古泉「初めまして。私の名前は古泉。プランナー古泉です」

 

古泉「プランナーとは、企画者、立案者のことです。冠婚葬祭から旅行等にいたるまで、様々なプランをご提供させていただきます」

 

古泉「見積もりのお伺いも引き受けておりますので、ご用命の際にはお気軽に申しつけくださいませ」

 


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ハルヒ「やったわ、ついにカラオケで99点が出たわ!」
みくる「わぁ、涼宮さんすごいです」
キョン「あと1点で満点じゃないか」

 

古泉「パーティータイッ!」

 

古泉「涼宮さん。カラオケ99点達成、おめでとうございます。さすがはマルチプレイヤーと名高い涼宮さんですね」


ハルヒ「ざっとこんなもんよ。見てなさい。すぐに100点を出してあげるから!」
みくる「期待してますよ」
古泉「まったくでございます」

 

古泉「そこで、弊社からこのようなプランをご提供させていただきます」

 

古泉「長門さん。例のものを」
長門「………そう」

 

 

 

『カラオケ99点達成記念ドキュメント。魅惑の歌姫涼宮ハルヒの道程 ~とおい日の夢~』

 

 現在北高に通う高校2年生、涼宮ハルヒ。文武両面に優れた能力を発揮する彼女にも、未だかなえられぬ夢がある。
 それは、カラオケで100点を出すこと。
 昨年の文化祭にて軽音楽部のピンチヒッターとしてボーカルに初挑戦し、大成功を納めた彼女は、いつしか歌唱の道を歩み始める。
 また再び、あの熱唱と興奮を味わいたい。人々を自慢の歌声で魅了できるほどの歌唱力を身につけたい!

 少女は歌った。ただひたすら歌った。誰に強要されたわけでもない。またステージの上で大勢の観衆に迎えられ、魂のシンパシーを感じたい。それだけのために。


 力つきかけたこともあった。声が出なくなるほど、のどを痛めたこともあった。しかし涼宮ハルヒは諦めなかった。ただただ情熱だけを原動力に、彼女は走った。夢という名の道のりを。
 周囲の制止をふりきって家を飛び出たこともあった。医者からストップをかけられたこともあった。
 しかし彼女は歩み続けた。しびれそうになる手で握りしめたマイクを、離すことなく……。

 そして遂に、彼女の想いは実を結んだ。ついにカラオケで99点を採ったのだ。彼女の歌が、無機質な機械を通して認められた瞬間であった。
 しかしその努力が冷たい機械のみに認められたわけではないことを、僕らは知っている。彼女の血もにじむような夢の結実を僕らは見守ってきたのだから。


 彼女の目指したゴールは、もうすぐそこにある。手を伸ばせば届きそうなほどに。
 だから、涼宮ハルヒはしっかり前を向いて足を踏み出す。彼女の道程は今、こんなにも光り輝いている。
 涼宮ハルヒは手を伸ばす。彼女の往く道は、まだ続く。
 カラオケで、100点を採るまでは。

 

 


キョン「………」
みくる「………」
ハルヒ「いいじゃない!」

 

古泉「ありがとうございます。このような筋書で、ドキュメンタリーを撮影させていただこうかと考えております」
古泉「しかる後、ドキュメンタリーを上映しつつ祝賀会を開催しようという企画です」
ハルヒ「是非お願いするわ!」
キョン「いいのかよ……」

 

 

古泉「長門さん。それでは、どのシーンから入りましょうか」
長門「………まずは、前置きとして昨年の学園祭を再現した映像を撮影する。感動的ドキュメントにふさわしい会場の準備からはいる予定」
古泉「そういうと思ってました。既に武道館はアポ済みですよ」
長門「………GJ」


みくる「……あの、本気で言ってるんですか?」

ハルヒ「それで、私はなにをすればいいの? ギターの練習?」
古泉「いえ。涼宮さんの映像中のギターの演奏は、プロのギタリストが弾いている画と差し替えますので大丈夫です」
キョン「プロのギタリストってなんだ? そこまでやる必要があるのか?」

 

長門「………なにごとにも全力投球」


古泉「それが! プランナー古泉の底力です!」

 

長門「………次に、歌に目ざめた涼宮ハルヒがのどを鍛えるため、絶叫マシーンに乗って雄叫びをあげつつ早口言葉を連発するシーンを入れる予定」
ハルヒ「任せて。早口言葉は得意だから!」

 

長門「………その後、涼宮ハルヒの目ざましい活躍に嫉妬する朝比奈みくるが、涼宮ハルヒを崖からつき落とすシーンへと続く」
みくる「ええ!? わわ、私ですか!?」


古泉「なるほど。青春ドキュメンタリーに、友人との過失、裏切りは必須パターンですからね。しかし、それだけではありきたりで少々インパクトに欠けますね……」

古泉「朝比奈みくるが涼宮ハルヒを漁船の上から流氷の海に突き落とすというのはどうでしょう。視聴者に危機感を与えられ、盛り上がると思いますが」
長門「………さすがプランナー。それ、いただきます」


みくる「流氷!? ほ、北海道ですか!?」


古泉「いや。北海道では斬新さがいまいちですね……よし、樺太に行きましょう!」
長門「………それは新しい。いただきです。それでは早速、ロシアへ交渉を開始します」


キョン「ちょwww」

 

 

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 ●<その頃、谷口は

 

谷口「おお、MY憧れのヌーディストビーチよ! 我輩はやってきた!」

 

谷口「ゲスゲスゲスwww」

 

谷口「さあて。それじゃ早速。たわわに実った果実たちを、思う存分なめ回すように見学させていただきマンモス!」

 

谷口「フォ-!!」

 

谷口「………」

 

谷口「……………」

 

谷口「……あれ? なして浜辺に誰もいないのWhy?」


谷口「ワッツハプン? プリーズテルミー!」

 

谷口「あや? あややややや!? あそこにいるのは長身のレディー! だのになぜ? 服を着てるジャマイカ!」

 

谷口「ヌー下衆トビーチはみんなすっぽんぽんぽこぽんぽこりんじゃなかったのか!?」

 

谷口「ちくしょう! マスコミに騙された! 金かえせ!!」

 

 ●<アフリカの海岸沿いにいた

 


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森「はあ。最近神人退治は落ち着いていたけど、機関の会議がこうも連日あったら、さすがに疲れるわ」
森「でも、よかった。今日はお通じがあったみたい」
森「これでようやく、つらい便秘から解放されたわ」

 

古泉「おめでとうございます」
長門「………放出記念に伺いました」

 

古泉「森さん。開通おめでとうございます」

 

森「古泉? それに、TFEIの長門有希まで。どうして私の家に?」


古泉「はっはっは。どうしてもこうしてもありませんよ。たまたま森さんに関する噂を小耳にはさみましてね」

 

古泉「森さんが強度の便秘からついに解き放たれた、と」
長門「………ヘルシーな日々へようこそ」


森「どこで小耳にはさんだのよ」

 

古泉「私、こういう者です」


森「名刺って……総合プランナー?」

 

古泉「人間、健康が一番です。健やかな日常こそが何よりの宝です」

 

古泉「そこで。見事に便秘を克服された森さんのため、このような企画を用意させていただきました」

 

古泉「つらい便秘ともさよなら!? 5人に1人が悩むと言われる女性の便秘メカニズムを徹底解剖! ~経験者森さんを迎えて~」
長門「………みのさんも来るよ」

 

古泉「まずですね。100人規模の会場を貸し切りまして、簡単な立食パーティーの準備をします。もちろん用意する料理は腸に良い緑黄色野菜や青汁です」
古泉「その席で、森さんのつらい便秘体験談をふりかえりつつ、来賓方との談話をまじえつつ、祝賀会を開くわけです」
長門「………開会後、お招きしたみのさんを司会に迎え、ポスターセッション形式で便秘について分かりやすく勉強していこうという段取りです」


森「……悪いけど、帰ってくれないかしら。興味ないので」

 

古泉「お気に召されませんでしたか?」
森「召されると思っていたの? なにを根拠に気にいられると思っていたか聞きたいくらいだわ」
古泉「でも、勉強会ですよ? つらい便秘生活にはもう戻りたくないでしょ? なら、便秘に理解を深めて規則正しい生活を送れる良い機会になるではありませんか」


森「余計なお世話よ。なんで私がさらし者にされなければいけないのよ。帰ってよ」

古泉「まあそう言わず。絶対いい思い出になりますから。1年後くらいに、あの時はずかしかったけど便秘講習会やっといて良かったと思える日が必ずきますから」
森「来なくて良いからもう帰ってちょうだい」


古泉「そんな。あとは森さんの承諾をもらうだけの段階なんですから。おもいっきりテレビとももう話ついてますし」
森「なに勝手に撮影はじめようとしてるのよ!?」

 

森「いいから帰ってちょうだい! プライベートでまで変なことに巻き込まないで!」
古泉「あ、あ、ちょっと、押さないでください。落ち着いてください」
森「疲れたから今日は休むの! 帰って!」


古泉「しかしここで引き下がっては、神妙な顔つきでwikipediaで便秘を調べていた作者の立場が」
森「知らないわよ!」

 

長門「…………」 グイグイ
古泉「長門さんが僕を後ろから押している! これは負けられない意地と意地の戦いになりました!」
森「ちょっと、押し返さないでよ! 早く帰ってちょうだい!」


長門「………引き下がるわけにはいかない」 グイグイ

 

古泉「僕を前から後ろから圧迫するように押し続ける二人の女性!」

 

古泉「赤勝て白勝てさーうんさーうん!」

 

森「うぐぐぐぐ! はやく出てってよ!」
古泉「がんばれ、長門さん! 腸に圧迫されて詰まってしまった便のごとく動けない僕に代わって、頑張って押し返してください! いた、いたたたたた!」
長門「………がんばる(`・w・´)」
森「数ある顔文字の中でも、私その顔文字が一番イラッとくるのよ! なにそのw? 口のつもり? カイゼル髭? ああもう、イライラする!」
長門「………プルプルプル」

 

古泉「あ~あ、泣かせた。森さんが長門さんを泣かせた。勘弁してくださいよ、森さん。勘弁してくださいよ。長門さんこう見えても4歳なんですよ」
森「私の精神年齢がもう少し低かったら、とっくに私の方が泣いてるわよ!」

 

古泉「森さん、森さん、どうかどうか。僕たちはあなたのためを思って言っているんです。森さんの人生をより実りある豊かなものにしてあげようとしているんですよ」
森「だから余計なお世話よ! 自分の人生くらい自分でなんとか切り拓くから今日のところは帰って!」


長門「………もうみのさんも呼んでいる。後戻りはできない」
森「依頼済みかよ!?」
古泉「あとは催しを開いて森さんがみのさんに講師謝金を支払ってくれれば全てが丸く収まるのです」
森「新手の詐欺!?」

 

古泉「どうか、どうか」
長門「………どうか」
森「いいから帰ってよ! マジで!」

 

古泉「森さん、怒ってはいけません。興奮してストレスをためこめば、また便秘に逆戻りですよ」
森「誰のせいだ、誰の!」
みの「まあまあ。ひとまず落ち着きましょう。病み上がりで急激な精神負担は過敏性腸症候群を起こして腸が閉塞して、便秘になってしまいますよ」

森「みのさん来てた!? 早いな!」
みの「はじめまして。白石みのるです」
森「そっちのみのかい! そこはみのもんたにしとけよ!」


古泉「みのもんたが来てくれるわけないじゃないですか。おもいっきりテレビもリニューアルしたばかりなのに」

みの「みっみっみらくる みっのるんるん☆」
森「かえれ!!」

 

 

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古泉「やれやれ。とうとう追い出されてしまいました」
長門「………あと一押しだったのに。残念」

みの「じゃあ、俺はこのへんで。お疲れやした」
古泉「お疲れさまです」


古泉「プランナー古泉では、みんなのプレジャーを大募集!」


古泉「僕、古泉一樹と助手の長門有希が、最高のライフプランを用意して祝福に行きますよ!」


長門「………お問い合わせは、ここまで↓」
古泉「見えてませんけどね」

 

古泉「ハバナイスウィーク!」

 


 ~おしまい~


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