SOS団のみんなにいろんな、本当にいろんなことがあって、ふと思ったままを口にした。
 「なあハルヒ、お前みんながピンチになったらどうする?」
 「助ける」
 俺にかぶせるくらいの速さで答えるハルヒ。
 「なにがあっても?」
 「なにがあっても。…なによ、みんなに何かあったの」
 真剣なハルヒの目。あったはあったがもうすべて終わったことだ。
 「何もない」
 「ホント?…ならいいけど」
 不安に思った。なぜこいつは真っ直ぐなのだろう。
 「…それは義務なのか?」
 「え?」
 「SOS団団長としての義務だからみんなを助けようとするのか?」
 ハルヒはしばらく考え、はっきりと答えた。
 「そうよ」
 少しだけ、もしかしたらかなり失望した。立場だから当然だけどハルヒからだけはそんなこと聞きたくなかった。
 「だってこんなに楽しいんだもん。こんなに楽しい権利をもらってるんだからそのくらいの義務当たり前でしょ」
 「権利?」
 「権利を享受する為に義務を果たすんでしょ。当たり前じゃない」
 日常を楽しむ為の義務。笑って過ごす為の努力。だれだってやっている当たり前のこと。
 自らで選んだ義務は誇りになるとどこかで聞いた。
 ならSOS団団長とは涼宮ハルヒの誇り。今のハルヒの自信そのものなのかもしれない。
 それを権利と言い、誇りと表すのなら、俺だって同じものを持っている。
 だから俺の義務は涼宮ハルヒと一緒にいること。
 いやもうその義務は義務じゃない。俺はハルヒと一緒にいたいと願っている。
 ならそれは権利と呼ぶべきだろう。涼宮ハルヒと一緒にいられる権利。
 ではその義務は?結局ハルヒと同じだろう『SOS団を守ること』。
 そのためには最大限の努力をする。それは俺やハルヒだけでなくほかの団員も同じだと信じたい。
 「何難しい顔してんの?」
 小首をかしげて聞いてくるハルヒ。こいつはこんなこともするのか。
 おい昔の俺。ハルヒが段々普通に馴染んでいってるとか言ってたよな。少し間違ってるぜ。
 一人の人間としては正しい。でも一人の女の子としてのハルヒはどんどんわからなくなってるんだ。
 どうしたら喜ぶか、どうしたら笑うのか、どうしたら触れられるのか。
 でもそんなことに悩めるのが良い事なんだと思う。
 「なんでもない。さて俺達は義務を果たしてるんだ。権利を享受しに行くとしよう」
 「あ、ちょっと」
 ハルヒの手を引く。簡単なんだよこんなの。

 

 

 先を見ればもう他の団員は待ち合わせ場所に来ているようだ。
 みんないる。それを幸せとハルヒは感じている。
 義務とか権利とかそんな言い方しか出来ない不器用な奴。
 俺も人のことは言えないけれど。
 そんなことはかまわない。
 この幸せな義務を果たしにいくとしよう。

 


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