「「……また、ダメだった……」」


それは、2人の神様が溜め息と共に漏らした言葉が原因となって起きた。


「「――もう少しキョンが素直だったらなあ」」



『素直キョン』



朝、目が覚める。その途端機嫌が悪くなるのが自分でもわかった。
原因はあいつ。あの鈍感馬鹿。ムカつくくらい人の気持ちに気付かない。もはや尊敬してもいいくらいだわ。
昨日せっかくあたしがポニーテールにしてあげたのにこっちを見たと思ったらすぐに違う方見て何にも言わないし。
何よ何よ何よ!ちょっとは褒めてくれたっていいでしょ。例えばこんな感じに。 

ホワホワホワン

「――ハルヒ、その髪型可愛いぞ」

「あ、ありがと。…………これ、やってあげるのキョンだけなんだからね……」

「ハルヒ…………お前、可愛いすぎる!もう我慢できねえ!」

「あ、キョン駄目だよ………でもキスくらいなら…………ん――」

ホワホワホワホワホワン

…………あ、鼻血が………。ティッシュティッシュ。
……まったく、あたしったら何てこと考えてんのかしら。キョンがこんなに素直に答えてくれるわけないのに。泣けてくるわね。
はあ、早く学校行こ。 


学校に着いて教室に入ったけどまだ誰一人としてクラスの人は来ていなかった。
自分の席に座りさっきの妄想を思い出す。もちろんいつ鼻血がでてもいいようにティッシュは始めから用意しておく。
一通り妄想をし終わったところで思った。
…………今日もポニーテールにしてみようかな………よし、やろう。妄想までとはいかないけど少しは優しい言葉かけてくれるといいなあ。
そしてあたしがポニーテールに髪をまとめあげ終わったとき、痛いほどの視線を感じた。
振り向くとそこにはカバンを落としたままボーっと突っ立っているキョンがいた。なんか口を開けたり閉じたりしてる。それにしてもキョンの唇………………ああ、ティッシュティッシュ。
ティッシュで鼻を拭いながらあたしはキョンに訊ねた。

「キョン、いつまでボーっとしてるの?」

「あ、ああすまん。ちょっとな」

「ちょっと?」

「………ハルヒの髪型があまりにも可愛いすぎて、見とれちまってたんだ」

「ほえっ?」 

キョンの予想GUYの発言にあたしは思わず素っ頓狂な声を出してしまった。
え、何?キョンがあたしを褒めてくれたの?確かに可愛いって言ってくれたわよね。いやー、恥ずかしい。今あたし絶対顔真っ赤だろうなあ。
あ、とにかくお礼言わないと。

「あ、ありがと」

これだけ言えば充分だったのに、あたしは調子に乗って妄想の中のセリフまで喋ってしまっていた。

「………これ、やってあげるのキョンだけなんだからね………」

しまった!
喋り終わったあたしはすぐにそう思った。現実のキョンにこんなことを言ったって勘違いされるような発言するな、って言われちゃうだけなのに。

「ハルヒ………お前照れるようなこと………いや、うん、ありがとうな。そう言ってもらえて嬉しいよ」

………え、これ本当にキョンなの?さすがに妄想までのセリフは言わなかったけどあのキョンが顔を真っ赤にして照れながら話してる。ひょっとして今日のキョンなら…………

「ね、ねえキョン。今度の休みどこかに遊びに行かない?」

「……それは、デートの誘いってことでいいんだよな?」

「う、うん」

「じゃあ行くか。楽しみにしてるぜ」

よっしゃああぁ!!遂に、遂にキョンと。鼻血が止まらない。
しかも聞いた?キョンの方からデートだなんて言ってきてくれた。これは、今回こそはいける。
ふっふっふっ、笑いが止まらないわ。
ふっふっふっふっふっふっふっふっふっふっ…………………。 
 
 
 
 
「はぁ」
 
帰宅途中の電車内、僕はまた一つ大きな溜め息を吐いた。最近ではこんなことはよくあることだ。
溜め息の原因たる人物は言わずもがな鈍感王キョン。彼は正に王の名を名乗るに相応しい人物だ。
だって、だってだよ――――
 
~佐々木さん回想モード~
 
「やあキョン。また会ったね。前回再開するまでのスパンを考えるとこれは素晴らしいような偶然の事象とは思わないかい?いや、こういうものを運命と呼ぶのかもしれないね。くっくっ、運命。僕とキョンの出会いは運命」
 
「佐々木!?悪い、今急いでんだ。またな」
 
「くっくっくっくっくっくっくっ………くっ、ぐすっ………キョンのバカ」
 
~回想終了~
 
はぁ……おや、また溜め息が出てしまったね。
くっくっ、恋愛は精神病とはよく言ったものだ。キョンのことを考えるだけで胸が締め付けられる想いになるよ。
 
プシューッ
 
そんなことを考えている間に電車は目的の駅に着いたようだ。いつものように改札を通り駅の外に出てみると、辺り一面はすっかり黒く塗りつぶされていた。
こんな景色を見ていると、否が応でも寂しさを感じざるを得ない。中学校の頃はいつもキョンと2人で帰っていたからこんな気持ちにはならなかったのに………。
 
「寂しいよ、キョン……」
 
「俺がどうかしたか?」
 
「きゃっ!!ど、どうして!?どうしてキョンがここに!?」
 
これは奇跡?いや、それでもおかしい、キョンの家は駅方面ではないはずなのに。
何故?WHY?
もしかして僕を迎えに来てくれたのか?いや、そんなことあるわけない。でも、もしかしたら……
 
「どうしてって、ただのお使いだよ」
 
………そうだよね。そうに決まってる。僕なんかのためにわざわざキョンが迎えに来てくれるはずないじゃないか。
くっくっ、くだらないことを考えてしまったものだ。涙が出てくるよ。そうだ、早く帰らないとね。今日はマネーの虎がある日なんだ。無類のとんじき好き、とんじき栄作の回は最高だった。
僕は震える手でカバンからラジオを取り出してイヤホンを耳に装着した。
 
『――さあ、リクエスト曲の一発目はこちら』
 
うえをむーいて あーるこおおお なみだがこぼれーないよおおに
 
………くっくっ、なんと都合がいい曲を流してくれるんだろう。正に今の僕と同じ状況。思わず歌いたくなるじゃないか。
 
うえをむーいて あーるk――
 
「……おい!おい、佐々木!!」
 
何かな?それよりいきなり人の腕を掴むなんて礼儀がないね。それにキョン、僕は今歌っているんだよ。邪魔はしないでくれたまえ。
 
「震えた声で何言ってやがる。ってお前、泣いてんじゃねえか…………」
 
このデリカシーの欠片もない言葉により、僕は今まで溜まっていたものを全て吐き出してしまった。
 
「うるさい、うるさいうるさい!全部君のせいだ!!この間だって、たまに会っても全然構ってくれなかったじゃないか!僕が今までどんな思いをしてきたかわからないくせに!!」
 
「え、佐々木?」
 
「離してくれ!もう君の顔なんか見たくもない!!」
 
はあはあ、と肩で息をしていると次第に冷静になってきた。そして思う。
…………僕は何てことを言ってしまったんだろうか。
前半だけならまだ良かった。多少なり確信めいたことを言ってしまったがTVチャンピオン鈍感王選手権が行われたらまず間違いなく優勝を飾れるような男だ、理解出来るわけがない。
でも後半は………キョンの顔を見たくないなんて嘘に決まってるじゃないか。でも、もう手遅れだよね………ぐすっ………また泣きそうだ。………早く、立ち去らなきゃ。
そのときようやく気付いた。キョンがまだ僕の腕を掴んだまま離していない。そして次の瞬間、僕はキョンの胸の中にいた。
 
ブホアッ、ヤバい。涙じゃなくて鼻血が出そうだ。
 
が、次に放たれたキョンの言葉により僕の鼻血は止まってしまった。むしろ逆流したかもしれない。
 
「すまん。お前がそんなに俺のことを想ってくれてるなんて思わなかった。…………好き、ってことなんだよな……」
 
なぜ前半を理解してやがるんだ鈍感やろおおおおっ!!!!!!!
うぼあっ、今のままでは口から吐血してしまう。というかしてしまった。
 
どうしよう、どうしよう、どうし――――
……………くっくっ、閃いてしまったよ。何故かは知らないが折角キョンが僕の気持ちに気付いてくれたんだ。このまま一気に陥落させてあげよう。
 
「そうだよ、僕……いや私はキョンのことが好き………」
 
くっくっくっくっくっくっくっくっ。
決まった。これは間違いなく決まった。ここで僕は完全なる勝利のために2つも秘策を使ったんだからね。
まず1つ、実はね最初から素直に私と言うことは出来たのだよ。しかし敢えて言い直すことによって相乗効果により威力は別次元にまで高まる。この段階でキョンの理性は風前の灯火といったところだろうね。
そこに追い討ちをかけるために使った2つ目。君達は分からないだろうが僕はさっきから上目遣いでキョンを見ている。
決して自惚れではないが僕だって自分の顔のレベルがどのくらいかなんて重々理解しているさ。だから客観的に見て僕の上目遣いに堕ちない男はほとんどいない確信している。
くっくっくっくっくっくっ、パーフェクト。さあ、あとはキョンのイエスという言葉を聞くだけだ。カモンキョン、キョンカモン。
 
「………佐々木、ありがとう。素直に嬉しい。俺もお前のこと好きだよ」
 
いよっしゃあああああ!!!!!!!
ここまで長かった、本当に長かった。キャラも多少破城した。でも、でもようやく報われt――――
 
「……でもな」
 
………………は?
 
「ハルヒも同じくらい好きなんだ」
 
んなこと知るかあああああああ!!!!!!!
ボケッ、じゃあどうしろってんだよこの野郎が。
 
「もう少したったら必ず答えを出すから。それまで待っていてほしい」
 
「……………仕方ないな。いい返事を期待しているよ」
 
少し予定外だったがなに、問題はないさ。
涼宮さんが気付いていないうちに決定打を打たせてもらうよ。そうだね、次の休日にでも決めてしまおうかな。
くっくっ、次の休日が楽しみだ。キャラもきちんと修正させてもらうよ。
くっくっくっくっくっくっくっくっくっくっ…………………。
 
 
 
 
~素直改変前日~
 
………………
………

 
「――は!?俺が素直になるだと?」
 
「そう」
 
 
夜も遅くに携帯の着信音で起こされた俺はイライラ半分イヤイヤ半分、つまり嫌悪感丸出しでディスプレイを確認した。
ディスプレイに表示される非通知の文字。ここで急速に頭が回転する。非通知の電話、それすなわち長門。
長門からの電話と理解した瞬間、何か起きたのだろうと思い急いで電話に出た………の、だが、長門から俺に告げられた言葉は俺の予想の斜め上をコンコルドの如きスピードで駆け抜けていくものであった。
 
「……すまんがもう一度説明してくれんか、長門」
 
「わかった。ここからはルー語で説明する」
 
「いや、普通に…………」
 
「イエス。ユーはトゥナイトの0時をもってキャリックターがチェーンジする」
 
ちょーわかりにきいいいいいいいいぃ!!!!!!!!!!
 
「アズアリザールト、ユーはナチュラルにマウスから言葉を出してしまう。ジェネラリースピーキングでスッネーオになるということ」
 
今スッネーオって言っただろ、お前。どこの骨川だよそれ。素直というよりむしろ卑屈じゃねえかあいつ。
 
「アーンド、ユーはその間今の意識がナッスィングの状態に陥る。言葉で表すなら二重人格のようなもの」
 
「…………最後ルー語じゃなかったぞ」
 
「気のせい。作者の英単語の知識が乏しいということはまったくない。ルー語が面倒くさいから止めただけ」
 
「俺としても助かるから是非そうしてくれ。………まあそれよりも、だ。俺が素直になるってどういうことだ。俺はいつも素直だから改変しようがないだろ」
 
「………本気?」
 
「ああ、本気も本気だ」
 
「……………また図書館に」
 
「え?」
 
「また図書館に」
 
「ん、ああ、そうだな。今度行ってみるか―――――SOS団みんなで」
 
「死ね」
 
ブツッ
 
…………………何なんだ一体。だってそうだろ俺なんかと2人きりで行っても長門はつまらんだろうし。
ってもう0時になるじゃねえか!えっと長門の話によると俺の意識はなくなるんだよn………………やべ…………………………頭が……重い…………よく解らんが…もう一人の俺、頼むぞ………。
 
 
 
 
『急造タイトル~やって来た休日、それぞれの結末~の巻』
 
 
 
―――ふっふっふっ、遂にこの日がやってきたわ。
キョンと三日前に約束した後、あたしはまともにキョンのことを見ることが出来なかった。
だって恥ずかしかったんだもん、しょうがないでしょ。キョンが…あたしのことを可愛いなんて…………………………ブッホァッ…………ボタボタ……………ティ、ティッシュティッシュ。
 
フキフキ
 
ふう、まだ時間もあるしお風呂にでも入ろうかしら。髪に鼻血付いちゃったしね、それに…………………ち、違うんだから!べ、別に深い意味はないのよ!
 
 
 
 
カポーン
 
……結局お風呂に入っちゃった。あ、話を戻さなきゃね。
あたしは全然キョンの方を見れないんだけど、キョンのやつはあたしの方ばっかり見て楽しみだなー楽しみだなーって言ってくるの。おかげでクラスの連中には生暖かい視線で見られて……………まあ、良いんだけどね。
だって今日からあたしとキョンは恋人同士になる予定だし。出来たらキスまで、そうキョンの唇がこうあたしに向かって…………………ボハァッ…ダラダラ………ブクブクブクブク…………………………………
 
ハルママ「いやーーっ、ハルヒーーーーッ」
 
 
 
 
目が覚めると額には冷えピタが貼ってあった。
…………あれ、あたし何やってんだろう?
確か鼻血が出たからお風呂に入って、キョンのこと考えてたらまた鼻血が出ちゃって…………………そっか、あたしのぼせちゃったんだな…………………………って今何時なの!?
ああっ、もうこんな時間じゃない!キョンに遅れをとるわけにはいかないわ。
よし、財布持った、携帯持った、ボックスティッシュ持った。
じゃあ行ってきます。お父さん、お母さん、あたしは今日旅立つかもしれません。
 
 
 
 
―――くっくっくっ、今日という日をどれほど待ち望んだことか。以前にも話した通り僕は今日という休日に決着を着けるつもりなんだ。
よし、まずはキョンに電話をしよう。まだキョンには何も言ってないからね。こういうものはサプライズがあったほうが印象に残っていいんだよ。
 
プルルプルル…………
 
『もしもし、佐々木か?』
 
「そうだよ」
 
『何か用でも………あ、もしかしてこの前の返事のことか?それならすまんがまだ考え中なんだ』
 
くっくっ、それはわかっているさ。だからこそ僕はこうやって電話をしているんだ。
 
「まあそれもあるけど、実は今、キョンの家の前にいるんだよ」
 
『へ?』
 
「じゃあお邪魔します」
 
「……………お前なあ。……まあいいか、久しぶりに佐々木の顔見れて嬉しいしな」
 
おっと、これは予想GUYの言葉をもらえたね。しかしこれは好都合。
くっくっ、まず第一段階は成功と言ったところか。このまま一気呵成に……………む、キョン、やけにお洒落な格好をしているじゃないか。そんな胸元の空いた服を着て……………ボフッ………タラリ…………
 
「どうした鼻血でてるぞ?」
 
「な、何でもないんだ」
 
フキフキ
 
「それよりどうしたキョン、どこかに出掛ける予定でもあるのかい?」
 
「ああ、ハルヒとデートの予定があるんだ」
 
………………………………………………聴力が衰えているのかな。変な戯れ言が聞こえた気がする。
さてキョン、もう一度訊くよ、今日は何の用事があるんだい?
 
「だからハルヒとデーt……………あ、ち、違うぞ。別にハルヒのことを選んだというわけじゃないからな」
 
……………くっくっ、もう少しでまたキャラが壊れてしまうところだったよ。
今回は簡単にはキャラを壊す気はないからね。キョンにも不用意な発言は気を付けてもらいたいものだ。
それにしてもだ、キョン。涼宮さんとデートとは頂けないね。
 
「いや、これはお前が告白する前から予定していたことなんだ」
 
「おや、そうなのかい?しかしだね……………………そうだ、僕も付いて行っていいかな?」
 
「いや、ちょっと待て佐々木!いくら何でもそれは………」
 
「僕のことも好きなんだろう?」
 
「うっ…………そりゃ好きだけど」
 
「じゃあいいじゃないか。さあ、早く行こう。どうせ集合場所はいつもの駅前なんだろう」
 
「おい佐々木、引っ張るなって」
 
くっくっくっ、涼宮さん。どうやら全面戦争のときが来たようだ。
キョンの想いを知っているからアドバンテージは僕にある。くっくっ、精々無駄なあがきをするがいいさ。
さあ、いざ行かん、決戦の地へ。

 
 
~駅前~
 
あ゙ーーー遅いっ!!キョンのやつ何やってんのよ!もう集合時間の一時間前じゃない。ほんっとに信じられないわ、男なら二時間前行動は当たり前田のクラッカーでしょ。
イライラするわね……そうだ、今のうちに今日のイメトレをしておこう。
 
……………
………

 
「すまん、遅れちまった」
 
「もうっキョンったら遅いぞ♪」
 
「ははっ、すまんすまん。遅刻のお詫びといってはなんだがこれ貰ってくれないか」
 
「え?」
 
「開けてみろよ」
 
ガサガサ  カパッ
 
「うわあ……綺麗……………これ高かったんじゃないの?」
 
「お前の笑顔がみれるなら安いもんだ、俺だけのお姫様」
 
「……キョン、素敵」
 
ガバッ
 
……………
………

 
きゃーきゃー!キョン格好良すぎる!!ああ、鼻血が……ボックスティッシュ持ってきて本当に良かったわ。
 
フキフキ
 
それにしてもさすがあたしが惚れた男ね!やることが違う………………あ゙ん!?てめえ何こっち見てんじゃゴラァッ!!見せもんじゃねえんだよ!!
 
「wawawa………」
 
ふっふっふっ谷口がまるでゴミのようだ。
 
あっ、そんなことしてる間にキョンがやって来た。まずは掴みが肝心よね。よし、乙女ハ○ヒ並みのデレッぷりでいくわよ。
 
「キョーン、お・そ・い・z………………………………ギョーーーーンッッッッッ!!!!!!!」
 
 
『終結プログラム設置完了。起動まで3時間12分21秒』
 
 
「――――ギョーーーーンッッッッッ!!!!!!!」
 
くっくっ、涼宮さんの叫び声が聞こえるね。
 
((((゜д゜;))))ガクガクブルブルガクガクブルブル
 
キョン、大丈夫だよ。君は僕が守ってみせる。例えこの命が尽きようと。
あ、これ死亡フラグっぽい。くっくっ、メ ガ ン テ !!
 
「佐々木も怖いよー」
 
 
現在の状況まとめ
 
ハ<ギョーーンッ!!!
佐<メ ガ ン テ
素キ<ガクガクブルブル
長<早く起動させてぇ
 
 
 
 
「―――さて、これはどういうことかしら?」
 
今あたしたちはSOS団御用達の喫茶店の一角を支配している。あたしが問いかけているのはもちろんキョン。
ふっふっふっ、逃がさねえぞてめえ。
 
「まあ待てハルヒ。ちゃんと説明してやるから。実はな――」
 
「僕から話をさせてもらえないかな、キョン」
 
「どうぞどうぞ」
 
どうしてそこで佐々木さんが出て来るの、あたしはキョンに訊いてんの!!
 
「うるさいっ!」
 
へ?
 
「キョンは僕のものだ!!」
 
えええぇぇぇぇぇぇぇっ!?この人何言っちゃってんの?怖っ、佐々木怖っ。
これが偏差値教育の犠牲者ってやつかしら。くわばらくわばら。
 
「勝手に私を頭のおかしい人扱いしないでくれるかしら?頭がおかしいのはあなたでしょ、涼宮電波ハルヒさん」
 
ミドルネームみたいに言ってんじゃねぇぇぇぇ!!!!!!!
 
「僕はただキョンに告白をしただけだよ。ね、キョン?」
 
「ああ、告白しただけだな」
 
……………え、キョン………?
 
「キョンは僕のこと好きだよね」
 
「ああ、好きだな」
 
………………嫌……………嘘、でしょ……?
キョンが、佐々木さんのことを好き?
………ああ、そっか。そうだったんだ。あたしったら、1人で舞い上がっちゃって…………あはは、馬鹿みたい…………。ほら、早く出て行かなきゃ、2人の邪魔になるでしょ。
 
気が付いたら、あたしの頬には一筋の雫が伝っていた――
 
「おいハルヒ、勘違いするな」
 
「何よ、勘違いって!!あんたは佐々木さんのこと好きなんでしょ!?もうこれ以上あたしを惑わせないで!!」
 
「お前のことも好きなんだ」
 
惑わせんなっていっただろごらああああああああ!!!!!!!!!
 
 
『起動まで2時間30分51秒』
 
 
あーあ、キョン言っちゃったよ。折角涼宮さんにキョンを諦めさせるチャンスだったのに。
くっくっ、やはり一筋縄ではいかないようだね。それでこそ僕の永遠のライバルと言うものだ。
 
「ちょっと佐々木さん!何ニヤニヤしてるのよ!!」
 
おっと、顔にでていたようだ。自重自重。くっくっくっ………
 
「それよりキョン、だいたい理解できたわ。なーにがハルヒも好きだ、よ。まったく呆れてものも言えないわ」
 
それしては涼宮さんもやけにニヤニヤしてるじゃないか。
こういうのをツンデレと言うのかな、ナマステー。
 
「勝手に拝むな!」
 
それは失敬。くっくっくっ。
 
「まあどうせキョンはあたしのことのほうが好きなんだろうけどね」
 
待ちたまえ。それは聞き捨てならないね。
 
こうして僕と涼宮さんのやり取りが暫く続いていたとき、それまで黙っていたキョンが突然口を開いた。
 
「なあ、ちょっとトイレに行っていいか?」
 
「何よ、さっさと行きなさい。漏らしたら承知しないわよ」
 
「ああ」
 
~10分経過~
 
「佐々木さんはいつからキョンがあたしたちのことを好きって知ったの?」
 
「そうだね。三日前だったかな。私がキョンに告白したらそう答えられたからね」
 
~さらに30分経過~
 
「あっはっは、じゃあキョンはそのとき口から"禁則事項"を出したの?」
 
「そうさ。それはものの見事な"禁則事項"だったよ」
 
~さらに1時間経過~
 
「…………ねえ、佐々木さん」
 
「…………ああ、涼宮さん」
 
ダッダッダッ  ガチャッ
 
トイレには一枚の紙が残されていた。
 
『探さないでください』
 
「…………………ふっふっふっふっふっふっふっ」
 
「…………………くっくっくっくっくっくっくっ」
 
「佐々木さん、あなたどうしたい?」
 
「とりあえず今日をキョンの命日にしたいね」
 
「あら偶然、あたしもなの。そうと決まれば話が早いわ」
 
ピッポッパッ……
 
「……あ、古泉くん?そう、あたし。ちょっと用意してもらいたいものがあるの。人が1人入れるくらいの棺……うん、そんな感じのやつで。え、何に使うかって?ちょっと1人殺りたいやつがいてね。じゃあ出来るだけ早くお願い」
 
ブツッ
 
「埋める場所はこちらで確保できたよ」
 
『佐々木さーん、埋める場所って何を埋めるんですかー?』
 
「あなたは知らない方がいい」
 
ブツッ
 
「準備は完了ね。じゃあ行きましょう」
 
「涼宮さん、あなたとはいい友人になれそうだ」
 
 
『起動まで35分50秒』
 
 
現在の状況まとめ
 
素キ<探さないで
佐ハ<あははははは!!
●○<ビクビク
長<早く出番を

つづく


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