少し冷え込んできた放課後…である。

相も変わらず部室へと立ち寄った俺を待ち受けていたのは、いつにも増して退屈そうに『団長席』に座り怪訝な表情をするハルヒと、それとは対照的に優しく微笑みかける朝比奈さんの姿だった。

「なんだ…キョンか…」
「あら、キョン君…今日は早いんですね?」

全く…つくづくこの二人は、足して2で割った位で丁度良いんじゃないかと思う。
いや…ハルヒの持つ「毒気」を打ち消すには、例え朝比奈さんの全てを掛け合わせたとしても無理だろうな…。
特に今のハルヒの不機嫌な表情…話しかける事すら躊躇う程だ。

俺は極力、ハルヒを視界に入れない様にしながら「他のみんなはどうしたんです?」と朝比奈さんに訊いてみる。

「さあ…どうしたんでしょうねぇ…」

朝比奈さんは、微笑んだまま首を傾げると「今、お茶を入れますね…」と背中を向けた。
その瞬間、俺の視界の外から「ユキと古泉君はクラスで何かあるんだってさ!」と苛々度数MAXの声がする。


そして返事もろくにしないうちに、その声は「あーあ、退屈だわね。何か面白い事ないかしら…」と続いた。

「まあ…古泉も居ないし、オセロの相手くらいならしてやっても良いぞ?」
「別に、アンタに言った訳じゃないわよ……そうだ!みくるちゃん、アタシとオセロやらない?」
「ふええっ?私ですかぁ?」
「そう!あ、ちょっと待ってて…」

ハルヒはそう言うと、黒板に何やら勢い良く書き始めた。

「えーと…『コスプレ』…『おさわり』…『サービスショット』……ふう、こんな所かしら!」
「ふええっ!それは…なんなんですかぁ!?」
「負けた方がやる罰ゲームのメニューよ!燃えるでしょ?」
「え…だって…あの…」
「大丈夫よ!アタシが負けてもちゃんとやるから!文句無いわねっ?」
「あ…はい…」

やれやれ…また馬鹿な事を始めたもんだ…。
大体「罰ゲーム」とは銘打っているものの、殆んど自分が朝比奈さんにヤラセたい事ばかりじゃないか…。
まあ、初めの「コスプレ」はともかくとしても、その後の「オサワリ」とか「サービスショット」ってのは一体…
まさか!コレを口実に良からぬ写真を撮って、いつぞやの様にひと儲けしようなんて企んでいるんじゃ無いだろうな!?


いかん!絶対にいかん!
阻止せねば………って…あれ?

俺が暫しの妄想…いや、思考を巡らせている間に一回戦が既に終っていた…。
うなだれるハルヒに困惑する朝比奈さん……まさか!朝比奈さんが勝ったのかっ?

「お…おかしいわね…………まあ良いわ!みくるちゃん?アタシに着せたい衣装を選びなさいっ?」
「ふええ…い…いいんですかぁ…?」
「女に二言は無いわっ!早く!」
「で…でも…今…この前の凄く小さいビキニしか無いですぅ…」
「仕方ないわね!寒そうだけど…それ、着るわ!」

おい…『凄く小さいビキニ』って!
ハルヒの奴、また俺に隠れて朝比奈さんに無茶な格好させようとしてたのか?
これは注意せねばなるまい…。
「おい!ハルヒ…」
「ちょっと!着替えるから出てって!」
「………はい」

…ハルヒの勢いに負けて部室を追い出される事数分…様子を伺いつつ部室の中へ戻ると、再び困惑する朝比奈さんと、うなだれるハルヒがかなりエグいビキニを着てオセロ板を挟んで座っていた…。

(まさか…『また』なのか…)

「な…なんで勝てないのかしらっ!まあ…良いわっ。みくるちゃん?『おさわり』するのよっ!」
「ふええっ?どこをどうやってですかぁ?」「じ…自分で考えなさいよっ!」
「ご…ごめんなさいっ!じゃあ…えいっ!」

「えいっ」の掛け声とともに朝比奈さんの手がハルヒの胸を鷲掴みにした…
いかん…情熱を…もて余す…場面…

「ちょっと、キョン!何見てんのよっ!」
「見てない…見てないぞ!」
「ふん…まあ良いわ。みくるちゃん?今度は負けないわよっ!」


「あの…凉宮さん?私…オセロだけは得意なんです…もう止めません?」
「煩いわねっ!やるったらやるのよっ!よーし…そこまで言うなら、次にアタシが負けたら『オサワリされながらサービスショット』で良いわっ!
その代わりに、みくるちゃんが負けたら『小さいビキニでサービスショット』よ?良いわね?」
「ふぇ?…は…はい」「さーて、いくわよ!それ!」
「あ……はいっ!」
「よいしょ!」
「はいっ!」
「…それ」
「…っ」
「…」


━数分後━

「ち…ちょっと…キョン……ちゃんと撮ってるの……?」
「う……ああ…撮ってる」
「凉宮さん…鳥肌立ってますよぉ…もうやめましょうよぉ…」
「なんの…これしき…」
「情熱を…もて…余す…」
「凉宮さん?顔が真っ赤ですよぅ?大丈夫ですかぁ?」
「平気…こんなの…全然…平気…」
「おい…作者…おしまいにしないと…俺がもう…限界…」



じゃ、おしまい

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