第1章 始 2節 2007年12月3日 元文芸部室 出席4人

「朝比奈さんはまだ風邪か…」  

部室には古泉と長門しかいない。そりゃそうだ、ハルヒは掃除当番だ。

「インフルエンザではないそうです、先ほど電話を掛けたらそう言いました。

熱もだいぶ下がったようですよ」

「そうか…まあお見舞いに行くほどではないだろうな。

あの人はああ見えて結構免疫力もってそうだし」

「ですね」  

珍しく長門が本を読んでいない。

というかパソコンをいじってる。どうなってんだ? 

俺は長門に近づいて、そのパソコンの画面を見た。

いつぞやのコンピ研制作ゲームをやっている。 「………」  

それもかなりのハイレベルゲーム、やっぱ宇宙人だけあって機械もんには強いんだな。 「…おもしろいか?」

「それなりに」

「そうか」  

いや、おかしい。長門がそんな感情を抱くわけ無い…。

だが俺がどうこう言う問題ではないから、古泉に挑戦されたクロスワードを解きはじた。  雑学は苦手だ…と扉が開く。

「ごめんごめん! 遅れた!」

 誰も待っていないし、怒っているわけでもない。よって謝る必要も無い。

「何?、わざわざ掃除までやってきてここに来た団長にそんな口きくんだー?」

 嫌な予感がした。何かたくらんでるな、この女。

「あれ、今日は有希が使ってるんだ…ってこのゲームコンピ研のじゃない」

「そう」

「…結構意外ね、感情をまわりに出さない娘なのに」  

俺と同じことを長門の目の前で言いやがった。

ハルヒが言ったら、まるで俺が悪い人間みたいじゃないか…。

ハルヒは文芸部の本を1冊手に取ると、それを読み始めた。

あれ、やっぱり違和感が。

「古泉、何か今日は変だ」

「僕もそう思いますよ。でも何故かは大体想像がついているでしょう?」

「…朝比奈さんがいないからか」

「そうです。彼女も心配してるのですよ、それに朝比奈さんがいないと

 おもしろくないというのもあるでしょう」

「つまり"みくるちゃんはあたしのおもちゃ"ってことか?」

「いえ、そういうわけではないと思いますが、まあ無いともいえませんね…」

 こいつまだそんな事を考えてんのか?、

俺が勝手に考えているだけならいいがまたそんな事になったら…

今度こそ殴ってるだろうな。

「じゃあ長門は?」

「…それは僕にも判りません。たまにはパソコンを触ってみるのもいいでしょう」

「それは結構だが、どうも違和感がありすぎてな」

「あなたもその一部なんでしょう、僕もですが」

「どういう意味だ」

「昨日からSOS団には妙な空気が流れています。

 カチューシャ事件を前提とした妙な空気です」  

カチューシャ事件って、虫の死骸のか。

大げさな言い方だな…まああの後ハルヒが死骸がとれたことにかなりの感情を示してその場の空気を最悪にしたのもあるだろうしな。  

……はぁ、早く朝比奈さん戻ってください。

僕らがインフルエンザになりそうですよ。

2007年12月4日 元文芸部室 出席5人  

掃除当番が終わって、元文芸部室に向かう途中朝比奈さんと合流した。

「もう大丈夫なんですか?」

「はい、おかげさまで治りました」

「よかったです」

「…それにキョン君はずっと心配してくれてたんでしょ?」  

古泉、ちくったな。いや、ハルヒの線も棄てがたい。

とりあえず情報源を聞いてみよう。

「誰から聞いたんです?」

「長門さんです」  

ぐはっ、長門かよ。

「何だか遠まわしに言ってる感じだったかなぁ」

「遠まわし…」  

何故遠まわしなんだ?、

心配している事ぐらいは普通に伝えたほうが早いんじゃないのか?。

また妙な空気が流れた、朝比奈さんが学校に復帰したというのに…。

元文芸部室に俺は入室した。

「みくるちゃん!!、早く着替えてっ!」  

…病み上がりの一発目に会う人物がハルヒでなくてよかった。

心からそう思うよ。

「おい、それは俺の…」

「何?、悪い?」  

一昨日から俺の部屋から私服が減っていると思ったら、こいつが盗ってたのか…

なんて奴だ。長袖長ズボンの厚着である。

「何で朝比奈さんに着せる必要が?」

「次体調崩すときは絶対インフルだもん、この位はしておかなきゃと思って」  

ハルヒにしてはいい事をしている。

まあ同じ団の仲間だろうしな、でも俺の私服というのはどうかと思う。

「大きいですよー」

「キョン、もっとサイズを小さくしなさいよ。無駄にでかくてもしようが無いでしょ?」

「無理だ、成長は誰にも止められん。自分でも止められんのだ」

「でもキョン君の匂いがするぅ」

 朝比奈さん、止めてください。何か変な意味に聞こえて萎えますから。

「次に欠席する人物は、古泉一樹」

「うわっ!」  

背後から声がして驚いた。長門だ、読書少女(たまにゲーム)の長門有希!

「僕が欠席するんですか?」

「そう、でも風邪といわれる病気で欠席するのではない」

「…それで、何時だというんだ?」

「2日後、欠席の原因は交通事故」

「こ、交通事故!?」

「ちょっと有希、何縁起でもないこと言ってんのよ!、

そういうのはすぐに止めないと虐められるわよ!?」

 ハルヒの言うとおりだ。

それが宇宙人でも未来人でも超能力者でも神でもなければの話だが。

長門の予言は当たる、確実に。

「…長門さん、その詳細な日時や場所は判りますか?」

「2007年12月6日、午前7時19分。北高正門前の道路で大型トラックにはねられる。その後病院に搬送され、意識を取り戻す。脳震盪のみで全治1週間を要する」  

細かい。それにしても脳震盪だけって。

「判りました。長門さんの話を信じましょう」

3節に続く…


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