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「おっきいかぼちゃ、取ってきなさい!」

突然そんなことを言われた俺だったが、もちろん理解不能。

課題終わってなくて、寝不足でしんどいんだよ。

なんだって、かぼちゃ?

「あんたバカねぇ、10月31日といったらハロウィンでしょ?」

ああ、そんな行事があったな。すっかり忘れてたぜ。

なんたってここ数日、悪夢の中間テストが山のように帰ってきてるからな。

お前みたいに、安穏としてられないんだよ。

ふと横をみると、癒しの姫君…いやメイド、

朝比奈さんが頭の上にクエスチョンマークを浮かべて立っていらっしゃる。

時々思うんだが、朝比奈さんの時代には日本はどうなっちまてるのかね。

この人は、今を知らなすぎる。

「ちょっとキョン、聞いてるの?」

ああ、聞いてるさ。俺の苦悩している姿を想像して

楽しむような満面の笑みで命令する女、我らSOS団の

初代団長涼宮ハルヒである。

「あなたも大変ですねぇ。」

横から、万年営業スマイルで

どうでもいいことを言ってくるむかつくイケメン野郎

は頭いいくせにゲームには弱い男、古泉。

なんなら変わってやろうか?

「遠慮しておきます。」

そんな会話をしながら、団長机の前に行く。

「な、なによ?」

「あのだな、お前が想像しているであろうかぼちゃってのは

俺の財布ではまかないきれそうもないんだが。」

「…大丈夫。」

いきなり2人の会話に割り込んできた読書マシーンにして

元メガネっ娘、長門有希。やっぱりメガネはいらないな。

で、なんで大丈夫なんだ?

「…私の家にある。」

一瞬、想像してしまった。長門の部屋に居座るでかいかぼちゃ。

どうやって部屋に置いたかは、聞かないほうがいいだろう。

「そうなのよ、有希が親戚からもらったらしくてね

で、それをSOS団に寄付したいって言うから

あんたにとって来てもらおうと思ったわけ。」

おい、そんなこと聞いてないぞ?

もし俺の財布に余裕があってだな、速攻で買いに行ってたら

どうするつもりだったんだ?

「あんたがそんなに速く動くわけが無いじゃない。

 それにその時はその時よ。」

ああこういう奴だったな。うかつながら頭から飛んでいた。


そして俺はいま、俺は無言で歩く長門の後を着いていき、

見覚えのあるマンションの前にいる。


なぁ長門、どれくらいの大きさなんだ?俺にも力の限界


ってのがある。超が三つぐらいつく凡人だからな。


「局所的な時空間情報と物質構成情報の改変を行った。」


なんだそりゃ。


「…軽い」


まったく、宇宙人てのは長い熟語が好きだねぇ。





そんなこんなで、俺はハイキングコースを再び登り、


文芸部室にたどり着いた。


「おつかれさまですぅ」


ななな、なんですとー。朝比奈さんが


悪魔の仮装をしていらっしゃる。


こんな悪魔になら魂を取られてもかまわないぜ。


「ちょっとキョン、遅いじゃないの」


ふと、団長机の方を見ると、そこには


魔女が座っていた。


しかも魔女っ子じゃねぇか。


どこでそんな反則的な服を買ったんだ?


いや、聞くまでもないな。


「…私も…着たい」


「大丈夫よ有希!今回はあんたの分もあるんだから!」


それはちょっと見てみたい気もする。


それとだな、どうでもいいが、このかぼちゃおいてもいいか?


だんだん足元がふらついて…。






ん?


朝比奈さん?そんなに目を真っ赤にして


泣いてどうしたんですか?


泣かした奴がいるならぶん殴ってやりますよ。


「よかった、気がついたぁ。」


どうやら俺は倒れて保健室に運ばれたらしい。


自分に一発お仕置きをいれなければいかんな。



「このバカキョン!」



オイオイ、ハルヒよ、倒れるまでがんばって



お前の望みのものを持ってきてやった奴にかける言葉か?



心なしか、ハルヒの目も赤いのは気のせいだろう。



「一時はどうなるかと思いましたよ。」



どれくらい気を失ってたんだ?



「…約1時間」



1時間も気を失ってたのか。



「しんどいなら、しんどいっていいなさいよ!」



言っても聞かんだろう。そんなこと気にするなら



俺のサイフの心配もしてほしいもんだね。



「・・・バカ」



すると古泉が耳元に寄ってきた。ちょっと離れろ。



「久しぶりに閉鎖空間が発生しましてね、大変だったんですよ」



お疲れ様だな。でもよかったじゃないか超能力が使えて。



「僕個人として、ちゃんと心配はしましたよ。」



なんて話していたらハルヒがいきなり言いだした。



「今日の活動は中止にしましょ」



いや、もう大丈夫だ。皆でハロウィンやろう。



でないと俺の苦労が報われん。



「本当に大丈夫なの?」



ああ大丈夫だ。ただの寝不足だからな。





そして再び文芸部室に戻ってきた。


なんだろうな、このソファー。



保健室から撤退してきた俺が驚いたのは



見慣れないソファーが部室にあったのだ。



どうやら古泉が用意したらしい。



さっきからあったらしいが気付かなかったな。



そして古泉の用意した広めの1人掛けのソファーに



ハルヒと一緒に座っている。



「私の元気を受け取りなさい!」



そんなにくっつくな、暑い。



「…バカ」



何を勘違いしたのかは分からないが



顔を朱に染めそっぽを向いてしまった。



どうやら、ハルヒにとっては



ハロウィンというのは、仮装パーティのことらしい。



かぼちゃいらねぇじゃん。



ハルヒにとってはパーティといえば1発芸らしく、



俺とハルヒ以外が俺たちの前で1発芸をした。



俺はそんなこと一回も聞いてなかったんだが。



一番意外だったのが、長門のモノマネだ。



どこでそんなの覚えたのだろう。結構似ていたしな。



そんなこんなで部活終了の時間だ。



みんなで、それっての下校。


これも後もうちょっとのことなんだな。


「ねぇ朝比奈さん。」


「何ですキョン君?」


「高校生活は楽しかったですか?」



ハルヒのわけの分からない団体に強制加入され、



無理やりコスプレされられた挙句、エロい写真まで



とられそうになってるんだ。危ないこともあったな。



「ふふふ、まだ終わってませんけど…」



けど?



「キョン君たちに出会えてほんとに幸せでした。ありがとう。」



そういって天使のような微笑をたたえていた。



「なーに間抜けな顔してんのよ?」



ああ、こういうのが幸せなんだと、俺は思った。



ハルヒに罵られる事じゃないぞ?



こんな当たり前の生活。終わりのある日常。



永遠に続いてほしいと願いながら俺は歩いていた。



fin.

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