プロローグ
 連日連夜、遊び倒しているにもかかわらず、ハルヒはまだまだエンジン全開。
 というわけで、今日は不思議探索である。
 喫茶店の奢りが俺なのは、いつものとおりだ。まったく、忌々しい。
「今日は、最初のペアで一日中探索するわよ」
 ハルヒは、団長権限により一方的にそう宣言した。
 今日のくじ引きは、ちょっと真剣にならざるをえないな。
 いつもより念をこめて引いたくじの結果は────
 
 
 
A(10001回目)-1 キョン、ハルヒ
 俺、ハルヒ。
 古泉、長門、朝比奈さん。
 
 やれやれ。よりによって、ハルヒかよ。今日も疲れることになりそうだ。
「いくわよ、キョン!」
 ハルヒが俺の右手首をつかんで引っ張っていく。まったく、おまえのそのエネルギーはいったいどこから供給されてるんだ?
 
 ハルヒはいきなり映画が見たいとかいいだした。タダ券が二つ余ってるらしい。映画館のどこに不思議があるんだと突っ込みたいところだが、歩き回るよりは座っていた方が楽だ。俺は素直に従うことにした。
 上映されていたのは、ベタな恋愛映画だった。ハルヒは、精神病の研究でもするつもりなのかね?
 
 映画を見終わったあと、ちょっと早いが、ファミレスで昼食をとった。この昼食代もなぜか俺の奢りということになった。
 ハルヒは、遠慮会釈なく注文しまくった料理を平らげながら、さっき見た映画に文句をつけている。文句つけるぐらいなら見るなよ。
 
 午後は、デパートでウィンドウショッピングとなった。
 まるで、デートコースだな……って、俺はいったい何を考えてるんだ? 相手はハルヒだぞ。天変地異が起ころうともそれだけはありえん。
 ハルヒは、洋服売り場で次々と服を試着しちゃ、俺に感想を訊いてくる。俺は、そのたびに適当に「ああ、似合ってるぞ」と答えてやった。
「ちょっとキョン! あんた、まじめに見てんの!?」
「おまえはもともと土台はいいんだ。なに着たって似合うさ」
「なっ、ななな、何言ってるのよ!」
 ハルヒは顔を紅潮させてそっぽを向いた。俺、なんか変なこと言ったか?
「とにかく、これを買うからお金を出しなさい!」
「あいにく、俺の財布には、銅製とアルミ製の硬貨しか残ってねぇよ」
 これは事実だった。明日には、銀行で貯金をおろさんとな。
「まったく、しょうがないわね」
 結局、ハルヒは自分の金で服を買った。その服は、俺が持つハメになったがな。荷物持ちは雑用係の仕事さ。
 ああ、店員のみなさん。彼女の尻にしかれるあわれな彼氏を見るような視線で見ないでください。俺たちは、唯我独尊団長様とその哀れな下僕にすぎないんですから。
 
 
B(10002回目)-1 キョン、長門
 俺、長門。
 古泉、ハルヒ、朝比奈さん。

 

 今日は、心安らかに過ごせそうだ。神に感謝。
 古泉に言わせれば、ハルヒが神だそうだがな。まあ、ハルヒがこんな慈悲深いわけもないから、本物の神はいずこかにおられるのだろう。
「デートじゃないんだからね! まじめにやんなさいよ!」
 ハルヒの叫び声を無視して、俺は尋ねた。
「どこに行く?」
「図書館」
 予想通りの答えだ。
 
 俺たちは、午前中を図書館で過ごした。
 俺はほとんど寝てたけどな。これで少しは連日の疲労が回復できた。
 
 昼食は近くのファーストフード店ですませた。
 大量のハンバーガーを湯水のごとく消化する長門を眺めながら、俺は一個のハンバーガーを大事に食べた。
 支払いが終わったとき、俺の財布には銅製とアルミ製の硬貨しか残ってなかった。まあ、いいさ。長門にはいつも世話になってるからな。昼メシを奢るぐらいはどうってことない。
 
 午後も図書館かと思っていたのだが。
「生活消耗品の補充を行ないたい。許可を」
 俺としても異存はない。
 宇宙人とはいえ、地球で生活する以上は、消耗するものはあるさ。
「ああ、いいぞ」
 二人で、デパートの食品売り場に直行した。
 そして、長門がカートのかごにレトルトカレー缶を山積みにしていく光景に、俺はただ唖然とするしかなかった。
 
 
C(10003回目)-1 キョン、朝比奈
 俺、朝比奈さん。
 古泉、ハルヒ、長門。
 
 俺は思わず歓喜の声を上げたくなった。神に感謝だ。
 古泉に言わせれば、ハルヒが神だそうだがな。まあ、ハルヒがこんな慈悲深いわけもないから、本物の女神様は朝比奈さんに違いない。
「デートじゃないんだからね! まじめにやんなさいよ!」
 ハルヒの叫び声を無視して、俺は朝比奈さんをエスコートした。
 
 午前中は、街を散策した。
 懐かしい川沿いの桜並木も歩いた。
 二人の間で交わされる会話はたわいもないものだった。俺の話題の貧弱さが恨めしい。古泉あたりなら、豊富な話題で相手を退屈させることもないんだろうが。
 それでも、朝比奈さんは微笑んでくれたから、よしとしよう。
 
 ファミレスで遅めの昼食をとったあと、朝比奈さんの希望で、デパートの茶葉売り場に向かうことになった。
 ああ、まるでデートのようだ。
 いや、これはデートなのだ。ハルヒがなんと言おうとも。
 
 朝比奈さんが真剣に茶葉を選んでいる傍らで、俺は手持ち無沙汰にしていた。
 まるで、彼女にないがしろにされている彼氏の気分だ。って、何を考えてるだろうな、俺は。
 俺の浮かれていた気分も幾分か落ち着いてきた。
 朝比奈さんにとっちゃ、俺と二人で行動するのも、ハルヒに命じられた不思議探索だからにすぎないんだよな。
 
 
D(10004回目)-1 キョン、古泉
 俺、古泉。
 ハルヒ、長門、朝比奈さん。
 
 最悪だ。
 何が悲しくて、夏の街を男と二人で歩き回らなきゃならんのだ。
「まあまあ、そういわずに。たまには友人同士での散策もよろしいのではありませんか」
 ちっとも、よろしくない。
 
 とはいえ、くじ引きの結果が覆るわけもなく、俺と古泉は、街をぶらぶらと歩くハメになった。
「最近、調子はいかがですか?」
「連日連夜の活動で疲労がたまってるぜ」
「それは大変結構なことですね。閉鎖空間での活動で疲れるよりもよっぽどマシです」
「最近、例の灰色空間は出てるのか?」
「いいえ。涼宮さんの機嫌も大変いいようでして、最近はまったく出ていません。この調子で夏休みが終わってくれればベストですね」
「この調子が続いたら、俺は過労死するぜ」
 
 結構歩き回ってしまい、昼食はやや遅くなった。
 古泉の奢りで、ファミレスですませる。奢られるのは実に何年ぶりのことだろうな。
「お金にお困りなら、いいバイトを紹介しますよ」
 遠慮させてもらうぜ。怪しげな研究所で、パートタイム超能力者にでも改造されそうだからな。
 
 午後は、デパートに向かった。
 一人暮らしの古泉は、いろいろと生活消耗品を買う必要があるという話だった。
 親に養ってもらっている身ではいまいちピンとこないけどな。
 古泉は、トイレットペーパーやらティシュ箱やらを次々とカートのかごに放り込んでいた。
 
 
E(10005回目)-1 キョン、ハルヒ、長門
 俺、ハルヒ、長門。
 古泉、朝比奈さん。
 
 おのれ、古泉。朝比奈さんと二人きりか。朝比奈さんに手出ししたら許さんからな。
「さぁ、キョン、行くわよ!」
「どこにだ?」
 俺の突っ込みには、ハルヒではなく長門が答えた。
「図書館」
 おいおい、長門。行きたいのは分かるが、ハルヒが了解してくれるとは思えんぞ。
「ちょっと、有希。図書館に何か不思議なことでもあるの?」
「ある。夜になると本棚の図書が次々と宙に浮かぶという現象が発生していると聞いた」
 おまえがいうと冗談に聞こえん。
 
 午前中、長門は黙々と本を読み、ハルヒは図書館中を走り回っていた。図書館で走るな。
「長門。さっきの話は本当か?」
「嘘。ただし、望むなら真実にすることもやぶさかではない」
「やめとけ」
 結局何も見つからず、早々に図書館を後にすることになった。
 
 昼食は近くのファーストフード店ですませた。
 大量のハンバーガーを湯水のごとく消化する長門とハルヒを眺めながら、俺は一個のハンバーガーを大事に食べた。
 支払いが終わったとき、俺は財布の中身を確認する気にもなれなかった。大食漢二人分のダメージは絶大だ。
 
 午後、俺たちは、デパートの洋服売り場にいた。
 ハルヒが長門に洋服を買ってやりたいと言い出したからだ。
 ハルヒにしては、いい提案だ。長門もいつも制服では味気ないからな。
 ハルヒにされるがままに、長門は試着を繰り返していた。
 
 
F(10006回目)-1 キョン、ハルヒ、朝比奈
 俺、ハルヒ、朝比奈さん。
 古泉、長門。
 
 なんつーか、微妙なところだな。両手に花とでも浮かれるべきなんだろうが、片方がトゲつきのバラじゃあね。
「さぁ、みくるちゃん。新しいコスプレを買いに行くわよ!」
 ハルヒは朝比奈さんの腕をつかむとずんずんと歩き出した。
「はわわっ」
 当然、俺の意見など聴取されるはずもない。

 

 ハルヒは、朝比奈さんにとっかえひっかけ、コスプレ衣装を試着させた。
 朝比奈さんには悪いが、眼福だね。
「ちょっと、キョン! 鼻の下伸ばしてるんじゃないわよ!」
 昼になったころには、俺はコスプレ衣装が詰まった袋を大量に持たされていた。まあ、いいさ。これが俺の放課後に潤いをもたらしてくれるんだからな。
 
 早めの昼食はファミレスとなった。
 大量の料理を平らげるハルヒと、慎ましやかに食を進める朝比奈さん。対称的とはこのことをいうんだろうな。ハルヒよ、俺に奢らせてるんだから、少しは朝比奈さんを見習え。
 支払いが終わったとき、俺の財布には銅製とアルミ製の硬貨しか残ってなかった。
 
 午後は朝比奈さんたっての希望で、デパートの茶葉売り場に向かうこととなった。
 真剣な表情で茶葉を選ぶ朝比奈さんの後方で、俺とハルヒは、手持ち無沙汰に立っていた。
 
 
G(10007回目)-1 キョン、長門、朝比奈
 俺、長門、朝比奈さん。
 古泉、ハルヒ。
 
 まさに両手に花というやつだな。今日は、吉日だ。
「キョン! 鼻の下伸ばしてんじゃないわよ!」
 ハルヒの叫び声は無視。
「まずは、どこに行きましょうかね?」
「図書館」
「じゃあ、午前中は図書館な。朝比奈さん、午後のご希望はありますか?」
「お茶っ葉を買いたいので、デパートに」
「分かりました」
 
 午前中は、図書館で静かな時間をすごした。
 俺はほとんど寝てたけどな。これで少しは連日の疲労が回復できた。
 
 遅めの昼食はファミレスでとった。
 大量の料理を平らげる長門と、慎ましやかに食を進める朝比奈さん。対称的とはこのことをいうんだろうな。
 支払いが終わったとき、俺の財布には銅製とアルミ製の硬貨しか残ってなかった。朝比奈さんはともかく、長門の分が大ダメージだ。まあ、いいさ。二人には日頃から世話になってるからな。
 
 午後は、朝比奈さんの希望通り、デパートの茶葉売り場だ。
「この茶葉は、カテキンの量が多く……」
 長門が茶の成分を延々と解説し、朝比奈さんは真剣にうなずきながら茶葉を選んでいた。
 やがて、ようやく納得できる一品を買った朝比奈みくるは満足そうに微笑んでいた。
「これから、生活消耗品の補充を行ないたい。許可を」
 俺としても異存はない。宇宙人とはいえ、地球で生活する以上は、消耗するものはあるさ。
 長門は、食品売り場に直行した。そして、カートのかごに次々とレトルトカレー缶を積み上げていった。
 俺と朝比奈さんは、その光景にただ唖然としていた。
 
 
H(10008回目)-1 キョン、古泉、ハルヒ
 俺、古泉、ハルヒ。
 長門、朝比奈さん。
 
 なんか、俺だけが疲れそうな組み合わせだな。
 朝比奈さんは、長門と二人だけで大丈夫だろうか。
 
 午前は、ハルヒが俺と古泉を豪快につれまわしてくれた。
 まったく、おまえのそのエネルギーはいったいどこから供給されてるんだ?
 
 遅めの昼食はファミレスだった。
 へとへとに疲れている俺をさしおいて、ハルヒは大量の料理を平らげていた。
 まあ、古泉の奢りだからいいけどな。
 
 午後は、デパートでショッピングだ。
 ハルヒが買い込んだ物を持たされるのは、もちろん、俺と古泉だ。
 女王様に付き従う二人の下僕といったところか。
 まったく、やれやれだ。
 
 
I(10009回目)-1 キョン、古泉、長門
 俺、古泉、長門。
 ハルヒ、朝比奈さん。
 
 ハルヒと二人きりの朝比奈さんが心配だ。
 と思う間もあらばこそ。ハルヒは、朝比奈さんを連れてあっという間に見えなくなった。
「さて、どこに行きましょうか?」
 ニヤケ野郎の問いに、長門が即答した。
「図書館」
 
 俺たちは、午前中を図書館で過ごした。
 俺はほとんど寝てたけどな。これで少しは連日の疲労が回復できた。
 
 昼食は近くのファーストフード店ですませた。
 大量のハンバーガーを湯水のごとく消化する長門と、小食な古泉。対称的とはこのことをいうんだろうな。
 支払いは、古泉にさせた。俺の財布の中身はピンチなんでな。
 
 午後も図書館かと思っていたのだが。
「生活消耗品の補充を行ないたい。許可を」
 俺としても異存はない。
 宇宙人とはいえ、地球で生活する以上は、消耗するものはあるさ。
「ああ、いいぞ」
 二人で、デパートの食品売り場に直行した。
 そして、長門がカートのかごにレトルトカレー缶を山積みにしていく光景に、俺と古泉はただ唖然とするしかなかった。
 
 
J(10010回目)-1 キョン、古泉、朝比奈
 俺、古泉、朝比奈さん。
 ハルヒ、長門。
 
 古泉と朝比奈さんが並んで歩いてると、同じく並んで歩いてるはずの俺がハブられてるような気がするのは、やっかみだろうかね。
「さて、どこに行きましょうか?」
「みなさんのお好きなところでいいですよぉ」
「あなたはどうですか?」
「特に意見はねぇな」
 朝比奈さんと一緒なら、たとえ火の中水の中でもいいぜ。まあ、朝比奈さんをそんな危ないところに連れてく気はないけどな。
「なら、適当に散策いたしますか?」
 
 古泉が適当な話題をふり、俺と朝比奈さんが適当に相槌を打っているうちに、結構な時間がすぎていた。
 昼食は、ファミレスでとった。
 小食三人組なので、出された料理をすぐに食べ終わった。
 朝比奈さんの分だけ俺が奢り、残り二人分は古泉に奢らせた。
 
 午後は朝比奈さんの希望で、デパートの茶葉売り場に向かうこととなった。
 真剣な表情で茶葉を選ぶ朝比奈さんの後方で、俺と古泉は、手持ち無沙汰に立っていた。
 
 
 
A-2 古泉、長門、朝比奈
「涼宮さん。嬉しそうでしたね」
「そうですね。彼は、嫌そうな顔を作ってましたが。まったく素直でない方です」
「そうですよねぇ」
「…………」
「さて、お二人は、どこに行かれたいですか?」
 古泉一樹が訊ねる。
「図書館」
 長門有希は即答だった。
「朝比奈さんは?」
「長門さんと同じでいいですよぉ」
「せっかく一日中このペアでいくのですから、午前中は長門さんの、午後は朝比奈さんの希望をかなえるということでいかがですか?」
「そうですかぁ。じゃあ、お茶っ葉を買いたいので、デパートに」
「分かりました。では、さっそく、参りましょう」
 
 午前中、三人は、図書館で静かな時間をすごした。
 連日連夜の活動で疲れていた三人には、ちょうどいい休息となった。
 
 ファミレスでやや遅めの昼食をとった三人は、午後からデパートに向かった。
「この茶葉は、カテキンの量が多く……」
 長門有希が茶の成分を延々と解説し、朝比奈みくるは真剣にうなずきながら茶葉を選んでいた。
 やがて、ようやく納得できる一品を買った朝比奈みくるは満足そうに微笑んでいた。
「次はどこに行きましょうか?」
「生活消耗品の補充を行ないたい」
「いいですよ」
 長門有希は、食品売り場に直行した。二人もあとに続く。
 長門有希は、カートのかごに次々とレトルトカレー缶を積み上げていった。
 二人は、その光景を唖然としながら眺めていた。
 
 
B-2 古泉、ハルヒ、朝比奈
「デートじゃないんだからね! まじめにやんなさいよ!」
 キョンに向かって叫んでいる涼宮ハルヒに、古泉一樹が尋ねた。
「どこに行きましょうか?」
「みくるちゃんの新しいコスプレを買いに行くわよ!」
 涼宮ハルヒは朝比奈みくるの腕をつかむとずんずんと歩き出した。
「はわわっ」
 
「どう、古泉君?」
 涼宮ハルヒが、朝比奈みくるに婦警のコスプレを試着させた。
 朝比奈みくるが、恥ずかしそうに縮こまっている。
「大変、お似合いかと」
 古泉一樹は、いつものように追従しか述べない。
 涼宮ハルヒは、午前中いっぱい、朝比奈みくるに様々なコスプレを試着させ続けた。
 昼になったころには、古泉一樹はコスプレ衣装が詰まった袋を大量に持たされていた。
 
 昼食は、ファミレスでとることとなった。
 大量の料理を平らげながらキョンの悪口をいう涼宮ハルヒに対して、二人は苦笑するしかなかった。
 
 午後は、朝比奈みくるの希望で、デパートの茶葉売り場に繰り出すこととなった。
 茶葉を真剣に吟味している朝比奈みくるの後ろで、二人は手持ち無沙汰にしていた。
「有希たちは、今ごろどうしてるかしら」
「そんなに彼のことが気になりますか?」
「なっ、何言ってるのよ、古泉くん! 私は、ただ、有希がキョンからいやらしいことでもされてないか、心配してるだけよ!」
「そういうことにしておきましょうか」
 
 
C-2 古泉、ハルヒ、長門
「デートじゃないんだからね! まじめにやんなさいよ!」
 キョンに向かって叫んでいる涼宮ハルヒに、古泉一樹が尋ねた。
「どこに行きましょうか?」
 古泉一樹の質問に即答したのは、涼宮ハルヒではなく、長門有希だった。
「図書館」
「ちょっと、有希。図書館に何か不思議なことでもあるの?」
「ある。夜になると本棚の図書が次々と宙に浮かぶという現象が発生していると聞いた」
「ポルターガイスト現象ですか」
 
 午前中、長門有希は黙々と本を読み、涼宮ハルヒは図書館中を走り回っていた。
「長門さん。さきほどのお話は本当ですか?」
 古泉一樹の問いに、長門有希は平然と答えた。
「嘘。ただし、望むなら真実にすることもやぶさかではない」
「いいえ、結構です」
 結局何も見つからず、早々に図書館を後にすることになった。
 
 早めの昼食は、ファミレスだった。
 大量の料理を平らげながらキョンの悪口をいう涼宮ハルヒに対して、古泉一樹は苦笑するしかなかった。長門有希は、涼宮ハルヒの声など聞こえないかのように、淡々と料理を平らげている。
「午後はどこに行きましょうか?」
「そうね。デパートで、有希に服を買ってあげましょ。いつも制服じゃつまんないわ」
「それは、よいアイデアかと」
 
 午後、デパートの洋服売り場。
 涼宮ハルヒにされるがままに、長門有希は試着を繰り返していた。
「どう、古泉くん?」
「大変、お似合いです」
 
 
D-2 ハルヒ、長門、朝比奈
「どこに行くんですかぁ」
 朝比奈みくるの問いに答えたのは、涼宮ハルヒではなく、長門有希だった。
「図書館」
「ちょっと、有希。図書館に何か不思議なことでもあるの?」
「ある。夜になると本棚の図書が次々と宙に浮かぶという現象が発生していると聞いた」
「ひぇぇ。怖いですぅ」
 
 午前中、長門有希は黙々と本を読み、涼宮ハルヒは図書館中を走り回っていた。
「長門さん。さっきのお話は本当ですかぁ?」
 朝比奈みくるの問いに、長門有希は平然と答えた。
「嘘。ただし、望むなら真実にすることもやぶさかではない」
「いいえ、結構ですぅ」
 結局何も見つからず、早々に図書館を後にすることになった。
 
 早めの昼食は、ファミレスだった。
 大量の料理を平らげながらキョンの悪口をいう涼宮ハルヒに対して、朝比奈みくるは苦笑した。
「涼宮さんは、キョンくんのことばかり気にしてるんですね」
「ちょっ、みくるちゃん! なっ、何言ってるのよ! そんなわけないじゃない!」
 長門有希は、涼宮ハルヒの声など聞こえないかのように、淡々と料理を平らげている。
「ところで、午後はどこに行くんですか?」
「そうね。デパートで、有希に服を買ってあげましょ。いつも制服じゃつまんないわ」
 
 午後、デパートの洋服売り場。
 涼宮ハルヒと朝比奈みくるにされるがままに、長門有希は試着を繰り返していた。
「有希、かわいいわよ!」
「長門さん、かわいいですぅ」
 試着が終わるたびに、二人が歓声をあげる。
 
 
E-2 古泉、朝比奈
「さて、どこに行きましょうか?」
「古泉くんの好きなところでいいですよ」
「そうですか。では、午前中はこの辺を散策でもいたしますか。午後は朝比奈さんのお好きなところへ」
 
 美男美女が二人並んで歩いている光景は、実に絵になるものであったが、二人の間に会話は少なかった。
「どうにも二人きりだと警戒されてしまうようですね」
「ごめんなさい。どうしても……ね……」
「まあ、あなたの場合は『機関』に知られてはならないようなことも多々あるのでしょうから、致し方ありませんが」
 
 昼食はファミレスでとった。
 ここでも、二人の間に会話は少ない。
 
 午後は、朝比奈みくるの希望で、デパートの茶葉売り場に向かった。
 真剣な表情で茶葉を選ぶ朝比奈みくるの後方で、古泉一樹は手持ち無沙汰に立っていた。
 
 
F-2 古泉、長門
「さて、どこに行きましょうか?」
「図書館」
 
 午前中、二人は、図書館で静かな時間をすごした。
 連日連夜の活動で疲れていた二人には、ちょうどいい休息となった。
 
 遅めの昼食は、ファミレスでとった。
 大量の食料を胃に納める長門有希と、小食な古泉一樹。対称的な光景だった。
 
 午後も図書館かと思われたのだが。
「生活消耗品の補充を行ないたい」
 長門有希の提案に、古泉一樹も依存はなかった。彼も、生活消耗品を買い足したいと思っていたところだったのだ。
 長門有希は、デパートの食品売り場に直行した。
 そして、長門有希がカートのかごにレトルトカレー缶を山積みにしていく光景に、古泉一樹はただ唖然としていた。
 
 
G-2 古泉、ハルヒ
 古泉一樹と涼宮ハルヒは、映画館にいた。
 上映している映画は、ベタな恋愛物だ。
 涼宮ハルヒは、つまらなさそうにスクリーンを見つめていた。
 
 映画を見終わり、早めの昼食はファミレスとなった。
 いつも元気にしゃべる涼宮ハルヒが、今日はおとなしかった。
 古泉一樹が怪訝そうな表情で尋ねる。
「さきほどの映画なんですが、もしかしたら彼を誘うつもりだったのですか?」
「……そうね。まあ、キョンと一緒にあんな映画見たって、どうなるってわけでもないだろうけど」
「……」
 古泉一樹としては、リアクションに困る状況だった。
 
 午後。
 二人は、なんとはなしに、デパートに向かった。
 古泉一樹は、涼宮ハルヒを元気付けるために何かプレゼントでも買うべきだろうかと思った。しかし、それは自分の役目ではないと思い直してやめた。
 二人は、デパートの中をただぶらぶらと歩き続けた。
 
 
H-2 長門、朝比奈
「あのう……どこに行きましょうか?」
「図書館。午後は、あなたの希望するところでよい」
「あっ、はい」
 
 午前中、二人は、図書館で静かな時間をすごした。
 連日連夜の活動で疲れていた二人には、ちょうどいい休息となった。
 
 早めの昼食は、ファミレスでとった。
 大量の食料を胃に納める長門有希と、小食な朝比奈みくる。対称的な光景だった。
 
 午後は、デパートの茶葉売り場。
「この茶葉は、カテキンの量が多く……」
 長門有希が茶の成分を延々と解説し、朝比奈みくるは真剣にうなずきながら茶葉を選んでいた。
 やがて、ようやく納得できる一品を買った朝比奈みくるは満足そうに微笑んでいた。
「次はどこに行きましょうか?」
「生活消耗品の補充を行ないたい」
「いいですよ」
 長門有希は、食品売り場に直行した。朝比奈みくるもあとに続く。
 長門有希は、カートのかごに次々とレトルトカレー缶を積み上げていった。
 朝比奈みくるは、その光景を唖然としながら眺めていた。
 
 
I-2 ハルヒ、朝比奈
 朝比奈みくると涼宮ハルヒは、映画館の前にいた。
「映画ですかぁ?」
「そうよ。タダ券二つ余ってるから」
 涼宮ハルヒは、朝比奈みくるの腕をつかんでずんずんと中に入っていった。
 上映している映画は、ベタな恋愛物だ。
 涼宮ハルヒは、つまらなさそうにスクリーンを見つめていた。
 
 映画を見終わり、昼食はファミレスとなった。
 いつも元気にしゃべる涼宮ハルヒが、今日はおとなしかった。
 朝比奈みくるが怪訝そうな表情で尋ねる。
「あのう、さきほどの映画なんですけど。もしかしたらキョンくんを誘うつもりだったんですか?」
「……そうね。まあ、キョンと一緒にあんな映画見たって、どうなるってわけでもないだろうけど」
「素直に誘えばよかったんじゃないですか? キョンくんだって断ったりはしなかったと思います」
「……」
 朝比奈みくるの問いに、涼宮ハルヒは答えなかった。
 
 午後。
 二人は、なんとはなしに、デパートに向かった。
 いつもと違って静かな涼宮ハルヒに、朝比奈みくるは話しかけづらそうだった。
 二人は、デパートの中をただぶらぶらと歩き続けた。
 
 
J-2 ハルヒ、長門
「どこ行こっか?」
 涼宮ハルヒの問いに、長門有希は即答した。
「図書館」
「ちょっと、有希。図書館に何か不思議なことでもあるの?」
「ある。夜になると本棚の図書が次々と宙に浮かぶという現象が発生していると聞いた」
 
 午前中、長門有希は黙々と本を読み、涼宮ハルヒは図書館中を走り回っていた。
 やがて、何も見つけられなかった涼宮ハルヒが帰ってきた。
「有希。何も起きないじゃない」
 不機嫌な涼宮ハルヒに対して、長門有希は平然と答えた。
「現象が発生するのは、夜。現在時間は、昼」
「夜まで待ってらんないわ。ちょっと早いけど、昼御飯にするわよ」
 結局何も見つからず、早々に図書館を後にすることになった。

 

 昼食は近くのファーストフード店ですませた。
 ハンバーガーにかじりつきながら、涼宮ハルヒはキョンの悪口を垂れ流し続けていた。
「彼のことが気になる?」
「あたしは別にキョンのことなんか……」
「そう。私は、彼のことが気になる」
「ちょっと、有希。それどういう意味よ」
「文字通りの意味」
 
 午後、二人はデパートの洋服売り場にいた。
 涼宮ハルヒが、長門有希のさきほどの言葉をどう解釈したのか分からないが、
「気になるキョンにアピールするためにも、制服だけじゃ駄目よ」とのたまわれたからであった。
 涼宮ハルヒにされるがままに、長門有希は試着を繰り返していた。
 
 
 
A-3
 俺は、ハルヒと並んで歩いていた。
 このまま行くと食品売り場につくな。夕食の食材でも買うのか?
「ねぇ、キョン」
 ハルヒが、小さな声で俺を呼んだ。
「なんだ?」
「あのさ。あんた、今日はあたしと一緒でたのし……」
 
「あっ、涼宮さん」
 突如として聞こえてきた声に顔を上げると、そこには、朝比奈さんたちがいた。
「これはこれは。奇遇ですね」
 古泉がいうとちっとも奇遇には思えなくなってくるのは、なぜだろうね。
「みくるちゃんたちもこっちに来てたの?」
「ええ。お茶っ葉を買いに」
 ところで、長門。そのカートのかごにうず高く積まれている缶詰はいったいなんだ?
 
 
B-3
 大量のカレー缶は、代金支払いのあと、長門の宇宙人パワーによって、長門のマンションまでワープしていった。もちろん、周囲の一般人たちにはバレないようにだ。
 さすがに、これだけ大量のカレー缶を背負って歩いてたら、それだけで不審人物だからな。
 さて、これからどうしようかと思ったところでふと思いついた。
「長門。たまには服でも見てみないか。あいにく、俺には買ってやる金は残ってないけどな」
 我ながら情けない言い方になってしまったが、いつも制服じゃ長門も味気なかろう。
「了解した」
 二人で歩き出したところで、長門がすぐに立ち止まった。
 その視線の先に、顔を向けると、
 
「あっ、有希じゃない」
 そこには、ハルヒたちがいた。
 なんだ。おまえらもここに来てたのか。
「これはこれは。奇遇ですね」
 古泉がいうとちっとも奇遇には思えなくなってくるのは、なぜだろうね。
「キョンくんたちも、こちらに来てたんですね」
 ええ。朝比奈さんに早く再会したいと思う俺の気持ちが天に通じたのでしょう。
「ちょっと、キョン。ちゃんと、不思議を見つけて来たんでしょうね!?」
 ああ、見つかったさ。宇宙人の力によってワープしていく大量のカレー缶。これ以上の不思議はそうそうないぞ。
 まあ、これをハルヒに話すわけにはいかないけどな。
 
 
C-3
 朝比奈さんは、吟味に吟味を重ねて選び抜いた茶葉を買って、ご満悦の表情だった。
 そのあと、なんとはなしに食品売り場をぶらつく。
 そこで、俺たちはばったりと会った。そう、ハルヒたちにだ。
 
「あっ、みくるちゃん」
 ああ、朝比奈さんとの楽しいデートもこれで終わりか。
 ハルヒよ。おまえは、神は神でも、厄病神かなんかだろ?
「涼宮さんも、こちらに来てたんですか」
「有希に服を買ってあげたのよ!」
 その服を詰めた袋は、古泉の両手にぶら下がっている。ご苦労なことだ。
「これはこれは。奇遇ですね」
 古泉がいうとちっとも奇遇には思えなくなってくるのは、なぜだろうね。
 ところで長門。そのカートのかごにうず高く積まれている缶詰はいったいなんだ?
 
 
D-3
 食品売り場に向かったところで、俺たちは、ハルヒたちとばったり会った。
 
「これはこれは。奇遇ですね」
 古泉がいうとちっとも奇遇には思えなくなってくるのは、なぜだろうね。
「なんだ。古泉くんたちもこっちに来てたんだ」
「ええ。ちょっと、消耗品を買いたそうかと」
「おまえらは、何してたんだ?」
「有希に服を買ってあげたのよ!」
 ほう。確かに、いつも制服じゃ味気ないしな。ハルヒにしては、いい事をしたといえるだろう。
 その場にいれば、俺が金を出してやったんだが。長門にはいつも世話になってるしな。
 ところで長門。そのカートのかごにうず高く積まれている缶詰はいったいなんだ?
 
 
E-3
 長門の服代は俺が出してやりたいところだったが、情けないことに俺の財布には銅製とアルミ製の硬貨しか残ってなかった。
 結局、服代はハルヒが出した。俺以外の団員には優しいな、ハルヒよ。
 服が詰まった袋は、俺が持っている。まあ、これぐらいはかまわんさ。長門には世話になってるしな。
 三人で歩き回っているうちに、なんとなく食品売り場にたどり着いた。
 そこで、朝比奈さんたちに遭遇した。
 
「あっ、みくるちゃんじゃない」
「これはこれは。奇遇ですね」
 古泉がいうとちっとも奇遇には思えなくなってくるのは、なぜだろうね。
「涼宮さんたちも、こちらに来てたんですね」
 ええ。朝比奈さんに早く再会したいと思う俺の気持ちが天に通じたのでしょう。
「涼宮さんたちは、ここで何をしてたんですかぁ?」
「有希に服を買ってあげたのよ!」
「長門さんにですかぁ。見てみたいですぅ」
「私がばっちりコーディネートしてあげたからね! 有希、今度の探索にはあれを着てくるのよ!」
「了解した」
 
 
F-3
 朝比奈さんは、吟味に吟味を重ねて選び抜いた茶葉を買って、ご満悦の表情だった。
 そのあと、なんとはなしに食品売り場をぶらつく。
 そこで、俺たちはばったりと会った。そう、長門たちにだ。
 
「あっ、有希じゃない」
「これはこれは。奇遇ですね」
 古泉がいうとちっとも奇遇には思えなくなってくるのは、なぜだろうね。
「長門さんたちも、こちらに来てたんですね」
「ええ。生活物資を書い足しにと思いましてね」
 妙に所帯じみてるな、古泉。まあ、一人暮らしだから、自分で用意しなきゃならんものも多いのだろう。
 ところで長門。そのカートのかごにうず高く積まれている缶詰はいったいなんだ?
 
 
G-3
 大量のカレー缶は、代金支払いのあと、長門の宇宙人パワーによって、長門のマンションまでワープしていった。もちろん、周囲の一般人たちにはバレないようにだ。
 さすがに、これだけ大量のカレー缶を背負って歩いてたら、それだけで不審人物だからな。
 さて、これからどうしようかと思ったところでふと思いついた。
「長門。たまには服でも見てみないか。あいにく、俺には買ってやる金は残ってないけどな」
 我ながら情けない言い方になってしまったが、いつも制服じゃ長門も味気なかろう。
「そうですね。私が、長門さんに似合う服を見繕ってあげます」
 朝比奈さんの賛同も得られて、歩き出したところで、長門がすぐに立ち止まった。
 その視線の先に、顔を向けると、
 
「あっ、有希じゃない」
 そこには、ハルヒたちがいた。
 なんだ。おまえらもここに来てたのか。
「これはこれは。奇遇ですね」
 古泉がいうとちっとも奇遇には思えなくなってくるのは、なぜだろうね。
「ちょっと、キョン。ちゃんと、不思議を見つけて来たんでしょうね!?」
 ああ、見つかったさ。宇宙人の力によってワープしていく大量のカレー缶。これ以上の不思議はそうそうないぞ。
 まあ、これをハルヒに話すわけにはいかないけどな。
 
 
H-3
 食品売り場に向かったところで、俺たちは、朝比奈さんたちとばったり会った。
 
「あっ、みくるちゃんじゃない」
「これはこれは。奇遇ですね」
 古泉がいうとちっとも奇遇には思えなくなってくるのは、なぜだろうね。
「涼宮さんたちも、こちらに来てたんですね」
 ええ。朝比奈さんに早く再会したいと思う俺の気持ちが天に通じたのでしょう。
「涼宮さんたちは、ここで何をしてたんですかぁ?」
「見てのとおり、団長様の荷物持ちですよ」
 ところで長門。そのカートのかごにうず高く積まれている缶詰はいったいなんだ?
 
 
I-3
 大量のカレー缶は、代金支払いのあと、長門の宇宙人パワーによって、長門のマンションまでワープしていった。もちろん、周囲の一般人たちにはバレないようにだ。
 さすがに、これだけ大量のカレー缶を背負って歩いてたら、それだけで不審人物だからな。
 さて、これからどうしようかと思ったところでふと思いついた。
「長門。たまには服でも見てみないか」
 いつも制服じゃ長門も味気なかろう。古泉に奢らせたおかげで、財布の中身にはいささかの余裕がある。安い服なら、買ってやってもいいと思った。長門には世話になってるしな。
「それは、いいアイデアですね」
 意外にも古泉の賛同も得られて、歩き出したところで、長門がすぐに立ち止まった。
 その視線の先に、顔を向けると、
 
「あっ、有希じゃない」
 そこには、ハルヒたちがいた。
 なんだ。おまえらもここに来てたのか。
「これはこれは。奇遇ですね」
 古泉がいうとちっとも奇遇には思えなくなってくるのは、なぜだろうね。
「ちょっと、キョン。ちゃんと、不思議を見つけて来たんでしょうね!?」
 ああ、見つかったさ。宇宙人の力によってワープしていく大量のカレー缶。これ以上の不思議はそうそうないぞ。
 まあ、これをハルヒに話すわけにはいかないけどな。
 
 
J-3
 朝比奈さんは、吟味に吟味を重ねて選び抜いた茶葉を買って、ご満悦の表情だった。
 そのあと、なんとはなしに食品売り場をぶらつく。
 そこで、俺たちはばったりと会った。そう、ハルヒと長門にだ。
 
「あっ、みくるちゃん」
「涼宮さんも、こちらに来てたんですかぁ」
「有希に服を買ってあげたのよ!」
 その服を詰めた袋は、ハルヒの両手にぶら下がっている。俺以外の団員には優しいな、ハルヒよ。
「これはこれは。奇遇ですね」
 古泉がいうとちっとも奇遇には思えなくなってくるのは、なぜだろうね。
 ところで長門。そのカートのかごにうず高く積まれている缶詰はいったいなんだ?
 
 
 
エピローグ
 結局、組み分けの甲斐もなく合流しちまった俺たちは、団長様の突然の思いつきで、闇鍋大会をやることになり、その場で食材の買い込んで、長門のマンションに直行した。
 夏場に鍋というのもどうかと思うが、ハルヒの天才的な味付けによって魔法のごとく美味かったから、よしとしよう。
 その日は、トランプやらゲームやらで遊びまくり、結局、長門の部屋に泊まりこむことになった。
 なんだかんだいっても楽しい一日だったぜ。
 
 
 
*長門有希注記
 以上、私が保管している観測データより復元した記録である。
 なお、これらのシークエンスにおいては、彼らは2週間を何度もループしている事実に最後まで気づくことはなかった。
 
 

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最終更新:2007年10月11日 04:57