俺たちSOS団は例によって例の如く、団長様の思い付きでコミックマーケットなるところに来ている。

SOS団とは言ったものの、チーム分けしたから今は俺とハルヒだけだがな。

分け方はもちろんクジ引きだ。
いつもは朝比奈さんと同じ組になりたかったが今日は別でよかったと思っている。

なぜかって?
そんなもの決まってるだろう。
見たまえこの人の数を!そしつ人の種類を!
いわゆる『オタク』と呼ばれる人ばかりだろ?
まぁそういうイベントだから仕方ないのだが。

回りくどくてすまん。
つまりなにが言いたいかというとだな……

『俺はこの人ゴミの中あの人を守る自信がない!!』
ってことだ。
朝比奈さんみたいなお方が歩いててみろ。
たちまち人が群がってくることはほぼ確定事項と言っていい。

責任の放棄と言われればそれまでだが、
忘れないでくれ。

俺は一般人。
古泉は超能力者(ここでは意味はないがね)
長門はなんでも宇宙人だ。
戦力的にはうまく分配されたいいパーティ編成だと思わないか?

「キョン!!大至急こっち来なさい!!」
おっと団長様がお呼びのようだ。

「今行くから叫ぶな!」
ハルヒも相当な美人だからな。こっちも迂濶に目を離せないぜ。

「どうしたハルヒ?なんか面白いもんでも見付けたか?」
俺はハルヒに訊いた。
こんなとこに来たんだから俺だって少しは期待してるわけだ。

「ちょっとキョン!
どういうことよ、これ!」
「ん?」
なに顔赤くして怒ってんだこいつは……
「この本見てみなさいよ!!」
こんな近距離なのにでかい声で俺になんかの本を押し付けてきた。

なんだこの本?
俺は渡された本をなページをパラパラとめくる…

「…………!?」
これは驚いたね…
一体全体どういうことだろうか……
この本には俺とハルヒが登場しているのだ。
しかも………

「なんでこのあたしがあんたなんかと付き合ってるのよ!!」

そう。ハルヒの言う通りこの本の中で俺らは付き合ってることになっているのだ………

「なんなのよ一体!!」
騒ぐハルヒは無視して、俺はページを読み続ける。

『キョン大好きよ……///』

顔を赤らめて言う本の中のハルヒ。

『俺もさ、ハルヒ……』

ハルヒに負けないくらい赤い顔した本の中の俺。

『キスして欲しいの…』

ハルヒは絶対言わないだろ……

そっと唇を重ねる本の中の俺とハルヒ。

あーあ、キスしちまったよ……

なんて思って読んでると…

「いつまで読んでんのよ、バカキョン!」
ハルヒに取られちまった。
現実はこんなだぜ?
作者さんたちよ………

ただ現実と変わらないのは俺がハルヒのことを……

…いやなんでもない。
これは黙っておこう。

「はい、おつりの220円になりまーす」
店員の声がした。
こんなの買う奴なんているんだな…………っておい!?

「な、なに買ってんだハルヒ!?」
そう、こんな本を買うような変わりものは登場人物であるハルヒ本人だった。

「う、うるさいわね!!
興味本意で買っただけよ!
別にあんたとこうなりたいとかじゃないんだからね!?」

──あまいぜ作者さん方よ。
「あーはいはい。わかってるよ」

──本物のハルヒは漫画じゃ表せないようだな。

「ほんとなんだからね!?」

そんなに赤い顔してなに言ってんだか……
お前かわいすぎるぞ?
もう我慢できないからな?

「……なぁ、ハルヒ」

「な、なによ?」

「俺、お前のこと好きだわ」


終わり

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