男と付き合うって一体どんな感じなんだろう?
 
あたしは今自分の部屋でそんなことを考えている。
中学時代、あたしはいろんな男に告白された。まぁ特に断る理由もなかったしあたしは全部OKした。
だけどどいつもこいつもアホらしいほど普通の人間で付き合ってても全然面白くなかった。
彼氏ってもっとドキドキさせてくれるもんじゃないの?
所詮あたしの思い描いてた恋愛なんて幻想のものなのかな?
明日みくるちゃんや有希に聞いてみよう。
そうだ!男の人の恋愛観を聞いてみるのもいいかもね!
よし、古泉君にも聞いてみようかな?
キョンは?キョンは今までどんな恋愛してきたのかな?
前から知りたかったんだけど恥ずかしくて聞けなかった。
キョンもやっぱり彼女とかいたのかなぁ?
もしかしたら今彼女いるのかもしれない…
どうなのよアホキョン!団員だったら団長のあたしに報告くらいしなさいよ!
 
 
・・・・・・・・まただ!
そのことを考えると急に胸が苦しくなる。
あぁ~もうイライラするなぁ!
こうなったら明日キョンに絶対聞いてやる!
次の日になるとあたしはいつもより早く家をでた。
学校に向かうあたしはいつもよりちょっとだけ駆け足だった。
 
この時間なら部室に有希がいるかな?
あまり期待はできないけど有希にいろいろ聞いてみよう。
そう思いながら部室のドアを開けるといつものように分厚いハードカバーを広げて椅子に座っている有希がいた。
「・・・有希だけ?」
有希は一度こっちを見ると
「・・・・そう」
と一言だけ言ってまた本を見ている。
あたしは団長椅子に座り有希に聞いてみることにした。
「・・・ねぇ有希?」
「・・・なに?」
再び有希はこっちを向く。
相変わらずの無表情ね。でも男からするとこんな感じがグッとくるのかしら?
「・・・あんた、男の人と付き合ったことある?」
「・・・・ない」
やっぱりね。
予想通りの答えだった。
「じゃあ男の人を好きになったことある?」
「私にはそう言った感情はない」
そう言った感情がない?それって興味がないってことかしら?まぁ有希らしいと言えば有希らしいわね。
「・・・そう、ありがと、もういいわ」
有希は少し考えこんだような表情をとるとまた何事もなかったかのように本を見た。
有希じゃだめか…
やっぱみくるちゃんに聞いてみるのが一番かもね!
まぁみくるちゃんに今彼氏がいるとは思えないけどさ。もしいたら団長のあたしに内緒にしてた罰はなににしてやろうかしら?
あぁそうだ!鶴屋さんに聞いてみるのもいいかもしんない。
 
「あたし教室戻るわ!」
有希にそう言ってあたしは教室に向かう。
案の定こんな時間だから誰もいない。
あたしは席に座るといつものように頬杖をついて空を見ながら考えこんでいた。
あたしはなんでこんなこと考えてるんだろう?
恋愛感情なんて精神病の一種のはず。なんでそんなことであたしが悩まなきゃいけないのよ!
あたしが開き直り始めたころ背後から声がした。
「よおハルヒ」
後ろを振り向かなくてもわかる。
あたしのことを「ハルヒ」と呼ぶのはキョンだけ。
「・・・あ、うん」
さっきまで変なこと考えてたせいでぎこちない返事になってしまった。
キョンはあたしの前の席に座りこっちを向く。
「どうしたハルヒ?元気ないぞ。何かあったのか?」
あたしのばかばかばか!キョンなんかに心配されてるじゃない!
不覚だわ!なんでキョンなんかに…
「な、なんでもないわよ!ちょっと寝不足なだけ!」
とっさについた嘘。本当のことが言えないのはちょっと残念だった。
「・・・そうかい」
な、なにみてんのよ!こっちみないでよ!あたしたち付き合ってるわけでもないんだから!
ん?そう言えばあたしとキョンはそういう関係でもない。ただの団長と団員その1ってだけ。
なのにこいつに見つめられるとすごくドキドキする。…なんで?
古泉君と話してるときはこんなことないのに。…なんで?
いまあたしの前にいる男は普通の人間なの!宇宙人でも未来人でも超能力者でもない普通の人間。顔も古泉君のが100倍かっこいいし、成績だってよくない。
なんであたしがキョンなんかにドキドキしなくちゃならないのよ!?
なんで?あの夢のせいなの?
あの夢はあたしの夢であってキョンは知らない。
だいたいなんであたしはあんな夢を見たんだろ?
疲れかしら?それとも気の迷い?
誰か教えなさいよ!
 
キョンあんたいつまであたしの顔見てるのよ?あたしの顔になんかついてんの!?
でも嫌じゃない。キョンに見られてるとドキドキするけどなぜか嫌じゃないのよ。
これが恋なの?
 
・・・・・恋?・・・・・
あたしがキョンを?
そ、そんなこと絶対ないわ!あたしは普通の人間には興味ないんだから!
「ハルヒ?顔赤いぞ。熱でもあるんじゃないか?」
ちょ、ちょっとアホキョン!勝手にあたしの顔に触れないでよ!
「だ、だからなんでもないわよ!」
キョンの手を振りほどきながらあたしは言った。
キョンがあたしを心配してくれてるのはわかってる。でもいつもあたしは素直に返すことができない。
あたしキョンに嫌われてるかな?
だったら嫌だ!それだけは嫌!
あ、あたしはキョンのことなんてべ、別に好きでもなんでもないけどキョンに嫌われるのだけは嫌!
 
「わかったよ。」
キョンはそう言って前を向く。
なんだかすごく寂しい。
キョンは怒っちゃったかな?
「キョン。怒った?」
キョンはまたこっちを向いた。
「お前との付き合いも長いんだ。こんなことで怒ってたら俺の体が持たねーよ。」
 
…よかった。怒ってないみたい。
なんでこんなことでこんなにも安心するんだろ…
あたしがキョンを好きだから?
そ、そんなことは絶対ないけど万が一あたしがキョンのこと好きならあたしは一体何がしたいの?
デートしたり、手を繋いで歩いたり、キ…キスとか…
ばかばかばか!あたしったらなに考えてんのよ!
…でも
キョンはあたしのことどう思ってるのかな?
キョンの気持ちが知りたいよ。
でも聞けない。聞けるわけないじゃない!
今は近くにいるだけでいい。そう思ってしまう。
あたしがキョンのことを好きなのは悔しいけどそれは少しは認めるわ!
だけどあたしは今は一緒にいるだけでいい。
 
 
 
 
 
「キョン。今日も部室に集合だからね!」
 
 


|