマスイヴは空いてる? 夜にちょっと不思議探索してみたい場所があるから、つきあってくれない? ちょっとだから、あんたと私の2人で十分よ。もちろん、断ったりしないわよね? ね?」
キョン「朝比奈さん、もしよかったら俺と一緒にイヴの夜に買い物に行きませんか? お茶もだいぶ少なくなってきたでしょう。もちろん俺が誘ってるわけですから、俺がおごりますよ」
みくる「鶴屋さん、クリスマスイヴの日になにか用事あります? なかったら、お買い物に行きません? 町でとってもいいお店を見つけたんですよぅ。おいしいケーキを売ってるお店もチェック済みなんですよ」
鶴屋「古泉くん、いいでしょ? ね?」
谷口「こ、この図式は……!」
長門「………非常にまずい事態。これは、非物質性情動師走言語。年に一度の聖夜だから普段はムリな積極的なアタックにも、思い切ってチャレンジしちゃおう!という人間の思い切った限定心理が連鎖的につらなり、それぞれの起点と着地点が複雑につながり合い、迷走してしまった状態」
谷口「つまり、自分がアタックしている相手は別の人物にアタックをかけ、さらにその人物はまた別の人にアプローチをしている、という救いようの無いコラボレーション的コンボのことなのだな」
長門「………そう。分かりやすく図式にするとこうなる」
┌──┐
↓ │
鶴 屋 │
↓ │
古 泉 │
↓ │
ハルヒ │
↓ │
キョン │
↓ │
みくる │
│ │
└──┘
(※以下エンドレス)
長門「………1度このサーキットに入ってしまうと自力での回復は不可能」
谷口「なんてこと。人は他人にすがられると身をそらしてしまうが、他人に冷たくされると振り向いてもらいたくなる。その心理が悪循環のサイクルとなり、北高の文芸部室に発生してしまうなんて……! インフルエンザなんてレベルじゃねえぞ!」
長門「………すぐさまこの部屋を隔離するべき。さもないと、さらにサーキットが拡大してしまう危険がある」
谷口「くそう! なんてこった!」
谷口「この悪循環を断ち切る方法はないのか?」
長門「………ある。人の思いは叶うまで肥大し続けるものだが、一度達成された感情は収縮して消滅する」
谷口「つまり、あの5人の願いを叶えられれば、みんな正気にもどるってことか?」
長門「………そう」
鶴屋「古泉くんってばぁ」
古泉「日時は追って連絡いたします」
ハルヒ「で、どうなのよキョン!?」
キョン「そういえばお茶菓子もついでに買ってきましょうか」
みくる「鶴屋さんはケーキと和菓子、どっちが好きですか?」
谷口「鶴屋さまと涼宮と朝比奈さんを救い出すためだ。致し方ない、協力しよう」
長門「………それではクリスマスイヴに合同パーティーを開催することにする。全員を一箇所に集めておけば、とりあえず安心」
谷口「よし分かった。それじゃイヴの夜にSOS団の部室でパーティーだ」
長門「………わかった」
~~~~~
谷口「それでは、イエス・キリストの誕生日を祝して、カンパーイ!」
ハルヒ「かんぱい!」
キョン「かんぱーい」
みくる「かんぱいです」
古泉「かんぱい」
鶴屋「かんぱーい!!」
長門「………出だしは好調。全員が一堂に会することができたので、対処方法はいくらでもある」
ハルヒ「ねえキョン、このケーキおいしいわよ! このスポンジはみくるちゃんが焼いたんだけど、クリームは私が作ったの! どう?」
キョン「お、うまい。朝比奈さん、このケーキは絶品ですよ。店で売り出せば、販売開始30分で売り切れ確定ってくらいおいしいです」
みくる「評判が良くてよかった。鶴屋さんはどうです? 自信作ではあるんですけど。お口に合いました?」
鶴屋「みくるもハルにゃんもお菓子作り上手だねえ。私はあんまケーキとか作ったことないから、羨ましいっさ。古泉くん、食べてみてよ。おいしいよ。はい、あーんして」
古泉「涼宮さんはなにをしても器用にこなされますね。本当に、もう1年間のつきあいですが毎回毎回驚かされっぱなしです。こんなおいしい料理が毎日食べられたなら、とても幸せな一生を送ることができるでしょうね」
谷口「ケーキという話題で会話がなんとなく進んでいるようだが、結局みんな自分の目当ての人しか見ていないようだな」
長門「………うかつ。まさかこれほどにまで強固なサイクルが出来上がっているとは。予想以上」
谷口「話しかけている人を、ほとんどガン無視状態だもんな」
谷口「女性陣のためだ。ここはこの谷口さまが一皮むいてやるとするか!」
谷口「ものマネ一発芸やります! もののけ姫!」
谷口「お前にサンが救えるか!?」
ハルヒ「ねえキョン! ほら、クリーム食べてよ。どう?」
キョン「朝比奈さん、このケーキならスポンジだけでご飯10杯はいけますよ!」
みくる「ねえ鶴屋さん、洋菓子よりも和菓子の方がよかったですか?」
谷口「…………」
長門「………誰も聞いていない」
谷口「お前にサンが救えるか!?」
長門「………いたたまれないから、2回言わないで」
長門「………私も今まで様々なサーキットを見てきたけれど、これほど強固なものは初めて。さすがクリスマスイヴ」
谷口「まあ、ゆっくり対処法を考えようじゃないか。時間はまだあるんだ」
古泉「涼宮さん……あの、もしよかったらこれから僕と2人で場所を変えませんか? 実は見晴らしの良いホテルの一室をキープしているのですよ」
ハルヒ「あのさ、キョン。実はうち、今日は家に親いないんだ。これから私の家にに来ない?」
キョン「朝比奈さん、これから表をゆっくり歩きませんか? できれば、朝まで」
みくる「鶴屋さん、今日またお泊りに行ってもいいですか?」
鶴屋「古泉くん、繁華街の方でツリーのお披露目をやってるみたいなんだけど、一緒に見にいかないかな? そんで、ついでにどこかで休みながらいろいろ話さない? そう、いろいろと……」
谷口「ふほっ! なんという急展開! この野郎め、僕たち私たちに目を離させないつもりか!? エロティカセブン! ごくり」
長門「………これはエマージェンシーコールも考慮すべき事態」
谷口「うーむ、いきなり聖夜を性夜に転換するとは。おそるべし」
長門「………最近の若者の、行きすぎたクリスマスイヴ曲解にキリスト教の信者の方々も大層ご立腹しているというけれど。その意見には同意せざるをえない」
谷口「このままでは、まさか……! 全員で輪っか状に連結完了して集団山手線プレーになってしまうのでは!?」
谷口「えへへ、おいらもまぜてー」
長門「………なんとかしなければ………」
~つづく……のか?~